不動産投資の融資面談|よくある質問内容を実践投資家が解説します

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この記事の監修者

安藤 新之助
安藤 新之助

不動産投資家/株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

不動産投資の融資面談|よくある質問内容を実践投資家が解説します

不動産購入で融資の可否を分ける担当者との面談、すなわち融資の関所です。この記事では面談で失敗しないためのポイントを解説します。

好印象を与える回答例とは?
融資面談の乗り越え方を伝授します!

目次

融資面談の目的とは

融資申し込みをする際、審査の過程で行われるのが金融機関の担当者との面談です。貸手側として、融資希望者の本人確認と、資金使途ならびに事業運営に関するヒアリングが主な目的です。まずは融資面談の流れを解説していきます。

融資面談はどのタイミングで行われるの?

融資面談は購入対象物件の確定後、金融機関にご自身もしくは不動産業者などの紹介者を通じて融資の打診をし、貸出窓口の担当者に融資相談を行います。その後、面談を金融機関の支店にて行います。

持ち物として物件資料、身元の証明できるもの(免許証、パスポートなど)を持参します。

融資面談までこぎつけるための方法は?

一般的に不動産業者や不動産コンサルタントによる紹介か、自身で開拓した金融機関に直接アプローチを行います。

不動産業者やコンサルタントに融資代行手数料などの名目で請求される場合もありますが、違法になるケースもあるので内容を精査することをお勧めします。

避けたいのは飛び込み訪問などの唐突な訪問です。必ず事前アポイントをとり、相談から面談につなげていくようにしましょう。

面談時によく聞かれる9の質問と回答例

融資面談の際によく聞かれる9の質問と回答例を集めてみました。

よく聞かれる質問①「不動産投資を志した理由」

なぜ不動産投資を行うのか明確な理由を求められます。
【回答例】
・低所得者用の賃貸住宅を提供したい
・高齢者が安心して住める賃貸住宅を提供したい
「お金持ちになりたい」「現在のサラリーが少ないから」「FIREをしたいから」といった回答はNGです。

一部の金融機関の不動産投資ローンを除き自身のお金儲けを中心とした投機を目的な資金使途にはお金を融資することにはありません。将来、社会、地域貢献につながる目的を持つことが大切です。

よく聞かれる質問②「いつから不動産投資を始めたか」

物件を持っていればその経歴を、物件を持っていなくとも不動産投資の勉強歴を提示すると貸し手側として安心です。
【回答例】
・1年前から不動産投資を学び始めて書籍の購読や不動産賃貸経営セミナーにこれまでに〇〇回参加しています。

よく聞かれる質問③「現在の仕事や職歴」

現在、どのような仕事に従事しているのかなど質問を受けます。不動産賃貸経営に活かせる分野があれば有利です。
【回答例】
・現職でマーケティングの部署に勤務しています。賃貸需要に対して入居者サービス向上に活かし役立てることができます。

よく聞かれる質問④「不動産投資の実績」

入居率や売上、利益などの運営に関する説明をできるようにしておきましょう。実績があっても本人が把握できていなかったらマイナスな印象になってしまいます。

物件の収支、入居率、構造種別など物件の詳細を一覧にしておくとベストです。
【回答例】
・運用実績2年、保有物件は東京都三鷹市に1K6室の木造アパート1棟、購入金額6000万、家賃収入は年額500万、過去の平均入居率は95%です。

よく聞かれる質問⑤「ほかの投資実績」

株式や投資信託の投資実績、運用実績も説明できるようにしておきましょう。金融資産としてプラスの材料につながります。ただし、投資商品により実績にならないこともあります。
【回答例】
・上場株式、投資信託で運用しており、残高が〇〇〇万です。

よく聞かれる質問⑥「この金融機関を選んだ理由」

なぜこの金融機関を選んだのかを必ず聞かれます。多くある金融機関のなかから選んだのか理由があるはずです。「不動産業からの紹介」「勤め先が取引している」など回答できるようにしておきましょう。
【回答例】
・今回の物件を紹介頂いた不動産会社の〇〇さんからのご紹介で御行にご相談させて頂きました。

よく聞かれる質問⑦「この投資物件を選んだ理由」

物件を選んだ理由は必ずあるはずです。「立地がよい」「需要が旺盛で供給が足りていない」など、理由を答えられるようにしましょう。

「不動産業者が良い物件だと言ったから」という主体性をもたない抽象的な理由は、マイナスの印象になるため注意が必要です。
【回答例】
・地下鉄〇〇線の〇〇駅周辺は商業施設の開発が進んでおり、入居需要が旺盛で賃貸住宅の供給が足りていない状況なので購入を決めました。

よく聞かれる質問⑧「家賃が下がったらどうするか」

不動産投資はリスクがつきものであり、とくにありうるのが家賃下落です。どの程度まで家賃の下落リスクに耐えられるかを把握し説明できるようにしておきましょう。
【回答例】
・家賃下落率〇〇%に至った仮定しても年間〇〇万CFは確保できます。仮にそれを下回っても預貯金で半年以上、通常と変わりなく運営が可能です。

よく聞かれる質問⑨「災害、事故の際にはどうするか」

突発的なトラブルなどをどうリスクヘッジしているか答えられるようにしておきましょう。設備機器の突然の故障や水漏れに対しては修繕積立を、洪水や地震などの自然災害は損害保険でリスクカバーしておくことがベストです。
【回答例】
・大手損害保険会社で大家さん向けの保険に加入します。また保険でカバーできない部分を毎月〇〇万の修繕積立でカバーします。

絶対にやってはならないNGの言動とは

金融機関は融資したお金が返済されなかったり、約束した使途にお金を使わなかったりすることになれば一大事です。

そのような事のないように、借りる側の考え方、人間性を面談時にしっかり見ています。どのようなところを見ているかを解説します。

【NG例】身だしなみに無頓着である

身だしなみが乱れていたり、派手だったりする方は公私とも生活が乱れているとイメージされてしまいます。個性を主張し、いくら内面が優秀であっても見た目の印象が悪ければマイナスな心証になってしまいます。

スーツ姿が理想ですが、ジャケットなどのビジネスカジュアルなどでも大丈夫です。相手側から見る第一印象を意識し、清涼感のある服装で面談に備える心構えが必要です。

【NG例】自分で物件を見ていない

自分で購入する物件を見ていない方に対し、貸し手はとても不安を抱きます。物件を見ずに不動産業者の話を鵜呑みにして購入した結果、運営に行き詰まり、不動産業者に「騙された」と感じる投資家の方は少なくありません。

リスク管理においても現地を確認しておくことは最低限必要です。

自分で見て回答するのと見ずに回答するのでは発する言葉の重みが全然違います。確実に物件の視察はしましょう。

安藤 新之助
安藤 新之助

【NG例】不動産投資の目的は不労所得だけ

物件を買ったら不動産業者や管理会社に運営を丸投げ…家賃の振り込まれる通帳を見るだけ。金融機関の融資担当者は、そのような考えの方々の失敗事例を山ほどみています。

不動産投資は多くの人が携わり運営されていきます。投資家本人が運営に携わらないことはリスクが高い投資になる可能性が高まります。自身が賃貸事業に携わる気持ちをもっていることが大切です。

【NG例】挙げる数字に根拠がない、把握していない

不動産業者から提示された利回りや運用経費において裏付けが取れておらず、投資家本人が把握していないとしたら、運営自体が宙に浮いたものになってしまい、金融機関側からすると融資自体がハイリスクになってしまします。数字に対しての質問に明確な回答ができるように把握しておきましょう。

【NG例】リスクに対して対策していない

不動産賃貸業においてのリスク、たとえば家賃下落、火災、水漏れ、事件事故などに対してリスクヘッジが出来ているかどうかを確認してきます。リスクが乗り越えられず事業が行き詰ってしまい返済ができなくなってしまうことは借手、貸手双方にとって大きな損失となります。

リスク対策ができているか問われたら、答えられる準備をしておきましょう。

金融機関の「なぜ」に必ず応えられるように準備を!

金融機関はお金を貸す側として、きちんと返済が出来るか否かにを中心にいろいろな質問を投げかけてきます。

不動産賃貸経営以外の趣味、家庭環境など私生活に関しての質問に及ぶことも普通にあります。なぜ、事業に関係ない事まで質問するのか?と疑問に思う事もあるかもしれませんが、借手の私生活は事業そのものに影響してくることを把握しているからです。

借手として腑に落ちない質問があったとしても融資をしたいからこそ深く突っ込んで質問してくるのだとポジティブに捉える事がポイントです。融資したくない相手に無駄な時間を費やさないのも金融機関の特徴です。

家庭環境、夫婦仲は遠回しながらも必ず聞かれる項目です。家庭円満であると貸手として安心材料になります。

安藤 新之助
安藤 新之助

融資面談に関するよくある質問

融資の面談において金融機関側に質問しにくい、聞けない疑問というのもあります。そんな融資面談に関するよくある質問6選をご紹介します。
1度断られた銀行に2度目に行くのもアリでしょうか?
アリです。借手本人の財務状況、物件の諸条件、金融機関側の融資スタンスなど断りとなった理由はさまざまです。 時が経てば状況も変わってきますから期待をもって挑むと良いでしょう。
他行にも同時に掛け合っていることは明かしてよいのでしょうか?
大丈夫です。競合があると貸手側のモチベーションにつながります。ただし、あまり多くの金融機関に持ち込むのは逆にやる気をなくす原因になりますからせいぜい、3行程度が望ましいでしょう。
融資を断られた理由は聞いても良いものでしょうか?
聞いても大丈夫です。ただ、「総合的に判断して見送り」というような回答で詳しく教えてくれないことがほとんどです。教えてくれないからと言って食い下がっても本音を言わないのが一般的です。関係を崩さないためにも潔く引きさがって次の機会に期待することが得策です。
融資の際に定期預金や投資商品を勧められましたがやらなければいけないでしょうか?
とくにやらなくても大丈夫です。ただ、金融機関側も数字を背負っており、より取引を厚くしたいと考えています。リスクを熟慮し、運営の支障のない範囲であれば今後の関係性、取引の実績として引き受けるのも戦略の1つとして前向きに考えるのもよいでしょう。
消費者金融のカードキャッシング、クレジットカードのキャッシング、リボ払いがありますが大丈夫でしょうか
融資において与信にかなりのマイナスな影響を及ぼします。高金利を払ってでもお金が必要な状況に陥っている環境であると判断され、またそうでなくても金融リテラシーの低い人と判断されてしまいます。個人の借り入れは調査すればすぐにわかってしまいますので残債を返済できるのであればしておくことをお勧めします。
マイホームの購入で多額の借り入れをしてしまいましたが融資をうけられるでしょうか?
現在の給与で住宅ローンの支払いと生活ができていれば金融機関によりますが融資を受けることは可能です。ノンバンク系や地方銀行の不動産投資ローンはサラリーマン年収と既存の借り入れ残高に対して融資上限が決まってきますので、それを上回ると融資のハードルは高くなります。

法人の事業性融資になると上限はなくなります。条件の良い物件の取得ならびに実績を積むことで高額の融資を受けられるようになります。

安藤 新之助
安藤 新之助

まとめ

融資面談は申し込み者に対して融資しても大丈夫な人物なのかどうかを確認するための関所です。いわば、新入社員の就職面接と同じと思っていただければイメージしやすいです。

いくら属性が良く、金融資産など数字的に好成績でも、人間性に問題があっては金融機関側としても定性的な判断において融資を通すことはできません。

儲かればOK、お金に余裕があればどんな態度をとってもOKではありません。謙虚で、真面目に不動産賃貸事業に向き合える人に対して金融機関は融資し、応援したいものなのです。

好印象を与える回答例とは?
融資面談の乗り越え方を伝授します!

この記事の監修者

安藤 新之助
安藤 新之助

不動産投資家/株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。

現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。

「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。 

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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