- 出口戦略は不動産投資の成否を決める重要なもの。物件購入時から検討しておくことが大切です。
- 良い物件を安く仕入れることで、出口戦略が取りやすくなります。
- 少しでも物件を高値で売るために、売主の希望を聞き入れて対処してもらえる不動産会社を選びましょう!
目次
出口戦略がなぜ重要なのか
また、投資活動の視点から出口戦略というものをみた場合、投下資本(資金)をいかに減らさずに増やして撤退するかということを指しています。
では、不動産投資の出口戦略はいったいどのようなものなのでしょうか。不動産投資における出口戦略としては、売却がもっともポピュラーといえます。そのほかに相続や破産などがあげられます。
最終的に不動産投資の成否を決めるのは出口戦略
たとえば、物件の購入時にローンを利用した場合、初期費用とローン残債額よりキャッシュフローに売却益をプラスした方が多くなれば、理想的な売却の出口戦略といえます。
(初期費用+ローン残債)<(キャッシュフロー+売却差益) |
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ここで注意が必要なのは、最終的な売却時に売却損が発生してしまうと、コツコツと増えていった累積キャッシュフローがなくなってしまうので、投資として損をしたことになってしまう、ということです。
「底値」で買い、購入前に出口戦略を意識する
不動産投資の場合、満足感を得る指標は「儲かったか否か」に限られます。したがって、その満足感を生み出すためには株と同じように「底値」で買うしかありません。ただし、底値の見極めが難しいのはプロも素人も同じ。需要と供給のバランスが崩れると、見極めがとくに困難になることは覚えておくべきでしょう。
いくらで物件を買うか、買値の設定を決めたら、次に「何年後に売るか」を決めます。そのとき、買値と同じくらいの値段で売却できれば「よし」とすると、早めの売却時期の設定が可能になります。買値と同じ値段で売るなら、キャピタルゲイン(売却益)はゼロですが、保有していた期間の賃料収入(インカムゲイン)が上がっていれば、総合的な収益はプラスになるので、投資は成功と言えるからです。
賃料収入に付随して、ローンの繰り上げ返済や低金利によって収益も増やすことも可能ですから、売却益だけを追い求めるのではなく、総合的な判断が重要になります。たとえば、ローン残債が買値の半分以下になったら売却するとか、累積キャッシュフローが買値の半分以上になったら売却するなど、それぞれである程度の目標を立てておくべきでしょう。
出口戦略の手段とは
【出口戦略①】売却
いわゆる収益還元法によるもので、物件価格(円)=年間家賃収入(円)÷期待利回り(%)という計算式で算出して売却値を決めていきます。表面利回りが高ければ比較的早期で売却ができます。ただし、入居者の属性の良し悪しやサブリース契約付きなどは売却値に考慮されますので注意すべきです。
次に、入居者が今の居住しているマンションを買いたいとか、入居者がいなくて空室であれば、実需の物件として売却は可能です。ただし、実需物件とした場合には立地条件が大きなポイントになるでしょう。単身用でもファミリータイプでも、駅徒歩1分とかであれば実需で売却も可能でしょう。
【出口戦略②】更地売却
また、建物自体に不備があれば、更地にして売却した方がいいでしょう。漏水履歴があったり、シロアリで構造躯体が傷んでいるなど、リフォームしても収益性が保てないのであれば解体して更地にして売却するという選択になるでしょう。
【出口戦略③】建て替え
【出口戦略④】更地にして土地活用
出口戦略を成功に導く3つのポイント
【成功ポイント1】良い物件を安く仕入れる
【成功ポイント2】手放すタイミングを見極める
明らかに購入価格よりも高値で売れそうであれば、売却すべき時期といえます。
【成功ポイント3】少しでも高く売る
不動産会社はできるだけ早期に売却を進めるため、売値は相場より安価で売るように勧めてくる場合もありますので注意しておきましょう。
不動産投資の成功のカギは、最初の「買い」の値段です。高値掴みをすれば購入当初から赤字が続くことになります。いかに物件を安く購入できるかが大きなポイントです。
![寺岡 孝](https://sumaity.com/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/476f9265e413426d268e9fd78fcd3aa9_m.png)
出口戦略を意識した収益物件の選び方
ひとつの方法として、物件を安く買うには不動産会社が保有している物件はその対象から外すことです。不動産会社の保有している物件は、物件価格自体に会社の利益が上乗せされています。
そのため相場よりも2割から3割高の売値になっている場合があります。そうなると、買った当初から赤字になったり、高値掴みで売却が難しく出口戦略が取りにくいことになります。
市況よりも高めの物件をフルローンなどで買えば、ローンが完済するまでは赤字が続く可能性が高く、早期に出口が取りにくい状況に陥ります。ローンが完済する35年後に物件自体がどうなっているのか、その時の不動産市況がどうなっているのかは誰もわかりません。
もし、購入後に高値掴みしてしまったとわかった場合には、損切りしてでも出来るだけ早く売却しておく方がいいでしょう。10年保有しても累積赤字が数百万円に上るであれば早期売却が得策です。
良い物件を底値で仕入れたいなら、できるだけ不動産会社が売主である物件を避けるべきです。個人の方が売主でレインズなどに登録されている物件や、あるいは競売物件や任意売却物件を探してみることになります。
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売却のベストタイミングを見極める方法
長期譲渡の課税になる時
デットクロスとなる時
たとえば、ローン元金返済が年間100万円とした場合、物件の減価償却費ゼロ、もしくは過小しかない場合にはデットクロスに陥ることになります。経費計上できる減価償却費が無くなれば、毎月の収入は変わらないのに帳簿上の利益が増えてしまい、納税額も増加します。
結果、デットクロスに陥ることになります。デットクロスになる原因としては、不動産の減価償却が進むことで減価償却費が減少しその分経費計上ができなくなるという点があります。また、築年数が経過して家賃収入が減るという点があげられます。
こうした点から、デットクロスになりそうな状況であれば、物件の売却を検討する時期にきているといえます。
減価償却期間が終了する時
市況が良い時
少しでも高値で売るためのテクニック
建物の管理・メンテナンスに気を配る
満室にする
少しでも高く売却するにはやはり満室の状態で売却した方が高く売れるものです。空室のままでは、新たな買主が入居者を探さなければならないのでその分、物件としては安価で売却される可能性があります。
信頼できる会社に依頼する
しかしながら、高値では売却に時間がかかりますので、不動産会社にとってはデメリットが多いものです。不動産会社は仲介手数料を1日でも早く欲しいので売却に時間をかけてられないのが本心でしょう。それでも、きちんと売主の希望を聞き入れて対処してもらえる不動産会社であれば信頼ができます。
よくある質問
- 現在保有しているワンルームマンションの持ち出しが大きく損切りすべきか迷っています。
- フルローンなどで物件を購入した場合、現状で持ち出し金が多く発生しているのであれば、ローンを完済しない限り赤字は継続します。したがって、できるだけ早い時期に売却をすることを検討すべきでしょう。
いくつかの不動産会社に物件の査定をしてもらい、相場観をつかんで売却するタイミングを見計らうことをお勧めします。 - 売却に踏み切る指標があれば知りたいです。
- 不動産サイトをいくつか検索して現実的な売値を把握します。また、不動産会社に物件査定をしてもらい、どのくらいで売れるかを確認します。売却事例があれば参考になるでしょう。費用はかかりますが、不動産鑑定士などの専門家にお願いしてみるのも選択肢の1つです。
- 出口戦略で失敗しないためのポイントは?
- 「出口戦略」を成功させるには安定した家賃収入が不可欠です。そのためには良質な入居者を確保することが肝心です。立地条件がよければ、必然的に良質な入居者が入りやすくなります。不動産投資は「ローリスク・ローリターン」な投資です。
タイミングと物件によほど恵まれない限り、大きく儲けることはできません。出口戦略を考えるのなら、まずはローリターンであることを肝に命じておくべきです。「何億儲かる」などの甘言に飛びついてはいけません。加えて、不動産投資の基本は安く買って高く売ることにつきます。
まとめ
不動産投資はあくまでも資産余力ができてから挑むマーケットであり、最初に選ぶ投資先ではありません。それでも不動産投資をしてみたいのであれば、できるだけ自己資金を持つようにしましょう。
少なくとも物件を買う際にはいくらかの頭金を支払えるようになるまで貯蓄し、間違っても業者が勧める通りのフルローンやオーバーローンで買わないことです。不動産会社に言われたことを鵜呑みにせず、知識を積み上げましょう。
投資物件購入時から意識したい
「出口戦略」の極意を、学んでおきましょう!
この記事の監修者
![寺岡 孝](/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/476f9265e413426d268e9fd78fcd3aa9_m.png)
不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー
アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。
個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。
WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)など。
仮に、高値掴みしそうな物件を勧められた際、この物件の出口戦略、つまり今の売値よりも高く売却できるかを検討すべきです。