【不動産投資】2025年地価公示発表!今後の価格動向と注目エリアは?

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この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

【不動産投資】2025年地価公示発表!今後の価格動向と注目エリアは?

2025年の地価公示が発表されました。本記事では、最新の公示地価データを基に、市場の現状と今後の見通しについて解説します。

この記事のポイント
  • 2025年の地価公示は全体的に上昇傾向を示しました。しかし、エリアや物件タイプにより異なる動きが見られます。
  • 不動産市場が暴落する「2025年問題」が懸念されていますが、地域差もあるため、大きな下落の可能性は低いでしょう。
  • 2025年の不動産市況も地方と都市部での二極化が懸念されます。不動産投資や売買をするのであれば、慎重な見極めが必要です。

目次

2025年最新の地価公示からわかる不動産市況

2025年3月18日に発表された地価公示では、全国的に地価はおおむね上昇傾向を示しました。しかし、エリアごとに価格の動きには大きな違いがあります。

人口減少が続く地域と地方の主要都市や大都市部では差が大きく、二極化が進んでいます。とくに東京圏や大阪圏、名古屋圏、地方四市などの主要都市では、地価の上昇が継続している状況です。一方で、人口減少が進む地方では下落する地域も増えており、今後の市場動向を注視する必要があります。
都市部の商業地では、企業のオフィス需要の回復や国内外観光業の活発化が影響し、2022年以降は4年連続して価格が上昇しました。とくにインバウンド需要の増加が見込まれるエリアでは、ホテルや商業施設用の土地の価値が高まっています。

住宅地に関しては、エリアによって異なる動きを見せています。人気の高い都心部や地方主要都市の住宅地では、引き続き価格が堅調に推移しています。

2025年は住宅ローン金利の動向が市場に与える影響も大きいでしょう。大手金融機関の金利引き上げが続く中、購入を控える動きが見られる一方で、不動産投資を目的とした取引は堅調な推移を見せています。とくに、投資家層が注目する都心部のマンション市場では、高価格帯の物件が引き続き人気です。

2024年の不動産市況を振り返る

2024年の不動産市場は、エリアや物件タイプによって異なる動きを見せた一年となりました。都市部では引き続き価格の上昇が続いた一方で、一部の郊外や人口減少エリアでは需要の鈍化が見られました。また、価格の調整が進んだ地域もあります。

ここでは、不動産価格の上昇傾向、マンション市場の二極化、一戸建て需要の変化について解説します。

不動産価格は上昇傾向

2024年の不動産市場では、都心部やその周辺部を中心に地価が上昇しました。とくに東京23区や大阪中心部、名古屋駅周辺などでは前年よりも地価価格が高騰しています。

地価の上昇幅の変化をみれば東京圏、大阪圏では上昇幅が拡大しています。名古屋圏では上昇しているものの、上昇幅は縮まっており、大都市圏でも差が出始めています。

吉崎 誠二
吉崎 誠二
主な要因として、建築コストの上昇、投資需要の拡大、商業地の回復が挙げられるでしょう。

建築資材や人件費の高騰によって新築物件の価格が上昇し、それに伴い中古市場の価格も押し上げられました。また、円安の影響を受けて海外投資家の日本不動産への関心が高まり、東京都心や大阪のマンションは引き続き高い需要を維持しています。

マンション価格は二極化が進む

2024年のマンション市場では、価格の二極化がより鮮明になりました。都心の人気エリアでは価格が上昇を続けた一方で、郊外や築古マンションの価格は横ばい、あるいは下落するケースが増えてきました。

東京都心や大阪の主要エリアでは富裕層や投資家の需要が高く、取引価格が上昇しました。とくにタワーマンションは海外投資家の購入も活発で、市場価格の押し上げにつながっています。

一方で東京郊外や埼玉、千葉、神奈川の一部では築30年以上のマンションの価格が伸び悩み、売却がスムーズに進まないケースも増加しました。背景には、住宅ローン金利の上昇による購入層の減少があり、高額な物件の売れ行きが鈍化しています。

一戸建て需要は頭打ちに

2020年以降、テレワークの普及によって郊外や地方の一戸建て需要が一時的に高まりました。しかし、22年後半からその動きが落ち着き、需要は鈍化しています。一戸建て市場は安定またはやや縮小の傾向を示しており、今後の住宅市場の変化に注意が必要です。

要因として住宅ローン金利の上昇やリセールバリューの低さ、新築一戸建ての供給過多が挙げられるでしょう。

住宅ローン金利の上昇により、これまで低金利を前提に購入を検討していた層が慎重になり、とくに郊外の一戸建て市場では購入意欲の減退が見られました。

また、一戸建て住宅はマンションと比べて売却時の価格が下がりやすく、とくに地方では築年数の経過とともに買い手がつきにくくなる傾向があります。さらに、一部のエリアでは新築一戸建ての供給が増加しているものの、需要の伸びが追いつかず、一部では価格の調整が進んでいます。

新築戸建て価格は、郊外の地価上昇と建築費の上昇が重なり、以前よりも高止まりが続いています。これも戸建て売買の低調の要因でしょう。

吉崎 誠二
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2025年問題で不動産は暴落しない!

2025年は日本の不動産市場にとって重要な節目とされています。団塊の世代が75歳以上となり、相続による売却増加で不動産が供給過多となる、「2025年問題」が注目されているためです。

しかし、人口減少の影響はすでに市場に織り込まれており、都市部では依然として需要が高いことから、不動産価格が急落する可能性は低いでしょう。ここでは、その理由について詳しく解説します。

不動産の2025年問題とは?

2025年問題の主な懸念は、相続による不動産の供給増加です。親世代が所有する、地方や郊外の住宅が売りに出されることで買い手不足が発生し、不動産価格の下がる可能性が指摘されています。

しかし人口減少の影響はすでに進行しており、市場が急変するとは考えにくいのが現実です。価格の変化はバブル前後のように勢いよく上がる、急激に下落するということは稀で、2025年を迎えた瞬間に市場が崩壊する訳ではありません。

理由① 緩やかな下落であり、暴落は起きにくいため

過去の市場動向を見ても、不動産価格の調整は数年単位で起こることが一般的です。とくに人口減少が進む一部地方都市ではすでに価格調整が進んでおり、2025年に急激な下落が起こるとは考えにくいでしょう。

都市部では依然として供給が限られているため、需要のあるエリアでは価格が安定し、大きな下落の影響を受けにくいという特徴があります。

理由② 不動産の特性によっては地価が好調なため

不動産市場は一様ではなく、エリアや物件の種類によって動向が異なります。とくに都市部では商業地やオフィスビル、駅近の住宅地などの需要が根強く、価格の下落が起こりにくい状況です。
● 東京都心のマンション価格は依然として上昇傾向
● 再開発が進行しているエリアでは地価が上昇
● 商業施設やオフィスビルの需要が回復し、収益不動産の価値が安定
たとえば、東京都心では今後も再開発が続くことで、住宅や商業施設の供給が制限され、しばらくの間は、不動産価格の下落リスクは低いと考えられます。また、オフィス需要の回復などの理由により、商業地の不動産価値が維持される見込みです。

このように2025年問題による影響は地域差が大きく、不動産市場全体が暴落する可能性は低いでしょう。とくに都心部や再開発エリアでは引き続き価格が維持されると考えられます。

2025年の不動産市況も格差拡大が続く

2025年の不動産市場では、エリアによる価格格差がさらに進行すると予想されます。

都市部の人気エリアでは価格が維持される一方で、人口減少が進む地方では価格が下落する可能性が高く、地域ごとの差が顕著になっていくでしょう。

2025年の不動産市況は三極化が進む

2025年以降の不動産市場では、価格や需要がさらに明確に分かれる「三極化」が進行すると考えられます。
都市価格の上昇が見込まれます。東京都心、大阪・名古屋の主要エリアでは不動産需要が依然として高く、とくに商業地や高級マンションは海外投資家の関心も強く、安定した市場が維持されるでしょう。
郊外利便性が高ければ、価格の安定が見込まれます。交通アクセスが良好で生活環境が整った郊外エリアでは、大きな価格変動がなく、一定の需要が続くと考えられます。とくに通勤利便性の高いエリアは、引き続き安定した価格を維持するでしょう。
地方価格の下落が見込まれます。人口減少が進む地域では不動産需要が低迷し、価格の下落が避けられない状況です。雇用機会が少ないエリアでは、売却自体が難しくなるケースも増えてくるでしょう。
このように、2025年の不動産市場はエリアごとの価格格差がさらに拡大し、投資や売却を検討する際は市場動向を慎重に見極める必要があります。

2025年の注目エリアは「セカンドベスト」

2025年の不動産市場では、「セカンドベスト」エリアと呼ばれる地域の注目度が高まると予想されます。これは、都心部ほどの利便性はないものの、生活環境やコストパフォーマンスに優れたエリアのことです。

東京都心をはじめとする主要都市では不動産価格が高騰し続けているため、購入のハードルが上がっています。そのため、比較的手ごろな価格で購入でき、かつ利便性の高い「セカンドベスト」エリアに需要が集中する可能性が高いのです。

このようなエリアは、今後も不動産市場において安定した需要が期待でき、投資対象としても魅力的な選択肢となるでしょう。

不動産売却をするなら早めがおすすめ!

2025年の不動産市場の動向を踏まえると、売却を検討している人は早めの決断が有利となる可能性があります

2023年以降、大手金融機関では固定型住宅ローンの金利引き上げが続いており、今後も上昇傾向が予測されています。金利が上昇すると、とくに住宅購入を検討している実需層の購買意欲が低下し、買い手市場への移行が進む可能性があります。

物件の売却が難しくなり、希望する価格での取引が実現しにくくなることが懸念されるため、現在の低金利のうちに売却を進めることが賢明です。
また、総務省の人口推計によると、日本の人口減少は今後さらに加速する見込みです。とくに地方では空き家の増加が深刻化しており、不動産価格の下落が懸念されています。

都心部では一定の需要が維持されるものの、市場全体の動きを考えると「価格が下がる前に売る」という意識を持つことが欠かせません。

まとめ

2025年の不動産市場では、エリアごとの価格差が拡大し、地方と都心部での格差が懸念されます。

三大都市圏の中心部では、引き続き地価の上昇が続く見通しです。さらに訪日観光客の増加により、ホテルや商業施設の取引が活発化し、商業地の地価も回復傾向にあります。都市部ではオフィス需要も安定し、全体的に地価を押し上げる要因となりました。

しかし、地方や需要の低いエリアでは下落が進む可能性があります。そのため、都心部から離れているものの住環境のよい「セカンドベスト」エリアが注目を浴びています。

また、今後の不動産市場においては、住宅ローン金利の上昇や人口減少の影響を受ける可能性が否定できません。不動産投資や不動産売却を検討する際には、タイミングやエリアを見極め、慎重な判断が必要となるでしょう。

エリアごとの格差が目立った2025年の不動産市場。
不動産投資や不動産売却をするなら、慎重な判断が不可欠です!

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

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