専門家に聞く!不動産相続トラブル!「2年間売却禁止」は本当に従う必要がある?

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この記事の監修者

太田 徹
太田 徹

司法書士

専門家に聞く!不動産相続トラブル!「2年間売却禁止」は本当に従う必要がある?

【30代女性のお悩み相談】
祖母の家の相続で叔母から「家の相続は(相談者の)親でよいが、祖母の死去時点で売却価格を算出し半額を現金で渡すこと、さらに2年間は売却・取り壊しせず維持すること」と条件を出されました。2年間の売却禁止に従う必要があるのでしょうか?価格下落が心配です。

※本記事の相談は、実際にアンケートで募集した悩みを、要約・編集したものです。

【私が回答します!】
「理不尽な条件に憤りを感じる」「家族関係が悪化しそうで怖い」…相続はお金だけでなく人間関係まで揺るがす難題です。とくに「売却は2年後」など一方的な条件を提示されたとき、従うべきか迷う人も多いでしょう。本記事では、売却制限の法的有効性、経済的な影響、そしてトラブルを最小限に抑える交渉の考え方まで、専門家の視点で具体的に解説します。

太田 徹
太田 徹

目次

「半額払う」は妥当?相続トラブルで押さえるべき遺産分割の基本

結論
代償分割は可能でも、売却時期まで縛られる義務はありません。
相続が発生すると、相続人同士で話し合い、誰がどの財産を引き継ぐかを決めます。これを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割では、主に4つの方法があります。
①現物分割
②換価分割
③代償分割
④共有分割

①現物分割

相続資産の形状や性質を変えずに、各相続人の相続分に見合うように分割する方法です。遺産分割協議は原則的にこの「現物分割」が基本とされています。

②換価分割

相続資産を売却などで換価(お金に換えること)して、その代金から必要経費などを差し引いた残りを共同相続人で相続分に応じて分配する方法です。

③代償分割

特定の相続人が相続資産を引き継ぎ、その代わりとして、相続資産評価額を考慮したうえで、資産を引き継がない他の相続人に対して、資産を引き継いだ相続人が金銭などを代償(負担)する方法です。

④共有分割

相続分に応じた民法上の共有として、遺産の全部又は一部を当事者全員に取得させる方法です。この方法は、他の方法が困難な場合に認められる最終的な選択肢といえます。

今回のケースでは「処分制限」に同意する義務はない

代償分割を選んだとしても、売却時期まで縛られる義務は原則ありません。

最高裁の判断

・遺産分割後に条件が守られなかった場合でも
・債務不履行を理由に遺産分割を解除することはできない
(最一小判 平成元年2月9日)

確かに実務上、遺産分割協議において代償分割を活用して調整を行うことはよくあることですし、使い勝手のよい分割方法と言えます。しかし、売却時期に関して条件が付くことは、当事者間で合意していないのであれば、法的に強制されるようなことではありません。

太田 徹
太田 徹

遺産分割の法的根拠

・遺産分割協議の原則:民法907条1項
・現物分割の根拠:民法249条、256条、898条
・共有分割の根拠:民法249条

相続で「2年間売却禁止」は有効?不動産の処分制限と法的効力

結論
書面で合意していなければ、原則として強制力はありません。
上述のとおり、相続人同士で処分制限について合意をして、遺産分割協議書などにその旨を残さない限りは、相続資産の処分を制限するようなことはできませんし、法的拘束力もありません。

ただし、すべてのケースで自由に売却できるわけではありません。

【例外:処分が制限されるケース】

・遺言書が存在する
・遺言執行者が指定されている
・遺言の対象となっている不動産
この場合、相続人であっても自由に売却できません
(民法1013条)

仮に処分制限に同意するような内容の書面に、署名・押印をした場合には、その内容に法的拘束力が生じる可能性があるため、注意が必要です。

とくに実印による押印と印鑑証明書添付は、本人の意思による文書成立をより強く証明することになります。安易な署名・押印は、後から撤回できないリスクがあることを覚えておきましょう。

ご相談に来られる方の中にも、過去に相続手続きで内容をよく吟味せずに他の相続人に言われるがままに印鑑押してしまって後悔している…とおっしゃる方もいます。実印などを求められたら、内容をしっかり確認して、わからないことは専門家に相談するようにしましょう。

太田 徹
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【書面が持つ法的リスクの根拠】

・民事訴訟法228条
・最高裁判例 昭和39年5月12日

相続不動産を2年間売らないリスク|税金・空き家・価値下落の実態

では2年間家を残しておくことで発生しうる、具体的なデメリットについて挙げていきましょう。

固定資産税・都市計画税の負担

不動産の資産価値により変わってきますが、年間で10~15万円程度の税金がかかることになるでしょう。なお、正確な固定資産税・都市計画税を知りたい場合には、毎年5月頃に不動産の所有者宛に届く固定資産税課税明細書を見れば、該当の不動産の固定資産税・都市計画税がわかります。

空き家の維持費・管理リスク

不動産の性質(土地の広さ建物の老朽化具合など)にもよりますが、維持管理費(5~10万円程度)や手間がかかるでしょう。たとえば土地の場合には、雑草などを定期的に抜くなどの手入れが必要になります。

経年劣化による建物・土地の資産価値下落

仮に2 年間が経過した場合には、建物の価格が落ちることになります。法務省が定めている経年減価補正率表によると、木造住宅の建物価値は毎年約6〜8%下落します。たとえば築10年の木造建物(固定資産税評価額500万円)だったものが、築12年になることで450万円にまで減少する計算になります。

相続トラブルを防ぐ交渉術|3つの視点で円満解決売却条件でもめない3つの対処法

「2年間売らない」という条件に合意しない限りは法的には拘束力がないわけですが、強硬な態度に出れば親族間の関係が壊れてしまうかも、という不安もお持ちでしょう。円満解決に導くための3つのトラブル回避策についてご紹介します。

法律専門職(司法書士・税理士・弁護士)を交える

遺産分割協議などの法律行為を行う場合には、法律専門職に関与してもらい、遺産分割協議書などを作成してもらいながら進めていくことが望ましいです。

遺産分割協議を行うことが出来る(相続人同士で普通に話し合いができる)状況であれば、司法書士や税理士へ相談してみると良いでしょう。遺産分割協議を行えないような状況(相続人同士の関係性が悪く、話し合いできない状況)であれば、弁護士に依頼し、場合によっては裁判所での手続きとなります。

売却する時点の価格を基準にするよう交渉する

叔母様へのお渡しする現金の基準となる土地の価格を、お祖母様が亡くなった時点(相続発生時)で決めてしまうと、その後2年間土地を所有している間に、土地の価格が下落してしまうという経済的なリスクがあります。

そこで、価格を決める基準を「実際に土地を売却する時期」に変更し、その内容を遺産分割協議書に明確に記載しておくことをおすすめします。そうすることで価格下落のリスクを避けられるほか、売却にかかる仲介手数料などの諸費用を差し引いて計算できるので、あなたにとって経済的な損失の少ない協議内容にすることができるでしょう。

書面化して誤解を防ぐ

上述の通り、遺産分割協議書に記載がなく口約束のような形式では、証拠になるものが無い以上、言った言わないの話になってしまいます。明確に遺産分割協議書の書面に記録して、相手方にも同意してもらうことが後のトラブルを防ぐことに繋がるでしょう。

売却を前提とした代償分割は、実務上でもよく見受けられます。相続不動産を売却する場合には、さまざまな諸経費(相続登記費用、仲介手数料、測量費などの売却経費、税務申告費用など)がかかりますので、遺産分割協議書にその費用負担に関して、明確に記載をしておくことが重要です。

太田 徹
太田 徹

まとめ

上述のとおり、遺産分割にはさまざまの方法がありますが、どのような方法を選ぶにしても、最も重要なのは、遺産分割協議書のなかで権利関係や約束事を明確に定めておくことです。

ご自身の意向とは異なる条件を提示され、感情的になってしまうお気持ちはとてもよく理解できます。しかし、感情論で法律の決まりを変えることはできませんので、まずは冷静にメリット・デメリットを整理して話しあうことが大切です。

納得できない約束は安易に書面で合意せず、冷静に話し合いで解決するように努めましょう。トラブルを避け、安心して手続きを進めるために、法律専門職に関与してもらい、遺産分割協議書を作成することをおすすめします。

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太田 徹
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愛知県豊橋市、太田合同事務所代表司法書士。愛知県司法書士会所属。2018年司法書士登録後、司法書士法人で業務に従事し、2022年太田合同事務所を開設。『地域・思いやり✖︎webオンライン密着✖︎充実した情報』をモットーに、司法書士業務と共にWebメディア運営、セミナー登壇にも取り組んでいる。

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