【木三共】耐震・防火は大丈夫?木造3階建て共同住宅向きの土地条件と注意点

2024.07.16更新

この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

【木三共】耐震・防火は大丈夫?木造3階建て共同住宅向きの土地条件と注意点

木造の3階建てアパート経営を検討している方に向け、2階建てよりも有利な点、耐震性・耐火性についてご紹介します。

この記事のポイント
  • 投資効率の高い3階建て木造共同住宅ですが、メリットを生かすには緩和規定を満たす土地に建てる必要があります。
  • まずは建設予定の土地に条件が見合っているかを確認しましょう。
  • 施工会社の選定も成功のポイント。実績のある複数社のプランを比較するのがおすすめです。

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目次

投資効率のよい木造多層階賃貸住宅

賃貸住宅を建てるなら2階建ての木造アパートか、4~5階建てのRCマンションかと、二者択一のように考えられていたのは以前のことです。

最近では2階建て木造アパートよりも敷地を有効活用でき、投資効率がよくなる多層階の木造賃貸住宅が注目されるようになりました。今、なぜ木造なのか? 木造建築の現在を概観してみます。

木造建築が世界でも注目を浴びている

木造建築は、日本では古くから伝わる伝統的工法と言われます。現在では世界からも注目が集まっており、さまざまな用途の建物が木造で建てられるようになりました。

2017年にはカナダのバンクーバーに18階建てのビル「ブロックコモンズ」が完成し、大学の学生寮として使われています。使用した木材は2233立方メートル、耐用年数は100年以上と想定されます。削減できるCO2排出量は2432トンにも及びSDGsにも寄与する建築物となりました。

日本においても国土交通省の編集協力の下、一般社団法人 木を活かす建築推進協議会が「木造建築のすすめ」をリリースし、公共建築物などの大型建築物を木造で建築した事例を紹介しています。

木造3階建てが注目されている理由

アパートなどの共同住宅は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造による耐火建築物としなければなりませんでしたが、1992年の建築基準法改正によって、木造の準耐火建築物であれば可能となりました。

さらに最近になり、建築材料として木材を活用することがサステナブルな社会の実現に寄与し、地域経済の活性化につながると期待されています。また、防火性の高い木材が実用化されるなど、木造建築に対する技術面の新しい試みも功を奏し、木造建築の規制が緩和されてきました。

このようなことから、木造3階建て共同住宅も耐火性や耐震性に優れており、賃貸住宅の有力な建築方法として見直されているのです。

3階建て木造賃貸に向いている土地とは

3階建て木造賃貸住宅にはいくつかのメリットがありますが、そのメリットを生かしやすい土地の条件があります。ここでは3つの条件についてご紹介します。

【条件1】建ぺい率60%、容積率150%以上の土地

全国の自治体は、都市計画で定められる用途地域ごとに建ぺい率と容積率を定めています。建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の水平投影面積(建物を上から見た状態の面積)の割合を言います。6/10や60%と表示し、10~80%の範囲で、都道府県または市区町村が定めています。

容積率は、敷地面積に対する建物全体の面積(延床面積)の割合を言い、50~1300%の範囲で、これも都道府県または市区町村が都市計画で定めています。

一般的に、アパートなどの賃貸住宅は「住宅系」の用途地域に建てることが多いのですが、「商業系」や「工業系」の用途地域に建てる場合もあります。

敷地の有効利用を考えると、建ぺい率と容積率は大きいほうが望ましいでしょう。3階建てを建てるのであれば、住宅系の用途地域で厳しい規制のある「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」ではないほうがよいと言えます。

3階建て木造賃貸住宅には、建ぺい率60%以上、容積率は最低でも150%以上の土地が向いているでしょう。仮に単純計算すると、建ぺい率が60%であれば、3階建てにすると容積率180%までの建物を建てられ、容積率が大きいほうが敷地を有効利用できるわけです。建ぺい率や容積率のくわしいことはこちらの記事も参考にしてください。

【条件2】準防火指定地域の土地

商業系の用途地域には「近隣商業地域」と「商業地域」があり、建ぺい率・容積率が高く、賃貸用物件を建てるためには有利になります。

しかし、商業系の用途地域は「防火地域」や「準防火地域」に指定されることがほとんどであり、防火性能の高い建物にしなければなりません。木造3階建てのアパートを建てる場合、防火地域と準防火地域とで大きな違いがあります。

建築基準法でアパートは「共同住宅」と定義される用途であり、3階建ての場合は原則「耐火構造」にしなければなりません。しかし木造建築の普及を目的とした政策により、防火地域以外の場合は「1時間準耐火構造」でも建てられるように緩和されています。

耐火構造と比べると1時間準耐火構造の建築コストは安く、3階建て木造賃貸を建てるなら、防火地域の指定のない地域か準防火地域までが望ましいと言えるのです。

【条件3】広い土地

木造3階建ての共同住宅は1時間準耐火構造としなければなりません。そのためには敷地内に3メートル以上の「敷地内通路」が必要です。ただし次のような緩和条件があり、これらをすべて満たす場合、敷地内通路を設けなくてもよくなっています。

・避難上有効なバルコニーがあること
・各住戸から地上に通じる廊下や階段などの通路があり直接外気に開放されていること
・通路に面した窓やドアに防火設備が設置されていること
・上下階の開口部との間に延焼を防ぐ庇があること

しかしバルコニーや庇の設置などはコストアップにつながり、敷地は広いほうが建てやすいという面があります。

3階建て木造賃貸のメリット

3階建て木造賃貸住宅には、2階建てと比較して次のようなメリットがあります。3階建て木造賃貸住宅に向いている土地であれば、ぜひ検討したい建築方法です。

高収益が狙える

敷地の容積率が150%以上であれば、3階建てにすることにより許容される容積をフルに活用できます。住戸が増えるので家賃収入が大きくなり、効率のよい経営が可能になります。

また、3階建て共同住宅は本来、耐火構造としなければなりませんが、木造3階建ての共同住宅は本格的な耐火構造である鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造よりもコストが安く、初期投資額を抑えることが可能です。その結果、2階建てアパートよりも収益性が高まるでしょう。

構造計算により安全性が担保される

一般的な2階建ての住宅は、実は構造計算をする必要がなく、「壁量計算」という簡易的な方法で構造面の安全性を確認しています。しかし、次の条件に該当すると構造計算が必要になります。

・階数が3階以上
・延床面積が500m2超
・高さが13m超

つまり、木造3階建て共同住宅は必ず構造計算をしなければならないのです。逆に言うとその分、安全性を客観的に確認できるので、より安心感のある建物になります。

外観のデザインが多様である

鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造と比較し、木造の建物では外装材料にさまざまな素材を使うことができます。そのため個性的なデザインも可能で、3階建てになるとランドマークとして認知されることもあります。

入居者にとってもデザイン性の高さは付加価値となり、入居率を高める効果も期待できるでしょう。

節税効果が高い

木造の賃貸用建物は、鉄筋コンクリート造の建物よりも年間の減価償却費が高く、節税効果が高くなります。木造建築物の法定耐用年数は22年ですが、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年です。

建物の取得費は、損益計算において減価償却により毎年少しずつ損金算入でき、不動産所得から減価償却費を控除した残りの利益に課税されます。たとえば資産価格5,000万円の木造の建物と鉄筋コンクリート造の建物を比較すると、年間の減価償却費は次のようになります。

・木造の場合:5,000万円×0.046(定額法償却率)=230万円
・鉄筋コンクリート造の場合:5,000万円×0.022(定額法償却率)=110万円

このように木造は鉄筋コンクリート造の約2倍の減価償却が可能で、節税効果が高くなるのです。

狭小地や変形地でも対応しやすい

木造建築は、“線”で構成される部材による軸組工法で建築します。そのため「ラーメン構造」となる重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造や、“面”で構成される壁式鉄筋コンクリート造よりも自由度が高くなります。

そのため、変形地や狭小地でも敷地の形状に合わせた平面計画が可能です。また部材の搬入などもしやすいため、前面道路が狭く大型クレーン車が入れないなど、不利な条件の土地にも建築が可能です。

RC造・鉄骨造・SRC造より費用が安い

木造建築のコストは、鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)よりも安くなる傾向にあります。内装や設備などのコストにあまり違いはありませんが、基礎や構造躯体については木造のほうが資材費と労務費が安くなります。

国税庁が公表している令和3年分の「地域別・構造別の工事費用表」で東京都のケースを見ると、以下のようになっています。
構造m2単価
木造176,000
RC造320,000
SRC造338,000
鉄骨造298,000
木造3階建て共同住宅は1時間準耐火構造にしなければなりませんので、この金額は上回りますが、ほかのどの構造よりも安くなることがわかるでしょう。

3階建て木造賃貸のデメリット

メリットが多い3階建て木造賃貸ですが、以下のようなデメリットもあります。計画にあたっては十分な比較検討が必要でしょう。

2階建てよりも工期が長い

同じ延床面積の2階建てと比較すると3階建ては工期が長くなります。着工時期によっては賃貸経営における繁忙期を逃してしまうこともあり、計画に余裕を持つことが大切です。

さらに、工期が長いとアクシデントなどにより工事がストップする確率も高くなるので、竣工ギリギリに開業時期を設定しないよう、注意したいところです。

2階建てよりも建築費が高くなりやすい

3階建ては2階建てより建築コストも高くなります。最低限、1時間準耐火構造にする必要があるので資材費が高くなりますし、基礎にかかる固定荷重が大きくなるので地盤強度を高める必要もあります。

軟弱地盤の土地ではボーリングを行ったり、杭の長さや本数が増えたりすることもコストアップの要因です。また工期が長い分、安全対策や工事管理の面でも経費がかかります。

施工会社が限られる

先ほどお伝えしたように、木造3階建て建築では構造計算が必要になります。構造計算は1級建築士や2級建築士でも苦手とする人が多く、構造計算・設計を専門とする構造設計1級建築士に依頼することが多いものです。

3階建て建築物の設計・施工を依頼するにあたっては、構造計算が必要となる建築物の施工経験がある会社が望ましいと言えます。構造計算を得意とする建築士がいる会社、または普段から構造設計事務所に多く依頼しているような会社でなければ、設計の段階でスムーズにいかない可能性があるのです。

設計は建築士事務所、施工は建設業者というように、設計と施工を別に依頼する場合であっても、3階建て以上の建築物を多く手掛けている会社のほうが安心できるでしょう。

入居者ターゲットが限定される

3階建てアパートではエレベーターを設置できる場合以外、高齢者や身体的ハンディキャップがある人の入居が難しくなり、顧客層の幅が狭くなります。

入居者ターゲットが限定されると顧客母数が小さくなるので、より厳密なターゲットマーケティングを行い、入居条件や物件企画を熟考しなければなりません。企画がうまくいかないと満室経営が難しくなり、3階建て共同住宅のメリットを生かせなくなってしまいます。

3階建て木造賃貸を建設する際の注意点

3階建て木造賃貸を計画するにあたっては、通常の2階建て木造アパートと異なり、次のような点に注意する必要があります。

防火設備・避難設備(バルコニーなど)が必要

準防火地域または防火地域に建つ3階建て木造賃貸は、万一の火災などを想定し、3階部分の住戸にある外壁の開口部に防火設備を設けなければなりません(ただし一定の条件を満たすと、延焼ライン外の開口部については不要)。

また、避難上有効なバルコニーの設置も義務付けられています。バルコニーには細かな構造基準と緩和基準があるので、条件を確認する必要があります。

建築コストが地域の賃貸需要に見合っているか

3階建て木造賃貸は2階建てよりも延床面積が広くなり、家賃収入は多くなるでしょう。しかしコストも高くなることから、収益性を厳密に検討する必要があります。顧客層の幅が狭くなることは先にもお伝えしましたが、3階建てであっても十分な需要があるのか見極めが大切です。

住戸プランや家賃設定がその地域と適合すれば、安定経営が期待できます。しかしコストが高いことから、事業計画における前提条件などに狂いがあっても計画の見直しが難しいのです。

ローンの借入期間に注意

耐火建築物あるいは準耐火建築物とはいっても、鉄筋コンクリート造や鉄骨造とは異なり、法定耐用年数は22年で一般の木造建築と変わりません。そのためアパートローンの返済年数は2階建ての木造建築と同じとなり、鉄筋コンクリート造のような長い返済期間が適用されるケースは少なくなります。

返済期間はキャッシュフローに大きく影響するので、建築コストが高い分、返済比率が高くなることもあります。長期にわたるシミュレーションを行い、安定性の高い事業計画にすることが重要です。

3階建てが得意なビルダーか

デメリットとしてもご説明しましたが、木造3階建てを建てられる施工会社は限られます。施工会社の選択にあたっては、実績や施工能力などを十分に検討して、候補となる会社を絞らなければなりません。

計画している地域で実績のある会社を探すか、「土地活用プランの一括請求」などを活用して、慎重に施工会社を選びたいものです。

まとめ

「木三共」とも略される木造3階建て共同住宅は、一般的な建築方法になってきました。ご紹介した「木造建築のすすめ」を見てもわかるように、木造建築は共同住宅やオフィスビル、店舗など幅広いジャンルで採用されるようになっており、今後ますます注目されるかもしれません。

耐震性や耐火性に優れた建物が木造で可能になった現在、大家さんにとっては収益性の高い賃貸経営もできますし、入居者にとっては木造のよさが感じられる付加価値もあります。木造3階建て共同住宅を検討する場合には、経験豊かな工務店やビルダーなどに相談するところから始めましょう。

世界的にも木造建築の需要が高まっています。
あなたの賃貸経営にも取り入れてみませんか?

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弘中 純一
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宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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