アパート経営を始めるにあたり、”建築費”を理解することは非常に重要です。
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目次
アパート経営に欠かせない、費用の把握と収支計画

アパート経営とは
また、アパート経営では基本的に土地と建物を丸ごと所有するため、将来的に少なくとも土地という資産を手元に残すことができます。さらに、土地のまま所有しているよりも相続税を節税することができる点も、メリットの1つと言えるでしょう。
建築費はしっかりと比較検討すべき費用
アパートの建築費は構造やグレード、建てる地域によって変動します。一度建てたら数十年は経営していくことになるので、しっかりと比較検討し、自分の思い描くアパート経営にふさわしい建物を建築できるようにしましょう。
アパート建築にかかる費用を把握しよう

1.アパートの坪単価と構造
なお、建物の建築においては何坪でどのくらいの価格かを表すために、「坪単価」がよく使われます。坪単価とは建築費を延べ床面積割った数値で、一坪当たりの建築費のことをいいます。建築費用の概算は「坪単価×延べ床面積」の計算方法で算出できます。たとえば、坪単価50万円100坪のアパートを建てた場合の建築費用は5,000万円になります。
坪単価を決める要素とは
構造による相場価格の違い
構造 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
平均工事 | 2,035万円 | 23,827万円 | 31,943万円 |
平均面積 | 121平米 | 954平米 | 1,315平米 |
坪数 | 37坪 | 289坪 | 398坪 |
坪単価 | 55.4万円 | 82.5万円 | 80.3万円 |
木造住宅は坪単価55.4万円、鉄骨造住宅は坪単価82.5万円、鉄筋コンクリート造住宅は坪単価80.3万円という計算結果です。鉄骨住宅のほうが鉄筋コンクリート造住宅より高い結果となってしまいましたが、実際には鉄筋コンクリート造では坪単価100万円/坪を超えることが多いです。
このように、どの構造を選ぶかによって建築費は大きく違ってきますが、どのようなアパートを建てたいのか、どんな土地に建てるのか、で絞っていくのが良いでしょう。構造の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。

法定耐用年数とは、税金を徴収するために定められたもので、賃貸用の住宅では木造が22年、鉄骨造が34年、RC造が47年とされています。そして、融資を受ける際には基本的には法定耐用年数を過ぎないように借入年数を決める必要があります。
つまり、築10年の木造アパートであれば12年しか借りられませんが、築10年の鉄骨造アパートであれば24年まで借りることができます。将来売却することも視野に入れて、構造ごとの法定耐用年数についてはよく理解しておくようにしましょう。
2.建築費に含まれるもの
建築工事費の内訳
総工事費=本体工事費(延べ床×坪単価)+付帯工事費(約20%)+諸費用 |
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諸費用とは
建築費は利回りに影響する

利回りとは
利回りの種類
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
1.表面利回り
表面利回り=年間収入÷購入価格 |
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上記式を見て分かるとおり、表面利回りの計算に用いる年間収入や購入価格は「表面上のデータ」だけでパッと計算することができます。
2.実質利回り
実質利回り=(年間収入-年間支出)÷購入価格 |
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年間支出には固定資産税や火災保険料、修繕費用などさまざまなものがあります。固定資産税や火災保険料などは条件が分かれば算出することもできますが、修繕費用などはアパートの状況によりどの程度かかるかが異なります。そのため、精度の高い計算をするには知識や経験が必要です。
3.想定利回り
想定利回り=年間収入÷購入価格 |
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この計算では、一般的には満室経営が想定されます。つまり、一番大きく収益を得られる場合の利回りはいくらか、という計算です。表面利回りや実質利回りとの違いを把握した上で想定利回りを計算するのは大切なことでもありますが、何も知らずに想定利回りだけでアパート経営の計画を進めると失敗する可能性は高くなるでしょう。
想定利回りが10%あると思ったのに、実際の利回りである実質利回りは5%程度しかなかった場合、5,000万円のアパートであれば年間の収益が500万円あることを想定していたのに、250万円しかないということになります。こうした過ちは犯さないようにしましょう。
アパート経営の収支計画
なお、上記は中古アパートを購入したときの利回りなので、土地活用のひとつとしてアパート経営を考えているのであれば、土地代金が不要となるためもう少し利回りは高くなるでしょう。
アパート経営では表面利回りや想定利回りより実質利回り、つまり年間の支出についても把握することが大切ですが、そのことを分かりやすくするために、数年間の収支シミュレーションを立てることをオススメします。
収支シュミレーションを試してみよう
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | ||
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収入 | 家賃 | 75万円 | 75万円 | 75万円 | 75万円 |
駐車場賃料 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | |
自動販売機 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | |
礼金 | 10万円 | 0 | 0 | 0 | |
収入合計/月 | 90万円 | 80万円 | 80万円 | 80万円 | |
支出 | 固定資産税 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 |
共益費 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | |
修繕費 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | |
管理手数料 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | |
ローン返済額 | 30万円 | 30万円 | 30万円 | 30万円 | |
その他 | 25万円 | 0 | 0 | 0 | |
支出合計/月 | 66万円 | 41万円 | 41万円 | 41万円 | |
収支 | 月間収支 | 24万円 | 39万円 | 39万円 | 39万円 |
年間収支 | 288万円 | 468万円 | 468万円 | 468万円 | |
収支累計 | 288万円 | 756万円 | 1,224万円 | 1,692万円 |
このときの家賃を満室時の家賃にするのか、2〜3室空室があるときの家賃にするかは 状況に応じて変えるとよいでしょう。上記事例で、1部屋の家賃が7.5万円×10室だった場合で考えると、2年目以降の支出合計は41万円となっているため、5室以上空室になると7.5万円×5室=37.5万円で支出より少なくなってしまうと判断することができます。
収支シミュレシーションはこのように活用するとよいでしょう。なお、実際にはアパート経営で利益が出ると不動産所得として税金を納める必要があるため、手元に残るお金はもう少し少なくなります。
坪単価や表面利回りに惑わされるべからず!

常時満室を目指して強みのあるアパートを建てよう
また、アパート建築をする際、間取りや広さ、デザインなどを一から考える必要があります。その際には「入居率」、つまりはできるだけ空室を少なくするプランを考えましょう。その地域でどのくらいの家賃だったら人が集まりやすいのか、ファミリーが住むのかシングルが住むのか、また最近のトレンドは何かなどを考慮した間取りにすることが大切です。賃貸物件のマーケティングについても、一読しておくと良いでしょう。

長年維持管理することをイメージした建築・収支計画を
アパート経営の特徴やメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

また、実際にアパート経営を始めると数年〜数十年にわたって経営していくことになるため、収支シミュレーションを立ててより詳細な計画を立てておくことをオススメします。
それではこの記事のおさらいです!
アパートの建築費は規模や構造やグレード、建てる地域によって変動します。どんな土地にどんな建物を立て、どんな人に住んでもらいたいのかのイメージをしっかり持ったうえで、比較検討をしましょう。構造による違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
2.アパートの建築費の概算はどうやって求めればいい?
建築費用の概算は「坪単価×延べ床面積」の計算方法で算出できます。本体工事費のほかに、付帯工事費、税金や手数料などの諸費用も含めた総工事費を求めたうえで、収支シュミレーションを試算しておきましょう。
3.利回りの高いアパートを建てるには?
アパート建設検討の段階で数字の比較は不可欠ですが、坪単価や表面利回りに注視しすぎるのも得策ではありません。長期にわたって満室経営を維持できるような「強み」を持つこと、大規模修繕費用や維持管理費用も含めた中長期のコストを盛り込んだ収支計画を立てることが必要となるでしょう。
アパート経営を始めるにあたり、”建築費”を理解することは非常に重要です。
複数業者を比較できるプラン一括請求が有効です。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。