海外不動産投資の国別利回りランキング|おすすめの国はどこ?選び方を解説します

2024.04.12更新

この記事の監修者

アユカワタカヲ
アユカワタカヲ

宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど

海外不動産投資の国別利回りランキング|おすすめの国はどこ?選び方を解説します

海外不動産投資は、日本よりも高い利回りが期待できます。この記事では、国別利回りランキング、おすすめの投資先国や選び方をご紹介します。

この記事のポイント
  • 海外不動産投資では「人口増加」や「カントリーリスク」に注目を。投資すべきか否かの判断材料になります。
  • 海外不動産の情報収集は日本語では行えません。パートナーとして海外不動産にくわしい専門家の存在は必須です!
  • 日本の不動産投資より海外不動産投資の方が失敗の確率が遥かに高いため、慎重な投資を心がけましょう。

目次

海外不動産投資の国別利回りランキング|1~10位

早速、国別の利回りランキングを紹介しましょう。

主要都市の主要エリアに立地する同規模のマンションに関して、利回りや平米単価の情報を提供している「グローバル・プロパティ・ガイド(Global Property Guide) 」のデータ(2024.02.25時点)を参考に、利回り(表面利回り)の国別ランキングを作成しました。

【1位】「南アフリカ共和国」利回り:9.95%

南アフリカ共和国は、近年ではアフリカの経済発展と共に、不動産投資の人気も高まりつつあります。

2023年10月に公表した「国勢調査2022年」によれば、南アフリカ共和国の人口は2022年に6,200万人を超え、2011年の5,180万人から約19.8%増加。プレトリアやヨハネスブルクがあるハウテン州は総人口の約24%(1,510万人)を占め、2011年から280万人増となっています。

また第二の都市であるダーバンのあるクワズール・ナタール州は総人口の約20%(1,240万人)で、2011年から220万人増加。人口の半数が17の大都市と自治体に居住しており、都市への人口集中が進んでいます。

不動産投資の特徴

南アフリカで移住先として1番人気なのが「ケープタウン」です。ヨーロッパ諸国から移住してくる人が後を絶ちません。ケープタウンは都会ですがアキラ野生動物保護サファリなどもあり自然も豊富です。

建物はコロニアル風な物件が多く想像よりもずっとおしゃれな街だったという印象を受ける人が多いのも特徴です。

ケープタウンは日本人駐在員をはじめ、多くの外国人居住者がいます。外国人をはじめ賃貸需要も高いので利回りも期待できるでしょう。ちなみにケープタウンは南アフリカ国内第2の都市です。治安の面からも今後さらに発展する可能性が高く不動産投資にもおすすめのエリアです。

外国人が参入しやすいか

日本人の購入は可能です。アフリカでは外国人または外国企業が不動産取得することに対し規制を設けておらず、どの国の人でも購入可能です。ただし、いつ規制が入るか分からないため、常に情報収集しておく必要があります。

南アフリカの不動産投資で注意すべき点

南アフリカ共和国最大の経済都市・ヨハネスブルクは、世界一治安の悪い犯罪多発都市とも言われています。仮に投資する物件のセキュリティが万全だったとしても、強盗や泥棒などの事件は後を絶ちません。

セキュリティ対策としては、一例としてガードマンの配置、エレクトリックフェンスの取り付け、一階窓に鉄格子を配置、移動は車が前提、自動開閉のゲートなど工夫されています。治安がいい場所でも対策がとられている物件が多いようです。

【2位】「アイルランド」利回り:8.38%

アイルランドは、アイルランド島の北端に位置し、英領北アイルランドを除く同島の大部分を占めており、セントジョージズ海峡を隔ててイギリスと接した立地にあります。

2022年4月に行われた国勢調査で、アイルランドの人口が約512万人と発表され、前回の2016年の調査より7.6%増。1851年以来、171年ぶりに500万人を上回っています。

また、ヨーロッパで最も経済成長を遂げた富裕国の1つとして知られています。2000年代初頭から低法人税率(12.5%)を武器に多国籍企業の誘致を進めた結果、現在は上位100社で税収の80%近くを占めており、2023年の国民1人あたりの名目GDPでは世界第2位となっています。

不動産投資の特徴

アイルランドの首都・ダブリンは、アイルランドの主要経済・文化の中心地であり、国内外の企業が多く進出しています。住宅需要が高く、不動産価格も上昇傾向にあり、とくに都心部や人気の地域では、需要と価格が高い傾向があります。

ダブリンは大学や企業の拠点となっており、学生や労働者が賃貸住宅を求めるために、賃貸住宅市場は需要に対する供給が不足しているため、賃料が高騰しています。

多国籍企業の誘致成功により、首都ダブリンにはアイルランド人口の約4割にあたる約200万人が暮らしています。高所得者が多いうえに住宅が不足しているため、賃料は上昇傾向にあります。しかし不動産売買価格はパリやロンドンに比べてそれほど高額ではなく、投資利回りは比較的高いと言えます。

外国人が参入しやすいか

アイルランドで不動産を購入する外国人には制限はありません。ただし、住宅ローンの確保は難しい傾向にあるようです。アイルランドの銀行は非居住者にも住宅ローンを提供していますが、条件は居住者に比べて不利になる可能性があります。

通常より不動産価格の約30~40%の頭金が必要となるケースが多く、金利も高くなる傾向にあります。また、銀行からアイルランドの住宅保険と生命保険への加入を要求されるケースもあり、注意が必要です。

【3位】「プエルトリコ」利回り:8.05%

プエルトリコはカリブ海の北東部、ドミニカ共和国の東に位置する島です。かつてはスペインの植民地でしたが今はアメリカ自治領です。

首都サンファンのメトロポリタン地区には超近代的なリゾートホテルが並び、アメリカのリゾート地としてにぎわっています。そこから数kmのオールド・サンファンは海賊が出そうな16世紀の雰囲気が漂い、第2の都市ポンセは、昔のスペインを彷彿させる荘厳な教会や古い町並みが美しい街です。治安は比較的良いとされていますが、貧富の差が激しく、住民の多くは貧困者です。

不動産投資の特徴

プエルトリコの住宅市場は、この10年で大きな打撃を受けてきました。長期にわたる経済危機、巨額の債務、高い失業率、そして継続的な人口減少を経験しており、負債700億ドル、年金負債500億ドルを抱え、2017年5月のプエルトリコの破産申請はアメリカ史上最大規模となりました。

ところが近年、コロナ禍にも関わらず、住宅市場には回復の兆しが見られ、金融機関長官室(OCIF)によると、プエルトリコで販売された住宅総戸数は、2020年に8.3%減少した後、2021年には前年比30.2%増の13,289戸に。しかし、主に金利の急速な上昇により、住宅需要は昨年再び低迷しました。

2022 年の住宅販売戸数は前年比 17.8% 減の 10,915 戸に急減し、過去 10 年間に記録された年平均 11,400 戸を下回りました。近い将来、さらなる利上げが見込まれることから、プエルトリコの住宅市場は今後、低迷する可能性があります。

外国人が参入しやすいか

プエルトリコの不動産需要のかなりの部分をアメリカ人が占めていますが、外国人でも、島内の不動産を自由に購入できます。また、法人として購入することも可能で、法人による物件登録は15日程度で完了します。

プエルトリコで不動産投資をする際の注意点は?

プエルトリコの賃貸利回りは依然として良好から優れた水準を維持していますが、島の賃貸市場は低迷しており、空室率は2010年の10%から現在は約12.3%に上昇しています。これは、国内の人口減少が続いているためで、今後もさらに悪化する可能性があります。

【4位】「ジョージア」利回り:7.85%

ジョージアはヨーロッパの最東端、黒海とカスピ海に挟まれた小さな国で、かつては「グルジア」と呼ばれていました。5000メートル級の峰が連なるコーカサス山脈の懐に位置し、黒海にも面しているため、多様な自然環境に恵まれ、 名産のワインのほかにも産業が盛んです。

人口は2001年には約400万人でしたが、2023年は約370万人と減少傾向になっています。ソ連崩壊によって経済は大きなダメージを受けましたが、現在はこのエリアの中では自由かつ透明性が高く、今後の発展が期待されています。

首都トビリシやバトゥミなどの都市では国家投資局からも投資を誘致しています。

不動産投資の特徴

ジョージアでの不動産投資の魅力の1つは、価格の安さです。また、人口370万人に対し、コロナ前は年間770万人の観光客がジョージアに訪れており、外需があることから住居ではなく、ホテル・アパートメントがおすすめです。

また、ジョージアの法人税は15%ですが、下記に該当しなければ、0%になるなど大きなメリットもあります。

① 利益の配分を行なった場合(株主に利益を配当するなど)
② 経費が事業とは無関係の場合
③ 無償の贈与を行なった場合
④ 会社の総収益の1%を超えた会社代表者の経費

外国人が参入しやすいか

令和3年6月には、「日・ジョージア投資協定の発効」がされました。この協定は、日・ジョージア間の投資の自由化、促進及び保護に関して包括的かつ詳細な事項を規定しています。外国からの投資誘致にも積極的に取り組んでおり、その良好なビジネス環境は国際的にも高い評価を受けています。

【5位】「ラトビア」利回り:7.81%

ラトビアはヨーロッパの北東部に位置し、バルト三国の1つです。 北はエストニア、南はリトアニアに接し、交通要所としての立地からさまざまな国の伝統が融合した文化を有しています。

バルト海沿岸にある首都リガはバルト三国最大の都市で、「バルトのパリ」と呼ばれ、日本の神戸市と姉妹都市になるなど日本とも縁が深い親日都市です。

ラトビアの2023年の人口は約190万人で、2000年の236万人と比較すると急激に人口が減少しています。しかしながらラトビア住宅用不動産価格は、需要に供給が追いついておらず、同国の経済成長を背景に上昇し続けています。

また、バルト三国はEC加盟国であり、所得水準も比較的高いのに対して、不動産価格はチェコやポーランドの首都と比較してもかなり安く買えるのが特徴です。

不動産投資の特徴

ラトビアの不動産投資の最大の特徴として、外国人でも不動産を購入すれば長期ビザを得ることができ、他のヨーロッパ諸国への行き来が容易になる点が挙げられます。

指定されたいずれかの都市で約14万ユーロ以上(約1,800万円)の不動産を購入、且つ保証金として30万ユーロ(約3,800万円)を現地の銀行に5年間預託することで、5年間の居住許可を得ることが可能です。また、ラトビア語の試験で一定の基準をクリアできれば永住権の取得を申請できます。

外国人が参入しやすいか

ラトビア政府は世界の投資家の受け入れに積極的と言えます。不動産購入によって定住権を取得している約8割がロシア人とのことですが、カントリーリスクも低く、資金のある人・ヨーロッパへの移住に興味がある人にとっては魅力的な投資先と言えるのではないでしょうか。

【6位】「コロンビア」利回り:7.70%

サッカーの強豪国、コーヒーの産地としても有名なコロンビアは南米大陸の北西部に位置しています。山脈が広がっているので低地と高地では気温が全く異なり、自然豊かで秘境スポットも多い国です。人口は約5,000万人でブラジル、メキシコに次いで中南米3位です。

首都ボゴタは人口800万人超の大都市で、人口500万人以上の都市の中で最も高い標高2,700mに位置します。交通手段は電車・地下鉄がないため、専用レーンを走るバス、トランスミレニオが市民の足となっています。

地下鉄建設構想は50年にわたる議論の末、2019年にようやく入札が実施され、2028年からの開業を予定しています。
ボゴタ以外にもメデジン・カリ・バランキージャなど、人口数百万人単位の都市が複数存在しています。

不動産投資の特徴

コロンビアの首都ボゴタでは、不動産ブームとなっており、特に外国人をターゲットとした高級物件が人気です。価格も年々上昇しており賃貸価格も上がっていることから、今後さらに価格帯が上がると予想されています。

コロンビアでは土地の所有のみでも固定資産税の対象となります。建物の有無が問われない点は日本と異なります。土地あるいは土地と建物を所有していると不動産価格の0.3%から3.3%の範囲で税率が決まります。

税率は自治体が決めるシステムとなっており、経済的な時価評価が税率のポイントで、不動産評価指数なども対象となります。

外国人が参入しやすいか

コロンビアの不動産は外国人でも購入可能です。自由な売買が特徴となっており不動産所有もしやすくなっています。

コロンビアで不動産を購入するには地元の不動産業者を利用したり、外資系のディベロップメントを利用するケースも多く見られます。コロンビアの中でもとくに首都ボゴダは人気が高い都市で外国人居住者も多く住む都市です。

日本人移住者はまだ少ないですが食事も口にあうと評判で気候も穏やかなことから今後、移住者が増えることも十分考えられます。

コロンビアで不動産投資をする際の注意点は?

国際シンクタンクの経済平和研究所(IEP)が発表した、世界で最も安全な国を評価する年次報告書「世界平和度指数(Global Peace Index)」(2023年版)では、コロンビアは140位となっています。

決して治安が良い国とはいえないでしょう。コロンビアは、日常的にスリやひったくり、置き引きなどの軽犯罪だけではなく、殺人や誘拐、麻薬の密売などの重犯罪も多発する国のため、物件を選ぶ際にはできるだけ治安のよい地域を選択するなどの対策が必要です。

【7位】「イタリア」利回り:7.67%

イタリアは、南ヨーロッパに位置しています。人口は減少傾向にあり、2022年に5900万人を下回りました。

また、他の欧州連合(EU)諸国よりはるかに急速に高齢化しており、イタリア国家統計局は2050年には5420万人、2070年には4770万人となり、約20%減少する可能性があるとしています。

不動産投資の特徴

イタリアの不動産市場は、過去数年間にわたり、経済回復とともに好転してきています。イタリア政府は、不動産市場の活性化を図るために、若い世帯や初めて不動産を購入する人に対して、住宅ローンの利子税控除制度を改善するなどさまざまな対策を講じています。

イタリアの主要都市であるミラノやローマ、フィレンツェなどの都市部ではとくに不動産価格が上昇しており、とくに、ミラノはイタリア経済の中心地であり、不動産市場も活発です。

最近注目を集めているのは、観光宿泊施設のインバウンド投資です。イタリアは世界的に有名な観光地であり、特にヨーロッパからの観光客が多いため、観光宿泊施設の投資は魅力的な投資オプションの1つとなっています。

また、イタリアは歴史的な建造物や文化遺産が豊富であり、それらを活用したリノベーションプロジェクトも投資家の関心を集めています。

とくに、古い建物をリノベーションし、観光宿泊施設や住宅として再利用するプロジェクトは、投資リターンも高く、文化的な価値も持つプロジェクトとなっています。

外国人が参入しやすいか

イタリアの不動産は外国人でも購入可能です。現在、イタリアでもあまり知られていない土地への関心が外国人投資家の間で高まっており、それらの地域では不動産市場が拡大しています。

とくに、サレント、イゼオ湖、マッジョーレ湖といった人気観光地ではないエリアでは、外国人による不動産購入が増加しています。

イタリアで不動産投資をする際の注意点は?

イタリアは欧州の中でも経済成長が鈍いと言われており、不動産市場も過去数年間と比較すると鈍化傾向にあります。とは言え、イタリアは人気の観光地であることから、観光宿泊施設や観光地における不動産投資は継続的な需要が見込まれます。

一方、イタリアは税制が複雑で、不動産取引においても手続きが多いことが特徴です。オンライン手続きも増えてきていますが、事務的手続きの複雑さは未だ健在です。投資にあたっては専門家によるアドバイスやコンサルティングを受けたほうが良いでしょう。

【8位】「モロッコ」利回り:7.62%

モロッコはアフリカ北部に位置する国で、アルジェリア、西サハラと国境を接しています。国土の中央を東西に走るアトラス山脈は、アフリカ大陸の中では珍しい地殻運動の活発な比較的新しい地質時代の山脈です。周辺では地震も多発します。

人口は約3700万人で年々増加傾向にあり、都市人口は2025年までに400万人増加すると予想されています。1960年には都市人口の割合が約29%だったのが、都市部への人口移動と都市圏の拡大により、2015年には67%に達するなど大幅な都市部への人口増加がみられます。

不動産投資の特徴

モロッコの住宅市場は経済成長が鈍化する中、依然として低迷しており、不動産価格は徐々に下落傾向に。取引も低迷し、住宅ローン市場は縮小し続けています。

ところが、住宅市場が低迷しているにもかかわらず、モロッコの総賃貸利回りは良好です。モロッコの最大都市「カサブランカ」の総賃貸利回りは 4.77~8.21% の範囲で、都市平均は 6.35% です。

また、モロッコの第四の都市と言われる「マラケシュ」では、約 7.29~9.18% (平均 8.42%) というより高い賃貸利回りを得ることができます。

しかし、モロッコでは往復取引費用、つまり不動産の購入と再販売にかかる際にかかる登録料と印紙税の合計が 12.50~17% と非常に高いため、注意が必要です。

外国人が参入しやすいか

モロッコでは、農業目的に指定された地域を除き、外国人が土地を所有することに制限はありません。モロッコの通貨ディルハムは比較的安定しています。

モロッコで不動産投資をする際の注意点は?

世界的に見ると表面利回りの高いモロッコですが、需要が低く、住宅価格の下落期間は中期的に続く可能性があります。アル・マグリブ銀行によると、2023年第3四半期の住宅取引は4.5%減少しており、今後はさらに需要が少なくなる可能性もあるため、注意が必要です。

【9位】「インドネシア」利回り:7.55%

東南アジア南部に位置し、赤道をまたぎ約18,000の島々からなる国家です。首都はジャカルタで、国土は日本の約5倍の広さで、人口は世界4位の約2.7億人。総人口の5割が30歳未満という若い国で、約300の種族がいる多民族国家です。

人口増加の伸びは徐々に穏やかになるものの、少なくとも2050年まで一貫して増加を続ける見込みです。 最新の人口予測では、2032年頃には人口3億人を突破すると予測されています。

国全体では、安定した経済成長を背景に貧困率が過去20年間で半減し2020年に約9%となりましたが、貧困率にも地域差が見られます。

不動産投資の特徴

インドネシアは毎年経済発展を続けている国の1つであり、近年は不動産市場に注目が集まっています。国民の所得が増えたことで、ローンを組んで住宅を購入する人が増加しています。

インドネシアの平均年収は約35万円程度。ジャカルタの大手企業で働く人たちの年収が数百万円であることも珍しくなく、収入の格差は年々開いているといわれています。そうした人たちに向けた、1,000万円から2,000万円程度の住宅の売上数が年々伸びているようです。

また、インドネシアの首都移転先となるヌサンタラの地価は年々上昇傾向に。森林地帯の多いヌサンタラでは、現在急ピッチで開発が進んでおり、中心となる地域では16倍以上の価格になった土地も存在するようです。


一方で現在の首都であるジャカルタも、渋滞が減り今よりも住みやすい地域となる期待感から、今後上昇すると予想されています。

外国人が参入しやすいか

インドネシアの不動産はジャカルタを中心に年々値上がりしています。投資家にとっては魅力的な市場ですが、外国人は自由に売買することができません。外国人に対しては、主に以下の規制が存在します。

・土地は「所有権」と「使用権」に分けられ、外国人は使用権のみ認められている

・不動産を購入する外国人は、インドネシアの居住者である必要がある

・外国人は土地付きの家やマンションを最大80年間使用権を購入できる

・外国人資本によるインドネシア法人は、土地の所有権を購入できる
・地域ごとに最低購入額が決められている

・外国人はインドネシアで銀行ローンを組めない

・高級住宅や別宅、コンドミニアムを購入する場合は20%の贅沢税がかかる


2014年10月ジョコ・ウィドド新政権発足後、使用権の年数が「25年」から「80年」になるなど、外国人の不動産所有に関する規制が緩和されました。しかし、外国人は使用権のみ、最低購入額が設定されているなど、参入しにくい環境となっています。

インドネシアで不動産投資をする際の注意点は?

インドネシアには不動産登記がなされていない土地や建物が多く存在します。そのため、「所有者が誰なのか」を調べなければなりません。新築の分譲マンション、戸建、工業団地では可能性は低いですが、弁護士、役所と協力しながら所有者の真偽や、不動産権利証書の真偽、反社会的な勢力が関係していないかどうかをしっかりと調査しましょう。

また、インドネシアの不動産取引では、ノタリスという公証人が重要な役割を担っています。不動産売買契約証書、不動産譲渡証書、インドネシア国土庁との各手続きを担当し、売主、買主同様、契約証書に則った法律上の責任を負っています。

ノタリスは日本でいう司法書士のようなものですが、日本では不動産販売会社や不動産仲介会社、司法書士がそれぞれ行うことを、インドネシアではノタリスが一手に担当するため、公的書類を作成できるノタリスは信頼できるところを選択しましょう。

【10位】「リトアニア」利回り:6.67%

リトアニア共和国はバルト海の南東側に位置する、バルト三国の中で最も大きな国です。国土は平坦で川が多く、最も高い山でも標高300m以下です。

リトアニアの人口はバルト三国の中では最も多く、2022年時点で282万人ですが、2000年の350万人から約70万人減少しており、こちらも人口の急激な減少に直面しています。

一方で、旧ソ連からの独立後、急速に発展してきた新興国のひとつであるリトアニアは、欧州連合(EU)の政策を積極的に実行し、ビジネス環境の改善を続けています。国内市場だけに頼ることなく、輸出で稼ぐなど、インターナショナルであることは必要不可欠と考え、さまざまな政策に取り組んでいます。

たとえば、ヴィリニュス、カウナス、クライペダなどの主要都市に経済特区を設置。法人税の免除や法人税率の半減、不動産税の免除を行うなどして外国投資を誘致しています。

中でも注目すべきはリトアニア第3の経済中心地クライペダ。ここには、バルト海に面した不凍港があることに加え、道路網、鉄道網、航空網までも擁しており、欧州市場で重要な交通の要衝のひとつになっています。今後、欧州のビジネス拠点として更なる発展が期待されています。

不動産投資の特徴

リトアニアのすべての主要都市は、2023年第2四半期までの1年間に引き続き名目住宅価格の上昇を記録。しかし、インフレ調整すると、価格はほぼ安定しているか、緩やかに下落しました。

2021年のリトアニアの住宅取引総数は21%増加したのに対し、2022年は前年比14%減少。ビリニュスでは2022年、アパートの販売が17%減少し、住宅の販売が25%減少したといいます。住宅市場の低迷は2023年も続き、ほぼすべての主要都市で、2023年6月の住宅販売額は前年比2桁の減少となりました。

外国人が参入しやすいか

リトアニアでは農地を除いて、外国人でも不動産を所有することができます。その他の制限はありません。

リトアニアで不動産投資をする際の注意点は?

先述しましたが、リトアニアの人口は2000年の350万人から現在は、約282万人と、約70万人減少しており、今後も人口減少が予想されます。人口が減少すれば当然、賃貸不動産の需要低下が懸念されるため注意が必要です。

一方で、コロナ禍前の観光客数は年々増加傾向にあり、2019年には人口の半分以上となる190万人以上が訪れるなど観光地としての人気が高まっています。外国人向けのホステルなどの宿泊施設を検討してみるのも良いかもしれません。

海外不動産投資の国はどうやって選ぶ?

海外不動産投資では「物件を決める」前に「どの国の不動産に投資するのか?」という国選びが重要になります。利回りが高いことはもちろんですが、どのポイントを重視すればよいのか、くわしく解説します。

人口が増加しているか

最も重要なポイントは「人口の増加」です。人口が増加する国であれば、人口ボーナスが見込めます。人口ボーナスとは、生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。

人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすいと言われています。全体の人口が減り、労働しない高齢者の人口比率が増えると、個人消費も減り、さらに社会保障費も増えてしまいます。そうなると、大きな経済成長は見込めません。

とくに、チェックするポイントは「人口の増加率が高い」「将来的に人口が増える見込み」「きれいな人口ピラミッド」「出生率が高い」。これらの要因がそろった国であれば、かなり高い確率で、人口増加と経済成長が期待できます。

カントリーリスクが高くないか

海外不動産投資では、その国固有の政治的もしくは宗教的思想や国内の情勢不安などで、不動産の取り扱いや通貨などが影響を受ける場合があり、これをカントリーリスクといいます。

新興国においては金融危機や政情不安などのカントリーリスクが高く、継続して安定した家賃収入が得られるとは限りません。長期的なインカムゲインの獲得を目的に海外不動産投資を行うならば、カントリーリスクの考慮が大切です。

外国人でも投資が可能か

海外不動産投資で、外国人は土地を所有できないなどの制限を設けている国もあります。海外で不動産投資をするのであれば、各国の不動産登記制度について知識をつけておかねばなりません。

さらに、外国人だけに特別な税金を課したり、登記してから一定期間は売却処分を禁止したりしている国もあるため、購入するときには出口戦略までの計画を立てておきましょう。

また、海外不動産投資特有のトラブルとして送金問題があります。手付金は少額なのでカードや国際送金で問題なく支払えたとしても、高額の決済金が海外へ送金できず、不動産が買えないというケースです。

これは、マネーロンダリングやテロ組織への活動資金を封鎖するために、国際間の高額送金が難しくなっていることから生じています。決済金の送金を受け取る国側に自分名義の銀行口座を先に作っておけば、同一名義間の送金となりトラブルが少ないようです。

ドバイなどでは、仮想通貨(暗号資産)で購入できる投資物件もあり、金融機関を経由することがないため送金が簡単にできる場合があるなど、各国によって方法は異なるため、確認が必要です。

日本からの距離もポイント!

海外不動産投資といえど、現地調査は必要です。直接現地に足を運ぶことで、入居者目線で物件の魅力がわかります。

物件の内装や周辺環境、収益の見込みは、写真や数値で見る事ができますが、物件の魅力は写真や数字で表現できないものが多くあります。
たとえば周囲に、飲食店が多く賑やかなのか、閑静な住宅街に囲まれ落ち着いた雰囲気なのか、子どもが多く活気があふれているのか、など数値化できないものばかりです。


そのためにも、現地にはなるべく多く足を運びたいところですが、日本から距離がある国の場合は、コストの面で厳しいと感じるところもあるでしょう。

たとえば、東南アジアは日本から近く、アクセスもしやすいので、海外不動産投資がしやすいと人気を集めています。

私自身、マレーシアとフィリピンで海外不動産投資を実践しています。この両国を選んだ一番のポイントは、「日本から渡航しやすい」という点でした。飛行機で5〜 6時間、時差も少ないということで何かあれば、週末を使って現地に行くことも可能です。2年に一度のペースで現地視察しています。

アユカワタカヲ
アユカワタカヲ

海外不動産投資を始める3つの方法

海外不動産投資の始め方は、主に下記の3つに分けられます。

1.日本の不動産会社から物件購入する
2.現地の不動産会社から物件購入する
3.プロに任せながら海外不動産投資を行う

それぞれ解説します。

1.日本の不動産会社から物件購入する

1つ目の方法は、海外に拠点を置く不動産会社から購入する方法です。日本の不動産会社の中には海外にも拠点を持っている会社もあり、日本人向けに海外の不動産を取り扱って販売しています。

もちろん、対応するのは日本人スタッフであること・日本人向けにさまざまなサポートを行っているというメリットがあります。

2.現地の不動産会社から物件購入する

2つ目の方法は、海外不動産投資を始める際、投資先の地域に直接赴いて現地で購入するという方法があります。現地購入のメリットとしては、間に不動産会社を挟まないため幅広い物件をチェックすることができるという点が挙げられます。

しかし、現地の言語や文化などに精通していないと購入手続きの際にトラブルが発生するなどのリスクがあるため、かなり上級者向けの始め方です。

私の海外不動産投資の不動産会社選びについては、「現地に事務所があり、駐在している日本人スタッフがいること」をポイントにしました。英語ももろにはなせない私にとって現地の日本人スタッフは、重要なビジネスパートナーとなっています。

アユカワタカヲ
アユカワタカヲ

3.プロに任せながら海外不動産投資を行う

プロに海外不動産の運用を任せるやり方は、おもに3種類あります。

①海外REIT

海外REITとは、証券会社を通じて購入できる金融商品で、複数の投資家から集めた資金でひとつの「ファンド」を作り、その資金をもとに、プロが海外不動産に投資します。投資対象となる海外不動産の種類は、ホテルやショッピングモールなどさまざまです。

不動産から得られた家賃収入や売買差益は、出資した投資家たちに分配されます。出資した投資家に物件の所有権はありませんが、安定した運用成果を狙いやすい点や、手間がかからない点はメリットです。

投資信託の一種なので、一度にまとまった資金を用意できなくても、数十年かけてコツコツ少額ずつ投資していけます。

②海外不動産小口化商品

海外不動産小口化商品とは、不動産会社が販売している投資商品です。大勢の投資家がお金を出し合って、個人では購入が難しい高額な海外不動産を、投資用に購入します。REITと同じく、実際の運用はプロに任せられるので、手間がかかりません。

不動産から得られた利益は、お金を出した投資家たちに分配される仕組みです。ただし購入した物件に自分で住んだり、自由に売買したりすることはできません。また一般的には、REIT(リート)や海外不動産クラウドファンディングより、まとまった資金が必要です。

③海外不動産クラウドファンディング

海外不動産クラウドファンディングとは、不動産会社が出資者を募っている特定の投資用物件に、「1口○万円」という形で出資する投資方法です。不動産小口化商品と同様、物件の運用で得られた利益は、出資者たちに還元されます。

最低出資金額は1口1万円、もしくは1口10万円となっている場合が多いです。高い利回りを狙いやすい、少ない資金で取り組める、数ヶ月~数年の短期投資が可能といった特徴があります。

ただ不動産クラウドファンディングは、まだ数年しか歴史がない新しい投資のジャンルです。海外の不動産に投資できるクラウドファンディングサービスは少なく、選べる物件の選択肢も限られています。

海外不動産投資の注意点

海外不動産投資は日本とは違う点があるため、いくつか注意が必要です。

税制

税制改正により2021年以降の確定申告では海外不動産の購入費用を減価償却できなくなりました。ただし、法人においては現在もなお減価償却費用の経費計上が可能です。

減価償却に規制が加えられることとなったのには、日本の富裕層が節税を目的として海外不動産にこぞって投資したという背景があります。そのような行動を会計検査院と国税庁が問題視しはじめ、税制改正に至りました。そのため節税効果は大幅に減少したため注意しましょう。

物件の運用益に対する税金や、ほぼすべての国で課税される固定資産税の税率をチェックしておきましょう。登記費用や印紙税も各国で課税されます。税率が高いと諸経費が高くなりますので、事前に税金制度について必ず確認するようにしてください。

アユカワタカヲ
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法律

海外と日本では法律が異なります。日本で通用した経験が、海外で通用すると考えていると大きな痛手を被ることになります。投資先の国のルールについて確認し、専門家に相談して知見を深める姿勢が必要です。

また海外不動産投資の場合、法律の改正や税制度の規制がリターンを悪化させることも考えられます。投資活動において不利な立場におかれたり、治安問題に巻き込まれたりといったリスクも把握しておきましょう。

融資

日本と海外の金融機関を比較すると、海外の方が融資条件に厳しい基準を設けている傾向にあります。同様の融資条件を想定した場合、海外の金融機関からは融資が認められにくいと考えた方が良いでしょう。

日本より高い金利が設定されていることも多く、最終的な出費が増幅する可能性もあるため、ある程度の自己資金の確保も想定しておく必要があります。海外不動産投資では、土地や物件だけでなく、金融機関の選定も重要といえるでしょう。

為替

海外不動産投資では、家賃や売却代金を現地の通貨で受け取ります。もし、現地の通貨の価値が下がった場合、不動産投資で得られる家賃や売却代金が少なくなるため、損をする可能性があります。

反対に通貨の価値が上がった場合、想定よりも家賃や売却代金が多くなることで得をする可能性もあるため、一概に為替リスクが危険なものといいきれませんが、海外不動産投資特有のリスクとして覚えておきましょう。

言語

海外不動産投資する場合、不動産の契約書だけでなく、管理会社からの連絡メールなど違う言語でのやり取りが発生します。英語であればまだ大丈夫でも、投資する国によっては英語以外の言語でのやり取りが必要になる場合もあるでしょう。

また、文化の違いも理解しておく必要があります。日本では当たり前のことでも、海外では通用しないケースは珍しくありません。管理会社の質にしても、日本と同様のレベルを海外で求めることは難しいでしょう。

このような、言語と文化の違いは海外不動産投資において、注意が必要です。最近では、翻訳アプリなどを活用することもできます。自分に合ったコミュニケーション方法で、現地の担当者とやりとりしましょう。

海外不動産投資で成功するために

海外不動産の情報収集は、日本語では行えません。とくに現物不動産投資においては、正確な情報収集がうまく行えなければ、そもそも物件取得もできません。また法律や税制も日本とは異なるため、パートナーとして海外不動産にくわしい専門家の存在は必須となります。

リスクも含めた情報提供を適切に行ってくれるのか、信頼できるかどうかを見極めるためにも、現地のエージェントやディベロッパーとの強いつながりを有しているか、アフターフォローはどうかなどをよく確認しましょう。

また、信頼できる専門家やエージェントであると見極めたとしても、投資前には自分の目と足で現地確認を行うことが望ましいでしょう。

まとめ

不動産投資を海外で行うには、所有したい物件の国の、細かい情報を手に入れることが必須です。今回、解説したリスクをあらかじめ確認しておくだけでも、不動産投資先として魅力的か否かを判断する材料になります。

いくら物件そのものが良くとも、投資を避けるべきだと判断されるケースは少なくありません。海外への不動産投資を検討する際には、日本の常識に囚われることなく、慎重な投資を心がけましょう。

私自身、「今から海外不動産投資を拡大していくのか?」と問われれば、答えは「NO」です。日本の不動産投資より、海外不動産投資の方が失敗の確率が遥かに高いです。ある程度、最悪のケースを受け入れる覚悟を持ってスタートしないと、痛い目に合うかと思います。是非自己責任のうえ、判断してください。

アユカワタカヲ
アユカワタカヲ

海外不動産投資にはどのようなリスクがあるか?
入念な事前調査が必要不可欠です!

この記事の監修者

アユカワタカヲ
アユカワタカヲ

宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど

2010年、世田谷区内の中古区分ワンルームマンション購入から不動産投資をスタート。区分・一棟・戸建て・日本・海外…と幅広く不動産賃貸業を営む(2022年3月時点)。

現在は総合マネープロデューサーとして、人生におけるマネーリテラシーの重要性をメディアやセミナーなどで伝えている。年間のセミナー登壇数は300本を超える。

「満室バンザイ」(平成出版)、「不動産はあなたの人生を変えてくれる魔法使い 女性の願いを叶えてくれる最幸マイホーム購入術」(ごきげんビジネス出版)など執筆。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。