不動産クラウドファンディングは
仕組みの理解と投資先の見極めが肝心!
目次

監修八木エミリー
【資格】証券外務員一種、2級ファイナンシャルプランナー技能士
新卒時に野村證券に入社、投資の勉強を始める。新人時にして営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在では7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして活動し主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。またオンラインサロン「em会」を主宰し、金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業や障害児支援など活動の幅を広げている。「今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!」(ビジネス社)など執筆。
不動産クラウドファンディングとは?

事業で得た家賃収入や売買差益が、投資家の出資比率に応じて還元される仕組みです。
現物の不動産投資との違い
不動産を購入するには最低でも数十万円から数百万円の現金(頭金や諸経費など)が必要となり、物件価格の大部分をローンで賄うケースが一般的です。物件を保有中も維持費がかかります。一方、不動産クラウドファンディングは少額でも始められる手法です。
また、現物の不動産を購入する際、各種手続きや管理の手間がかかりますが、不動産クラウドファンディングの手続きはオンラインで完結できるため、現物投資のような手間がかかりません。
月いくらから?誰でもできる?
そのほか、不動産クラウドファンディングに向いている人の特徴を以下にまとめました。
不動産クラウドファンディングでは、物件の管理・運営、取り引きに関する手続きなどは事業者が行います。「不動産に投資してみたいけど、現物への投資はハードルが高い」「本業が忙しくて時間がない」と感じる人に向いています。
また、不動産クラウドファンディングの主な収益は家賃収入のため、安定的にインカムゲインを得たい人にも向いているでしょう。
不動産クラウドファンディングの種類にはどんなものがある?

また、2017年における不動産特定共同事業法の改正に合わせて、小規模不動産特定共同事業が創設されました。この事業の創設で、より多くの事業者が不動産クラウドファンディングを行えるようになりました。
匿名組合契約型
投資対象である不動産の所有権は事業者のみが保有し、投資家が得た利益は雑所得に該当します。投資期間は数か月など、比較的短期で終了するケースが一般的です。
任意組合契約型
投資対象である不動産の所有権は、投資家と事業者が共同保有します※。そのため、現物の不動産投資と同様に、投資家が得た利益は不動産所得に該当します。
※厳密にはファンドによって条件が異なるため、投資する前に必ずご確認ください
投資期間は数年・最低投資金額は100万円からなど、運用期間は比較的長期・最低投資金額は比較的高額です。
小規模不動産特定共同事業
「空き家を活用した事業がしたいけど、所定の要件を満たせない…」という小規模な事業者のために要件を緩和して創設された事業が「小規模不動産特定共同事業」です。
これは、不動産特定共同事業のうち、投資家1人あたりの出資額が原則100万円以下、投資家からの出資総額が1億円以下のタイプを指します。
ソーシャルレンディング・REIT(リート)との違い
ソーシャルレンディングとの違い
事業者と共同で不動産を用いた事業を営む不動産クラウドファンディングとは、投資の趣旨が異なります。
REIT(リート)との違い
「少額から始められる」「不特定多数の投資家が出資する」という点は不動産クラウドファンディングと似ています。ただし、REITは株式と同様に市場で売買されるため、不動産クラウドファンディングよりも流動性が高く、市場や景気の動向によって資産価値が変動しやすい手法です。
不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット

不動産クラウドファンディングのメリット
少額からでも投資ができる
高い利回りが期待できる
※期待できると想定される利回りであり、実際に得られる保証はありません
現物の不動産投資でも、想定利回り5%を超える物件は多数存在します。しかし、手間がかからない点や多額のローンを組まずにリスクを抑えられる点を考慮すると、不動産クラウドファンディングは利便性の高い手法と言えるでしょう。
手間を掛けることなく運用できる
社会貢献の性質がある
たとえば「空き家を活用して地方を元気にしたい」と考える人がいたとしましょう。しかし、担保となる不動産の価値が低いと金融機関からの融資を受けられず、事業に必要な資金を確保できない可能性があります。
不動産クラウドファンディングで資金を募ることができれば、空き家や老朽化した建物の有効活用をしやすくなります。不動産クラウドファンディングには「事業に共感して投資する」といった側面があるため、社会貢献へつながる事業への出資を目的とするのも手です。
不動産クラウドファンディングのデメリット
配当が少なくなる可能性がある
事業者選びを間違えると倒産する可能性がある
投資家保護の観点から、一定要件を満たした事業者のみがクラウドファンディングで募集できる仕組みですが、事業者選びを間違えると損失を被るリスクが高くなります。プロジェクトに関わっている事業者について、しっかりと確認しましょう。
出資金が満額戻ってこない可能性がある
テナントの家賃滞納リスクがある
そのほかのデメリットとして、現物の不動産投資では使える融資そのものが利用できないため、レバレッジがかけられない点があります。

不動産クラウドファンディングを始める手順

具体的な手順は以下4つのステップです。
不動産投資クラウドファンディングの見極めポイント

運用事業者の信頼性
運用期間
一般的に、クラウドファンディングは中途解約ができないため、短期・長期どちらにしても余剰資金で行うことが大切です。
長期運用のメリットは、長期的に安定した利益を得られる可能性があることです。運用期間中に分配金を得られるプロジェクトを選べば、定期的な収入を期待できます。
短期運用のメリットは、想定外の事態で損失を被るリスクを長期運用よりも抑えられることです。将来の出来事は誰にも予測ができません。運営会社や管理会社の財務状況、景気など長期よりも短期の方が見通しを立てやすいと言えます。
不動産情報の開示量
たとえば、不動産クラウドファンディングの目的が賃貸経営であれば、家賃収入が投資家の利益です。所在地、周辺環境、設備、広さといった「住みやすさ」が入居者募集に影響します。耐震性や施工会社といった安全性の確認も必要です。
「投資でどれだけ儲かるか」に意識が向きがちですが、利回りだけでなく、物件に関する多くの情報が開示されているかどうかもチェックしてみてください。
案件の規模
また、各プロジェクトには1口(または最低投資金額)〇万円、募集口数(または募集金額)〇万円のように記載されています。前者は個人が投資できる最低金額、後者はファンドが募集している金額です。
気になるプロジェクトに応募しても、募集金額に満たない場合は案件が不成立になる可能性があります。一般的に、不成立になった場合は申し込み時の金額が返還されますが、どのような取り扱いになっているか確認しておくとよいでしょう。
出資の割合
そのリスクを軽減させる手段の1つが「優先劣後方式」です。優先劣後方式では、投資家が優先出資を行い、事業者が劣後出資を行います。万が一、売却損が生じた場合、損失分の負担は劣後出資をした事業者から行う仕組みです。事業者の出資分で損失を賄えない場合に、投資家の元本が毀損することになります。
投資先を選定する際は、以下についてご確認ください。
まとめ

ただし、元本が保証される訳ではないため、投資先を見極めることが重要です。クラウドファンディングの仕組みを理解し、関連事業者や物件の情報を確認したうえで投資しましょう。
不動産クラウドファンディングは
仕組みの理解と投資先の見極めが肝心!

監修八木エミリー
【資格】証券外務員一種、2級ファイナンシャルプランナー技能士
新卒時に野村證券に入社、投資の勉強を始める。新人時にして営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在では7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして活動し主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。またオンラインサロン「em会」を主宰し、金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業や障害児支援など活動の幅を広げている。「今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!」(ビジネス社)など執筆。
任せられる分便利さはありますが、不動産投資をしているという実感がなく、賃貸経営の経験が積めるわけではないので、不動産投資の入り口として考えるには不向きです。 どちらかと言えば金融商品に似た立ち位置で考えると良いでしょう。