海外不動産投資はハードルが高い?メリット・デメリットと注意点を解説

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この記事の監修者

八木エミリー
八木エミリー

投資家/証券外務員一種/2級FP技能士

海外不動産投資はハードルが高い?メリット・デメリットと注意点を解説

海外不動産への投資に興味がある方に向けて、そのメリットおよびデメリットと注意しておきたいポイントについてご説明します。

海外不動産投資は難しい?
金融商品である海外REITの選択肢もあります。

目次

海外不動産投資が注目されている理由とは?

少子高齢化、人口減少と言った日本に対する将来不安から、成長性のある海外の不動産を活用した投資に目を向ける人もいるのではないでしょうか。まずは海外の不動産を活用した投資の種類やその仕組みについてご説明します。

海外不動産投資の種類や仕組み

海外の不動産を活用した投資には、不動産投資信託と現物不動産投資があります。

不動産投資信託

不動産投資信託とはREITとも呼ばれる金融商品です。REIT事業者が投資家から資金を集めて不動産を購入し、その不動産から得られた家賃収入や不動産の売却益を投資家に配当する仕組みです。そのなかでも、海外の不動産に投資している不動産投資信託を海外REITといいます。取引所に上場している海外REITは株や投資信託と同様に売買することができます。

現物不動産投資

現物不動産投資は、日本におけるアパート経営のように海外の不動産を購入し、その家賃収入や売却益を得る投資方法です。

海外不動産投資で知っておきたい2種類の投資先

海外不動産投資とひとくちにいっても、投資先は「先進国」「新興国」の2種類に大別されます。それぞれのメリットとデメリットと向いている人についてご説明します。

先進国での不動産投資

先進国は、すでに経済規模が拡大していますし、不動産取引についての法整備も進んでいるためリスク性は低いでしょう。海外不動産投資に興味はあるものの、リスクをあまりとりたくない方に向いています。

先進国は経済規模が拡大しているがゆえに、一般的に物件価格は高く、新興国と比較すると利回りも低くなります。とくに現物不動産投資の場合、融資を受けるハードルも高くなるため十分な自己資金が必要になります。なお、海外REITであれば少額からの投資が可能です。

先進国はかなり価格帯も高く、ローン金利(融資されないことの方が多いと思いますが)もかなり高金利なため、なかなか投資できる人が少ないと思います。超富裕層くらいでしょうか。

八木エミリー
八木 エミリー

新興国での不動産投資

新興国は経済成長率が高く、今後も長期的に経済発展が継続していく可能性が高いでしょう。その一方で不動産取引に関する法律や中古不動産市場の整備が整備しきれていない国もありますし、政情不安が生じる可能性も否めません。

また、住民所得も先進国と比較すると低いため、家賃によっては投資物件に入居できる属性は、現地住民より先進国からの駐在員や移住者が多く、入居ニーズは低い可能性(空室リスクの懸念)があります。このように新興国での不動産投資はリスク性が高くなります。

その分、先進国の物件価格と比較すると低い価格で物件取得することもできるため、潤沢なキャッシュがある方で、家賃、物件価格の上昇など将来の利益拡大をリスクがあっても狙いたい方には向いています。

新興国への投資は、新興国に知見のある人・新興国でのキャピタルゲインを狙いたい人・外貨を保有したい人・日本で金融資産を多く所有している人などに向いているでしょう。

八木エミリー
八木 エミリー

海外不動産投資のメリット

海外の不動産に投資をするメリットには、以下のようなものが挙げられます。ただし、メリットはデメリットと背中合わせです。メリットとデメリットいずれも理解した上で海外不動産への投資を検討するようにしましょう。

外貨を保有できる

海外の不動産を活用して現物不動産投資を行う場合、その家賃収入や売却収入は外貨で支払われることになりますので、外貨を獲得し保有することができます。外貨の保有は資産のリスク分散を図ることにつながります。
なお、海外REITの場合は日本円での取り引きとなりますので、直接外貨を保有するわけではありませんが、為替変動の影響は受けます。

不動産価格が上昇している国もある

海外には経済発展が継続しており、不動産価格が上昇している国もあります。経済状況の見通しをもち、不動産の価格が低い時に取得できれば、家賃や不動産価格の上昇による利益を獲得できるメリットもあります。

とくに新興国の不動産がこのメリットを有している可能性が高いですが、先にご説明したとおり、新興国特有のリスクがある点には注意が必要です。

為替利益を狙える可能性がある

海外不動産投資では、円安傾向の際、大きなリターンを狙える可能性があります。たとえば、1ドル=100円から1ドル=150円の円安になった場合、いずれの時期も家賃収入は1,000ドルだったとしても、日本円換算すると、100,000円から150,000円に変化します。その差益は5万円。

この為替差益は海外REITでも狙えますし、現物不動産投資においてはより大きな為替差益を狙える可能性もあります。

海外不動産投資のデメリット

海外の不動産に投資するデメリットには、メリットのご説明に際して補足した事項以外にも、次のようなものが挙げられます。

プレビルドに注意が必要

プレビルドとは建築前の不動産に投資するスタイルで、とくに東南アジア、ヨーロッパの不動産投資に多いスタイルです。物件代金の支払いは、購入時に手付金を支払い、その後は建築計画に応じて決められたスケジュールに基づいて払っていくこととなります。

最初の売出価格は安価であることが多く、建築の進捗に従って市場価格が上がっていくので、キャピタルゲインを狙って完成までに持ち主が複数回変わるというケースもあります。しかし、中には物件が完成しない場合や、資金効率が悪く予定していたよりも不動産収入が減ってしまう可能性があるため、リスクもある点には注意が必要です。

情報収集がうまく行えない可能性がある

海外不動産の情報収集は、日本語では行えません。とくに現物不動産投資においては、正確な情報収集がうまく行えなければ、そもそも物件取得もできません。

また法律や税制も日本とは異なるため、パートナーとして海外不動産にくわしい専門家の存在は必須となります。海外REITの場合は、物件取得、運営にいたるまですべて事業者が行いますので、このリスクはありませんが、目論見書で投資不動産の内容などを確認する必要はあります。

現地の金融機関で融資を得るのが難しい

海外の金融機関で口座を作ることも難しい中、現物不動産投資を行うにあたり、その金融機関で融資を受けることは、さらにハードルが高くなります。そこには先ほどふれたコミュニケーションの問題点もあります。

日本国内の金融機関で融資を受けられる場合もありますが、高い自己資金割合や国内不動産の担保を求められるなど、審査においては高い資産力を見極められる可能性があります。

カントリーリスクがある

とくに新興国の不動産に投資をする場合、政情不安などの社会情勢などに影響を受けやすいといえます。先進国でも、その可能性はゼロではありません。海外の不動産に投資をするのであれば、世界情勢や今後の見通しを把握する大きな視野が求められます。これは現物不動産投資のみならず、海外REITについても同様です。

海外不動産投資を行う時の注意点は?

海外の不動産に投資を行う場合、先ほどご紹介したデメリット以外にも、以下のような注意点があります。

税制改正で個人での減価償却が難しい

海外に比べて日本の減価償却の耐用年数がきわめて短いという特性を活用して、市場の評価額が高い海外の不動産に投資する動きが盛んに行われたことがありました。しかし、2020年の税制改正によって、個人が所有する海外の不動産の減価償却は認められなくなり、現在は節税効果が大幅に縮小しています。

投資先の国のルールについて確認する

当然のことながら、海外と日本では法律のみならず、常識も異なります。日本で通用した経験が、海外で通用すると考えていると大きな痛手を被ることになります。まずは、投資先の国のルールについて確認し、実際に海外の不動産に投資を行う際には、専門家に相談して知見を深める姿勢が必要です。

信頼できるエージェントを探す

海外の不動産に投資を行う際、とくに現物不動産投資の場合には専門家への相談を行う必要がある旨はすでにお伝えしたとおりです。信頼できる専門家やエージェントは、リスクも含めた情報提供を適切に行ってくれるものです。信頼できるかどうかを見極めるためにも、現地のエージェントやディベロッパーとの強いつながりを有しているか、アフターフォローはどうかなどをよく確認しましょう。

信頼できる専門家やエージェントであると見極めたとしても、投資前には自分の目と足で現地確認を行うことが望ましいでしょう。

まとめ

海外の不動産に投資するなかでも、とくに現物不動産投資は資金力、コミュニケーション、法律や制度、世界情勢などさまざまな面でハードルもリスクも高い投資であるといえます。海外の不動産に投資することに関心がある方は、まずは金融商品である海外REITからスタートしてみてはいかがでしょうか。

海外REITであれば少額から投資することもできますので、初心者の方や資金面に不安のある方でも気軽に始めることができます。まずは海外REITから海外の不動産事情を少しずつ知っていくのも、資産形成のために有益な経験となるでしょう。

私は基本的に海外不動産は保有しない意向です。国内の金融機関は海外不動産を評価しないケースが多いため、単純に資産が目減りして見えてしまいます。現段階で資産拡大をする段階の人にとっては不利になることがあります。

八木エミリー
八木 エミリー

海外不動産投資は難しい?
金融商品である海外REITの選択肢もあります。

この記事の監修者

八木エミリー
八木エミリー

投資家/証券外務員一種/2級FP技能士

新卒時に野村證券入社。新人時に営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。オンラインサロン「em会」にて金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業など活動も行う。東京駅に近いバイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナー。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」など執筆。

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