公務員の不動産投資は
規定を守って行うことが重要です!
目次
公務員が不動産投資するのは条件付き?
不動産投資は、公務員にとって有利な投資方法の1つといえます。注意すべき点は、条件をきちんと満たしている事です。公務員が不動産投資をする際の条件や注意点を解説していきますので、参考にしていただければと思います。
公務員には副業を規定する法律がある
公務員の「副業・兼業」について法律では、国家公務員法(第103条、第104条)及び地方公務員法(第38条)に関連する規定が存在しています。それぞれどんな規定なのかを解説致します。
国家公務員の副業に関する規定
国家公務員が守るべき服務規律のひとつとして、職員の兼業に関して以下の通り定められています。
◆国家公務員法(第103条) 私企業からの隔離
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
◆国家公務員法(第104条) 他の事業又は事務の関与制限
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
副業をする場合は、国家公務員法(第104条)にあるように、内閣総理大臣や所属する省庁の長官に許可を得る必要があるということです。
禁止の3原則について
◆第99条(信用失墜行為の禁止)
その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
◆第100条(秘密を守る主義)
職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
◆第101条(職務に専念する主義)
法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
許可申請なしで行える不動産投資の条件3つ
<公務員が不動産経営をするための条件>
【条件①】一定の規模以下であること
◆「人事院規則14-8」
・独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
・独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
地方公務員の場合は、地方自治体によって地方公務員法で独自の規定を定めている場合もありますので、担当部署に問い合わせるとよいでしょう。
【条件②】物件の管理業務を自分で行わないこと
◆「人事院規則14-8」
入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
【条件③】家賃収入が年間500万円未満であること
◆「人事院規則14-8」
不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
たとえば、月額家賃が10万円のワンルームマンションを所有した場合のシミュレーションは以下の通りです。
公務員の不動産投資失敗事例
基準を超えた場合、別途承認申請をして勤務先から許可を得なければなりません。怠ると、戒告、減給、停職、最悪の場合は免職になってしまう可能性もありますので注意が必要です。
【事例1】家賃収入が500万を超えた。住民税から発覚した。
・年間家賃収入:8万円×12か月=96万円
・5戸所有した場合の年間家賃収入:96万円×5戸=480万円
家賃収入が年間500万円未満でした。しかし、父親名義のワンルームマンション(家賃12万円)を相続したため、家賃収入が年間500万円をオーバー。
そのうち申請すればいいと思って、放っておいたところ、住民税から収入が発覚してしまいました。
多くの方が住民税を給与から天引きで納税されています。しかし、天引きの場合、額面によっては別に収入があることが発覚する可能性があります。住民税の天引きは、従業員の勤務先が自治体からの住民税のお知らせを元に処理を行います。自治体は確定申告を元に住民税の計算を行うため、給与所得だけでなく不動産所得も含めた総合計から計算されます。
このため、勤務先に通知される住民税の額が、勤務先が把握する収入の額と異なる場合があり、従業員の収入状況が周知されてしまうことがあるのです。
Aさんは、戒告処分となりましたが、相続財産の運用であることを事前に申請し許可を得ていれば処分はありませんでした。不動産を相続した場合、改めて「5棟10室」「年収500万円」未満であることを見直すことが大切です。
SNS発信で発覚した
Bさんは、不動産投資仲間の交流会に参加。他の参加者がSNSに上げたことから、会社の同僚に知られてしまいました。Bさんの場合、年間3000万円の家賃収入があり、これに対して減給10分の1(3カ月)の懲戒処分を受けました。
SNSだけでなく、職場の飲み会でポロっと口に出してしまい、周りの人に知られてしまったという人もいます。いずれにしても、「5棟10室」「年収500万円未満」を遵守することが大切ですし、超えた場合は速やかに申請し許可を得なければなりません。
SNSに関しては、軽い気持ちでアップした写真に公務員の方が写り込んでいる可能性もありますので、細心の注意が必要です。
公務員が不動産投資をする場合の注意点
それには、上記で述べた条件を守ることが大前提となります。
事業規模に気を付ける
また、投資規模を抑えていても、不動産管理業務が本業に支障をきたしてはいけません。管理業務は管理会社に委託しましょう。
確定申告を忘れずにする
大きな額の節税はできない
確定申告をする場合、給与所得と不動産所得を合算して申告いたします。年収が1,000万を超えるような高年収の場合は、マイナスになった不動産所得と合算することで所得税の圧縮することが可能ですが、それ以下の場合節税効果はそれほど大きくないと覚えておきましょう。
不動産投資による節税効果を売り文句にしている不動産業者も多いですが、公務員の方は安易に鵜呑みにせず、中身をきちんと確認しましょう。
まとめ
兵庫県神戸市や奈良県生駒市など、一部の地方自治体では、積極的に公務員が副業できるような体制づくりに乗り出しています。今後さらに緩和される可能性があります。
ルールさえ守れば、信用度の高い公務員は不動産投資に向いていますから、副業の波に上手く乗って資産形成や資産運用などあなたの目的を達成してください。
公務員の不動産投資は
規定を守って行うことが重要です!
この記事の監修者
不動産投資家/宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど
2010年、世田谷区内の中古区分ワンルームマンション購入から不動産投資をスタート。区分・一棟・戸建て・日本・海外…と幅広く不動産賃貸業を営む(2022年3月時点)。
現在は総合マネープロデューサーとして、人生におけるマネーリテラシーの重要性をメディアやセミナーなどで伝えている。年間のセミナー登壇数は300本を超える。
「満室バンザイ」(平成出版)、「不動産はあなたの人生を変えてくれる魔法使い 女性の願いを叶えてくれる最幸マイホーム購入術」(ごきげんビジネス出版)など執筆。
キーワードは、「5棟10室」「年収500万円」いずれも未満! 「自分で管理しない」こと! それぞれ詳しく解説しましょう。