中古マンション購入で課される税金はいくら?不動産投資初心者向けに徹底解説します

2024.06.19更新

この記事の監修者

秦 光一郎
秦 光一郎

税理士

中古マンション購入で課される税金はいくら?不動産投資初心者向けに徹底解説します

不動産は高額でなかなか一歩が踏み出せないという方にもおすすめの中古マンション投資。始める際に知っておくべき税のお話しです。

この記事のポイント
  • 中古マンション投資は比較的価格が安く、利回りも高め、オーナーチェンジであれば融資も受けやすいため初心者におすすめ!
  • 消費税や不動産取得税をはじめ、購入時に課される税金は10%ほどを見込みましょう。
  • 投資物件の維持にも税金や付随費用がかかります。織り込んだ収支計画を立てておくことが大切です。

目次

不動産投資初心者におススメ!中古マンション投資とは

中古マンション投資とは、中古マンションの一部屋を区分所有し、これを第三者へ賃貸することをいいます。中古マンションを購入して不動産賃貸事業を始めることは、他の不動産投資に比べると始めやすい投資形態です。

一般に新築マンションに比べて価格が安く、投資利回りは高めの水準になります。既に賃借人がいる部屋であれば金融機関からの融資は受けやすくなります。

他方、経年劣化による空室リスクや修繕費等ランニングコストの増加というリスクもあります

中古マンション購入時に課される税金4つ

中古マンション投資を始めるにあたって覚えておいて頂きたいことは、中古マンション投資の経営には手数料や税金など、購入代金以外にさまざまな支出が発生するということです

マンションの本体価格以外に必要になる金額は、決して誤差と言える水準ではありません。まず、マンション購入時に課される税金、4種類について見てみましょう。

1.不動産取得税

不動産取得税とは、土地家屋など不動産を取得した人に課される税金です。購入や建築に限らず贈与や遺贈時にも不動産取得税は課せられます。取得から約3~4か月後に納付書が郵送され納税が求められることが一般的です。

不動産取得税は取得した不動産が土地や住宅用の家屋である場合、その土地や家屋の固定資産税評価額に対して3%の税率で課せられます。たとえば、固定資産税評価額1,000万円の土地を取得した場合、不動産取得税は1,000万円×3%=30万円となります

中古マンション投資を考えるのであれば、検討物件の固定資産税評価額を調べておくことは有益です。固定資産税評価額などの情報は不動産業者から得られる場合があります。

2.印紙税

印紙税は、収入印紙を不動産の売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書に貼付する形式で納付します。ですから不動産購入に係る契約の締結時には印紙税相当額のお金を用意しておかなければなりません。

通常は仲介業者などから契約に際して○○円の印紙が必要になります、といった案内があります。

たとえば、1,000万円の土地を購入する契約書を作成すると、現状5,000円の印紙の貼付が求められます。また、購入に際して1,000万円のローンを組む場合、その金銭消費貸借契約書には、1万円の印紙の貼付が必要になります

3.登録免許税

登録免許税は、取得した不動産を登記する際に法務局に納める税金です。登記時に必要になりますので、不動産の決済時には登録免許税相当額のお金の準備が必要です。

登録免許税も不動産取得税同様、固定資産税評価額を基に算出されます。税率は土地であれば現状1.5%、建物は2%です

不動産の取得に際してローンを組む場合、購入する不動産に抵当権を設定する必要があります。抵当権設定についても登録免許税が課され、抵当権設定登記の登録免許税は、債権金額に対して0.4%です。

4.消費税

マンションの取得価額の中には、土地代金と建物代金が含まれています。土地の代金は消費税の対象外ですが、建物の代金は消費税の対象です。ですからマンションの価格が提示されている場合、それが消費税相当額を含んでいる価格なのか確かめる必要があります。

提示価格の内、土地代金がいくらで、建物代金がいくらなのか。消費税額が含まれているのかは確認すべき重要な事項です

ただし、売主が個人である場合は、提示されている金額は税込金額である場合が多いです。個人の不動産オーナーは消費税を課されていない場合が多いためです。売主が不動産業者などである場合、消費税は売買代金に大きな影響を及ぼします。

たとえば、2,000万円で売りに出されている中古マンションについて考えてみましょう。2,000万円のうち土地代金500万円、建物代金1,500万円で、消費税は別との表示であれば、マンションの購入代金は2,000万円に建物代の10%の消費税がプラスされ、2,150万円ということになります。

中古マンション購入後に課される税金2つ

次に中古マンション維持に課される税金について見てみましょう。これは、中古マンションを保有している間は毎年課税される税金です。

固定資産税

固定資産税はその年の1月1日に不動産を所有している人に対して課される税金です

市区町村により異なりますが、概ね4~6月にかけて不動産の所有者に対して納付書が送られ、年4回に分けて納付が求められます。固定資産税課税標準額という金額に対して1.4%の税率で課されます。

この固定資産税課税標準額は、先に言及した固定資産税評価額とは異なる金額です。建物は同額である場合が多いですが、土地のうち200m2以下の住宅用地は固定資産税評価額の6分の1を課税標準とするなど、負担軽減規定が採用されています

都市計画税

都市計画税も固定資産税と同様その年の1月1日に不動産を所有している人に対して課される税金で、固定資産税と同じ納付書で納めることになっています。

固定資産税は原則不動産を所有している人すべてが対象となりますが、都市計画税は市街化区域に不動産を所有している人のみが対象となります。

通常、マンションなどの集合住宅は市街化区域に建設されていますので、中古マンション投資の対象となる物件は都市計画税が課せられていると考えて問題ありません。都市計画税は都市計画税課税標準に対して0.3%の税率で課されます

確定申告義務と所得税等・住民税

中古マンションを賃貸して不動産所得が発生すると、所得税の確定申告書を提出する義務が発生ます。また、給与から天引きされている所得税などとは別に所得税や住民税の納税義務も発生します。

購入初期で減価償却費により不動産所得がマイナスとなる場合でも、源泉所得税の還付を受けるためには所得税の確定申告書の提出義務が発生します。

売却時に課される税金

不動産を売却する際に、売却益が発生すると所得税住民税が課されます。不動産の売却益に課される所得税などは、売却する不動産を所有している期間によって名称と税率が異なります。

売却する年の1月1日時点で、5年超所有している不動産の場合、売却益のことを「長期譲渡所得」と言い、税率は20.315%になります。売却年の1月1日時点で保有期間が5年以下である場合、売却益は「短期譲渡所得」と言われ、税率は39.63%とかなり高率な税負担を求められます。

売却年の1月1日時点で所有期間が10年を超える不動産の場合、買換え特例等税負担軽減を図れる特例の適用範囲が広がります。所有不動産の売却を検討される場合は、その物件の1月1日時点での所有期間を意識しておくことは重要です

【注意点】投資物件の減税特例および控除

不動産に係る税金には、さまざまな特例が存在しその適用受けられるか否かにより負担する税額も大きく変わります。たとえば登録免許税は、投資用の家屋には2%の税率で課税されますが、自分が住むための家屋の場合は、一定の条件で税率が0.1~0.3%に緩和されます。

固定資産税は、床面積が50m2以上(貸家の場合40m2以上)280m2以下の住宅を新築した場合、建築後3年から5年間固定資産税と都市計画税が2分に1に軽減されます

不動産取得税は、床面積50m2以上(集合住宅の場合40 m2以上)240m2以下の住宅を取得した場合、建築された時期などに応じて100万円から1,300万円までの控除額が認められています。

注意点は床面積の基準です。固定資産税も不動産取得税も床面積40m2以上の住宅しかこの軽減の対象になりません。つまり、カップルかファミリー向けの部屋が軽減の対象であり、ワンルームなど単身者向けの部屋はこの軽減規定の対象外になります

中古マンション購入に係る税金をシミュレーション

2,000万円で中古のワンルームマンションを購入する場合に、購入代金とは別にどの程度の税負担が課せられてくるのか、いくつか前提を置いて試算してみましょう。

【前提条件】
・床面積25m2ほど
・固定資産税の1/2規定も不動産取得税の特別控除も対象外
・土地代500万円、建物代1500万円で消費税別
上記、前提条件を元に計算すると以下のようになります。合計205万円。これは計画上、無視できない金額ですね。金額の詳細をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
消費税150万円
印紙税1万円+2万円=3万円
登録免許税17万円+8万円=25万円
不動産取得税27万円
合計205万円

消費税

まず、本体価格2,000万円のほかに、消費税150万円を売買代金として決済しなければなりません。

印紙税

2,150万円と記載された不動産売買契約書には、1万円の印紙の貼付が求められます。この中古マンションをローンで購入する場合、金銭消費貸借契約書にも印紙の貼付が必要になります。

2,000万円を借入れる場合の金銭消費貸借契約書に貼付する印紙の額は2万円です。

登録免許税

実際に売買代金を決済するにあたっては、登録免許税が課されます。この中古マンションの固定資産税評価額を土地200万円、建物700万円との前提で計算すると、所有権移転登記に際して必要になる登録免許税は以下の金額になります。
200万円×1.5%+700万円×2%=17万円です。

ローンで購入する場合、抵当権の設定に登録免許税が掛かります。
2,000万円×0.4%=8万円

不動産取得税

購入してから4ヵ月ほどすると、不動産取得税の納付書が送られてきます。上記と同じ前提で計算しますと以下の金額となります。
(200万円+700万円)×3%=27万

中古マンション購入で税金以外に掛かる費用

中古マンション購入時にマンション本体価格とは別に掛かる費用は税金だけではありません。

多くの場合、必要になるのが司法書士の登記費用です。売買代金をローンで決済する場合は、金融機関指定の司法書士が登記業務を行うのが通常です。司法書士の手数料は業務量にもより変動しますが、所有権移転登記と抵当権設定登記の場合、登録免許税とは別に少なくとも10~20万円の手数料が必要になります

中古マンションの売主が個人投資家で、仲介業者が契約業務を行う場合、別途、仲介業者への仲介手数料が必要です。通常これは、物件価格×3%+6万円に消費税を加算した金額となります。先の2,000万円のマンションであれば、2,000万円×3%+6万+消費税なので72.6万円になります。

最近では仲介手数料を値引きする業者もありますので、値引交渉可能かどうか確認することも計画を立てる上では重要です

物件購入前にじゅうぶんな資金計画を

上記で見た通り、中古マンションに限らず不動産の購入には本体代金とは別にさまざまな付随費用が掛かり、またその維持にも種々の税金や付随費用が必要です。

中古マンション投資を始める場合、マンションの賃貸収入でこれらの税金や付随費用を賄ってなお利益が残るのか、網羅的な計画書を作成して検討する必要があります不動産業者の想定利回りなどの情報を鵜呑みにしてはいけません

賃貸マンションは定期的に賃借人の入れ替えが起こるものです。賃借人の入替時は、空室になり賃料収入は発生しませんし、入れ替えに伴うクリーニングや修繕のための支出も発生します。想定したよりも収入は少なく、想定したよりも支出は多くなりがちです

無計画に中古マンション投資を始めてしまうと「労多くして功少なし」どころか、「心労多くして損失持ち出し」との結果になりかねません。

物件購入に悩んだら専門家に相談しよう

中古マンション投資に限らず、不動産投資にはさまざまは税金や付随費用が掛かります。そして考えるべきは税金や付随費用だけではありません。

中古マンションであれば、所在地の利便性や賃貸需要、住環境、入居者、住宅設備や経年劣化の状況など考慮すべきことは多々あります。1人で本を読んで勉強しても思わぬところに落とし穴が隠れているかもしれません。

中古マンション投資に興味はあるけれど不安がある…という方は、不動産会社が主催する投資セミナーなどに参加することも1つの手です。複数のセミナーに参加してみて、自身に合う、信頼できる不動産のプロを探しましょう。不動産会社はセミナー開催と共に個別の無料相談会も開催している場合があります。

そのような機会に、税理士やFPなどとも知り合えることもあります。税理士やFPは、投資計画の作成に力を貸してくれるかもしれませんし、不動産に係る法律や税務、金融などについて有益なアドバイスを貰える可能性もあります。

不動産投資で成功したいと本気でお考えであれば、さまざまな分野の専門家の知見を活用することはとても重要です。是非機会を捉えて多様な分野の専門家と知り合いになり、相談できる環境を整えていくことをおすすめいたします。
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まとめ

この記事では、中古マンション投資を始めるにあたって必要となる税金について、解説を致しました。物件の購入価格とは別にさまざまな税金が課され、付随費用が掛かります。その金額は決して誤差といえる範囲で吸収できるものではありません。

投資の計画を立てる際には、こうした付随的な支出も網羅的に含めて計算しないと、投資判断を誤る可能性が有ります。

そして不動産投資に関して考慮すべきは税金や付随費用のことばかりではありません。是非、不動産に関連する多様な専門家と繋がりを持ち、その知見を活かしてご自身の不動産投資を成功に導いてください。

物件購入の前におさえておきたい税金のイロハ。
不動産投資で成功するためにもしっかり学習しておきましょう!

この記事の監修者

秦 光一郎
秦 光一郎

税理士

会計事務所に勤務しつつ平成16年税理士試験に合格。税務コンサルタント会社にて金融機関をサポートする業務の中、資産税業務の経験を積む。平成22年税理士法人シン総合会計設立。主に中小企業の会計税務支援を中心に、事業承継、資産税業務にも従事。不動産会社の税務相談会相談員、金融機関のセミナー講師等に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。