不動産投資家にも話題の「譲渡型賃貸住宅」とは。仕組みやデメリットを解説します

2024.06.19更新

この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

不動産投資家にも話題の「譲渡型賃貸住宅」とは。仕組みやデメリットを解説します

最近話題になっている譲渡型賃貸住宅の特徴や仕組みと、譲渡型賃貸住宅経営を行う場合の注意点について解説します。

この記事のポイント
  • 譲渡型賃貸住宅は負担が少なくマイホームを取得できる新しい方法です。
  • 通常通りマイホームを購入するよりもメリットが大きくデメリットが少ないと言えます。
  • 譲渡型賃貸住宅ではこれまでの方法にとらわれず柔軟な思考で取り組みましょう。

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目次

譲渡型賃貸住宅とは

譲渡型賃貸住宅は不動産投資の新しいスタイルとして注目されるようになっている手法です。空室対策や家賃滞納リスクが少なく、住宅を求める人にとっても住宅ローンを使わずに、家賃の支払いをつづけているだけでマイホームが取得できる、負担の少ない方法となっています。

譲渡型賃貸住宅の仕組み

譲渡型賃貸住宅とは、長期の定期借家契約(普通借家契約の場合もあり)により賃貸借契約を締結し、契約終了時に入居者に譲渡する仕組みです。
入居者は住宅ローンを組まずに住宅を取得でき、大家さんは長期の入居が見込まれるため、空室で悩むこともなく、将来の出口戦略を立てておくことができるのです。入居時には賃貸借契約のほかに「譲渡予約契約書」を作成し、入居者を権利者とする所有権移転仮登記をするのが一般的です。

賃貸借契約が終了する時点で正式な譲渡契約を締結します。この時には大家さんは「売主」に、入居者は「買主」へと立場が変わります。譲渡時の代金については入居時の家賃設定にもよりますが、無償譲渡とすることが多いです。そのため買主には「贈与税」が課税されることになります。

通常の戸建て賃貸経営との違い

通常の戸建住宅を賃貸する場合と比較してみましょう。家賃設定は以下の条件としています。
普通型賃貸譲渡型賃貸
家賃(月額)100,000100,000
年間家賃下落率0,967%0
賃貸期間25年25年
25年経過後の累積家賃収入は以下のようになります。
普通型賃貸では築年数が経過すると家賃は下落します。シミュレーションでは年間下落率を0.967%として計算し、便宜上毎年家賃が下がっていくと仮定しています。
*年間下落率は総務省統計局「借家家賃の経年変化について」のデータに基づいています。

25年間の累積家賃収入は普通型と譲渡型で約323万円の差が生まれます。実際には普通型には空室期間もできるので差はもっと大きくなるでしょう。

また、戸建賃貸は空室になるとまったく家賃収入がなくなります。アパートと比べて戸建賃貸は空室リスクが非常に大きいと言えるでしょう。そのほか戸建賃貸の特徴などについては「戸建て賃貸経営」のページも参照してください。

譲渡型賃貸住宅投資が注目されている背景

新型コロナウイルス感染症が社会に大きな影響を及ぼし、現代社会は予想もしないリスクが常に身の回りにあることを知らされました。順調だった勤務先が突然売上をあげられなくなるような変化に、住宅ローンをかかえて住宅を取得することの意義を、改めて考え直してみようとする人もいると思います。

持ち家よりも借家のほうが負担は少なく、30歳代以下では賃貸志向が高まっている傾向もあります。譲渡型賃貸住宅は家賃を支払いつづけることにより、将来引っ越すことなく持ち家にすることが可能であり、住宅ローンを借入することなくマイホームを持てるという大きなメリットがあるのです。

大家さんにとっては人口減社会になった今日、空室リスクはますます大きくなっています。譲渡型賃貸は長期にわたって入居が約束されたようなもので、安定経営が図れる有効な方法となってきています。

譲渡型賃貸投資のメリット

譲渡型賃貸住宅は、不動産投資の面でのメリットが一般的な賃貸住宅よりも多く、入居率の向上と投資戦略を立てやすい点をあげることができます。ここではとくに、空室リスク・家賃滞納リスク・立地条件・入居者募集と空室対策・出口戦略・家賃下落リスク、以上6つのポイントについて詳しくそのメリットを解説します。

空室リスクが低い

普通の賃貸住宅と異なり賃貸借契約終了時に譲渡することが前提の契約のため、途中退去の可能性が低く空室になりにくいのが譲渡型賃貸住宅の大きな特徴です。

譲渡型賃貸住宅は定期借家契約(普通借家契約の場合もあり)となるため、入居者は長期間居住する必然性が生まれます。途中退去になる場合はよほどの事情が起きない限りありえません。

よほどの事情とは、契約者が離職し収入状況が大きく変化するケースや、契約者が死亡し残された家族がそのまま居住することのできない状況に変わってしまうなどのことで、確率的には非常に少ないことと言えるでしょう。

家賃滞納リスクが低い

家賃滞納がおこるのは入居者の収入状況が不安定になることがほとんどです。家賃の支払いの見通しがないのに、譲渡型の賃貸借契約が締結されることは少ないものです。

譲渡型賃貸住宅を選択して契約にいたる入居者の場合、収入がある程度安定しており将来も継続して安定する見通しがあるが、やむを得ない事情などで住宅ローンが借りられない人や借金をしたくない人などに限られます。そのため、家賃滞納がおこる確率が少ないと言えるでしょう。

立地条件が緩い

一般の賃貸事業では立地条件は事業成功の最重要ポイントです。しかし譲渡型賃貸住宅は入居者の希望条件に合わせて立地を決めるので、必ずしも立地条件がよい利便性の高い所だけが望まれるわけではありません。

入居者によっては「畑付き賃貸」のように、田舎の物件を求めるケースもあります。入居者の希望に合わせた賃貸事業になるため、一般賃貸物件のように立地条件にこだわる必要はなくなります。

入居者募集・空室対策が不要

譲渡型賃貸住宅は入居者が決定してから建設するか、中古であればリフォームするなど、入居者が決まってからの事業開始になります。そのため事業に着手してから入居者募集をする必要がなく、入居後は万が一途中解約により退去するといった、特殊な状況にならない限り空室対策も必要がなくなります。

賃貸事業は空室を埋めるために多くの費用を投じることも多く、賃貸事業=空室対策と言ってもよい状況なのです。

出口戦略が不要

賃貸借契約終了時には入居者への譲渡が前提の譲渡型賃貸住宅は、出口戦略を立てる必要がありません。事業着手時から最終的な物件の処分方法が決まっているので当然のことなのです。

出口戦略とは賃貸物件を最終的に売却するか、自己使用に変更するかあるいは建物を解体して土地として売却するか、いずれかを選択することになります。

賃貸物件を売却するには入居者がいる状態で「オーナーチェンジ」するか、空室のまま売却することになります。売却のタイミングや売却先を探し出す活動など検討することも多くなるでしょう。

家賃下落リスクがない

定期借家契約は特約により「家賃の減額請求」を認めないとすることが可能であり、契約期間中に家賃を改定し減額することを防ぐことができます。

普通借家契約では家賃の改定に関して、特約で認めないと定めた場合であっても、借地借家法第32条の次の条項が適用されます。

『建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。』

そのため譲渡型賃貸住宅では定期借家契約とするほうが望ましく、家賃下落リスクを低減できるのです。

譲渡型賃貸投資のデメリット

譲渡型賃貸住宅はその独特の契約形態により、押さえておくべきデメリットもあります。順にみていきましょう。

退去リスクはゼロではない

定期借家契約と譲渡予約契約を締結したからといって、途中解約がないわけではありません

定期借家契約であっても、住宅の床面積が200m2未満で転勤などのやむを得ない事情であれば、入居者からの解約申入れが可能であることが借地借家法で定められています。申入れから1か月で契約は終了し、とくにペナルティを課されることもありません。

譲渡予約契約はあくまでも「予約」であって譲渡契約が成立してはいません。そのため賃貸借契約の途中解約により入居者が退去する場合、譲渡予約契約は効力を失い、違約金などの請求は無理があります。

譲渡型賃貸住宅を事業とする事例には「5年間の解約制限」を設けるケースもありますが、法的な拘束力には疑問があります。そのため退去リスクはゼロではありません。

安全なぶん利回りが低い

立地条件の非常によい物件の場合は家賃設定を高くすることが可能であり、高い利回りとすることができます。しかし譲渡型賃貸住宅の場合は、高めの家賃設定では入居者との条件で調整ができず、契約が成立しないケースも考えられます。

入居者にとって取得しやすい条件を優先することが重要であり、相場よりも利回りが低くなる傾向があります。普通型賃貸よりも空室リスクが低く滞納リスクも低いといったメリットの反面、利回りが低くなるデメリットがあることを認識しておきましょう。

売却益が望めない

普通型賃貸では減価償却期間が経過した時や、賃貸ローンの返済が終了する時などは出口戦略として売却する機会が訪れます。その時には売却により物件取得時の投下資金を回収することが可能です。しかし譲渡型賃貸では入居時に譲渡予約を行い、ほとんどは「無償譲渡」にするため売却による利益を見込むことができません。

賃貸期間中の家賃収入と必要経費やローン返済など、事業の収益性を事前に検証し事業の目的を達成できる事業計画が必要です。

契約年数を終えたら土地を失うことになる

賃貸物件は資産ですが建物は経過年数により、資産価値はいずれなくなります。しかし土地の資産価値は減ることがなく、立地条件によっては値上がりを見込める場合もあります。仮にそのような立地条件の物件であっても、譲渡型賃貸住宅は契約期間が経過し賃貸契約が終了する時点で、土地と建物は入居者に譲渡されます。

入居時点では将来的な計画を立てて家賃設定を行いますが、長い賃貸期間により物件の資産価値が大きく変わり土地代が値上がりしていることもあります。

しかし、その場合でも当初の譲渡予約契約のとおり土地と建物を譲渡しなければなりません。普通型賃貸であったならもっと高く売ることができたのに、と後悔するケースがある可能性もあるでしょう。

取扱事業者が限られている

譲渡型賃貸住宅は一般的に普及している方式ではありません。本来は「契約自由の原則」に基づき大家さんと入居者との間で将来的な譲渡を含んだ契約を締結することは可能です。

しかしながら住宅の賃貸借契約では、民法や借地借家法など法律的なことをクリアする必要もあり、賃貸借条件の調整も簡単ではありません。

そのため大家さんと入居者の条件調整を行うコーディネーターの役割が求められます。現在はこのようなコーディネートを行う事業者は少なく、地域の不動産会社で相談に乗ってくれるケースも少ない状況です。

譲渡型賃貸投資を始めるには

譲渡型賃貸投資は大家さんが譲渡型賃貸住宅の仕組みを理解することと、住宅を取得したいと希望する入居者のマッチングが大切です。賃貸条件を調整しどちらにとってもメリットのある内容でなければなりません。

譲渡型賃貸投資の事業者例

譲渡型賃貸住宅を事業として立ち上げるための、コーディネートを実施する事業者はまだ少ないのが現状です。ここでは、譲渡型賃貸投資をおこなっている事業者を一例にあげ、特徴や事業の内容について紹介します。
マリアージュ賃貸(特許出願中)
運営会社有限会社ファーム建設 神奈川県横浜市港北区篠原町1187-6
【特徴】中古戸建住宅と中古マンションを中心に譲渡型賃貸投資事業を展開。入居希望者の希望エリアや希望条件をWeb上で情報発信し大家さんを募集しますが、大家さんは「マリアージュ賃貸」のFC会員となります。また物件を紹介してくれる不動産会社や、入居者を紹介してくれる不動産会社とのネットワークも構築しています。賃貸借契約は普通借家契約として締結しており、「マリアージュ賃貸」はオプションとしての位置づけになっています。

運営会社からは大家さんに対して「買取金額」が提示され、家賃収入に応じて毎年更新する方式(中古住宅の為、平均利回りは13%~16%)です。

平均家賃は7万~8万円、取得費とリフォーム費用の合計平均は700万円程度とのこと。万が一、大家さんが経営破綻した場合は、運営会社が買取して賃貸契約を継続させる方式になっています。

譲渡型賃貸投資の注意点

譲渡型賃貸投資は従来型の賃貸事業と異なるポイントがあります。前述したようなデメリットは不動産投資の目的に合致していない場合もあります。次の2つのポイントに注意するようにしてください。

途中退去や有事の対応などの契約をよく確認する

譲渡型賃貸住宅の賃貸借契約を締結すると将来的に考え方が変わっても、契約内容を変更することや解約することは非常に難しいです。賃貸借の契約条件をよく把握し、途中退去や家賃滞納あるいは自然災害による賃貸物件の被害など、もしもの場合の対応策を検討しておかなければなりません。

また新築やリフォームをする場合に、工事費用に対し金融機関の融資を受ける場合は、返済期間を賃貸契約期間以内にする必要があります。

ほかの土地活用と比較検討する

譲渡型賃貸投資は土地活用の1つの方法として考えられますし、空き家活用の方法としても考えられます。ほかにも土地活用としてはさまざまな方法があり、分類整理するとその種類は22のパターンがあります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、検討は慎重にかつ正確な情報に基づいて行う必要があるでしょう。「土地活用法まとめ」を参考にして検討するようおすすめします。

まとめ

譲渡型賃貸住宅の仕組みと特徴について解説しました。大家さんのリスクを減らし入居する人の「持ち家希望」にも合致し、互いにウィンウィンの関係を可能にする新しい方法です。

・大家さんにとっては長期の入居を確保できる
・入居者にとっては支払う家賃が住宅取得のための資金に変わる

不動産投資や土地活用の手法は広がりをみせています。これまでの方法にとらわれず今後の賃貸ニーズを予測し、社会の変化に対応した投資手法が需要を生み、継続性の高い不動産投資を可能にすると言えるでしょう。

空室リスクなどを減らし、入居者の持ち家願望も満たす、
「譲渡型賃貸住宅」をご紹介します!

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弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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