- ほったらかし投資は一度設定をすることで自動的に資産が増えていく可能性がある、忙しい人にも適した投資方法です。
- 投資の目的とルールを明確にし、長期的な視点でじっくりと取り組むとよいでしょう。
- しかし完全にほったらかしとはいきません。日頃から投資知識を積み上げて、リスクに備えておきましょう。
目次
ほったらかし投資とは
投資方法にはiDeCoやロボアドバイザーなど多岐にわたる選択肢が存在します。次の章では、具体的なほったらかし投資術について解説します。
ほったらかし投資術6選
1. iDeCo
2. ロボアドバイザー
3. 投資信託
4. ソーシャルレンディング
5. 不動産クラウドファンディング
6. 不動産投資
1. iDeCo
運用が不安な場合、元本保証型の商品もありますが、これはインフレや円安になると相対的に価値が目減する(=損する)ことになります。
自信のない方は、株型の商品ではなく、債券型やバランス型の商品を選ぶと比較的安心して運用できるでしょう。iDeCoへの投資額は全額所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。運用で得た利益は非課税なので、安心して老後の資金準備が行えます。
なお、iDeCoは私的年金制度であるため、原則60歳までは引き出せません。
2. ロボアドバイザー
● 投資一任型
● アドバイス型
投資一任型では、AIが購入から運用監視、ポートフォリオのバランス調整(リバランス)までをすべて行い、ほったらかし投資に最適です。
ロボアドバイザーは2016年に日本で導入され、これまでの運用実績は良好です。たとえばウェルスナビ(WealthNavi)のサイトによると、2016年1月19日~2024年3月末のデータで、約8年で資産は約1.8倍に成長しました。
※シミュレーション前提条件については、公式サイトをご参照ください。
3. 投資信託
そのため投資初心者でも始めやすく、人気のある投資方法です。
メリットとしては次の3つが挙げられます。
・少額から始められる
・リスクを分散しながら運用できる
・初心者でも始めやすい
ただし自分で直接株式を売買するわけではなく、信販会社や証券会社、信託銀行などの金融機関を通すため、手数料が発生します。
その分、運用をプロに任せられるという利点があり、手数料はサービス料金と考える必要があります。投資信託は国内外の株式だけでなく、不動産や債権など多様な資産を組み込んだファンドに投資する形式を取るため、値下がりなどのリスクを分散・軽減できます。
投資信託では長期間使用しても維持費用がかからず、特別な手続きも不要です。また運用中にいつでも資金を引き出すことが可能で、必要に応じて保有している金融商品を売却して現金化できます。
4. ソーシャルレンディング
企業に資金の運用を委ねることができるため、投資者は手間をかけずに投資が行えます。次に紹介する不動産クラウドファンディングと異なり、ソーシャルレンディングは企業を通じてさまざまな事業に投資できることが特徴です。
また、不動産クラウドファンディングは通常1年から2年の投資期間を要するのに対し、ソーシャルレンディングでは数ヶ月単位で投資可能なプロジェクトもあります。投資先が倒産すると投資資本を失う可能性があるため、大きな金額を投じる際は、企業の財務状況を含む詳細な情報を調べ、慎重に選ぶ必要があります。
5. 不動産クラウドファンディング
1つの物件についてファンドが作られ、一定額以上の資金が集まればファンドが成立し、運用がスタートします。運用を通じて得られる家賃収入や不動産売却益は、投資額に応じて投資家に配分され、運用終了時には投資した元本が返還されます。
投資後はとくに手間をかけることなく元本が戻るまで待つだけという点が魅力です。
6.不動産投資
物件のローン返済は入居者からの家賃で賄うため、所有者自身が直接支払うわけではありません。ローンが完済されれば、家賃収入から経費を差し引いた額が純利益として手元に残り、物件も所有者のものとなります。入居者がいる限り、長期にわたって安定した収入源となるため、不労所得の形で収入を得ることが可能です。
オーナーの主な業務は、収支レポートの確認や問い合わせ対応となります。物件管理は専門の不動産管理会社に委ねることもでき、その場合、ほぼ手間をかける必要はありません。ただし不動産投資の成功は「入居者がいる」ことが前提です。
そのため、物件選びは地域や立地を重視し、求められる賃料で魅力的な部屋の提供がポイントです。プロの助けを借りながら、不動産投資セミナーに参加し、市場を理解することから始めてみましょう。
ほったらかし投資のメリット・デメリット
【メリット1】少額から始められるものも多い
iDeCo | 月々最低5,000円から |
---|---|
ロボアドバイザー | 最低1万円から |
投資信託 | ネット証券によっては最低100円から |
ソーシャルレンディング | 最低1万円から |
不動産クラウドファンディング | 最低1万円から |
少額で不動産投資を始めたい場合、管理の手間がほとんどかからず、3~8%程度の比較的高い利回りが期待できる不動産クラウドファンディングがおすすめです。
【メリット2】忙しい人でも始めやすい
よって相場の専門的な分析や売買のために多くの時間を割くことなく、自動的に運用を行えます。とくに忙しいビジネスパーソンや専門的な知識に自信がない初心者にとって、ほったらかし投資は理想的な選択肢といえるでしょう。
【メリット3】複利を活かして長期的な資産形成を測れる
長期にわたる積立投資は、時間を味方に付けて資産を着実に増やす戦略をとりましょう。
【メリット4】FXや個別株よりも一喜一憂せずに済む
一方、ほったらかし投資は基本的に長期的な運用を目指すため、日々の市場の波に左右されることが少ないです。たとえば、iDeCoや新NISAでは数十年単位でコンスタントに資産を積み上げる積立投資を行います。
またソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングでは、一度投資を行った後は、直接的な管理業務をする必要がないため、日常生活におけるストレスが少なく済みます。
【デメリット1】短期間で利益を出すのは難しい
短期間で資金を増やしたい場合、より多額の資金で高利回りの投資手法をとらなければなりません。ハイリスク・ハイリターンのアプローチであり、高いリスクを伴うため、資産をすべて失う可能性も検討する必要があります。
短期間で大きな利益を求める場合には、ほったらかし投資は適していません。時間を味方に付けてじっくりと資産を成長させるならば、ほったらかし投資の投資術を選びましょう。
【デメリット2】元本割れの可能性がある
【信託保全とは】
金融機関が顧客の資産を自己の財産と区別して管理すること。これにより、運営会社が倒産した場合でも顧客の資産は保護されるようになっています。
選ぶ会社によって投資の安全性が大きく変わるため、慎重な選択が求められます。
【デメリット3】手数料が高いケースがある
とくに投資信託の場合、保有している間は継続的に信託報酬を支払わなければなりません。信託報酬は、運用資産から定期的に引かれるため、投資の収益性に影響を与える可能性があります。
そのため、投資を始める前には、手数料にこだわってリサーチして、どれくらいのコストがかかるのかを理解しておきましょう。
ほったらかし投資の選び方
● 投資の目的に合わせて選ぶ
● 資産の状況に合わせて選ぶ
自分の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
投資の目的に合わせて選ぶ
【リスク許容度とは】
どの程度の損失であれば受け入れることができるかという度合いを指します。 資産状況や収入、年齢、投資経験などをもとに見積もります。
リスク・リターンが高い場合 | 株式投資信託の積立投資 |
---|---|
リスク・リターンが中程度の場合 | ロボアドバイザー |
リスク・リターンが低い場合 | バランス型投資信託 |
資産の状況に合わせて選ぶ
たとえば、すでに十分な資産を保有している場合は、リスクを抑えた安定的な運用を選んだ方が損しにくいでしょう。逆に資産形成の初期段階にある場合は、より成長性の高い運用方法を選択することで資産の増加を目指すことも1つの戦略です。
投資先を選ぶ際には、自分の資産状況をしっかりと分析し、その上で最適な選択を行うことが、ほったらかし投資の成功につながります。
ほったらかし投資で失敗しないためのポイント
シミュレーションする
運用期間 | 5%の利回りにおける運用益 | 参考:積立預金のみ |
---|---|---|
5年後 | 2,040,182円 | 1,800,000円 |
10年後 | 4,658,468円 | 3,600,000円 |
15年後 | 8,018,668円 | 5,400,000円 |
20年後 | 12,331,010円 | 7,200,000円 |
25年後 | 17,865,291円 | 9,000,000円 |
30年後 | 24,967,759円 | 10,800,000円 |
余剰資金で投資をする
過去には、リーマンショックや新型コロナウイルスの流行のような、予期しない出来事によって経済が大きく影響を受けることがありました。「自分は大丈夫」と過信せず、想定外の状況が生じる可能性も考慮に入れておきましょう。
また休職や退職、あるいは会社の倒産などで収入が急に減少することもあり得ます。その際は毎月の投資額をすぐに見直して、無理のない範囲で投資を続けることが肝心です。長期的に安定して投資を続けるためには、無理なく投資と向き合うことがポイントです。
焦って早期売却しない
金融商品の価格動向は予測が難しく、投資のプロであっても確実な予測は不可能に近いです。そのため、小さな価格変動に動揺せず、市場を長期的な視野で見守りましょう。
短期的な価格変動によって早急に売却してしまうと、将来得られるはずであった利益を逃す可能性があるため、売却は最終手段として捉えておき、普段はドルコスト平均法で運用を進めましょう。
【ドルコスト平均法とは】
ドルコスト平均法とは、一定の金額で定期的に投資する方法です。
たとえば、毎月1万円ずつ投資信託や株を買います。価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになります。購入価格が平均化されることでリスクが減るメリットがあり、初心者でも簡単に始められ、投資のタイミングを気にせずに続けられます。
勧められた金融商品をそのまま購入しない
金融商品を理解せずに投資すると、市場の大きな変動時に適切な対応ができず、大損するリスクもあります。ほったらかし投資であっても、金融知識を身に付けることが重要です。投資初心者は、次のような方法で知識を付けていきましょう。
● 書籍や動画で学ぶ
● 金融セミナーに参加
● 投資シミュレーションアプリの活用
上記は無料または少額で学べます。知識を蓄えておけば、自分の状況や目的に合った金融商品をリサーチして、選べるようになります。
完全に”ほったらかし”にしない
長期にわたるほったらかし投資では、途中で金融商品の価値が上昇したり、下降したりすることがあります。ポートフォリオのバランスを保つための基本的な方法としては、価値が上がった商品を売却し、価値が下がった商品を買い増すことによるリバランスがあります。
定期的なリバランスを通じて、投資リスクを適切に管理することが大切です。
まとめ
また日頃から必要な投資知識を身に付けておくことや、年に1回のポートフォリオの状況確認をすることが大切です。ほったらかし投資といえども、完全に手を放してしまうとリスクは高まっていきます。未然に解決策を実行して、投資への不安を取り除き資産形成を進めていきましょう。
忙しい人でも効率的に資産を増やしたいなら
ほったらかし投資がおすすめです!
この記事の監修者

投資家/証券外務員一種/2級FP技能士
新卒時に野村證券入社。新人時に営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。オンラインサロン「em会」にて金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業など活動も行う。東京駅に近いバイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナー。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」など執筆。
投資信託は基本ほったらかしができる金融商品です。新NISAを活用してもしなくてもOKですが、枠があるのであれば、活用すると税制優遇が受けられるためさらに良いでしょう。