目次
共有者の同意なしでも持分売却はできる?

その場合、持分を買い取る専門の不動産会社が売却先の候補となります。しかし一般市場では売却が難しいため、持分の買取価格は本来の不動産価格の持分相当の価値からさらに低くなるのが一般的です。しかも不動産会社が持分に価値がない(買っても利益が出ない)と判断すれば、買い取ることはありません。
したがって、持分は自由に売却できますが、一般的な不動産の売却とは異なり、期待している価格で売却できない可能性が高くなります。
持分を買い取る不動産会社も利益を期待して買い取ります。たとえば、他の共有者が共有不動産を使用していれば、持分相当の賃料などを請求できます。ただ、これは本来の目的ではなく、残りの持分を買い取って完全な所有権として売却するか、他の共有者に持分を買い取った金額よりも高く転売することが目的です。他人が持分を持つことへの嫌悪感や訴訟などにより、他の共有者が不動産会社の持分を買い取ったり、逆に自分の持分を売ったりする可能性が高くなります。
持分の売却価格はどれくらいに下がる?
買取業者が買い取る場合は、トラブルのリスクや利益分が考慮されるので、必然的に価格は安くなります。買取価格は、対象不動産の持分相当の30%~60%程度が多く、条件が比較的良い場合で50%程度が1つの目安といえます。
なお、不動産そのものの価値だけでなく、共有者の人数や持分の割合などでも買い取りの可否や価格が異なってきます。
| 売却先 | 価格の目安 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 共有者 | 市場価格の100%に近い | 資産価値を損なわずに売却できる | 相手に資金力や購入意思が必要 |
| 専門買取業者 | 市場価格の30~60% | 同意不要で、早期に現金化・関係解消できる | 買取価格が大幅に安くなる |
話し合いが進まない場合の最終手段「共有物分割請求」
しかし、不動産価格が高い今、持分を売って少しでも多く現金がほしいという理由であれば、やはり共有者の賛成を得て対象不動産を売却することを諦められないかもしれません。そうした場合に、共有者と調整の最終的な手段として「共有物分割請求」という方法があります。
共有物分割請求とは、共有となっている不動産の共有状態を解消するために行う方法のひとつで、裁判所に申し立て、判決によって共有関係の解決を図るものです。
この手続きでは、最終的に裁判所が
・現物分割
・代償分割
・換価分割(競売)
のいずれかを判断します。

いきなり訴訟ではなく、順を追って解決していくことになります。共有者だけでは解決が難しい場合、弁護士へ相談し、解決案を検討します。その案をもとに共有者同士で再度協議を行います。それでも解決が難しい場合、「共有物分割調停」を申し立てて、調停委員を介して当事者の意見を調整します。調停の方が訴訟よりも柔軟な解決が可能です。調停でも解決ができなければ、共有物分割請求訴訟の申し立てとなります。
兄弟関係を壊さないための現実的な交渉ポイント

STEP1:負担額やその負担が経済的に厳しいものかを金額や負担率などの数字で示す
STEP2:そのうえでもう一度不動産の売却に賛成してもらえないか確認
【第2段階】自分の持分のみの処分(選択肢の提示)
STEP3:不動産の売却を賛成してもらえなければ、持分を売却したい旨を伝える
STEP4:共有者(兄)に持分の購入意思はあるのかを確認
STEP5:購入意思がなければ、専門業者への売却も考えている旨を伝える
【第3段階】法的解決(最終手段)
STEP6:それでも無理なら、共有物分割調停や共有物分割請求訴訟を提訴することを伝える
相手の共有者(兄)にいつか売却するつもりがあるなら、売却までの間、不動産を活用し、その収益で維持コストを支払い、相談者の負担が発生しないようにする方法もあります。その場合、活用するための初期費用が発生するので、その資金の捻出が難しい可能性はありますが、不動産の状態や立地条件によっては実現性があります。不動産を売却した際は、持分相当の代金を受け取ることができます。
世田谷区のような地価の高いエリアでは、持分だけでも数百万円以上の差が出ます。いきなり「売る」と言うのではなく、「このまま私が死んだら、私の子供たちがあなた(お兄様)と交渉することになる。今のうちに整理しない?」と、次世代への責任をフックに話し合うのが非常に有効です。
まとめ
それでも解決が難しい場合に限り、第三者へ持分を売却する、調停や訴訟によって解決するという手段を選択するようにしましょう。
兄弟にどう切り出すべきか、持分はいくらになるのか。
まずは“数字”を知るところから始めてみませんか?
不動産の一括査定依頼はこちらから無料
約2,500社の中から1番条件の良い不動産会社が見つかる!

※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
この記事の監修者
公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。





【私が回答します!】「相続したのに自由に処分できない」「兄弟と揉めたくないけど、このまま放置もできない」 共有名義の不動産は、法律と感情が複雑に絡み合い、非常に悩ましい問題になりがちです。本記事では、共有者の同意なしでも持分売却は可能なのか、その場合の価格下落率、そして共有物分割請求という法的解決策まで、実務ベースで解説します。