500万円で不動産投資は始められる?購入できる物件例や注意点を解説します

2023.09.20更新

この記事の監修者

八木エミリー

八木エミリー

【資格】証券外務員一種/2級FP技能士

500万円で不動産投資は始められる?購入できる物件例や注意点を解説します

自己資金500万で不動産投資を検討中の方へ、ローン利用の有無別に運用可能物件とメリット・デメリットについてご説明します。

500万円の運用で不動産投資を選ぶなら
ローン活用も視野に入れて考えよう

目次

500万円を運用するならどの投資?

500万円を運用する方法として、代表的な運用方法をご説明した上で運用のコツについてもご紹介します。

資産運用方法は?

代表的な運用方法として、「株式投資」「投資信託」「国債」「不動産投資」の特徴や利回り目安、注意点についてご説明します。

【株式投資】

株式の売買や配当金の受取などで利益を期待する投資方法です。銘柄によって株価は異なり、日々変動します。そのため株式の売買における利回り目安は一概に言えません。配当金の利回りは平均でおよそ2%(2023年6月時点)です。

株式投資には、価格変動リスク、デフォルト(会社倒産)リスクなどがあります。株価動向により損益が生じるため、企業業績だけでなく株式市場を取り巻く経済情勢にも目を配り、売買機会を見極める必要があります。

【投資信託】

投資信託は、投資家から集めた投資資金を運用のプロが、投資信託ごとの運用方針に基づいて運用する金融商品です。投資家は、その運用結果を投資額に応じて享受します。利回りの目安は3~10%と投資信託によって幅があります。

投資信託には販売手数料と信託報酬という2つの手数料が必要になります。手数料の多寡は販売窓口、投資信託によってさまざまです。また、プロの運用とはいえ、運用成績が芳しくないものもあるため元本割れリスクもあります。

販売手数料がない投資信託も直近増えています。

八木エミリー
八木 エミリー

【国債】

国債は国が発行する債券です。個人でも、個人向け国債を購入できます。個人向け国債は変動10年、固定5年、固定3年の3種類があります。変動10年は変動金利型、固定5年、固定3年は固定金利型です。

国債は国が発行している債権であるため、元本保証、最低金利保証といった安心感があります。また1万円からの購入、中途換金も可能です(購入1年未満の解約は保有分の利子がつかない場合があります)。

ただし、変動10年でも初回の利子の適用利率は※年率0.29%(税引前)と大きな利益は見込めません。※2023年6月募集分

【不動産投資】

不動産投資は不動産を賃貸物件として活用し、家賃収入を得る投資方法です。不動産の取得費用などの初期費用のほか、賃貸物件の維持費用が必要になります。不動産投資の利回りは、エリアや物件によっても異なりますが、3~5%程度が平均と考えておくとよいでしょう。

不動産投資には空室リスクや老朽化リスクなどがありますが、ほかの投資方法と比べてリスクの見通しが立てやすく、リスク回避の対策を講じやすい投資方法でもあります。物件取得時の調査、および修繕計画が不動産投資を成功させるために重要なポイントです。

500万の運用シミュレーションとコツ

複利での運用シミュレーションを、利回りごとに示すと以下のようになります。
1年後3年後5年後10年後20年後
1%505万円515万円526万円552万円610万円
3%515万円546万円580万円672万円903万円
5%525万円579万円638万円814万円1,327万円
10%550万円666万円805万円1,297万円3,364万円

貯金が500万円のみなのであれば、コアサテライトバランスから守りと攻めの資産を分散投資します。500万円以外にも貯金があるor定期的な収入が見込めて現金が増えていく予定なのであれば、ある程度リスク資産に集中投資するのもありです。

八木エミリー
八木 エミリー

自己資金500万で行う不動産投資は2択

自己資金500万円で行う不動産投資には、「ローンを利用せず行う場合」と「ローンを利用して行う場合」があります。それぞれ概要と注意点は以下のとおりです。詳細については後段でご説明します。

ローンを利用せず行う場合

物件そのものを取得する費用以外にも仲介手数料、税金などの初期費用が必要になります。そのため、物件そのものを取得する費用は500万円を下回る必要があり、取得できる物件には限りがあります。

また、自己資金全額を初期費用に使ってしまうと、不動産投資の運用スタート後に突発的な費用が生じた際に、対応が難しくなる可能性もあります。手元資金に余裕を持たせておくほうが安心ですが、物件そのものを取得する費用は、さらに小さくなる点には注意が必要です。

ローンを利用して行う場合

ローンを利用せずに行う場合に比べると、取得できる物件の範囲は広がります。融資審査で収入や保有資産などの個人属性のほか、投資計画の妥当性(不動産の担保価値や収益性など)も確認され、融資金額が決まります。「ローンを利用せずに行う場合」と同様に自己資金全額を頭金にするのではなく、手元資金に余裕を持たせておきましょう。

自己資金500万でローンを利用して行う不動産投資

自己資金500万円でローンを利用して不動産投資を行う場合のメリットとデメリット、取得可能な物件種類についてご説明します。なお、ローンを利用する際には、審査を受ける必要があります。頭金として物件価格の2~3割程度の準備が必要です。また、ローンを利用する際には、事務手数料や抵当権設定の登録免許税の諸費用も必要になることも知っておきましょう。

ローン利用のメリット

・レバレッジが効く
ローン利用によって、自己資金を超える物件を取得できます。そのため、自己資金だけで不動産投資を行うよりも高い投資成果を得られる可能性が高まります。

・団体信用生命保険に加入できる
団体信用生命保険とは、ローンの返済期間中にローン契約者が死亡・高度障害となった場合などに、それ以降のローン返済を保険金で弁済してもらえる保険です。ただし、持病などで団体信用生命保険に加入できない場合もあるため、ローンの利用条件として団体信用生命保険の加入が必須かどうかも確認しておきましょう。

・低金利
ローン金利は低水準が継続しています。低金利のローンを利用して、自己資金を超える物件を取得できるのもメリットといえます。

ローン利用のデメリット

・金利がキャッシュフローを圧迫する
ローンを利用すると、元本に利息を加えた返済負担が生じます。変動金利タイプのローンを利用した場合、金利水準が上昇した場合に金利負担がキャッシュフローを圧迫する可能性があります。

このデメリットを回避するためには、低金利で長期固定タイプのローンを選ぶのも一案です。また、空室が生じた時にもローン返済に支障が生じないように、手持ち資金に余裕を持たせておくように心がけておきましょう。

ローン利用で対象となる物件

融資金額、頭金の金額にもよりますが、新築または区分マンションや一戸建てなど2000~2500万円の物件を狙うことが可能でしょう。エリアにもよりますが、中古の一棟アパートを狙うのは難しい可能性があります。

ローン利用時の注意点

ローン利用時には以下の確認を行いましょう。

・キャッシュフローを事前にシミュレーションすること
返済計画を事前に確認し、返済金額も含めたキャッシュフローのシミュレーションを行い、無理のない運用計画を練りましょう。

・賃貸需要を調査すること
不動産会社へのヒアリング、近隣類似物件の入居状況確認を行い、賃貸需要の調査を行いましょう。

自己資金500万のみで一括購入して行う不動産投資

自己資金500万円のみで一括購入して、不動産投資を行う場合のメリットとデメリット、取得可能な物件種類についてご説明します。

一括購入のメリット

・属性に関わらず不動産投資が始められる
ローン利用の場合、個人属性や投資計画の妥当性についての審査が必要になります。一括購入の場合、融資審査を受ける必要がないため、資金があれば不動産投資を始めることができます。もちろん、自己資金のみで物件取得する場合でも、じっくり投資計画を練る必要はあります。

・売買スピードが速いので、2番手以下でも買付ができる可能性がある
自己資金で決済をする場合、ローン利用に比べて売買スピードは格段に速いです。融資審査には早くても2週間程度はかかります。売主が確実な買主に早く売却したいと考えた場合には、2番手以下でも買付ができる可能性はあるでしょう。

一括購入のデメリット

・物件の選択肢が狭い
自己資金の範囲内での物件購入となりますので、物件の選択肢は狭くなります。物件そのものの取得費用のみならず、仲介手数料や税金などの初期費用を考慮すると、自己資金500万円満額を物件そのものの取得費用に充てることはできません。

・リスクに備えるための現金が減る
自己資金500万円を、物件の一括購入資金に充てると、空室発生や突発的な設備メンテナンスなどに対して、備えるための現金が減少します。リスクに備えておく費用も考慮した物件購入を行いましょう。

現金一括で購入予定の場合でも、たとえばリフォームローンは使えるかなど、リスクを想定して実際にある程度の借入はできるかの調査をしておくとより安心です。

八木エミリー
八木 エミリー

一括購入で対象となる物件

対象となる物件は、中古の区分マンションや築年数を経た一戸建て、空き家など諸費用分を除いて約400万程度の物件となります。現物不動産での不動産投資に、予算的な難しさがある場合には、REITなどの不動産投資信託や不動産小口化商材などを検討するのも一案です。

一括購入時の注意点

一括購入の際には、以下のような注意点について検討しておきましょう。

・築年数が古い物件は修繕リスク大
築年数を経れば経るほど、修繕が必要な個所は増えるものです。投資計画の中に、余裕のある修繕費用を盛り込んでおきましょう。

・激安物件はとくに出口戦略を考慮すること
激安物件には理由があります。その理由を確認しておくとともに、どれくらいの期間、投資を行うのかを検討しておきましょう。また、その期間が終了した時点での出口戦略(売却、相続、解体など)を購入する前に考えておきましょう。

まとめ

コツコツと貯めてきた投資資金の500万円を今後どのように運用するのか、そしてさらにその資産が大きく育つ未来予想図を考えるのは楽しいものです。しかし、不動産投資においては、自己資金500万円だけでは投資の幅は限定的になります。

ローンの活用なども視野に入れて、物件の選択肢を広げるとともに、手持ち資金に余裕を持たせることを検討してみるのもよいでしょう。また、必ずしも投資資金を一極集中させる必要もありません。一部は別の投資に割り振るなど、分散投資を行うのも一案です。情報収集に努めながら、投資計画を楽しみながら考えていきましょう。

500万円の運用で不動産投資を選ぶなら
ローン活用も視野に入れて考えよう

この記事の監修者

八木エミリー

八木エミリー

【資格】証券外務員一種/2級FP技能士

新卒時に野村證券に入社、投資の勉強を始める。新人時にして営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在では7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして活動し主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。またオンラインサロン「em会」を主宰し、金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業や障害児支援など活動の幅を広げている。「今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!」(ビジネス社)など執筆。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。