- オーナーチェンジ物件は取得から家賃受け取りまでがスピーディかつ手間なく、初心者向けです。
- 賃貸借契約も前オーナーから引き継ぐため、契約内容を精査することが肝心!
- 悪徳業者の被害に遭いやすいリスクもはらんでいるので情報収集は怠らないようにしましょう。
目次
オーナーチェンジ物件とは
市場の中古収益物件で売りに出ているものとして、一棟ものから区分所有などさまざまなタイプがあります。区分マンションの場合、1室に対し1契約、一棟物件ですと1棟に対し複数の賃貸借契約が存在するのが大きな違いです。
引き継ぐ権利と義務
すなわち、家賃を受け取る権利を引き継ぐと合わせてその他の権利も引き継ぐ事となります。一例として下記のような権利と義務があります。
入居者から賃料を受け取る権利
契約終了時に建物を返還してもらう権利
契約終了時に入居者に原状回復させる権利
建物を入居者に使用させる義務
建物の修繕を行う義務
契約終了時に敷金を返還する義務
前オーナーが結んだ契約の一部を引き継ぐことを拒むことはできず、仮にどうしても引き継ぐことに納得が出来ない場合は、売主に引き渡し日までに契約を巻きなおしてもらうほかありません。
オーナーチェンジ物件のメリット
家賃収入がすぐに手に入る
融資審査が通りやすい
反面、空室率が高い物件の場合、募集に苦戦する物件と捉えられ融資が付きにくくなる可能性も。その場合には何故、空室なのか理由と空室を埋める対策を提示することで、貸手として取り組みやすくなります。
周辺相場より安く買える
収益物件は家賃(利回り)で価格が決まるため、現在の家賃が安く設定され、次回以降家賃アップが見込める物件の場合、実質的に割安に購入できたことになります。
入居募集の手間がない
新築と比べ家賃下落が緩やか
間取りが同タイプの物件の需要と供給のリサーチをすることで、リスク管理も新築と比較し容易となります。
オーナーチェンジ物件のデメリット
そのデメリットを把握し取り組むことで、リスクを最小限に抑えることが可能になります。その事例を紹介します。
室内状況を把握しにくい
このような場合、管理会社が過去にメンテナンスなどで入室したことが無いか確認しましょう。しっかりした管理会社であれば定期的に排水管洗浄などで入室しています。
その際の状況をヒアリングすることで室内の様子を把握することが可能になります。
入居者審査ができない
前オーナーや管理会社が入居者募集に関心が低いと、モラルの低い入居者が多く住んでいるケースも。契約書の確認、過去のトラブル、事件、事故など管理会社、仲介会社からヒアリングを確実に行いましょう。
入居時期により家賃、契約内容に差が出る
昨今のケースですと滞納保証会社の審査入会が入居条件の主体であるのに対し、古くからの入居者である場合は、連帯保証人や緊急連絡先のみで入居している場合があります。
この場合、もし連帯保証人が亡くなっていたり、実在しないと入居者に万が一のことがあった際、オーナーの費用負担が大きくなります。
入居者の万が一の為に連帯保証人の確保、もしくは保証会社の加入が必要です。入居者と契約条件をまき直し、早めのリスク回避をおこないましょう。
入居偽装の場合がある
契約日がいつからか、契約日が集中した月がないかをチェックし、売主の許可の上、電気メーター、水道メーターの利用状況を確認することで入居偽装か判断することが可能です。
オーナーチェンジ物件選びに失敗しないための注意点
契約内容を精査する
貸主に不利な契約条項があったり、最悪の場合、契約書が無かったりするケースもあります。賃貸借契約の内容が把握できれば、仮に賃貸人に不利な賃貸借契約があっても、それをカバーできる内容の条件を、売主と相談のうえ売買契約書に特約として記すこともリスク回避の方法の1つです。
可能な限り現地確認する
ご自身が現場調査に不慣れな場合、費用はかかりますが専門家によるインスペクションを依頼する事で、物件を購入するか否かの判断材料を収集することができます。
過去の運用状況をヒアリングする
どんな処置がなされたか、放置されたままの修繕必須事項はないかの確認が必要です。今後、再発するおそれはないかを確認するために必須な項目です。
売り出しの理由を聞き出す
売却理由として「資産整理」「資産の組み換え」と返ってくることが一般的です。本当の真意は把握することができない可能性もありますので自分で調査することがポイントです。
たとえば、嫌悪施設の建設、大学、工場、商業施設の移転、閉鎖など将来的立地環境によるものやマナーの良くない入居者、近隣住民による被害、トラブルなどであると購入後の運営に影響を及ぼします。売主に聞くだけでなく、自身で仲介店や役所などにリサーチするとよいでしょう。
売却の理由は本人とは別のところにあったりします。不動産業者、売主は利害が直結するため本音を語らないケースも多々あります。 一方、管理会社、仲介店は入居率アップや募集の数字に直結するため、物件を取り巻くリアルな情報が聞けます。それが本当の売却理由と直結することもあります。
レントロールを確認する
高く貸されている場合、お部屋の間取りを変更したり、リノベーションして賃料アップしているケースがあります。その際にはどんな間取りで、どの程度の費用を費やしたかを確認しましょう。
よくある質問
- オーナーチェンジ時の流れを教えてください
- 物件買付→売買契約、融資獲得、管理会社契約→決済引き渡しとなります。一般的に契約から決済引き渡しまで1か月~2か月ほどを要します。
新築物件と比較すると買付から引き渡しまで流れがスムーズです。 - オーナーチェンジ時の敷金はどう扱いますか?
- 敷金は入居者から預かっているものですから、次のオーナーに引き継がれるのが一般的です。
ただし、関西地方など地域によって敷金は前オーナーから承継されないケースもあります。その場合、入居者が退去する際に自身が敷金を持ち出す形になるのでその分を収支計画に組み入れるなど対策が必要です。 - オーナーチェンジ物件は初心者向けと聞きますがなぜですか?
- 新築ですと、土地の仕入れ→建設→竣工まで一年以上かかり、合わせて入居者募集も行います。家賃を受け取るまでそれ以上の期間を要します。
初心者にとって家賃を受け取るまでの期間や打合せなどの折衝において、難易度が高め。オーナーチェンジの方が物件取得から家賃受け取りまで期間や折衝が少なくスピーディだからです。
まとめ
一方、取り組みやすさから、悪徳業者による被害に遭いやすいリスクももっています。物件に出会い購入するまでの短い時間で多くの情報収集、判断することが求められます。決して気を緩めることなく、知識や情報収集に向けて取り組む姿勢を大切にしましょう。
不動産投資初心者向けのオーナーチェンジ物件。
メリット・デメリットを把握して、自力の調査も行いましょう。
この記事の監修者
不動産投資家/株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役
高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。
現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。
「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。
ペット不可の物件で平気でペットを飼っているケースも多々あります。ペットの鳴き声、毛や排泄物など現地を朝、晩数回確認すると形跡を発見できたりします。