- アパートとマンションは法律で明確な定義が定められているわけではなく、構造や規模の違いから区別されることが多い。
- 投資物件として迷っているなら、それぞれの違いを理解し、目的に応じてチョイスすることが重要です。
- あなたの目的と投資スタイルに合わせた、物件選びのポイントをご紹介します!
目次
マンションとアパートの違いは?
マンションは鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)などの堅牢な構造で、遮音性や耐震性が高く、高層建築も可能です。一方、アパートは木造や軽量鉄骨造が一般的で、低層の建物が多く建設コストが抑えられるため、家賃が比較的安価な傾向にあります。
また、マンションはエレベーターやオートロックなどの設備が充実しているケースが多いのに対し、アパートは必要最低限の設備が整えられたものが主流です。こうした違いが入居者にとっての快適さや投資家にとっての収益性の判断基準になることもあります。
法律などで決められた定義はない
さらに「コーポ」や「ハイツ」といった名称も、法的な基準や明確な分類が存在しない通称です。これらは物件を魅力的に見せるため、建築会社や管理会社がマーケティングの一環で命名する場合が多いです。
たとえば、「コーポ」はコーポラティブハウスに由来し、主に低層住宅で使用されることが多いです。「ハイツ」は「高い場所」を意味する英語から派生し、洋風のイメージを与えるために使われます。ただし、これらの名称に特別な基準があるわけではなく、実際の建物構造や用途を示すものではありません。
このように、マンションやアパート、その他の呼称は地域や業界の慣習により使い分けられるため、それぞれの違いを判断する際には物件の構造や設備、立地などの具体的な情報を確認することが重要です。
マンションかアパートを分ける4つの指標

構造の違い
一方、アパートは木造や軽量鉄骨造が一般的で、建築コストが抑えられるため、低層住宅が主流です。2階建てや3階建ての小規模な集合住宅として建てられることが多く、家賃を抑えたシンプルな居住空間を提供します。
耐震性・耐久性の違い
アパートは、木造や軽量鉄骨造のため、耐震性にはやや劣るとされています。とくに築年数が経過している木造アパートでは、耐震基準が現在の基準に達していない可能性もあります。とはいえ、近年の木造住宅では技術が進歩し、耐震性が向上しているケースもあるため、一概に劣るとは言い切れません。
防音性の違い
一方、アパートは木造や軽量鉄骨構造のため、遮音性が低いことがあります。隣人の生活音や足音が響きやすく、居住者間でトラブルになるケースも少なくありません。ただし、最近では遮音材や二重窓を使用するなど、対策を講じている物件も増えています。
私自身、木造のアパートを数棟所有していますが、残念ながら騒音のトラブルは年に何度か発生しています。掲示板で「音の配慮の呼びかけ」などを徹底するように努めています。
気密性の違い
アパートは木造が多いことから、気密性がマンションに比べて劣る場合があります。特に冬場は隙間風が入りやすく、冷暖房の効率が悪くなることも。しかし、その分通気性が良く、湿気がこもりにくいという利点もあります。
マンションとアパートの違いは、これらの指標を軸にすると分かりやすいですが、入居者や投資家の視点によって重要視するポイントは異なります。たとえば、入居者は静かで快適な暮らしを重視し、防音性や気密性の高いマンションを選ぶ傾向があります。一方、投資家は初期投資や管理コストの低さからアパートを選ぶケースが多いです。
それぞれの特徴を理解し、自分のニーズに合った選択をすることが重要です。
【投資物件として比較!】一棟アパート投資と区分マンション投資の違い
以下では、両者を【初期投資額】、【利回り】、【融資】などの観点から詳しく比較していきます。
【初期投資額】区分マンション投資は数百万から可能!
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 1棟運営で高収益を目指せる。 | 数百万円から始められ、初期費用が少ない。 |
| デメリット | 物件価格が高額で、融資が必須。 | 1部屋単位のため収益拡大がしづらい。 |
【利回り】一棟アパートは高利回りが狙える!
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 表面利回りが高く、10%超も可能。 | 立地次第で安定した賃料収入が得られる。 |
| デメリット | 空室が増えると収益に大きく影響する。 | 管理費や修繕積立金で利回りが低くなる。 |
【融資】区分の方がフルローンを狙いやすい
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 大きくレバレッジを掛けられる。 | フルローンの可能性が高い。 |
| デメリット | 融資額が高額になり、リスクが高まる。 | 与信額によるところが大きく、拡大が限定的。 |
【管理費】一棟アパートの自主管理で経費を節減できる
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 全体の管理を自主管理すれば費用を抑えられる。 | 管理会社に委託できるため手間が少ない。 |
| デメリット | 自主管理には手間や時間がかかる。 | 管理費が毎月発生し、収益を圧迫する。 |
【修繕費】区分の場合は、修繕もすべてお任せできる
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 修繕計画を自身でコントロールできる。 | 修繕積立金が計画的に積み立てられる。 |
| デメリット | 物件全体の修繕費用が高額になる。 | 修繕積立金が増額されるリスクがある。 |
【空室リスク】一棟投資は空室リスクを軽減できる
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 複数の部屋があるため、空室リスクを分散できる。 | 1部屋のみ管理のため空室対策がシンプル。 |
| デメリット | 空室が多いと収益全体に影響する。 | 空室が発生すると収益がゼロになる。 |
【賃料下落リスク】一棟も区分も立地次第
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 立地や管理次第で賃料維持が可能。 | 都市部では賃料が安定しやすい。 |
| デメリット | 地方では賃料下落のリスクが高い。 | 建物の築年数が進むと賃料下落が避けられない。 |
【出口戦略】早く売却できるのは区分マンション
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 収益物件として売却しやすい。 | 1部屋単位のため、売却しやすい。 |
| デメリット | 高額なため売却に時間がかかることがある。 | 売却価格が購入時より低くなるリスクがある。 |
【節税効果】投資家自身のスタイルによって効果はさまざま
| 一棟アパート | 区分マンション | |
|---|---|---|
| メリット | 減価償却費が大きく、節税効果が高い。 | 1部屋単位でも減価償却が利用できる。 |
| デメリット | 規模が大きいため固定資産税や維持費が高額になる。 | 節税効果が一棟物件に比べると小さい。 |
不動産投資家の注目する物件は?
不動産投資家が現在保有している物件

次いで 「戸建て」(28.8%)、「ファミリー向け区分マンション」(21.0%) も注目されています。戸建ては物件価格が比較的手頃で利回りが高い傾向にあり、ファミリー向けマンションは長期的な安定収入が期待できます。
一方、一棟アパートや事務所・店舗 などは中規模の投資家が多く保有しており、収益性の高さを重視する傾向が伺えます。
不動産投資家が興味を持っている物件

興味を持っている物件には 「一棟ビル」(13.3%)や「一棟アパート」(12.3%) も含まれており、複数戸をまとめて保有することで収益を最大化しようとする意欲が見られます。また、「ホテル」や「海外不動産」 もリスク分散の一環として一部の投資家に注目されています。
市場の動向と注目ポイント
また、近年では 地方再生やテレワーク需要を背景に、戸建てやシェアハウス、事務所・店舗といった用途も注目されています。投資家は多様な選択肢を持ちながら、自身の投資スタイルや市場動向に合わせて物件を選ぶ傾向が見て取れます。
目的と投資スタイルに合った物件選びを
長期的に手のかからない資産形成を望むなら「区分マンション投資」

◆メリット: 購入価格が比較的安く、維持管理は管理組合に委託するため手間が少ないです。都市部の需要が高いため、長期的に空室リスクが低い点も安心材料です。
◆デメリット: 管理費や修繕積立金がかかるため、利回りが低くなりがちです。
◆おすすめの投資家: 初心者や、長期的に手間をかけずにコツコツ資産形成を進めたい人に向いています。
積極的かつ効率的に投資したい高所得者なら「一棟アパート投資」

◆メリット: 一棟運営のため、空室リスクが分散され、家賃収入の総額が大きいです。また、減価償却を活用して節税効果も得やすいです。
◆デメリット: 物件価格が高額になるため、自己資金や融資が必要です。運営には管理手間がかかる場合もあります。
◆おすすめの投資家: 高所得者や、効率的に収益を最大化したい中級~上級投資家に適しています。
さらに収益性を高めて資産を大きくしたいなら「一棟マンション投資」

◆メリット: 家賃収入が大きく、資産価値が高いため、長期的に安定収益が見込めます。融資も高額に対応するため、大きな規模の投資が可能です。
◆デメリット: 初期投資額が高額であり、物件管理や運営コストがかかる点が課題です。また、空室リスクが発生すると影響が大きいです。
◆おすすめの投資家: 既に一定の資産を持ち、さらに大規模な投資を通じて資産拡大を目指す投資家向けです。
まとめ
自身の投資スタイルや資金計画に合わせた物件選びが重要です。
最後に現役大家としてアドバイスさせていただきます。どんな物件に投資するかは、ひとそれぞれですが、大事なことはご自身の本気度を知ることです。本気で不動産賃貸業をやりたいと思っているかどうかです。その本気度が薄いと感じるならば、手軽にできる区分マンション投資を選ぶのが安全です。一棟マンション投資はそれだけリスクも高く、将来的に大きなトラブルが発生する可能性も高いです。何が起きても、真摯に受け止めながら不動産賃貸業をやり続けていく覚悟があるかどうかを、自分に問うてみてください。
マンションかアパートか。
投資家としての視点も持って、物件選びを進めましょう!
この記事の監修者
不動産投資家/宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど
2010年、世田谷区内の中古区分ワンルームマンション購入から不動産投資をスタート。区分・一棟・戸建て・日本・海外…と幅広く不動産賃貸業を営む(2022年3月時点)。
現在は総合マネープロデューサーとして、人生におけるマネーリテラシーの重要性をメディアやセミナーなどで伝えている。年間のセミナー登壇数は300本を超える。
「満室バンザイ」(平成出版)、「不動産はあなたの人生を変えてくれる魔法使い 女性の願いを叶えてくれる最幸マイホーム購入術」(ごきげんビジネス出版)など執筆。
物件名を名付けられるというはオーナーの特権でもあります。前のオーナーの思いを引き継いでもいいですし、思い切って新しい名前の建物に改名することも可能です。より入居者に愛されるネーミングを考えてみましょう。