不動産投資でFIREは可能?早期退職を叶える目安と成功のポイント

2023.09.15更新

この記事の監修者

安藤 新之助

安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

不動産投資でFIREは可能?早期退職を叶える目安と成功のポイント

不動産投資でFIREを叶えるには生活していけるだけのキャッシュフロー+αを稼ぎ出す収益不動産の取得が必須です。成功のポイントを解説します。

「不動産投資でFIRE」の具体的な目安とは?
成功者の特徴から学びましょう!

目次

不動産投資でFIREは可能か?

不動産投資でFIREを実現させ不自由なく生活していくためには、生活するだけのキャッシュフローならびに運営経費を確保することがポイントです。

ライフスタイルや投資手法によりますが、最低限手取り年収+3割以上のキャッシュフローを確保することが必要です。そのためには資産規模でなく、家賃収入から借入金返済、管理費、修繕費、租税などを差し引いた手残りにスポットをあてることが大切です。

FIREとは何か

FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略で、経済的自立により、労働から早期退職するライフスタイルを意味します。サラリーマンなど給与所得に依存せず、貯蓄や投資を通じて得たキャッシュにより将来にわたり生活できる状態のことです。

セミリタイア(Semi Retirement)は完全な退職ではなく、仕事や収入源を維持しながら、趣味に時間を費やすなど、より自由な生活を送ることを指します。フリーランスなど、自分の興味のある仕事をしながら生活を送るスタイルです。

また、アーリーリタイア(Early Retirement)は一般的な退職年齢である60歳より若い年齢での退職を指します。収入を得ずともリタイア後の生活費を賄える十分な資産が必要です。

FIREを実現するための資金目安

一般的にFIREを実現するために4,000~6,000万円必要とされ、FIRE後の求めるライフスタイルによっては1億円程度の資金が必要とされています。その資金の運用を行い、毎月の生活費等を稼ぎ出します。

ライフスタイルは個々に違いますから、必要な額に応じて運用資金や利回りを確保する必要があります。

4%ルールとは

4%ルールというのは、アメリカの成長率7%からインフレ率3%を指しい引いたものであり、年間支出の25倍の資産を確保すれば年間4%の運用益で生活費が賄えるという考え方です。たとえば年間の生活総資金が500万円であれば1億2,500万円の資金が必要となってきます。

日本版のFIREで考慮した場合、アメリカよりインフレ率が低いと考えられるため、年間の生活総資金5~6%とゆとりをもって考えることも可能です。先ほどの例と同じく、生活総資金が500万の場合、運用資金が8,300~1億円ほどとなり、年間の生活総資金の16~20倍の資金でFIREが可能になります。

しかし、昨今は物価高騰も顕著になってきているので、それらを加味することも必要です。

不動産投資でFIREするにはどれだけの規模の投資が必要か?

不動産投資で物件を購入し、年間の生活総資金500万円を確保しFIREを実現させるためにはおおよそ以下の規模の投資が必要となってきます。
例)鉄筋コンクリート造 築15年 物件価格1億円 表面利回り8%
満室年間家賃収入800万円(①)
空室率10%80万円(②)
諸経費(管理費・修繕費・固定資産税など)120万円(③)
融資利用(借入額1億円 金利1.5% 30年返済)
の返済額
416万円(④)
年間税引き前キャッシュフロー=①ー②ー③ー④=184万
となります。ここから所得税などが個々の税率に応じてかかってきますから、おおよそ上記の規模の物件を3~4棟以上購入することが必要となってきます。

資産規模で3~4億、満室家賃収入で2,400~3,200万円の投資を行うことでFIREが実現します。

不動産投資がFIRE実現に向いている理由5つ

不動産投資は投資家自身でハンドルを握り、投資の方向性をコントロールできるのが強みです。分譲マンションなど1室の投資から、複数の部屋をもつ一棟アパート、マンションまでさまざまな角度から参入できるのが不動産投資の魅力といえるでしょう。

1.複数物件への投資によるリスク分散が可能だから

複数の不動産を持つことで、自然災害や事件、事故、空率などのリスクを分散することが可能になります。たとえばA物件が火災に遭い、家賃収入が大幅に下がったとしてもB、Cの物件から得られるキャッシュフローでA物件の運営経費をカバーすることが可能となり、運営に対するダメージを軽減できます。

2.キャッシュフローの再投資で資産拡大できるから

得られるキャッシュフローを温存し、それを頭金にして融資を組み、新たな物件に再投資することが可能になります。これを繰り返すことで資産形成の拡大に大きく寄与します。

3.安定的かつ長期的なリターンが得られる投資だから

株式投資やFX投資などの相場の上げ下げから得る一時的なハイリターンと比較し、不動産投資はリターンは少ないものの、毎月安定した家賃収入を得ることができます。物件の条件によりミドル~ローリターンになりますが、日々の収益の乱高下がなく、精神的ストレスからも解放されます。

長期的にみれば不動産は資産価値増大の傾向にあり、資産組換えなどによる物件売却時に、大きなキャピタルゲインを得られる可能性が期待できると言っても過言ではありません。

4.管理委託で効率化ができるから

不動産投資はアウトソーシングのシステムが確立されており、家賃収入の数パーセントの手数料を支払うことで物件を管理会社に委託することが可能です。素人の方でもプロのサポートが受けられ、複数棟を掛け持ち運営することができます。

よって、運営も効率化でき時間の有効活用が可能となり、さらに投資規模の拡大に追い風になります。

5.レバレッジが効くから

不動産投資は取得する物件を担保に金融機関から融資を受けることが可能です。金融機関によっては自己資金1割~3割、場合によってはフルローンを獲得できるケースもあります。

たとえば、5,000万円・表利回り8%の物件を金融機関からの融資を活用し取得する場合、自己資金2割のケースでは1,000万円で5,000万円の物件を取得することが可能。年間400万円の家賃収入が得られることになります。

FIREに成功した人の特徴とは

不動産投資でFIREに成功した人をみると、共通した特徴があります。その特徴をご紹介します。

長期的な視野で物件を選択している

将来、自身がどの程度の資産とキャッシュフローを得たいのか明確な基準を持ち物件を選択しています。目先の利回りや物件の綺麗さに惑わされることなく、立地や将来見込める需要と供給を予測しながら投資の可否を判断しています。

FIRE=賃貸業に専念という意識がある

購入したらほったらかしで、すべて管理会社に任せっきりという方は稀です。なぜなら、入退去にともなう修繕や運営上のトラブルにおいて家主としての判断を必要とするからです。FIREするも、自身が賃貸事業の中心となり専念しています。

賃貸経営に携わりが薄くコスト管理に関心がないと、無駄な費用の垂れ流しになっている可能性がありますから注意しましょう。

安藤 新之助
安藤 新之助

最新情報収集と市場動向の追求を欠かさない

不動産の価格相場や税制改正など、得た情報から今後の市場動向の予測に力をいれています。それにより、購入するエリアはもちろん、取得することでどのような影響がでてくるかを常に頭にいれて経営判断をしています。

リスクを理解して最適な投資をしている

不動産投資は比較的リスクを読み取りやすい投資です。空室リスク、災害リスクなどリスクに対する保全を図り、確実性の高い投資をしています。良い面ばかりでなく、万が一のリスクのイメージをしっかりもつことで堅実な投資にしています。

FIREを叶えても誤算はある

FIREという言葉に惹かれて不動産投資にチャレンジしFIREを実現するも、イメージしていたものとは違う原状に「こんなはずでは…」と後悔する人も少なからず存在します。そのようにならないためにも参考になる実例を紹介します。

不動産所得だけでは不安…

税引き後のキャッシュフローが給与年収を超えたタイミングでFIREをした投資家は意外に多くいらっしゃいます。 

しかし実際は、運営において突発的な高額費用が発生したり、物件の追加購入、またライフスタイルの変化により想定以上のお金がかかってしまうことがあり、給与年収を超えた程度の収入では八方塞がりになることは目に見えています。

それを回避するにはサラリーマンをしながら不動産から得られるキャッシュを十分にストックしておくとともに、収入を上回るキャッシュフローを得られるまでFIREのタイミングを待つことも大切です。

属性の変化で融資が難しくなる?!

大手企業などで毎月の給料が保証されているサラリーマンからFIREして独立すると、サラリーマンとしての属性を失うと同時に安定した定期収入も失います。仮にFIREで定期収入があったとしても、貸手である金融機関からは数年間は信用を得ることはできない可能性があります。

融資を受けるためには、利益とキャッシュフローを厚くし黒字決算を継続していくことがポイントです。

厳しい言い方になりますが、会社、会社員としての信用>個人の信用により成り立っていたっています。FIRE後はすべて個人信用を見られます。

安藤 新之助
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大事な経営判断もひとり

勤務時代は業務に付随する判断は上司や同僚に相談し、仮に失敗しても会社に最終責任であるのが一般的です。しかしFIREすれば、すべて自己責任で経営判断をおこなうこととなります。

経営判断するための情報ができるだけ多く得られる環境を構築すること、すなわち味方となるパートナーを一人でも多く持ち、スムーズな経営判断できるようにしておくことがポイントです。

家庭環境にも変化が?

FIREすれば在宅時間も必然と長くなります。そうなると、家族との関係性が重要なポイントになってきます。サラリーマンの時は出社して家にいなかったのが、いまでは毎日ずっと家にいて何かと口うるさくなった、など…。FIREをしたことで、離婚問題に発展した事例もあります。

FIRE後の日々のライフスタイルを想定し、環境を整えておくことも重要です。

FIREした方は皆さん家庭円満です。 手にした時間を家族と共有し充実したFIRE生活をおくっています。

安藤 新之助
安藤 新之助

まとめ

FIREは多くの人が憧れ目指しています。毎日の長い通勤時間、嫌な上司や取引先と顔を合わせてたくない、時間を自分の趣味や家族に使い人生を満喫したい…など、人それぞれの思いがあります。考えるだけで夢が膨らむことでしょう。

それを実現するためには、資産やキャッシュフローの確保ならびにそれ相応の勉強と行動力、そしてFIRE後のリスクをしっかり把握しておくことが大切です。

「不動産投資でFIRE」の具体的な目安とは?
成功者の特徴から学びましょう!

この記事の監修者

安藤 新之助

安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。現在12棟195室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、2法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。 

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