【初心者向け】不動産投資が年金対策と言われる理由とは?注意点も含めて解説します

更新

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

【初心者向け】不動産投資が年金対策と言われる理由とは?注意点も含めて解説します

私的年金の準備として、不動産投資は有効な方法の1つです。不動産投資が年金代わりになる理由や、リスクについて解説します。

不動産投資を老後の私的年金として始める前に
デメリットやリスクを理解しておきましょう!

目次

不動産投資が年金対策に良いと言われる理由

金融庁から「人生100年の時代、仮に夫婦で95歳まで生きていくには、2,000万円の資産の切り崩しが必要」という内容の報告が世間を騒がせましたが、この報告書を素直に解釈すれば一般的な年金だけでは老後の生活を満足に送ることが厳しいということになります。

令和元年の厚生年金の平均受給額は約14万円、国民年金の平均受給額は約5万円となっており、子どもが独立したとしても医療費や介護費などが増え、結果として年金だけでは赤字になってしまう世帯は少なくありません。

そのため、老後を安心して暮らすための対策として不動産投資を始める人が増えてきています。不動産投資を行うことにより、家賃収入を継続的かつ定期的に受け取ることができる。これが、不動産投資が年金対策に良いと言われる理由というわけです。

不動産投資を年金対策にする際の注意点

一方で、年金対策を目的として不動産投資を始める際には注意が必要です。どのような注意点があるか、詳しく見ていきましょう。

空室リスクがある

不動産投資には空室リスクが存在します。入居者がいなければ入るべき家賃収入が入ってきません。空室によりで家賃収入が減ってしまえば、想定していた収支計画が崩れるほか、ローン返済が滞る可能性もあります。

空室が長期化すれば事態は悪化する一方で年金対策どころではなくなるでしょう。空室が生じないよう物件選びと賃貸住宅経営について努力する必要があります

家賃下落リスクがある

家賃下落にはいくつかの理由がありますが、1つは周辺エリアの環境の変化によるものがあげられます。たとえば、近隣の賃貸物件増加などです。近隣に賃貸物件が増えれば入居者確保のために家賃を調整するなどの工夫をしなければなりません。

また、築年数が経った場合も家賃を下げるなど、入居者確保のための対策が必要になってきます。年金対策を目的とした不動産投資は長期戦になることが一般的です。家賃下落のリスクについても注意しておかなければなりません。

金利上昇リスクがある

不動産投資は不動産投資ローンなどで資金調達して始める場合がほとんどになりますが、変動金利でローンを組んだ場合、金利上昇リスクに注意が必要です。

金利上昇の影響をできる限り小さくするためには、過度に借り入れをし過ぎないことや借り換えを検討することなどの対策を取ることが重要になります

繰り返しになりますが、年金対策を目的とした不動産投資は長期戦になりがちです。さまざまなリスクを踏まえた上で始めるようにしましょう。そのほかの考えられるリスクや注意点は以下の記事を参照ください。
【PR】プロパティエージェント
プロパティエージェントが開催する無料のセミナーでは、中古・新築の違いやリスクヘッジ方法など、基礎知識から最新トレンドまでを学ぶ機会を設けています。そのため、20代~50代以上までと幅広い年齢層の方がセミナーに参加しています。不動産投資に少しでも興味のある方や、もっと不動産投資について深堀したい方、ぜひ一度セミナーに参加してみてはいかがでしょうか?

効率よく受講できるオンラインセミナーから、トライしてみるのもひとつ!

無料オンラインセミナーを申し込む

※プロパティエージェントへ遷移します

そもそも不動産投資とは

不動産投資とは、土地や建物などの動かすことができない定着物(不動産)に資金を投資し、そこから賃料収入をえる方法です。不動産といっても、現物不動産への投資と、J-REIT(不動産投資信託)のように不動産投資法人が発行する投資証券を購入し、配当を得る手法などがあります。後者は株式投資と同じ仕組みです。

今回は現物不動産への投資についての解説を進めていきます。投資対象の不動産には、居住用不動産であるマンションやアパートだけでなく、商業ビルやオフィスビル、物流倉庫やホテルなどさまざまな種類があります。一般的には、居住用不動産のマンションやアパートがイメージしやすいかもしれません。

不動産投資の流れは、まず投資対象の不動産を取得し、物件を人や企業に貸し出して賃料収入を得ます。そして時には、時期を見計らって売却し、購入価格との差額によって売却益を獲得します。

運用期間中の賃料収入を運用益(インカムゲイン)、売却時の利益を売却益(キャピタルゲイン)と呼びます。

不動産投資の種類

不動産投資には、マンションの一室を所有する区分投資や一棟まるごと所有する一棟投資のほか、一戸建て投資などがあります。また、新築や中古、都心や地方など、投資の種類や方法はさまざまです。

どのような物件を選べばいいかは、不動産投資を行う目的によります。まずは、不動産投資の目的を明確にすることから始めるようにしましょう

どんな人に向いているか

不動産投資は、誰でもすぐに参入できるわけではありません。不動産投資を始める大前提として、物件価格の1~2割程度の自己資金を準備できることが求められます。不動産投資では、物件取得費用の大半を金融機関から借り入れることが多いですが、最低でも1割程度は自己資金で支払うことになるからです。

また、借り入れをする際に金融機関からの審査がありますので、本人の信用力(=属性)も重要になります。属性とは、年収や勤務先の規模・勤続年数、預貯金額、負債の有無、車や自宅のローンの有無などです。不動産投資を行うには、金融機関からの審査に耐えられる属性、そしてある程度の自己資金が必要となるのです。

不動産投資とひと言でいっても、実際には賃貸経営事業の経営者(大家さん)になるため、大家さんとしての自覚を持ち中長期的な事業計画を立てて、安定した賃貸経営を取り組めるかどうかも審査の際に重要になります。アパートローンを借り入れるための事業計画については以下記事にて説明していますので、ぜひご覧ください。

年金対策が目的の不動産投資で失敗しないためのポイント

不動産投資では多額の資金を投資します。多くのケースでは、数千万円、数億円という規模で投資を行うことでしょう。そのため、リターンの大きさに比例して、失敗した時の損失が大きいのも事実です。

見切り発車で物件を購入せずに、事前に不動産投資で失敗しないためのポイントを確認し、できる限りリスクを回避してください。そのためには、よくある投資の失敗例をチェックし、自分が同じ失敗をしないように注意するのが大切です。

不動産投資のメリット・デメリットを理解する

不動産投資では、空室リスク、家賃滞納リスク、修繕・老朽化リスクなど、さまざまなリスクが存在します。これらは不動産投資ならではのリスクで、ほかの投資の経験者であっても気づきにくいため、投資経験があってもあらためて理解し、注意が必要です。

こういったリスクは、表面化していないことも多いため、初めて不動産投資をしようとする人は物件情報や物件現物だけ見ても、リスクを発見することが難しいかもしれません。しかし、考えられるリスクを洗い出して、あらかじめ対策を練ることは可能です。

たとえば、空室リスクを回避する方法は、徹底した近隣調査を行うことです。対象となる不動産が存在するエリアの人口から賃貸需要を調べ、そのエリアの競合物件数などを調査することで、将来的な空室率を予測することができます。

中古物件であれば、現在の入居状況だけでなく、過去に遡って入居率も確認しておきましょう。このほか家賃滞納リスクは、入居審査を厳格化する、家賃保証会社利用を必須にするなどで、ある程度カバーできます。

物件や業者は必ず複数検討する

本業がある人、忙しい人などは、多くの物件を比較せず、少ない物件情報の中から購入してしまうケースが多い傾向にあります。物件購入の際は、必ず複数の物件を現地に行って、自分の目で見て比較するようにしましょう

これは不動産業者についても同様です。不動産業者によって、得意なエリアや取り扱う物件タイプもさまざまです。また、営業マンの能力も会社によってバラバラです。

1社に頼りきるのではなく、最低でも2~3社の不動産会社に依頼し、物件購入のサポートを受けることが重要です。不動産投資会社の選び方については以下記事にて詳しくご説明しています。

資金繰りをしっかり計画する

不動産投資は中長期的な事業となります。運用中は、家賃などの収入だけでなく、物件維持管理費用や入居促進費用など、さまざまな支出が発生します。また、固定資産税や所得税などの税金が発生することも忘れてはいけません

収入と支出の計画をしっかり立てないと、思いがけず支出が発生によって、事業を継続できなくなる可能性もあるからです。不動産投資では、物件取得時だけでなく、運用中もさまざまな費用が発生するので、資金繰りを徹底して行うことが大切です
【PR】RENOSY
「RENOSY」は、物件情報を独自のデータベースに蓄積し、投資価値の高い物件を選定・提案してくれるサービス。購入者アンケートによると、会社員が58%、年収500~699万円の方が36%を占めています。その背景には、本業が忙しい方でも安心して賃貸管理を任せられる充実の管理委託サービス所有物件の管理・運用が専用のアプリでスマートにチェック可能といった理由があります。

初心者だけど効率よく不動産投資を始めたい方、まずは無料の資料を確認してみませんか?

無料の資料を見てみる

※「RENOSY」へ遷移します

年金対策だけに捉われた不動産投資は危険!

老後の心配をしている人にとっては、不動産投資は安定収入源となり魅力的な投資です。リスクの低い物件を購入し、適切な賃貸経営を行えば、さまざまなメリットが得られるでしょう。

ただし、ここまで説明したとおり、不動産投資ならではのリスクも多いものです。そのため、年金の不安だけを理由に、勢いだけで物件を買ってしまうのは非常に危険です。不動産投資は、あくまでも賃貸経営業です。

大家さんとして1つの事業を運営している自覚を持ち、収支のコントロールをしながら賃貸経営を進めていきましょう

よくある質問

ここでは、不動産投資に関するよくある質問をご紹介します。
不動産投資の始め方は?
まずは、不動産投資を学ぶことから始めましょう。不動産投資で失敗を避けるためには、不動産投資をすることが重要です。基礎知識を身に付けた後は、目標設定→物件探し→ローン審査→物件購入→管理会社選定を経て、運用開始となります。不動産投資で成功するためにも、各ステップを飛ばすことなく進めることが大切です。詳しくは、不動産投資の始め方の記事を参照ください。
不動産投資の悩みはどこに相談すればいい?
不動産投資に関する悩みの相談先はさまざまありますが、不動産投資会社は幅広い悩み相談を受け付けてくれます。たとえば、おすすめの投資エリアや物件選定のポイントなどです。そのほか相談先としては、FP、不動産コンサルタント、税理士や記入機関などがあります。悩みに合った相談先を選ぶようにしましょう。詳しくは、不動産投資の相談先に関する記事を参照ください。
「不動産投資で節税できる」は本当?
不動産投資で節税することは可能です。ただし、常に可能なわけではありません。節税効果が得られやすい人の特徴としては、収入の高い人があげられます。やみくもに節税だけを目的として不動産投資を始めることは危険です。事前に税理士などに不動産投資で節税できるか否か相談すると良いでしょう。詳しくは、不動産投資の節税の仕組みに関する記事を参照ください。

まとめ

老後の不安から不動産投資を検討している人は、表面的なメリットだけでなく、隠れたリスクやデメリットについても十分理解してから、事業をスタートしてください。初めて不動産投資を始める人は、とにかく1件でも多くの物件情報を見て、比較することが大切です。

また、多くの不動産業者と面談し、失敗事例や注意点についても質問してください。事前にしっかりリスク対策を練ったうえで、安定かつ継続的に収入が得られる資産形成を、不動産投資で実現していきましょう。

不動産投資を老後の私的年金として始める前に
デメリットやリスクを理解しておきましょう!

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。