建築後の収支計画や賃貸管理計画も視野に入れて
適正な建築費でアパート経営をスタートしましょう。
目次
アパート経営に欠かせない、建設費用の把握

アパート経営とは
また、アパート経営では基本的に土地と建物を丸ごと所有するため、将来的に少なくとも土地という資産を手元に残すことができます。さらに、土地のまま所有しているよりも相続税を節税することができる点も、メリットの1つと言えるでしょう。
建築費はしっかりと比較検討すべき費用
アパートの建築費は構造やグレード、建てる地域によって変動します。一度建てたら数十年は経営していくことになるので、しっかりと比較検討し、自分の思い描くアパート経営にふさわしい建物を建築できるようにしましょう。
アパート建築費用の相場はどれくらい?

アパートの建築費については、建てる建物が何坪か、つまり、どのくらいの大きさの建物を建てるのか、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)など、どんな構造で建てるかによって費用相場が変わります。それではアパートの建築費の概算の求め方について詳しく見ていきましょう。
建築費用の概算は「坪単価×延床面積」
延床面積は、土地の建ぺい率・容積率によって大きく変化します。土地活用を考えている土地の用途地域を確認し、どれぐらいの規模の建物にするのかイメージすることが先決です。
坪単価を決める要素とは
構造による相場価格の違い
木造:坪70~100万円 |
鉄骨造:坪80~120万円 |
鉄筋コンクリート造:坪90~120万円 |
アパート経営の目的に合わせて、どれくらいの規模のアパートを建てたいのか、どんな土地に建てるのか、で絞っていくのが良いでしょう。構造の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。
法定耐用年数とは
どれぐらいの規模で、どのような構造の建物にするか?
悩む場合は、土地活用の専門家に相談してみましょう!
アパート建築費用の内訳

建築工事費の内訳
総工事費=本体工事費(延べ床×坪単価)+付帯工事費(約20%)+諸費用 |
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諸費用とは
設計費について
対して、施工は工務店、設計は設計士などの別会社に発注する「設計施工分離方式」の場合、設計監理料は工事に対して7~8%が目安となります。
建築費は利回りに影響する

利回りとは
利回りの種類
1.表面利回り
表面利回り=年間収入÷購入価格 |
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上記式を見て分かるとおり、表面利回りの計算に用いる年間収入や購入価格は「表面上のデータ」だけでパッと計算することができます。
2.実質利回り
実質利回り=(年間収入-年間支出)÷購入価格 |
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年間支出には固定資産税や火災保険料、修繕費用などさまざまなものがあります。固定資産税や火災保険料などは条件が分かれば算出することもできますが、修繕費用などはアパートの状況によりどの程度かかるかが異なります。そのため、精度の高い計算をするには知識や経験が必要です。
3.想定利回り
想定利回り=年間収入÷購入価格 |
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この計算では、一般的には満室経営が想定されます。つまり、一番大きく収益を得られる場合の利回りはいくらか、という計算です。表面利回りや実質利回りとの違いを把握した上で想定利回りを計算するのは大切なことでもありますが、何も知らずに想定利回りだけでアパート経営の計画を進めると失敗する可能性は高くなるでしょう。
想定利回りが10%あると思ったのに、実際の利回りである実質利回りは5%程度しかなかった場合、5,000万円のアパートであれば年間の収益が500万円あることを想定していたのに、250万円しかないということになります。こうした過ちは犯さないようにしましょう。
アパート経営の収支計画
なお、上記は中古アパートを購入したときの利回りなので、土地活用のひとつとしてアパート経営を考えているのであれば、土地代金が不要となるためもう少し利回りは高くなるでしょう。
アパート経営では表面利回りや想定利回りより実質利回り、つまり年間の支出についても把握することが大切ですが、そのことを分かりやすくするために、数年間の収支シミュレーションを立てることをオススメします。
収支シミュレーションを試してみよう
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | ||
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収入 | 家賃 | 75万円 | 75万円 | 75万円 | 75万円 |
駐車場賃料 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | |
自動販売機 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | |
礼金 | 10万円 | 0 | 0 | 0 | |
収入合計/月 | 90万円 | 80万円 | 80万円 | 80万円 | |
支出 | 固定資産税 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 |
共益費 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | 0.5万円 | |
修繕費 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | |
管理手数料 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | 4.5万円 | |
ローン返済額 | 30万円 | 30万円 | 30万円 | 30万円 | |
その他 | 25万円 | 0 | 0 | 0 | |
支出合計/月 | 66万円 | 41万円 | 41万円 | 41万円 | |
収支 | 月間収支 | 24万円 | 39万円 | 39万円 | 39万円 |
年間収支 | 288万円 | 468万円 | 468万円 | 468万円 | |
収支累計 | 288万円 | 756万円 | 1,224万円 | 1,692万円 |
このときの家賃を満室時の家賃にするのか、2〜3室空室があるときの家賃にするかは 状況に応じて変えるとよいでしょう。上記事例で、1部屋の家賃が7.5万円×10室だった場合で考えると、2年目以降の支出合計は41万円となっているため、5室以上空室になると7.5万円×5室=37.5万円で支出より少なくなってしまうと判断することができます。
収支シミュレシーションはこのように活用するとよいでしょう。なお、実際にはアパート経営で利益が出ると不動産所得として税金を納める必要があるため、手元に残るお金はもう少し少なくなります。
より綿密な収支計画を立てるために、
土地活用の専門家に相談してみませんか?
坪単価や表面利回りに惑わされるべからず!

常時満室を目指して強みのあるアパートを建てよう
また、アパート建築をする際、間取りや広さ、デザインなどを一から考える必要があります。その際には「入居率」、つまりはできるだけ空室を少なくするプランを考えましょう。その地域でどのくらいの家賃だったら人が集まりやすいのか、ファミリーが住むのかシングルが住むのか、また最近のトレンドは何かなどを考慮した間取りにすることが大切です。賃貸物件のマーケティングについても、一読しておくと良いでしょう。
長年維持管理することをイメージした建築・収支計画を
アパート経営の特徴やメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
建築プランは複数社から比較検討しよう
また建設会社によってオリジナルの工法や建材があり、単純に費用を比較するだけでなくそれぞれの設計プランや収支計画を見比べていくことが重要となります。アパート経営プラン一括無料請求では複数の大手ハウスメーカーによる提案を受けることができますので、比較検討の材料にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ

安定収入を得られるアパート経営のために、適正な建築費で最大の収益が狙えるようなプラン作りを目指していきましょう。
それではこの記事のおさらいです!
アパートの建築費は規模や構造やグレード、建てる地域によって変動します。どんな土地にどんな建物を立て、どんな人に住んでもらいたいのかのイメージをしっかり持ったうえで、比較検討をしましょう。構造による違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
2.アパートの建築費の概算はどうやって求めればいい?
建築費用の概算は「坪単価×延べ床面積」の計算方法で算出できます。本体工事費のほかに、付帯工事費、税金や手数料などの諸費用も含めた総工事費を求めたうえで、収支シミュレーションを試算しておきましょう。
3.利回りの高いアパートを建てるには?
アパート建設検討の段階で数字の比較は不可欠ですが、坪単価や表面利回りに注視しすぎるのも得策ではありません。長期にわたって満室経営を維持できるような「強み」を持つこと、大規模修繕費用や維持管理費用も含めた中長期のコストを盛り込んだ収支計画を立てることが必要となるでしょう。
建築後の収支計画や賃貸管理計画も視野に入れて
適正な建築費でアパート経営をスタートしましょう。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。