新築マンション投資はリスクだらけ?メリット・デメリットや失敗例を解説します

2024.03.12更新

この記事の監修者

八木エミリー

八木エミリー

【資格】証券外務員一種/2級FP技能士

新築マンション投資はリスクだらけ?メリット・デメリットや失敗例を解説します

新築マンション投資に興味がある人に向けて、新築マンション投資のメリット・デメリット、失敗事例などをわかりやすく解説します。

この記事のポイント
  • 新築マンション投資は比較的始めやすく勧誘も多い投資法の1つですが、リスクを理解しておく必要があります。
  • 現実的なキャッシュフローを把握するためのシミュレーションを行い、失敗を回避できるように備えましょう。
  • 年収の高い人や、金融資産が多く資産を分散させたい人には好適な投資法と言えるでしょう。

目次

新築マンション投資はリスクが多いって本当?

あなたは、新築マンション投資に以下のようなイメージを抱いていませんか?

・初心者向き
・空室が出にくい
・節税効果が高くて儲かる

このような意見が100%間違っているとは言い切れません。しかし、本当に新築マンション投資を始めたいのであれば、デメリットやリスクも深く理解することが大切です。新築マンション投資に限らず、不動産投資には物件の種類に応じたリスクがあります。

リスクを理解せずに始めると大きな失敗につながりかねないため注意が必要です。人生が台無しになるほどの大失敗を防ぐためにも、リスクと対策を確認しておきましょう。

なお、マンション投資には1部屋のみ所有する区分投資と一棟まるごと所有する一棟投資がありますが、この記事では区分所有について解説していきます。

新築マンションの定義

新築マンション投資について解説する前に、新築マンションの定義を明確にしておきます。新築マンションとは、以下2つの条件を満たしたマンションです。過去に一度でも入居者がいれば、新築ではなく中古マンションになります

・完工から1年未満
・誰も入居したことがない

また、物件を購入する際の判断基準の1つに利回り※がありますが、新築マンションの利回り相場は約3~5%です。中古ワンルームマンション投資の利回り相場は約4~8%のため、新築マンションの方が低利回りの傾向があります。なお、利回りは物件によって異なるため、必ずしも上記の利回り相場に該当するわけではありません。

※利回り:投資した金額(物件価格)に対して、年間でどれだけの利益(家賃収入)を得られるかをパーセンテージで表したものです。経費や空室を考慮しない表面利回り、経費を考慮する実質利回りがあります。

新築マンション投資のメリット

新築マンション投資には、修繕の手間がかからない、入居をつけやすいなど複数のメリットがあります。ここでは、新築マンション投資のメリットを紹介します。

修繕の手間がかからない

マンションに限らず、建物を長く利用するためにはメンテナンスが必要です。修繕頻度や修繕箇所は築年数が経つにつれて増えるため、修繕の観点からすると中古よりも新築の方が有利です

修繕周期のイメージとして、築5年以降から徐々に塗装や各設備の修理が必要になり、10年目以降に屋根や外壁の塗装、各設備の部品交換など大掛かりな修繕の必要性が高まります。

また、マンションでは修繕積立金を毎月支払います。マンションの修繕計画は長期的かつ大規模なため、将来的に修繕積立金の負担が増える可能性があることに注意が必要です

入居をつけやすい

不動産投資家にとって大きなリスクの1つである「空室リスク」。入居をつけやすいことは新築マンション投資のメリットと言えるでしょう。賃貸マンションを選択する人の多くは、家賃や立地を重視する傾向があります。

マンションは一戸建てやアパートと比べて、駅から近く好立地な物件が多いです。さらに、デザイン性が高い、最新設備が搭載されているなど付加価値を求めて物件を探す入居者も多いため、新築マンションは入居づけしやすい傾向があります

融資を引きやすい

不動産投資は投資でありながら、事業性が高い手法です。不動産投資ローンの審査では、契約者の年収だけでなく、融資に対して不動産の価値が適正かどうかも大切なポイントの1つとなります。

たとえば、万が一、契約者がローンを返済できなくなった時、担保となっている不動産の価値が高ければ金融機関の損失を抑えられます。そのため、新築マンションの場合、融資の面で有利になることが多くなるのです。

なお、必要な自己資金額は中古マンションと変わらないことが多いです。また、不動産業者と銀行とでパッケージ化したローン商品を取り扱っている場合、フルローンなどで自己資金額を少なめにできることがあります。

しかし、この場合さらにキャッシュフローが悪くなりますので注意しなければなりません。

新築マンション投資のデメリット

新築マンション投資による失敗を防ぐために、メリットとあわせてデメリットも確認しておきましょう。

キャッシュフローがマイナスになりやすい

新築マンション投資は、利回りが低い物件が多く、キャッシュフローがマイナスになりやすい傾向にあります。キャッシュフローとは、家賃収入から維持費やローン返済額を差し引いた手元に残るお金です。

月々のキャッシュフローに加えて、修繕積立金が上がっていくことや、毎年の固定資産税も加味したうえでプラスになっていく物件を選ぶ必要があります

家賃が下落しやすい

新築マンションは、家賃が下落しやすいこともデメリットです。たとえば、新築時に家賃10万円で設定しているマンションが、10年後、20年後も家賃10万円で入居者を募集できる保証はありません。

相場よりも高いと判断されると入居候補者の検討対象から外れる可能性があるため、相場に合わせて家賃を下げる必要があります。家賃の下落幅は新築から築10年の間で約15~20%、新築から築20年の間で約40%となることもあるでしょう

とくに、新築当初の入居者が退去した直後は、家賃が大きく下落する傾向があります。その理由は、新築マンションには「新築プレミアム※」と呼ばれる価格が上乗せされているためです。新築マンションの物件価格や家賃は、新築プレミアムの影響で相場よりも割高に設定されています。

一般的に、不動産の価値は新築時がもっとも高く、徐々に下がります。割高で物件を購入すると、所有期間中の赤字リスクや売却時に損をするリスクが高まるでしょう

※新築プレミアム:新築から中古になる際に下がる価値。最新設備や新築としての価値、売り手であるディベロッパーの利益などの上乗せ部分です。

減価償却の効果を得にくい

新築マンションは、減価償却期間が長い分、毎年の節税効果を得にくいこともデメリットです。減価償却とは、経年によって建物の価値が減少した分を帳簿上の建物の価格に反映させることです。

その際に使用する勘定科目を「減価償却費」と言います。減価償却費は実際にお金を払っていないにも関わらず経費として計上できるため、上手に活用すると大きな節税効果を期待できます。

減価償却による節税は、減価償却費を経費計上して生じた不動産所得の赤字を利用するものです。そのため、節税効果が高いのは、短期間で大きく減価償却できる場合になります。減価償却費を左右する耐用年数は建物の構造によって異なりますが、マンションは鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の物件がほとんどです。

耐用年数が木造よりも長いため、長期的に減価償却できる分、毎年の減価償却費が少なくなります。つまり、減価償却による節税効果が小さくなる可能性があるということです。

新築マンション投資での失敗事例とその原因

リスクを確認せずに新築マンション投資を始めたことで、経済的に困窮してしまうケースがあります。大きな失敗をする前に、新築マンション投資で起こりやすい失敗事例と原因を確認しておきましょう。

フルローンがおりるから購入してしまった

新築マンション投資のメリットの1つは、融資を引きやすいこととお伝えしました。しかし、融資を受けられることと、完済できることは別の問題です。無理にフルローンを組むと後悔する原因になるため、注意が必要です。とくに注意するべきケースは、「手持ち資金がない」「毎月の家計収支に余裕がない」場合です。

新築マンションは購入価格が割高で利回りが低い傾向があるため、キャッシュフローがたまりにくくなっています。場合によっては毎月赤字が続き、自分の給与収入からの支払いが発生する場合もあるでしょう。

万が一、赤字が続いた時、ローンの返済が辛くなりマンションを売却したいと考える人もいます。しかし、フルローンで新築マンション投資を始めた場合、売却価格よりもローンの残債が高くなりやすく、売りたくても売れずにローン破綻してしまうケースがあります。

不動産の購入時に設定される抵当権※は、ローンを完済しないと抹消できません。相場よりも割高な価格で購入している新築マンションの売却代金では、ローンを完済できない可能性があります。自己資金でローンを完済できなければ、自己破産せざるを得ない場合もあるでしょう。

※抵当権:契約者が返済できなくなった時、金融機関が競売にかけるために設定する権利。

失敗の原因と対策

「フルローンがおりるなら…」と、資金計画を立てずに勢いで購入してしまったことが原因です。自己資金の状況やキャッシュフローがどのくらいになるかなど、物件購入前の確認やシミュレーションが失敗を防ぐ対策になります

なお、融資を受ける際は最低限、以下の3点について検討するようにしましょう。

・家賃下落や経費、ローン返済額を考慮してもキャッシュフローがプラスになるか
・万が一、赤字が続いた場合、自己資金に余裕があるか
・売却時にしっかり残債が減っており、物件が値下がりしても売却することができるか

シミュレーションせず始めてしまった

新築マンション投資を始める前に、維持費やリスクを考慮した上で利益を得られるかどうかをシミュレーションすることが非常に重要です。不動産は所有している限り維持費がかかり続けます。どのような維持費がどれくらいかかるのか把握しておきましょう

また、新築マンション投資を続けていると、さまざまな問題が生じる場合があります。こちらも合わせて確認しておきましょう。

失敗の原因と対策

上記の問題で経済的に困窮してしまう場合、シミュレーションをしない、または起こり得るリスクを想定していないことが原因です。

問題を生じないようにすることは難しいですが、物件を購入する前にシミュレーションすることで、致命的な失敗を回避できます。シミュレーションする際は、維持費を把握した上で、以下のリスクに備えることが大切です。

・家賃下落リスク
・空室リスク
・家賃滞納リスク
・ローン金利の変動リスク
・老朽化リスク
・周辺環境の変化によるリスク

新築マンション投資が向いているのはこんな人!

以下の特徴に当てはまる人は、新築マンション投資が向いている可能性があります。

・高年収の人(年収1,500〜2,000万円以上など)
・預貯金が多く、資産を分散させたい人

それでは順番に解説しましょう。

高年収の人

高年収の人は、新築マンション投資に向いている可能性があります。不動産投資での節税とは、不動産所得で赤字を作り、給与所得といったほかの所得と損益通算※することで本来納めるべき税金の負担を抑えることです。

新築マンション投資を始める初年度は物件の購入にかかる経費が多く、赤字を作りやすいでしょう。節税効果を実感できる人も多いと思います。

ただし、初年度以降に新築マンション投資で大きな節税効果を得られる人は、年収が1,500万円を超えるなど高年収の人に限られます。日本の所得税・住民税は、所得が高い人ほど税率が高くなる仕組みです。年収が低い人は、十分な節税効果を得られない場合があります。

※損益通算:不動産所得の赤字と給与所得などほかの所得の黒字を相殺することです。

預貯金が多く、資産を分散させたい人

不動産は現物資産のため、インフレ対策として有効的な手段の1つ。預貯金が多く、資産を分散させたい人は新築マンション投資を始めるのも手です。新築マンション投資には複数のリスクがありますが、預貯金に余裕があればリスクにも備えられるでしょう。

新築マンション投資で失敗しないためにできること

新築マンション投資で失敗しないために、投資家としてできることの一例として以下の2点が挙げられます。

信頼できる不動産会社へ相談する

新築マンション投資を始める際は、ご自身が知識を身につけた上で、信頼できる不動産会社へ相談することが大切です。信頼できる不動産会社に出会うことができれば、頼もしいパートナーになるでしょう。

不動産投資の勉強をせずに営業担当の話を鵜呑みにすると、失敗するリスクが高くなるため注意が必要です

マンションの管理体制をしっかりと確認する

すでに管理体制が確立している中古マンションと異なり、新築マンションでは管理の実態把握が困難です。

管理体制がしっかりしていないと共用部の清掃が行き届かない、必要な修繕が早急に行われないなど、入居者のストレスがたまる原因にもなります。物件を購入する前に、どの管理業者がどのような管理をするのか、可能な範囲で確認しておきましょう

不動産投資を始める前にまずは情報収集しよう

昨今では、誰でも有益な情報をインターネット上で確認できます。ただし、インターネット上の記事は部分的なものが多く、時には誤った情報もあります。体系的に学びたい場合は書籍を活用するのも手です。

ただし、書籍の出版時期によっては情報が古いケースもあります。最新情報や不動産投資の実態を確認したい場合、セミナー参加や資料請求などからの情報収集も有効な手段の1つです
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まとめ

新築マンション投資を始める際、メリットだけでなくデメリットやリスクをしっかりと確認し、対策をすることが大切です。

「節税できる」「初心者でも簡単に始められる」といった営業トークを鵜呑みにすると、大きな失敗をするリスクが高まります。知識の習得・情報収集をしっかりと行った上で、新築マンション投資を始めましょう。

新築マンション投資って実際どうなの??
不動産投資は知識を身に付けてから始めよう!

この記事の監修者

八木エミリー

八木エミリー

【資格】証券外務員一種/2級FP技能士

新卒時に野村證券に入社。新人時に営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。オンラインサロン「em会」にて金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業など活動も行う。東京駅に近いバイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナー。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」など執筆。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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