- 青色申告特別控除の条件をクリアしやすいため、個人事業主が不動産投資を行うのは有利です。
- 家賃収入は安定した収入源となりやすいため、個人事業主とは相性が良いと言えるでしょう。
- 法人化するべきか否かは、本業の収入や投資の目標によっても異なります。
目次
個人事業主でも不動産投資はできる?
ただし、個人事業主が不動産投資を始める際はデメリットや注意点が複数ありますので、事前に情報収集をしておきましょう。
そもそも個人事業主とは?
また、不動産投資は法人として行うことも可能で、人によっては法人化したほうがよいケースもあります。法人化については記事の後半で解説しますので、ぜひご確認ください。
サラリーマンが個人事業主として不動産投資を行う場合
ただし、デメリットとして、不動産投資の規模が一定以上になると個人事業税の納税義務が生じる点、青色申告を受けるためには複式簿記による帳簿付けが必要な点が挙げられます。また、注意点として、青色申告特別控除(55万円または65万円)を受けるためには、不動産投資の規模が事業規模でなければならない点です。
賃貸経営で得た家賃収入は、規模の大きさに関わらず「不動産所得」です。ただし、同じ不動産所得でも事業的規模か否かで税制上の取り扱いが異なります。
個人事業主として不動産投資をするメリット
青色申告の制度上、サラリーマンよりも有利
不動産投資による家賃収入は「不動産所得」に該当します。不動産所得を得た方は、賃貸経営の規模に関わらず、申請すれば青色申告による確定申告が可能です。ただし、給与所得と不動産所得のみの方が青色申告特別控除(55万円または65万円)を受けるためには、不動産投資の規模が「事業規模」でなければなりません。
事業規模とみなされるかどうかの基準
・アパート等がおおむね10室以上 ・独立した貸家が5棟以上 |
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一方、事業所得と不動産所得の両方がある場合、条件を満たせば賃貸経営の規模が事業規模でなくても青色申告特別控除(55万円または65万円)を受けられます。
青色申告特別控除の条件
・不動産所得または事業所得を得ている青色申告者 ・複式簿記で取り引きを記録している ・確定申告時に貸借対照表、損益計算書を提出する |
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経費を有効的に使うことができる
とくに、減価償却費(※)は支出をともなわない経費です。減価償却費を上手に活用して所得を減らせば、節税効果を期待できます。
※減価償却費
建物の購入価格を、一定期間に分けて経費計上する際に用いる勘定科目です。
本業以外の収入源を確保できる
今後別事業を始める場合にも始めやすい
不動産投資を行うことは「不動産賃貸業」という事業を営むことです。一般的な事業と同様に、収入・支出に関する帳簿付けを行います。今後、個人事業主として新しい事業を始めたい方にとって、確定申告にともなう会計処理は必須です。不動産投資で会計の知識を身に付けておくと、新規事業にも取り掛かりやすくなるでしょう。
個人事業主として不動産投資をするデメリット
融資を受けにくい
一般的に、個人事業主が融資を受ける場合、黒字の決算書3期分が必要といわれています。そうでない場合、融資を受けることは難しいかもしれません。審査基準は金融機関によって異なりますので、お近くの金融機関へ確認してみるのも手です。
確定申告をする必要がある
個人事業主として不動産投資をする際の注意点
たとえば、法人の場合は法人から賃貸経営者への給与を「役員報酬」として支払い、必要経費へ算入できます。賃貸経営者からすると役員報酬は給与所得となり、給与所得控除を利用できます。
一方、個人事業主の場合はこのような方法を利用できません。また、個人事業主の自宅にかかる固定資産税は必要経費となりませんが、法人化して社宅とすることで適正額まで損金算入できます。
個人事業主よりも法人のほうが経費として認められる範囲が広がるため、節税効果が大きくなる可能性があります。ただし、どちらが有利と一概には言えないため、税理士へ相談のうえ、慎重に検討することが大切です。
法人化すべきタイミングとは
法人化すべきタイミングの1つは「事業規模を拡大していきたいと思った時」です。たとえば、個人の場合、本人が高年収でも年収の〇倍など上限が設けられているケースが多いです。
そのため、個人の融資限度額を超えるほど大きな投資をしたいと思っても、融資を受けられない可能性があるでしょう。法人化して実績を出していくことで、個人よりも多くの融資を受けられるようになります。
法人化する流れと費用
【法人化の流れ】
STEP1 | 会社設立の準備(代表者印の準備、役員の決定など) |
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STEP2 | 定款の作成・認証 |
STEP3 | 法務局へ設立登記申請書を提出 |
STEP4 | 税務署へ必要書類を提出(法人設立届出書など) |
目安30万円(株式会社の場合)
法人化して不動産投資をするメリット・デメリット
法人化のメリット
先述のとおり、個人では融資限度額があるため、事業規模を拡大したいと思っても融資を受けられない場合があります。法人として実績を積みあげることで、より大きな融資を受けられるでしょう。
初めから求める不動産投資のゴール、規模感を決められたのであれば、始めの1件から法人化させるのも手です。
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法人化のデメリット
法人設立時には必要書類の準備・申請や定款の作成など手間もかかるため、個人事業主として不動産投資を始めるよりもハードルが高いといえるでしょう。
そこまで規模を追い求めないのであれば、意外とデメリットが大きい法人化。不動産投資は経費についてシビアな部類であることが多いため、初期経費や税金を払ってまでも法人化させたいかはしっかり考えるべきです!
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目的や目標に沿って個人事業主/法人化を決めよう
まとめ
また、不動産投資には、個人・法人といった2つの選択肢があります。どちらがよいかは目的や目標、本業での収入などによって異なるため、税理士や不動産会社へ相談のうえ、慎重に選択しましょう。
個人事業主と不動産投資は相性がいい?
メリット・デメリットをおさえた上で始めましょう!
この記事の監修者
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証券外務員一種/2級FP技能士
新卒時に野村證券入社。新人時に営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。オンラインサロン「em会」にて金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業など活動も行う。東京駅に近いバイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナー。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」など執筆。
不動産は購入後に気軽に売却することが難しいため、そもそも個人で購入するか法人で購入するかの見極め、戦略がとても大切。最初の1件を購入する前に、自分がどの程度不動産投資の規模を広げていきたいか考えていくことがとても重要です。