投資の効率を可視化するにも
イールドギャップの計算は重要です。
目次

監修吉崎 誠二
【資格】宅地建物取引士
不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。
吉崎誠二公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/
不動産投資におけるイールドギャップとは

イールドギャップの概要
詳細についてはのちほど詳しくご説明しますが、イールドギャップが大きいということは、投資の「利回り」が不動産投資ローンの「金利」を上回っているということです。
そのため、イールドギャップの値が大きいほど、投資の効率性は高いという判断になります。
イールドギャップを計算する理由
たとえば、価格が4,000万円の2つ賃貸物件があり、物件1は家賃収入が300万円、物件2は家賃収入が350万円であったとしましょう。この条件だけ見れば以下のように、年間の家賃収入が350万円である物件2の方が、利回りが高くなるので、有利な物件といえます(その他の経費などが同一条件と仮定)。
表面利回り | 物件1 | 300万円÷4000万円=7.5% |
---|---|---|
物件2 | 350万円÷4000万円=8.75% |
イールドギャップ | 物件1 | 7.5%-2%=5.5% |
---|---|---|
物件2 | 8.75%-3%=5.75% |

イールドギャップの計算方法は三通り!

1.表面利回りとローン金利の差
「表面利回り-不動産投資ローンの金利」 |
2.実質利回りとローン金利の差
「実質利回り-不動産投資ローンの金利」 |
3.実質利回りとローン定数の差
「実質利回り-ローン定数」 |
表面利回り・実質利回り・ローン定数
【表面利回り】
年間の家賃収入の総額を物件の価格で除して算出した利回りです。
表面利回り(%)=年間の家賃収入÷物件の価格×100 |
【実質利回り】
年間の家賃収入から諸経費(管理費・修繕積立金・固定資産税など)に加えて、ローンにかかる利息分を加えたものを差し引いた収益から、物件の価格に購入時の諸経費(不動産仲介手数料・登記費用・印紙代など)を加算したもので除して算出した利回りです。
実質利回り(%) =(年間家賃収入-(諸経費+ローン利息など))÷(物件価格+購入時の諸経費)×100 |
【ローン定数】
融資残高に対する年間返済額の割合を示すものです。
ローン定数(%)=融資年間返済額÷融資残高×100 |
不動産投資でのイールドギャップの目安は?

たとえば、中古物件であれば物件の価格は低く抑えられるものの、多額の修繕費用が必要となったり、空室が生じて期待していた家賃収入が得られなかったり、といった状況も考えられます。一方、新築物件は中古物件と比較すると物件価格は高くなりますが、修繕費用など低く抑えられる可能性もあります。
このような物件によって異なる諸条件を踏まえて、実質利回りの算出にどれだけ具体性や現実性のある諸経費などを盛り込んだかによって目安の精度は変わってきます。
現在運用中の賃貸物件のイールドギャップを計算する場合は正確な数値を用いることができます。しかし、賃貸物件を購入する前段階で、実質利回りを正確に計算するのは難しいため、想定の域を出ません。
運用中および購入前段階、いずれの場合でもイールドギャップを算出し、目安を下回るまたは上回る数値が出てきたとしても、諸経費や不動産投資ローン金利、入居率の諸条件を変えれば、イールドギャップの数値は変化します。
投資判断のみならず、運用中の物件の諸経費の見直しなどにも活用されるといいでしょう。
イールドギャップ活用の注意点

以下のような視点を踏まえて、イールドギャップを含めて、総合的に投資判断を行う姿勢を忘れないようにしておきましょう。
計算前提
ご自身で計算される際にも、より具体的、現実的な諸経費などの諸条件を盛り込んだイールドギャップを計算するように心がけましょう。
長期的視点
イールドギャップで投資の効率や収益性の有無を確認した上で、修繕費や将来の空室リスクなども盛り込んだキャッシュフロー表を作成しましょう。長期的な視点をもち、無理なく不動産投資を継続していけるのか否かを確認しておくことも不動産投資において大切な視点です。
まとめ

賃貸物件の購入前判断のみならず、現在運用中の賃貸物件について投資の効率を確認するためにも、この機会にご自身が所有する賃貸物件のイールドギャップを計算してみられてはいかがでしょうか。
投資の効率を可視化するにも
イールドギャップの計算は重要です。

監修吉崎 誠二
【資格】宅地建物取引士
不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。
吉崎誠二公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/
市況や金利動向により異なります。そのため、最新の金利動向や、市況に基づいたキャップレート=期待利回りの最新データなどを確認するようにしましょう。