【マンション投資】固定資産税はいくらかかる?計算方法や目安を解説します

2024.03.22更新

この記事の監修者

秦 光一郎
秦 光一郎

税理士

【マンション投資】固定資産税はいくらかかる?計算方法や目安を解説します

不動産投資に伴う固定資産税のシミュレーションの方法とシミュレーションに際して留意すべき軽減措置についてお伝えします。

不動産投資を始める前に、
固定資産税について把握しておきましょう!

目次

マンション投資に税金の知識は必要不可欠!

言うまでもなく、ある投資に取り組むべきか否かの判断を行うには、情報収集と分析が不可欠です。収集すべき情報には、投資に係る収入のみならず、維持管理費用などの情報も含まれるでしょう。マンションなどへの不動産投資には、維持管理に伴い税金が発生します。この記事のテーマである固定資産税はその代表的な税金の1つです

固定資産税とは

固定資産税は前述の通り土地や建物など不動産の所有者に対して、毎年課せられる税金です。毎年その年の1月1日時点の所有者に対して、市区町村(東京23区は東京都)等の地方自治体が賦課決定し課税されます。

通知の時期は自治体毎に異なりますが、毎年4月~6月にかけて不動産所有者へ納税通知書と納付書が郵送され、年4回に分割して納付します。

東京都の場合、6月、9月、12月、翌年2月の末日が納期限となり、末日が休日などに該当する場合休日明けとされます。最初の納期に1年分まとめて納付することもできますし、口座振替を指定していると、各納期限に指定の銀行口座から引き落とされます。

マンションの固定資産税の目安は?

マンションの固定資産税の平均的な水準は、ファミリータイプの部屋で年額8万円~10万円程度といわれます。一戸建ての平均的水準が10万円~20万円程度なので、マンションの方が固定資産税負担は少ないのが一般的です。後述しますが、マンションの固定資産税には土地の所有割合が大きく影響します。

このため都心の一等地に建つマンションの固定資産税は、同じ広さの郊外マンションのそれより高額になりますし、郊外のマンションでも低層棟(5階以下)で敷地に余裕のある作りのものは、土地の持分が大きくなる分固定資産税の税額も高額になる傾向があります。

マンションの固定資産税の計算方法

マンションの所有権には、土地部分と建物部分が含まれています。固定資産税計算に際しては、土地部分の評価と建物部分の評価に分けて計算がなされます。固定資産税額の基本的な計算方法は以下の通りです。

固定資産税課税標準×税率(標準税率1.4%)

固定資産税の税率は、ほとんどの自治体が1.4%を採用していますが、1.6%等異なる税率を採用している自治体もあります。算式にある「課税標準」とは、税率を乗ずる金額です。各地方自治体は総務大臣が告示する「固定資産評価基準」に基づいて土地や建物の「評価額」を算出。

一般的にマンション敷地となる宅地については、道路毎に定められている固定資産税路線価に、対象となる敷地の地積を乗じて算出されます。この際、相続税の財産評価と同様、土地の不整形などの減額要因も加味されます

一般的な土地の固定資産税評価額の目安は、公示価格の70%、相続税評価額の90%程度です。建物については新築時に所有者から設計図書などの資料の提出を受け、建物の材質、構造、付帯設備、建物用途などに基づき評価額を算出。

建物の規模にもよりますが、完成引渡しから半年前後で自治体から連絡が来て固定資産税評価額が決定され、完成引渡しの翌年分から固定資産税が課されるようになります。新築時の建物の固定資産税評価額の目安は、建築価額の50%~60%程度です。

建物の固定資産税評価額は、物件により建築価額の40%前後で評価されているものもあり、バラツキが見られるのが現状です。また住宅の固定資産税評価額は、構造等に関わらず初年度に80%、第3年度には70%で評価されることから、他の用途の建物に比し固定資産税負担は低く抑えられます。

秦 光一郎
秦 光一郎
土地の場合、後述する特例等により「評価額」は「課税標準額」と異なる金額となる場合が多いです。「評価額」を基礎として「課税標準額」が算出され、「課税標準額」に対して税率が乗じられて固定資産税額が算出されます。他方建物の場合、通常は「評価額」と「課税標準額」は同額になります。

固定資産税評価額は3年に一度評価替えされます。つまり原則として評価替えの年から3年間は税額が変わらないということです。土地については時価の変動に基づき固定資産税路線価等が修正され評価額、課税標準額が評価替えされ、建物については、再取得価額と経年減点補正率が加味されて評価替えがされます

上記の他、都市部においては都市計画税という税が課されます。都市計画税の課税標準は固定資産税評価額を基に計算されますが、固定資産税と同様土地については、特例措置の関係で固定資産税とは異なる金額が課税標準額となります。税率は0.3%で、税額は固定資産税の納税通知書に記載され、固定資産税と同時期の納付が求められます。

マンションの固定資産税シミュレーション

購入を検討している物件の固定資産税額を把握できると、投資計画をより具体的に計算することが可能です。中古物件であれば、不動産仲介業者に依頼して固定資産税の納税通知書を入手出来れば正確な固定資産税額を知ることができます

他方新築物件の場合、建物の評価額が定まっていないため事前に正確な情報を入手することはできません。以下は、新築物件や中古物件でも固定資産税の情報を得られない場合に、課される固定資産税額の目安のシミュレーションする例です。

シミュレーション1:新築マンションの購入

新築マンションを購入する際のシミュレーションを考えてみましょう。各種特例を加味して計算しておりますが、特例の内容については後述します。
前提条件
マンション全体の地積1,000m2
購入する部屋の土地持分10,000分の75
購入する部屋の延床面積75m2
マンション敷地の固定資産税路線価25万円
マンションの新築販売価額5,000万円
※上記のような情報はマンションの販売資料から取得できます。

1. 土地部分の概算
25万円×1,000㎡×75/10,000=187.5万円(固定資産税評価額)
187.5万円×1/6=31.2万円(住宅特例適用後・固定資産税課税標準額)
31.2万円×1.4%=4,368円(固定資産税額)

2. 建物部分の概算
5,000万円×48%=2,400万円(建築価額の推計)
2,400万円×60%=1,440万円(概算の固定資産税評価額)
1,440万円×0.80=1,152万円(住宅の場合の初年度の経年減点補正率。)
1,152万円×1.4%×1/2=80,640円

建築価額の推計に用いている48%という率は、一般的な分譲マンションの原価率80%と原価構成比率土地40%建物60%を基に算出した比率(80%×60%=48%)で、統計情報を基にしています。経年減点補正率は、固定資産評価基準の経年減点補正率表より引用しています。

3. 固定資産税額の概算集計
4,368円+80,640円=85,008円⇒85,000円(百円未満切捨)
この新築マンションの場合、固定資産税の年額は85,000円程度と見込まれます

シミュレーション2:中古マンションの購入

中古物件についても試算してみましょう。
前提条件
マンション全体の地積1,000m2
購入する部屋の土地持分10,000分の75
購入する部屋の延床面積75m2
マンション敷地の固定資産税路線価25万円
マンションの新築販売価額5,000万円
※マンション全体地積から新築販売価額までは上記シミュレーション1と同様。新築ではなく2016年建築のものを2022年に取得するとの前提で計算を行います。

1. 土地部分の概算
土地部分については、条件に変更が無いことから、同額の4,368円となります。

2. 建物部分の概算
29万円×75㎡=2,175万円(建築価額の推計)
2,175万円×60%=1,305万円(当初の概算固定資産評価額)
1,305万円×0.6825=890.6万円(評価替年の経年減点補正)
890.6万円×1.4%=124,684円(経過6年につき軽減措置無)

建物価額に用いている29万円という数値は、2016年の東京都における鉄筋コンクリート共同住宅の1m2当りの平均建築費用の額です。評価替年における再調達価額については、考慮していません。

3. 固定資産税額の概算集計
4,368円+124,684円=129,052円⇒129,000円(百円未満切捨)

この中古マンションの固定資産税は年額129,000円程度と見込まれます。新築後6年目であるため、1/2特例の対象とならず新築時より税額が増加しています。また実際には、上記に0.3%の都市計画税が加わります。可能な限り精緻なシミュレーションを望むのであれば、都市計画税も含めて計算することが望ましいでしょう
 
上記のシミュレーションでは、建物建築価額の推計に際して、販売価額から推計する方法と、統計データの平均的な建築価額から推計する方法の2種類を紹介しました。

マンションの建築価額を推計する方法はいくつか考えられますが、統計データの平均的な建築価額から推計する方法がシミュレーションを行う上ではより安全と考えられます。分譲マンションの販売価額に締める原価率は必ずしも常に一定とは言えないためです。

このようなシミュレーションで算出される固定資産税額は、あくまでも目安であって実際の税額と異なります。投資計画を立てる際の参考情報としてお考えください。

秦 光一郎
秦 光一郎

マンションの固定資産税の軽減措置

住宅用の不動産については、さまざまな特例措置が設けられています。以下、固定資産税に関連する特例措置の紹介です。

住宅用地の特例措置

住宅用地については、課税標準の特例措置が設けられており、その概要は以下の通りです。
区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地
1戸に付200m2までの部分価格×1/6価格×1/3
一般住宅用地小規模住宅用地以外の住宅用地価格×1/3価格×2/3
マンションなどの集合住宅の場合、各部屋の土地持分に応じて小規模住宅用地の判定がなされます。このため通常は各部屋に対応する土地持分は200m2以下となり、土地の課税標準は評価額の1/6で計算されます。

新築マンションの軽減措置

新築された住宅用建物が次の床面積要件を満たす場合は、新築時から3年間(3階建て以上の耐火建築物等については5年間)固定資産税の税額が2分の1に減額されます。ただし減額されるのは、1戸あたりの居住用部分120m2相当分までです。

床面積要件
自用・・・50m2以上280m2以下
貸家・・・40m2以上280m2以下

上記面積は、一部屋当たりの面積に共用部の面積を按分し加えた床面積で判定をします。またいずれの場合も、部屋毎の床面積の1/2以上が住宅用である必要があります。半分以上を事務所などに利用していると、この措置の適用を受けられないことになります。

認定長期優良住宅の軽減措置

認定長期優良住宅の場合、3階建て以上の耐火建築物でなくても、上記軽減措置が新築時から5年間受けられます。認定長期優良住宅とは、バリアフリー性や耐震性、省エネルギー対策等について、一定要件に該当していることを登録住宅性能評価機関による確認を受けたものです

認定長期優良住宅の優遇措置を受けるためには、行政庁に所定の書類を提出し認定通知書の交付を受ける必要があります。認定長期優良住宅については、固定資産税だけでなく登録免許税、所得税にも軽減規定が存在しますが、これらの特例は自己の居住用の住宅に限られ、投資用のマンションには適用されません。

タワーマンションの例外措置

2017年以降に建築されたタワーマンションについて改正が行われました。高さが60mを超える住宅用建築物については、「居住用超高層建築物」といわれ固定資産税評価額の計算方法に特例が設けられています。従前は、マンション全体の固定資産税評価額を各部屋の床面積の比で按分した金額が各部屋の固定資産税評価額でした。

「居住用超高層建築物」については、階層別専有床面積補正率という率が設けられ、階層が上で取引単価が高い部屋の固定資産税評価額が多めに算出されるようになりました。仮に同じ床面積の場合、1階の部屋の固定資産税評価額が100のとき、40階の部屋は110になるよう制度設計されています

マンション全体の固定資産税評価額は変わりません。全く同じ条件で建設された40階建てのタワーマンションの場合、2016年以前建築のものと2017年以後のものでは1階の部屋の固定資産税評価額は従前より4.76%減少し、40階の部屋では4.76%増加することになります。当然これは相続財産の評価額へも影響を及ぼすことになります。

不動産投資で失敗しないために正しい税額を把握しよう

不動産投資で失敗しないために必要なことは、いかにリスクを正確に把握しこれに対処するかです。不動産投資に限らず事業には不測の事態がつきものです。自然災害や景気の変動を完璧に予測することなど誰にもできません。

しかし固定資産税などの維持管理費はある程度の精度をもって予測ができます。予測可能なリスクを網羅的に織り込んだ計画を立てることは、余裕をもって投資に取り組んでいく上で重要なことです

不動産投資を検討中であるならば、物件の固定資産税負担を織り込んだ上で、投資計画を立てるようになさってください。

秦 光一郎
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まとめ

この記事では、投資用マンションの固定資産税のシミュレーション方法についてご説明いたしました。固定資産税をある程度の確度をもってシミュレーションするには、統計データや経年減点補正率など幾つかの公表データの取得が欠かせません。

もし各種データ収集やシミュレーションにご不安のある場合は、是非お知り合いの税理士や不動産業者などの力を借りてください。投資判断を行う上で、税理士などの専門家と繋がりを持っておくことは必ずプラスに働くはずです。

不動産投資を始める前に、
固定資産税について把握しておきましょう!

この記事の監修者

秦 光一郎
秦 光一郎

税理士

会計事務所に勤務しつつ平成16年税理士試験に合格。税務コンサルタント会社にて金融機関をサポートする業務の中、資産税業務の経験を積む。平成22年税理士法人シン総合会計設立。主に中小企業の会計税務支援を中心に、事業承継、資産税業務にも従事。不動産会社の税務相談会相談員、金融機関のセミナー講師等に携わる。

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●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。