利回りが高いビル経営はリスクも高いので管理会社に任せきりにしないことが肝心です!
目次
ビルオーナーになる方法
ビルオーナーにはとくに資格などは必要ありません。ある意味、ビルさえ所有すればだれでもなれますが、テナントから見ればビル自体に魅力がないとビルオーナーとしては成功しにくいものです。この記事ではビルオーナーになるための予備知識を解説していきます。
ビルオーナーとは
ビルの所有方法は?
ビルの種類にはどんなものがあるのか?
大型の施設ビルでは上記のものを混合しているものもあります。とくに商業施設系ではいかに多くの集客ができるかが大きなポイントとなっています。
ビルオーナーの収入
賃料
敷金・保証金
そのため、入居者から何らかの理由で賃料や退去費用が支払いできない場合を想定して、敷金や保証金の設定をします。
こうした費用は室内の破損や汚損、家賃滞納に対してここから補填できるような形態にしています。ビルの場所や賃貸の条件にもよりますが、賃料の6ヶ月分前後を敷金や保証金として預かることが多いものです。
二次的収入
たとえば、携帯電話の基地局設置により得られる基地局設置料、ビルの一部(屋外)に看板等広告を設置して得られる広告看板設置料、自動販売機をビル内に設置して得られる自動販売機の設置料金などがあります。
ビルオーナーになるための資金は最低いくら?
ビルを購入する場合
この場合、すでに市場で流通しているビルの投資物件を1棟で購入するという点で考えてみましょう。購入にあたっては、そのビルの流通性や賃貸の経営状態などを総合的に見て判断する必要があり、空室率が高いとか築年数が経過して老朽化が進んでいるなど、ビル自体の経営状況や物件そのものに問題があると、金融機関の審査が厳しくなりローンが通らないということもあります。
仮に、2億円のビルとした場合、少なくとも20%程度の自己資金が必要になろうかと思われます。フルローンで購入したいとなれば、預金残高でも上記の金額がないと融資は厳しくなります。
土地代金も含めた購入で、オールキャッシュで資金調達する場合には何ら問題はありませんが、ローンで資金調達する場合にはオーナーの属性や利回りなどのビルの経営状況、ビル自体の建築物としての評価などが融資の可否に大きく影響します。
最初は手持ちの土地の活用のためにビル経営を始めた後、資産を増やすために他のビルを購入する可能性もあるでしょう。その場合は、物件価値の見極めと判断、堅実な収支計画を立てて運用することが大切です。
ビル購入は1棟の単価が高額になり資金調達が重要になります。また、物件自体の利回りや経営状況、テナントの属性など居住用の不動産購入とは異なる視点で物件を探す必要があります。
ビルを建築する場合
立地状況とその地域の需要をよく調査して、ニーズに沿ったビルを建築することが重要にはなります。この場合は土地の購入費用はかからないで建築コストだけでビルオーナーになれます。
先ほどの事例のように「土地代プラス建築費」で2億円という場合と異なり、建築費だけで2億円であれば計画段階での貸付面積の増床や階数の増加、その場所にあったビル建築が可能になります。当然ながら収益は大きくなりますのでビル購入よりも利回りなどの収支はよいとみることができます。
REITやクラファンなどの証券を買う場合
REITは株式と似ており証券への投資、運用で、少額で始められ流動性もあります。ただ、REITにある投資対象、たとえば、ビルやホテル、物流関係など、よく見極める必要があります。
また、小口化商品や不動産クラウドファンディングも少額で不動産投資ができますが、運用している企業次第では株式同様に大きな損失も考えられます。
ビル経営のメリット
収益性が高い
加えて、立地が良い場合は退去があってもすぐに新規テナントが入るため、空室リスクが低く、常時満室に近い経営を継続できれば利回りが下がりにくいといえます。
建築基準が住宅より自由
原状回復費用が不要
そのため、マンションなどの住居用の賃貸物件のようにオーナーが原状回復する必要がないため、手間がかからずコスト削減にもつながります。
ビル経営のデメリット
景気の影響が大きい
景気低迷とは異なりますが、昨今のコロナ禍では商業施設からの店舗撤退やオフィスの縮小などが散見されビルオーナーには大きな痛手になりました。こうした場合には居住用の賃貸経営の方が安定的といえます。
空室・返済リスクが高い
結果として空室リスクが高くなる傾向にあり、ビル購入などをローンで資金調達をした場合には返済のリスクも伴います。
居住用の賃貸物件と異なりビル経営は収益が大きい分、そのリスクも大きいと考えておく必要があります。
コロナ禍で商業施設が大きなダメージを受けたのも記憶に新しく、飲食テナントの撤退などはその一例です。何らかの要因で空室リスクが高まり、返済のリスクも大きくなるということは認識しておくべきです。

ビル物件の選び方のポイント
立地と周辺環境
加えて、駅に近い場所が適しています。駅前通りなどの大通りに面している場所であればなおさらビル経営には最適です。
賃室空間
たとえば、ビルの天井高は新しいものほど高くなっている傾向があり、一般社団法人日本ビルヂング協会連合会の調査によれば、平成8年度以降に竣工したビルからは2.7mが平均となっています。開放感もあると入居者側からみれば魅力的なビルとなります。
無柱空間
できる限り柱がない方が入居者側の造作等がしやすく、入居者側の希望通りのフロアができます。最近では柱が少ないビルも多くなっています。
個別空調設備
耐震性能
1981年よりも前に建てられたビルは旧耐震と呼ばれ、「震度5強程度(中地震)」の地震に耐えられるように設計された建物です。したがって、旧耐震ビルは震度6~7の大地震には耐えられないと想定されており、耐震性を強める耐震補強工事をしておく必要があります。
できる限り、新耐震基準(1981年6月以降に「建築確認申請」の提出を受けた物件)で建築されたビルを検討すべきです。
エントランスと外観
共用部
また、最近は室内禁煙のビルが増えています。そのため、ビルの共用部に喫煙所などが設けてあるかも確認しておくことです。
床荷重
もともと強度補強がしてあるトイレやエレベーター付近などに設置されます。
ビルオーナーになるための3つの注意点
1.ルールを事前に整える
転貸・同居はNG
共用部と専有部の区切りははっきりと
店舗は定期借家契約に
店舗の場合はその売上などで存続が左右されますので契約条件は抑えておくことです。
2.返済リスクに備える
万一、空室が長期に渡ってしまうとローンの返済もできない場合に陥ってしまいます。
3.ビル専門の管理会社を見つける
居住用の物件とは異なり入居者との交渉事やトラブルがあった場合の対処はビル専門の管理会社と管理委託をしておく方がオーナーとしては気苦労がありません。
まとめ
ビルオーナーは立地や周辺環境はもちろん、ビルの外観や設備など、入居者に選ばれるビルを取得する必要があります。また、信頼できる管理会社を選ぶ必要があります。ビルオーナーと管理会社が協力することで、ビル経営は成功に近づくものになるでしょう。
ビルオーナーは不動産投資の初心者ではなかなか難しいものです。いきなりビル1棟を買うというと大きなリスクが伴います。もともと手持ちの土地があって、その活用のためにビル経営を始めるならば比較的進めやすいでしょう。
ビルオーナーは物件価値の見極めと判断、堅実な収支計画を立てて運用することができないと向かない投資先といえます。

利回りが高いビル経営はリスクも高いので管理会社に任せきりにしないことが肝心です!
この記事の監修者

寺岡 孝
【資格】不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー
アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
たとえば、店舗のみのテナントビルでは漏水などの不具合の有無やテナント自身の経営状態をできる限り把握する必要があります。ビルオーナーにとってデメリットなテナントは要注意です。