- アパート経営に踏み出す前に目的・目標を定めましょう。数十年後のビジョンを描いておくことは大切です。
- 管理会社に業務を任せることは可能ですが、アパート経営=事業という意識は持ち続けましょう。
- アパート経営を開始した後もセミナーや大家さん同士の交流会などで基礎知識の蓄積を!
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目次
アパート経営は危険?想定される10のリスク
しかし、大きなお金が動くアパート経営の周辺には、悪徳事業者も少なからず存在し、甘い言葉にのせられて痛い目にあったという大家さんも存在します。
安定した家賃収入や、現物資産が生命保険代わりとなるうえ節税にもなる、といったメリットだけを見てアパート経営を始めると「こんなはずじゃなかった」といった事態にもなりかねません。ここでは、以下、アパート経営のさまざまなリスクを紹介していきます。
1.空室リスク
たとえば、以下の条件でアパートを購入するケースを考えてみましょう。
借入額 | 1億円(金利2%、借入期間25年間) |
---|---|
部屋数 | 1K×14戸 |
家賃 | 5万円/戸 |
家賃収入 | 月70万円(満室時想定) |
家賃収入 | ローン返済 | 経費 | 手残り | |
---|---|---|---|---|
満室 | 70万円 | 45万円 | 7万円 | 18万円 |
1戸空室 | 65万円 | 45万円 | 7万円 | 13万円 |
2戸空室 | 60万円 | 45万円 | 7万円 | 8万円 |
3戸空室 | 55万円 | 45万円 | 7万円 | 3万円 |
4戸空室 | 50万円 | 45万円 | 7万円 | -2万円 |
したがって、アパート経営では、常に空室を早く埋めるための工夫が必要になります。
2.家賃の滞納リスク
3.家賃下落リスク
その場合、空室を埋めるための対策として、賃料の値下げを行うことになります。
しかしながら、一度下げた家賃を再度上げることは難しいので、賃料の改定は慎重に行わなければなりません。アパート経営を行う際は、家賃下落リスクについても考慮しておくことが大切です。
4.自然災害リスク
こうした自然災害のリスクには火災保険や地震保険といった保険で、万が一のリスクに備える必要があります。
5.建物の老朽化リスク
最初はエアコンの取り換えやフローリング、壁紙の張替えだけでいいものの、築年数が進むとお風呂やキッチンといった水回りの取り換えや外壁の塗り替えなど、修繕費用は膨らみます。
また、老朽化が進むと入居者を集めづらくなります。たとえば、周辺に新築のアパートができてしまうと、入居者の獲得競争においては不利になります。
したがって、空室を埋めるための対策としては居室をフルリフォームした上で、家賃の見直しなどを検討する必要があります。
6.立地リスク
この場合、そうした大学や企業が別の場所に移転してしまうと確実に需要が落ちてしまいます。そうなると、一気に空室が増える可能性があります。
7.入居者トラブルリスク
したがって、こうしたトラブルが起きたときは、すばやく対処する必要があります。
8.収益悪化リスク
そのため、一般的には多額の借り入れをして経営を始めるものです。しかし、経営に失敗してしまった場合には、多額の借金だけが残る可能性があります。
9.サブリース契約に関するリスク
不動産会社は入居者を募り大家さんに代わって家賃収入を得ます。大家さんは賃貸物件の空室の有無を問わず、不動産会社から賃料(サブリース賃料)がを支払われるため、空室のリスクを回避することができるメリットがあります。
しかし、サブリース契約では、数年ごとにサブリース賃料の見直しを定めていることが一般的です。契約時に賃料改定に関する確認を怠ると、想定していた家賃収入を将来的に得られず失敗に終わってしまう可能性も否めません。
サブリース契約を活用する際は、契約内容をしっかり確認することが大切です。
10.金利上昇リスク
対策としては自己資金の比率を上げる、固定金利を採用するなどの方法があります。ローン借り入れの際は、今後の金利動向を考慮しながら借り入れ方法を検討するようにしましょう。
リスクを理解した上で土地活用のプロに相談してみましょう。
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アパート経営を始めるための入門心得”5か条”
メリット、デメリットの双方を理解したうえで、自分もやってみたいとか、所有している土地はアパート経営に向いている、と思われる方には、ぜひ覚えておいてほしいポイントがあります。
【その1】投資の目的・目標を定めるべし
未来永劫アパート経営を続けることは不可能ですし、自分の死後は配偶者や子どもらにアパートを相続させるなど、事業を引き継ぐ人はいるのかも含めて、数十年後のビジョンを描いておく必要があります。
チャンスがあればどんどんと規模を拡大して専業大家になりたいのか、大きく儲けずとも節税効果を狙ってじっくりと取り組むつもりなのか。
目標に合わせた事業計画で、成果を少しずつ積み上げていけば、大家としての経験値も確実に成長していくことができるでしょう。
【その2】5大リスクに備えるべし
1.空室対策
入居者の募集や賃貸借契約についての多くは不動産会社に一任することになります。一方で、不動産会社の担当者は他にもいくつも大家さんを担当しています。
入居希望者に自分の物件を優先的に紹介してもらうためには、その担当者と懇意にしておくことが大切です。
また、1社の不動産会社だけではなく、その地域で有力な不動産会社とも懇意にしておくべきでしょう。
2.修繕・老朽化対策
また、修繕の費用を抑えるために複数の業者に相見積もりを依頼したり、まとめて工事発注したりすることで単価を下げてもらう工夫をするとよいでしょう。
3.災害の対策(保険)
また、火災保険はその保険内容によっては台風による風や水害などにも対応できます。内容をよく吟味して必要な補償内容を備えた保険に加入しましょう。
4.クレーム対策
速やかかつ適切な対応をしてくれる不動産管理会社を探すことも大切です。
5.収益悪化対策
無理のない返済計画を立てることで、不測の事態が起こったときでも対応しやすくなります。
自己資金をできるだけ準備するとともに、以下のような工夫が求められます。
【その3】収益向上のための税金・経費対策を忘れるべからず
また、費用や税金をできるだけ押さえて、収益を最大値に引き上げる努力を継続しなければなりません。支出を賢く抑えつつ、必要な費用はしっかりかけられるような経営を心がけましょう。
【その4】基礎知識の蓄積に努めるべし
また税金に関する知識も持ち合わせておくと、確定申告時だけでなくアパート経営にまつわるさまざまな経営判断の際に役に立つでしょう。
もちろんその道の専門家に委ねることも可能ですが、経営者としてみずからが選択していくことで、あなたの中にノウハウが蓄積されていくことが理想です。
また、税金や法律だけでなく、賃貸経営のスタンダードは時代とともに変化していくものなので、常に知見を更新する姿勢も大切です。セミナーや大家さん同士の交流会などで、情報交換する習慣を続けるのも1つの手段ですね。
【その5】最高のサポートチームを組むべし
入居者の募集や管理、建物の保守管理なども外部委託することは可能ですので、建築プランだけでなく、管理業務の内容も視野に入れながら、アパート経営の相談先を決めていきましょう。
必要に応じて税理士や弁護士、収支計画を相談できる金融機関、リフォームやトラブル対応の業者など、あなたの経営を支える専門家をチームとして編成していけば、サポート体制はより盤石となるはずです。
アパート経営にはさまざまなリスクが存在しますが、これらのリスクは経営を続ける限り付き合っていかなければならないものです。
アパート経営の始め方
ここでは、所有地にアパートを建設して経営を始める方に向けて大まかな流れをご紹介します。
とはいえどんなアパートが建てられるのか、建築予定地に賃貸需要があるのかどうかといった具体的なプランについては、まだ白紙状態という方もあるでしょう。
良い建築プランと出会うには、複数の企業から提案を受け、比較検討することをおすすめします。アパート経営プラン一括請求を利用すれば、大手のハウスメーカーからアパート専門デベロッパーまで、さまざまな工法・仕様のアパートプラン提案を受けることができます。
アパート経営はその収支計画が大きなポイントになります。家賃収入のシュミュレーションが30年も同じ家賃で計算されているとか、入居率が100%の計画をよく見る機会があります。こうした収支計画を提案してくる建設会社や不動産会社は信用がおけませんので、注意する必要があります。
アパート経営を検討し始めたら、
まずは、土地活用の専門家に相談してみましょう。
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アパート経営に関するよくある質問
- アパート経営の仕組みは?
- アパート経営は不動産投資の1種であり、家賃収入が主な収入源です。ローン返済額や修繕費用、管理費、共用部分の光熱費、火災保険料、固定資産税などの各種経費を支払い、残った利益である「不動産所得」に対しては所得税と住民税が課されます。家賃収入のほかにも、礼金や更新料、共益費などがあり、賃貸物件を売却する際の売却益も大家さんの収益となります。
- アパート経営にはどんなメリットがある?
- 毎月安定した収入を得ることができる点はメリットの1つです。リタイヤ後の私的年金としてアパート経営に興味を持つ人も多くいます。また、アパート経営には節税の側面があることも忘れてはなりません。不動産を所有していると課される固定資産税は、賃貸経営を行う場合は経費として計上できますし、相続税の評価額も圧縮する効果があります。詳しくは、アパート経営のメリット・デメリットの記事を参照ください。
- 良い管理会社を選ぶための確認ポイントは?
- まずは、業務内容に不足がないかを確認しましょう。会社によって業務範囲が違うため、どのような業務を担ってくれるのかホームページなどで業務内容を確認することをおすすめします。また、賃貸管理委託費用は一般的に「月額家賃×5%」程度といわれていますが、相場からかけ離れていないかも確認ポイントです。詳しくは、不動産管理会社の選び方の記事を参照ください。
- アパート経営に向いている人とは?
- アパート経営を不動産会社や管理会社に任せるケースもありますが、アパートの大家さんとして判断を求められる機会は多いです。経営者の自覚を持ち、”自分自身”でリスクを想定することが、大家さんの資質として求められることでしょう。
まとめ
しかしそのほとんどは過去の大家さんが体験してきたもので、事前に想定することが可能なものです。また、アパート経営の多くを不動産会社(管理会社)に任せることも可能ですが、さまざまな問題について任せすぎず、自分自身で把握しておくことも大家さんの資質として必要です。
アパート経営はその名の通り経営であり事業です。一度動き始めると簡単にやめることは難しいということを念頭に置いて、慎重にしかし着実に準備を進めていくことが大切です。アパート経営への一歩を踏み出すなら、ぜひ本記事の入門心得を参考に、理想のアパート経営プランを作っていってください。
土地の有効活用には多くの選択肢があります。その土地に見合った活用法はどれかを見極めることです。
アパート経営で大切なことは、
想定されるリスクを把握すること。
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この記事の監修者
寺岡 孝
【資格】不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー
アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
アパート経営をしたいと思った場合には、その目的は何かを明確にもつ必要があります。たとえば、アパート経営の目的が所有地の節税や相続財産の評価減なのか、あるいは私的年金などの収入源としたいのかによってアパート経営の内容や規模が異なりますので、目的を明確化することが重要になります。