- 違法建築物件といってもいくつか種類がありますが、中にはリスクが大きいものもあるため注意が必要です。
- 大きなリスクを負わないためにも、検査済証が発行されているか必ず確認しましょう。
- 物件を正しく見極めるために、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
目次
違法建築物件とは?|違法建築の種類
しかし、一概に「違法=投資NG」という事ではありません。違反内容によっては、投資の選択肢として考えても良いケースも存在しますが、リスクは大きくなります。まずは、違法建築とはどんな物件なのかをご説明します。
工務店・ハウスメーカーの完了検査を受けていない
逆に、建物が違法建築でない事を証明する、最も簡単な方法が検査済証を確認することとも言えます。
増改築をしている
10m2超の増改築には、確認申請が必須となりますが、無許可での増築ケースも存在します。とくに倉庫や事務所、貸店舗に多く見られます。マンションなどでは、工事の複雑さから違法増築は少ないです。
無許可増築は行政に発覚すれば撤去命令が出ることがあり、大きな費用がかかるリスクがありますので、物件取得時には、増築の確認と申請の有無を確かめることが重要です。
建ぺい率を超えている
たとえば、敷地面積が300m2で、建ぺい率が60%と定められている場合、1階の建築面積は180m2以下でなければなりません。
また、容積率というものもあり、これは、敷地面積に対する「建築物の各階の床面積を合計した延べ床面積」の割合になります。建ぺい率同様に上限があり、それを超えると違法建築となります。
建築確認が実施されていない
上でも述べましたが、増築する際も確認申請を行わなかった場合は、違法増築になります。また、建築時に提出した図面と異なる構造や仕様になっていたり、許可を受けた用途と異なったりしていれば、違法建築になります。
接道義務違反である
接道義務は、安全上の理由で、緊急車両の通行の確保と災害時の避難路の確保のためのものです。基本的に、接道義務をクリアしていない敷地での建築は認められません。進行中の工事が中断させられたり、場合によっては建物の撤去や再建築が求められたりすることも考えられます。
既存不適格建築物件と違法建築物件の違い
「既存不適格建築物」
ただし、これらの物件は違法ではありません。現状を維持するのに問題はありませんが、増築や改築をする場合は注意が必要です。
「違法建築物件」
両者の区別は、不動産取引やリフォームの際に非常に重要となります。違法建築物は法的なトラブルのリスクがありますので、購入や相続を考える際は、十分な調査が必要です。
違法建築物件を購入・所有するデメリットとリスク
行政から是正勧告が入る可能性がある
違法建築物件と知らされて購入した物件も対象となり、自己負担での改築が必要となることがあります。
違法建築物件の改築は、違反の程度に応じて多大な出費がかかることが予想されます。最悪のケースとして、取り壊しの命令が出ることも考えられますし、行政代執行で解体され、その多大な費用を請求されることもあります。
売却が難しくなる可能性がある
取得するときは安くてお得と思えても、出口戦略で失敗する可能性が高くなるので注意が必要です。
融資を受けにくくなる
違法建築の物件は、安さが魅力として映るかもしれませんが、高金利や自己資金の増加により、その魅力は相対的に減少します。
また、近年のコンプライアンスの強化により、多くの金融機関が違法建築物件への融資を避けており、これが投資の大きなリスクとなっています。
ごく一部の金融機関ですが、収益性を重視して、違法建築物件・既存不適格建築物件でも融資してくれるところもあります。
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違法建築物件を買ってしまった事例と対策例
【事例1】違法性が高く行政から取り壊し命令が出た
適切な建築許可なく増築や改築を行っていたため、建ぺい率や容積率を超えた違法増築、また耐火構造や避難経路が不適切であること、近隣の日照権を侵害しているなど、重大な問題が浮上しました。これらの違法行為により、行政から取り壊し命令を受け、結果として大きな負債が残る事態となってしまいました。
こうならないためには、物件購入を検討する際には必ず事前に検査済証を確認することが必要です。
【事例2】建ぺい率がオーバーしていてリフォームが必要になった
その為ため、カーポートを建て替える事になり、大きな出費が伴いました。結果、キャッシュフローがマイナスになってしまったのです。
対処方法としては、中古の物件を購入する際、見た目や価格だけで判断せず、事前に建築確認済証などを確認し、必要であれば専門家に意見を求めることで、後々のトラブルや損失を避ける事が出来ます。
【事例3】違法建築物件と知らずに購入しそうになった
売主には、購入の意思決定に重要な情報を故意に隠蔽することは禁じられていますので、この場合は、契約の取り消しや解除となって然るべきです。
このようなトラブルを未然に防ぐためには、購入者は検査済証や増改築の登記情報を前もって確認しておくことが大切です。疑問点や不明点があれば専門家や弁護士の意見を求めましょう。
契約不適合責任とは?
違法物件の売却に際しては、売主及び売主側の不動産業者には告知義務があります。不動産や周辺地域に買主の購入判断を左右するような情報や欠陥が存在する場合、これを明示的に伝える必要があるという義務です。
違法物件であることを、買主が購入後に知った場合、買主は契約不適合責任を主張することができ、売買契約の取消や損害賠償を求めることが出来ます。
違法建築かどうか見分ける方法
確認済証・検査済証があるか確認する
そして、検査済証は、建築物の工事が完了した後、実際に建築物が法令に適合しているかを確認した結果が記されています。
この2つを確認することが、違法建築物件を避けるためにはとても重要です。
増築・改築の登記登録がされているか確認する
不正確な登記は、将来的な権利トラブルの原因となる可能性があります。また、適切な登記がない物件を購入すると、後から手続きの必要が生じることがあります。
専門家に相談をする
私自身はこれまで違法建築物件・既存不適格建築物件を購入した経験はありません。やはり将来のリスクを考えると、なかなかハードルが高いなあと、考えてしまうからです。
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まとめ
不動産にはさまざまな法規制があります。
購入前に見極めること がリスクヘッジになります。
この記事の監修者
![アユカワタカヲ](/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/7c63db2ddeeea4806b955bb03d1e3ed0_m.png)
宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど
2010年、世田谷区内の中古区分ワンルームマンション購入から不動産投資をスタート。区分・一棟・戸建て・日本・海外…と幅広く不動産賃貸業を営む(2022年3月時点)。
現在は総合マネープロデューサーとして、人生におけるマネーリテラシーの重要性をメディアやセミナーなどで伝えている。年間のセミナー登壇数は300本を超える。
「満室バンザイ」(平成出版)、「不動産はあなたの人生を変えてくれる魔法使い 女性の願いを叶えてくれる最幸マイホーム購入術」(ごきげんビジネス出版)など執筆。
違法建築物件は、古い物件や地方の物件で意外に多く散見されますので、ご注意ください。