この記事のポイント
- ローンの借り換えは誰もができるわけではありません。
- ローンの借り換えにはメリットだけでなくデメリットも付き物です。
- ローンの借り換えを検討するなら長期的なビジョンを描きタイミングを見計らい行いましょう。
不動産投資ローンを借り換えできる人の条件
ローンの借り換えは誰でもできるわけではありません。借り換えするには条件が存在します。その条件を解説します。
借り換え対象物件で健全な運営ができている
対象物件で問題なく賃貸運営ができており、キャッシュフローがマイナスになっていないことがポイントです。複数物件を持っている場合、その物件の稼働状況も含めた総合的な判断となります。稼働状況がよく、きっちり返済できる見込みがあることが必須条件です。
借り入れ総額が少ない人
金融機関は借り換え対象物件以外を含めた借り入れ、すなわち借手本人の総額の借り入れを見て審査します。対象不動産以外の借り入れが少なければ有利と言えます。
金融機関の融資基準によって異なりますが、たとえば融資可能額が年収×〇倍までなどです。その範囲であれば、融資審査もスムーズになります。
サラリーマン属性が高く金融資産をお持ちの方
金融機関側の立場として、借手に安定した給与の他に潤沢な金融資産があると審査に有利になります。得られた家賃収入に手を付けず、毎年キャッシュが積みあがっている実績がある場合も同様です。
属性高く、金融資産があれば貸し倒れリスクが低いと評価されるからです。
不動産投資ローンを借り換えしにくい人の条件
借り換えしたいと思っても受け入れられにくい人もいます。その条件を解説します。
運営状況の厳しい物件である
空室が多くそれが原因でキャッシュフローを圧迫している場合、金融機関側から見た場合、きちんと返済されるか後の運営に対して懸念を持ちます。満室稼働の実績をもって借り換えに挑むことが大切です。
金融機関やクレジットカードなどに事故歴がある
返済で事故歴があると相当なマイナスです。個人の信用情報に履歴が残るため、金融機関によりますが最低、5年以上は借り換えに対してハードルが高くなる可能性があります。延滞履歴がなくとも借り入れがある場合、審査のハードルが高くなります。高金利な借入れがあると、審査にマイナスな影響を及ぼします。
これらは金融機関の審査基準によって可否がきまります。
物件の収益評価・積算評価が低い
借り換えたい物件の収益、積算評価が低いと借り換えできる可能性が低くなります。金融機関によりその評価基準は異なりますが、評価を満たしていない金額分の自己資金や担保を必要とされることが一般的です。
不動産投資ローンの借り換えをするメリット
既存の物件の借り換えすることで後の運営にさまざまなメリットを享受することができます。その一例を紹介します。
返済期間の見直しでキャッシュフローが改善する
返済期間を長めに更新することで、キャッシュフローが改善します。
【例 借入金5000万円(改善前)】
元利均等返済の場合 | 借り換え前 | 借り換え後 |
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金利 | 3.5% | 3.5% |
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返済年数 | 30年 | 35年 |
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返済金 | 224,522円/月 | 206,645円/月 |
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2,694,264円/年 | 2,479,740円/年 |
借入金返済総額 | 80,827,920円 | 86,790,900円 |
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月々17,877円、年間214,524円のキャッシュフローが改善支払金利が5,862,980円増加します。
返済期間が長くなる分、返済額が平たくなり毎月のキャッシュフローが良くなりますが、その分、支払金利が増えることとなりますので含み置くことがポイントです。
金利条件の見直しでキャッシュフローが改善する
金利を更新することで、キャッシュフローが改善します。
【例 借入金5000万円】
元利均等返済の場合 | 借り換え前 | 借り換え後 |
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金利 | 3.5% | 1.5% |
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返済年数 | 30年 | 30年 |
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返済金 | 224,522円/月 | 172,560円/月 |
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2,694,264円/年 | 2,070,720円/年 |
借入金返済総額 | 80,827,920円 | 62,121,600円 |
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月々51,962円、年間623,544円のキャッシュフローがプラスとなり、金利18,706,320円の削減にもなります。
信用度の向上が期待できる
ノンバンクからの借り入れから銀行、信用金庫等へ借り換えることで、信用力がアップし後の事業拡大に寄与します。一般的に実績が乏しくとも借り入れができるノンバンクよりも、実績重視の銀行、信用金庫から借り入れを行うことは信用度、信頼度がアップにつながります。
不動産投資ローンの借り換えをするデメリット
借り換えをするメリットがある一方、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか解説します。
借り入れ条件が悪化する可能性がある
変動金利で借りていたものを借り換えで固定金利を選択した場合、繰り上げ返済や売却による一括返済の際に違約金が発生するケースがあります。一般的には固定期間満了までの間の元金に対し0.5~2%程です。金融機関の融資条件により違約金の額は異なります。
借り換えの際、手数料が多くかかってしまう
借入れの際に、既存の金融機関に支払う事務手数料や違約金の他に、新規で借入れする金融機関に支払う融資手数料や登録免許税、印紙税、所有権移転登記の際に依頼する司法書士報酬などがかかります。
これらのコストは思った以上に高額になるため、しっかりとコストを見積もることが大切です。
選択する返済方式により借入れコストが多くかかる
固定金利から変動金利へ借り換えした場合、市場の変化により最終的に支払う利息が固定金利よりも高くなるケースがあります。市場金利が下降トレンドの際には変動金利の方にメリットがありますが上昇トレンドの場合、デメリットとなります。
その時々の市場金利のトレンドを見ながら選択することがポイントです。
手間と時間がかかる
いざ、借り換をと思い立って行動に移すも、借り換え先の金融機関を探したり、融資審査を受けたり意外に手間がかかるものです。融資審査申込みから借り換え完了までおおよそ1~3か月かかると見込んでおくことがポイントです。
借り換えられた側の金融機関との関係性の悪化
借り換えを行うと従前の金融機関との関係性が非常に嫌悪になります。のちに別の案件を持ち込んでも審査を受け付けてくれない可能性が非常に高くなります。借り換えを行う場合、従前の金融機関に後戻りできないつもりで行いましょう。
不動産投資ローンの借り換えを考慮するタイミングは?
不動産投資において、どのようなタイミングで借り換えに動いた方が望ましいか悩むところです。この章では借り換えのタイミングのポイントを解説します。
キャッシュフローのマイナスが続いている
入居率も高く、賃貸運営が問題なく行われているも、既存の借入条件が足かせになりキャッシュフローがマイナスになっているケースです。借り換え先に、借り換えを行うことのメリットを伝えることにより審査も通りやすくなります。
ローンの残債が1000万円以上残っている
借り換えすることで金利の見直しができ、金利の支払い総額が圧縮され手残りが期待できることがポイントです。 どの程度金利が圧縮できるかシミュレーションしましょう。
ローン借り入れ期間の残りが10年以上ある
前述と同じく、借り換えすることで金利の支払い総額が圧縮できる場合、返済期間の見直しで金地の支払いが圧縮でき手残りが増えることがポイントです。シミュレーションを行い、どの程度キャッシュフローが改善されるか把握しましょう。
金利が1%以上下がる見込みがある
既存の借り入れ条件から1%以上下がる見込みがるかどうかが1つの目安です。返済期間も考慮し、1%に満たない場合も借り換えの土俵に乗る場合もありますから、シミュレーションを必ず行い総合的に判断するのがよいでしょう。
不動産投資ローンの借り換えを成功させるために
借り換えを成功させるために、メリット・デメリットを考慮しつつも自分だけの判断に頼るのもある意味リスクです。
ネットで調べたり、書籍で取集した情報も大切ですが、常に金融情報に触れる環境に身を置くコンサルタントや実務を行っている専門家、不動産業者からの意見に耳を傾けましょう。新鮮かつ現実的な情報を取り入れることが、よりスピーディかつリスクの少ない投資判断の助けになります。
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不動産投資ローンの借り換え手続きの流れは?
借り換えにおいて、事前にフローチャートを作成し、それに則って行動することでロスの無い借り換えが実現します。ここでは一般的な手続きの流れをご紹介します。
①現在の融資条件を確認する
現在借入れしている金融機関との金銭消費貸借契約書の内容を確認します。そこには借入れ金利、返済期間、特約事項など詳細な諸条件が記してあります。借り換えに伴う手数料など確認しておきましょう。
②融資条件をもとに将来のシミュレーションを再作成する
現在の融資条件を見直すことでどの程度キャッシュフローが改善されるのか、目安となる条件をはじき出します。
③ローン借り換え可能な金融機関を探す
自身が希望する融資条件に合致する、またはそれに近い金融機関を探します。ネットで探しアポイントをとるのも良いですが、対象の金融機関と取引のある方の紹介を受けることができないかも一考しましょう。
④新しい金融機関の審査を受ける
借り換えの打診を行い、融資審査を受けます。この時に、なぜ借り換えをするのか具体的な理由と根拠を説明できるようにしておくことがとても重要なポイントです。
⑤新しい金融機関から融資承認を受ける
提示された条件がこちら側と合致するとは限りません。その条件で可能か否か、希望と相違がある場合は交渉してみることも大事なポイントです。
⑥在融資を受けている金融機関に借り換えを伝える
融資を受けている金融機関に連絡し、担当者に借り換えを行う旨を伝えます。いつ頃に融資実行するのか、また借り換えに伴う費用がどのくらい必要なのか確認します。
⑦新しい金融機関で融資実行する
登記するにあたり司法書士の手配を行います。金融機関と融資実行の日時を決めてあとは打合せどおりに融資実行します。融資実行されれば借り換え完了です。
まとめ
融資の借り換えは自身の運営状況、金融機関のスタンスや金融市況などを総合的に考慮し行うことがポイントです。
条件が良くなるからと言って頻繁に借り換えを行うことは、借り換えに伴う諸費用などコストと時間を非常に要すものです。また、借り換えの多い借手と思われることで金融機関との今後の取引、運営にもマイナスな影響をもたらす恐れもあります。
表面的なメリット・デメリットだけで判断するのではなく、最低数年以上のビジョンをもって行うことがベストです。
この記事の監修者
安藤 新之助
株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役
高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。現在12棟195室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、2法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。
公式HPhttps://www.success-group.co.jp/
●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。
貸手側は空室が多いのはオーナーの責任とみなします。厳しいようですが、借り換えでキャッシュフローを補おうとするのは都合が良すぎませんか?と言われても仕方がないでしょう。