この記事のポイント
- シェアハウスを始めるためには「物件購入費用」「リノベーション費用」「設備購入費用」などが必要です。
- 経営を始める前に、シェアハウスのコンセプトや入居者のターゲット設定をしっかりと行いましょう。
- 入居者募集や管理運営など、悩みがあればプロの不動産会社に相談することをおすすめします。
シェアハウス経営は難しい?
土地活用や不動産投資の対象の1つとしてよく耳にするシェアハウスについてご紹介しましょう。
シェアハウスとは
シェアハウスとは、一般的に1棟の物件で複数ある居室はそれぞれ個人がプライベート空間として借りているものの、それ以外のキッチンやバス、トイレなどの水回り、リビングといった部分は入居者全員で共有する形式の賃貸物件を言います。
シェアハウスという法的な定義はありません。最近は、居室にもミニキッチンやバスなどが備えられた進化系といわれるものも登場し、一般的な賃貸住宅にシェアハウスの形態が加わっています。
ルームシェア、ゲストハウスの違い
シェアハウスと似たような言葉で、ルームシェア、ゲストハウスがあります。
ルームシェアとは、複数の入居者が1つの物件を賃貸して生活する方式です。ルームシェアは一般的な賃貸物件を貸主の許可を得て、代表者が借主として賃貸借契約を結び、他人である複数人が入居(同居)します。一方シェアハウスは、各入居者がそれぞれ個別に賃貸借契約を結びます。
たとえば、5LDKの一戸建てを居室1つに1人が住み5人でルームシェアすると、水回りやリビングは共有しているため、見た目はシェアハウスと同じような形式になります。従って、契約がどのように結ばれているかという点がシェアハウスとルームシェアの違いといえます。
ゲストハウスは、建物の造りや入居の形態はシェアハウスと似ていますが、数日あるいは数週間といった1か月未満の短期利用のための物件を指していう場合が多いでしょう。
また最近では、集客から運営までを一貫して行う「ソーシャルアパートメント」と呼ばれる物件もあるようです。特徴はアパートやマンションのような一般的な個室に加えて、ラウンジやジム、多目的ルームのような共用スペースが充実している点が挙げられます。
シェアハウスより個室としてのプライベート空間がしっかり確保された上で、共用部分が充実しているのが魅力です。運営側や入居者が開催するイベントもあり、シェアハウスよりも入居者同士が交流を楽しめるよう工夫されています。そのため家賃設定はシェアハウスや一般的な賃貸住宅よりも高めで、入居者はやや余裕のある20~30代の社会人層に人気があります。
シェアハウス経営の現状と課題
現在のシェアハウスの市場は、コロナ禍前の水準にまで回復しており、さらに拡大傾向にあります。その理由は、インバウンド(外国人)需要によりホテルなどの宿泊費が高騰してきたことです。このため定住する日本人の利用以外にも、海外からの留学生や1か月以上の長期滞在者の利用が増えてきています。
また、外国人の雇用促進にあたり、社宅としてシェアハウスを検討する企業も見られます。運営次第では今後も十分に市場性があり、シェアハウス経営は投資としての魅力があるといえるでしょう。
ただし、他人である入居者間の距離が近いことから起こる入居者間トラブルや使用頻度の高い共用部分修繕リスクが高いなどシェアハウスならではの問題や課題があります。
一般的な賃貸住宅との契約形式の違い
シェアハウスの賃貸借契約は、定期借家契約で結ばれるケースが多くなっています。
シェアハウスの定期借家契約は、一般的な賃貸住宅の定期借家契約が2年から3年であるのと比べると、契約期間が3か月から1年と短く、定期借家契約であるため契約の自動更新がありません。また、契約期間中の途中解約も制限されている場合があります。
これは、短期間の契約とすることで入居ルールやマナーを守ることができる入居者かを確認でき、トラブルが起こりそうであれば再契約をしないことで退去させ、トラブルを回避できるというメリットがあるからです。定期借家契約は、更新がない契約である旨を事前に入居者に説明する義務があります。入居者が内容を理解したうえで契約を結べば、理由の説明なく、期間満了で契約を終了させることができます。
こうした特徴から、定期借家契約はシェアハウス経営に合った契約形態であると言えます。国土交通省のデータによれば、シェアハウスの77.5%が定期借家契約を採用しています。
契約形態など | 定期借家契約 | 普通賃貸借 |
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住宅形式 | シェアハウス | 賃貸住宅 |
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一般的な契約期間 | 3ヶ月から1年 | 2年から3年 | 2年 |
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更新の有無 | 更新なし | 原則更新 |
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説明義務 | 一般的な重要事項説明定期借家に関する説明 | 一般的な重要事項説明 |
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シェアハウスの経営方法
シェアハウスの経営には大きく分けて3つの方法があります。一般の賃貸物件とは異なり、共用スペースの管理や入居者の生活ルールといった独特なノウハウが必要になるため、ノウハウを持った事業者が自主管理する、あるいはそういった管理業者に管理を委託している物件が多くなっています。
管理委託
管理委託は、主にシェアハウスの管理ノウハウを持っている管理業者に運営管理を委託する方式です。入居者の募集・契約手続きのほか、家賃徴収代行、共用スペースの清掃管理代行、入居者の交流を促すイベントなどの運営などを管理業者が行います。ノウハウのある管理業者に運営を委託できることから賃貸経営の手間がかなり軽減されますが、家賃の10~15%程度の管理手数料がかかります。
サブリース
サブリースは、シェアハウス運営を行う事業者が建物を一括で借り上げる方式です。この「借り上げ」は賃貸契約の一種で、マスターリース契約と呼ばれます。事業者が入居者との間で転貸借契約(サブリース契約)を結び、併せてシェアハウスの運営管理も行います。一般的にサブリースの賃料は市場賃料で設定され、マスターリースの賃料はサブリースの賃料から15%~20%差し引いた金額に設定されます。この賃料の差がサブリースする事業者の利益になります。
物件のオーナーからすると、シェアハウスの運営管理を事業者に任せられる点については管理委託方式と同様ですが、サブリースする事業者に一棟まるごと賃貸するため、入居者の有無に関係なく賃料が入り、空室リスクから解放される点が異なります。市場の賃料と比べてやや賃料収入が減りますが、収入が安定することはオーナーにとって大きなメリットです。ただし、マスターリース契約の条件によっては、数年おきにシェアハウスの経営状態に応じて、家賃の減額調整(見直し)が条件となっている場合も多いので注意が必要です。
自主管理
自主管理とは、シェアハウスの運営管理をみずから行う方式です。管理委託料を支払う必要がないために3つの管理方式の中では最も収益性が見込めますが、当然、運営管理のコストは必要で、かつ管理の手間がかかります。
シェアハウス経営は、通常の賃貸住宅の管理とは異なり、共用スペースの管理や入居者間のトラブルを避けるためのルール作りや入居者間の交流を促す仕組みを設けるなど独特のノウハウが必要になってきます。一般的な賃貸住宅の自主管理と比べて、より管理の手間が増えるので、時間に余裕があり、人とのコミュニケーションが好きな人向けの管理方法であると言えるでしょう。
シェアハウス経営のメリット
シェアハウス経営は、一般的な賃貸住宅経営とは異なり、通常の賃貸管理に加えて共用スペースの管理や入居者の管理やコミュニケーションが必要になります。そのため、一般的な賃貸住宅経営とは違ったさまざまなメリットやデメリットが生じます。以前は共用スペースとしてキッチンや浴室を他人と共用することに抵抗がある人が多かったのですが、最近ではテレビやメディアのポジティブな印象の影響があり受け入れられやすくなっているようです。
収益性が高い
シェアハウスは、キッチンや浴室などを複数の入居者で共用するため、各居室にキッチンや浴室などの空間が必要なく、同じ建物面積で同じ居室面積なら、一般的な賃貸住宅よりも居室数を多く造ることができます。また、賃料も一般的な賃貸住宅と比べてそれほど安く設定する必要もないため、同規模の一般的な賃貸住宅よりも収益性が高くなります。収益性を高くすることができるという点はシェアハウスのメリットの一つです。
一般的な一戸建てをシェアハウスに転用できる
一般的な一戸建ては賃貸住宅として貸し出す場合、通常、家族向け一世帯の賃貸住宅として貸し出されることが多く、複数の入居者に貸すことは難しいです。しかし、一般的な一戸建てを少し改良してシェアハウスの契約形式やルールなどの仕組みを導入することで、水回りなどを共用したシェアハウスに転用できます。一般的な一戸建てをシェアハウスに転用することで、通常の賃貸住宅として貸し出すよりも収益性が高まる可能性が高くなります。
一般的な賃貸住宅とターゲットが異なる
シェアハウスは、他人と一部を共用し、コミュニケーションを取りながら共同生活をおくるという特徴から一般的な賃貸住宅より客層(ターゲット)が絞られます。特徴的なコンセプトを設定することで、一般的な賃貸住宅とより差別化でき、入居率がアップする可能性もあります。
とくに、賃貸住宅が多く競合が激しい地域では、シェアハウスがこのような差別化を図れることがメリットとなります。
シェアハウス経営のデメリット
一方で、シェアハウスの管理コストや共用スペースの設備コストは一般物件よりも高くなることがデメリットになります。新規でシェアハウスに投資する時には、賃貸収益とシェアハウス特有の管理コストとの兼ね合いを考えて事業計画を立てる必要があります。また、入居者の交流を前提にしているために、時には入居者間トラブルが起きる可能性があることにも注意する必要があります。
管理の手間や難易度が高い
シェアハウスはこれまで説明してきた通り共用部分の管理や入居者管理の面で一般的な賃貸住宅よりも手間がかかるうえ、入居者の生活ルールや貸主側で提供する細かい備品の管理といった独特のノウハウが必要になります。そのため、一般的な賃貸住宅比べて運営(経営)する難易度は高くなります。
従って、一般の個人がシェアハウスを経営する場合には、管理運営のノウハウを持った事業者に委託することが賢明で、実際、そのようなケースが非常に多くなっています。
設備や備品にコストがかかる
シェアハウスは、水回り浴室、リビングなど入居者が共用するスペースがあり、共用スペースの家電や家具類などの設備や備品は貸主が用意することが多く、それらの設備や備品の設置にかかる費用以外に修繕も貸主の負担になります。従って、一般的な賃貸住宅よりコストがかかります。また、一部消耗品も貸主が負担するため、意外とコストがかかります。一般的な賃貸住宅ではかからないコストでもあるため、この点はシェアハウスのデメリットといえます。
入居者間のトラブル発生率が高い
シェアハウスは、他人が共用スペースを共同で利用しながら生活するため、1人でもルールを破る者が出てくると、入居者全体に影響するトラブルとなります。一般的な賃貸住宅でも隣室の入居者の迷惑行為で入居者間のトラブルに発展することはありますが、シェアハウスでは、入居者同士が接する機会が多いため、トラブルの発生率が非常に高くなります。
また、入居者間である種のグループが形成されてグループ間の対立が発生したり、一部の入居者に対する嫌がらせが発生したりといった入居者間トラブルもシェアハウスでは起こり得ます。
シェアハウス経営を始める前には、まずシェアハウスのコンセプトや入居者のターゲット設定をしっかりと行う必要があります。
入居者が何を求めてこのシェアハウスを選ぶのかを考えて、内装デザインや運営管理方法に反映させることで、効果的なシェアハウス経営が実現できます。
逆にコンセプトがはっきりしないシェアハウスは、入居後のイメージがわかないために入居募集がうまくいかないこともしばしばです。入居後にも入居者同士のコミュニケーションがうまくいかずトラブルに発展するケースもあります。
建物の転用が難しい
元々シェアハウスとして建てたアパートやマンションは、転用が難しくなります。シェアハウスは水回りを集約しているため、給排水配管やガス管などが個室に配管されていません。そのため、オーナーが一般的な賃貸住宅に転用しようとした場合、そのままの間取りでは配管を新たに設置することができないか、設置できたとしても高額な費用がかかります。また設備も含めてすべて後付けするため見栄えもよくありません。従って、通常シェアハウスを転用する場合には、ほぼフルリフォームすることが多く費用は高額になります。
そういった意味では、シェアハウスの転用は難しく、デメリットの1つとなります。
アパート・マンション経営との違い
一般的な賃貸住宅であるアパートやマンション経営とシェアハウスの経営では、以下のような点で異なります。
運営管理が異なる
ここまで紹介したように運営管理において、一般的な賃貸住宅とシェアハウスでは入居者との関わり方が異なります。シェハウスの共用スペースは基本的に運営者が管理し、使い方のルールを設定したり、イベントを主催したりといったことのほか、清掃や備品などの整備・補充も比較的高い頻度で行います。そのため、運営側である貸主が入居者に関与する部分が多くなります。
入居者募集方法が異なる
一般的な賃貸住宅は、不動産会社に賃貸募集を依頼し、依頼を受けた不動産会社が広く入居者募集を行います。一方、シェアハウスでも一部は不動産会社が通常の賃貸募集のように入居者を募ることがありますが、最近はシェアハウス専用のポータルサイトや運営会社の自社ホームページなどで独自に入居者募集を行うのが主流になっています。
そのため、入居者募集の効果的なチャンネルを見つけることが一般的な賃貸住宅よりも大変になります。
契約期間が異なる
契約の違いについては前述しましたが、シェアハウスの契約期間は比較的短く、入居者の入れ替えや契約機会(定期借家契約の場合、更新ではなく再契約)が増えます。当然、その手間が増え、委託している場合はその分の費用負担が増えます。こうした費用は当初からシェアハウス運営のコストとして、ランニングコストの一部として念頭に入れておく必要があります。
シェアハウス経営に必要な初期費用
シェアハウスを経営するにあたり、必要な初期費用について簡単に紹介します。
初期費用
シェアハウスを始めるためには、物件を購入するか、リノベーションすることになります。中古シェアハウスまたは新築の建売シェアハウスを購入する、所有する土地に新たに建物新築する、所有する物件をシェアハウスにリノベーションするなど具体的な始め方はさまざまです。それぞれの始め方で初期費用が異なりますので、個人がシェアハウスを始めるのに最低限必要な初期費用を見てみましょう。
シェアハウスを購入する場合
ケース | 費用概算 | ローンの利用 | 備考 |
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新築建売のシェアハウス購入
| 1億円~ | 〇 | 土地も同時に購入 |
中古シェアハウス購入 | 数千万円~ | △ | 同上 |
所有する土地にシェアハウスを新築 | 数千万円~ | 〇 | 所有する土地を担保とする |
いずれも当然ながら立地や建物の構造、規模によって購入金額は大きく異なります。新築建売の購入や建物を新築する場合は、金融機関は限られますがアパートローンなどを利用して購入することができます。一方、中古は築年によってはローンの利用ができる物件とできない物件もあります。
ローンを利用できる場合でも最低限の諸費用は必要となるため、自己資金は物件金額の10~20%は用意しましょう。
シェアハウスにリノベーションする場合
所有する不動産をシェアハウスにリノベーションする場合、どこまでリノベーションが必要なのか、あるいはどこまでリノベーションするかで初期費用は大きく異なります。たとえば、一戸建てを最低限のリノベーションでシェアハウスにするなら、100万円程度で済むこともあります。一方、所有する一棟マンションをリノベーションする場合、数百万は確実に必要となります。元の建物の造りやリノベーションのグレード次第では数千万円かかることもあります。
また購入とリノベーションを同時に行う場合、前述した中古物件の購入にかかる費用とリノベーション費用がかかりますが、新築物件を購入するケースより費用を抑えることができる場合もあります。
とくにシェアハウスのリノベーションについては、共有スペースとしてリビング、キッチン、トイレ、浴室を改装するのが一般的です。一方、賃貸用マンションをリノベーションする際は、共有スペースをラウンジとキッチンのみとして、個室には元々ある浴室とトイレを備えたワンルームタイプのシェアハウスにすることも可能です。
また、シェアハウスには、物件を購入しただけでは始めることができないため、初期費用として設備や備品の費用が必要です。設備としては、共用スペースのリビングに設置するソファーやテーブルなどの家具、大型テレビ、Wifi設備などは必須です。特にキッチンには炊飯器や電子レンジ・オーブンのほか、鍋・フライパン、調理器具、食器など共用する細かな備品も必要になってきます。個室の設備は入居者が用意することもありますが、ベッドや照明、机・椅子、クローゼットなど基本的な家具が用意されているところが人気です。
こうした共用スペースの設備や備品は100~200万円程度、個室は1室あたり50~100万円を見込んでおくとよいでしょう。
ランニングコスト
シェアハウス経営では、ランニングコストとして一般的な賃貸住宅ではかからないコストがあります。たとえば、共用スペースに用意する設備や備品の交換・修理のほか、屋外だけでなく室内も清掃が必要でその頻度もかなり高くなります。また、コンセプトによっては共有スペースに特別な設備が必要になったり、イベントを実施するコストなどが追加でかかったりすることがあります。
さらに、管理を委託する場合は、管理委託費も一般的な賃貸住宅よりも高くなっています。共用スペースなどの水道光熱費についても、賃料や管理費として入居者から徴収するとしても貸主の負担で支払うため、やはり毎月の費用として高い傾向があります。
シェアハウスを始める流れ
シェアハウスを始めるパターンとしては、既存の中古シェアハウスを購入して始める、新たに新築する、所有する物件をシェアハウスにリノベーションして始めるといったものがあり、経営を始めるまでの流れが異なります。
シェアハウスを始めるまでの流れ
上記の表にまとめた通り、購入する場合と新築やリノベーションする場合とでは流れが異なります。購入する場合は中古物件と新築物件ともに似た流れになりますが、中古物件はすでに運営中です。そのため、引き渡し後も運営が継続される点が、新築物件との違いになります。また、新築と既存物件のリノベーションも流れとしては似ていますが、一般的に施工期間がリノベーションする方が短く、経営のスタートも早くなります。
なお、ローンの申し込みタイミングにはさまざまなケースがあります。ローンを利用できないこともあるので、早めに金融機関に相談した方がいいでしょう。
シェアハウス経営で成功するための5つのポイント
シェアハウス経営で成功するには、以下のようなポイントについて意識する必要があります。
1.事前調査を行う
一般的な賃貸住宅と同じく、事前の調査が不可欠です。まず、シェアハウスに対するニーズがある立地か否かは重要です。シェアハウスを利用するのは、最近は社宅としてのニーズもあるようですが、比較的年齢が若い傾向があり、そういった層の利用が期待できるかどうかの事前調査は非常に重要です。
2.需要のあるコンセプトを打ち出す
シェアハウス経営を始める前には、まず入居者のターゲット設定をしっかりと行い、ニーズに合ったシェアハウスのコンセプトを決める必要があります。入居者が何を求めてそのシェアハウスを選ぶのかを考えて、内装デザインや運営管理方法に反映させることで、効果的なシェアハウス経営が実現できます。
逆にコンセプトがはっきりしないシェアハウスは、立地や賃料などの入居条件だけで競合物件と比較されることになり、希望の条件では入居者がなかなか決まらないこともしばしばあります。コンセプトが明確なシェアハウスと比べると、入居者の属性がまちまちになり、入居者同士のコミュニケーションがうまくいかずトラブルに発展するケースもあります。
シェアハウス経営で失敗してしまう要因の多くは、事前のマーケティング不足によるものです。物件の立地やコンセプトによって、想定する入居者の属性は違ってきます。たとえば、女性限定、学生限定、社会人限定などによって、シェアハウスの内装デザインや運営方法が異なってきます。事前にコンセプトを固めたうえで入居者のイメージをつかんでおくことがシェアハウス経営成功の第一歩です。
3.入居者の生活ルールをターゲットに合わせる
内装や設備はもちろん、入居者の生活ルールもターゲットやコンセプトに合わせる必要があります。シェアハウスならではの特徴として、入居者の生活ルール設定も非常に重要です。厳しすぎる生活ルールは、入居者から敬遠されて入居者がなかなか決まらなかったり、入居してもすぐに退去されてしまったりする原因となります。逆に緩すぎるルールも住居者間のトラブルが発生しやすくなり、やはり入居してもすぐに退去されてしまい、安定した経営ができない原因になります。
4.実績のある事業者に相談、依頼する
上記で紹介したポイントに関して、調査や入居者の生活ルールの設定を個人で実施するのは難しいことでしょう。また入居者募集、管理運営自体も独特のノウハウが必要になってきます。そこで、まずはシェアハウスの運営ノウハウのあるプロの事業者に相談してみることをおすすめします。「土地活用一括相談サービス」では、シェアハウス経営のノウハウに長けたプロフェッショナルが親身になってご相談に応じてくれます。
5.入居者の声を聴く
シェアハウスはさまざまな人が入居し、水回りなど一部を共用しながら共同で生活をするので、一般的な賃貸住宅とは異なったクレームや要望が発生します。そうした入居者の声を聴いて、入居者の意見を取り入れることがポイントになります。より住みやすくなれば退去者が減り、安定したシェアハウスの経営が可能になってきます。一方、わがままな意見もあるので、どこまで入居者の意見を取り入れるかも運営側の重要な判断になります。
まとめ
シェアハウスはここ数年で物件数が急激に伸びており、若者や女性を中心に認知度が高まっています。ネット上のコミュニティーだけでなく、人と人との交流を求める人が増えてきていることも、人気が高まっている一因でしょう。
最近では空き家対策の一環として、老朽化した広めの一軒家を改装してシェアハウスにしている例も見受けられます。シェアハウスの運営例も都市部のみならず全国に広がってきています。これを機会に、シェアハウスへの投資も選択肢の1つに加えてみてもいいかもしれません。
この記事の監修者
秋津 智幸 公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。
●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。
中古のシェアハウスは、意外と売りに出ており、一般的な賃貸アパートやマンションと同規模であれば、利回りが高めであることが特徴です。ただし、シェアハウスは運営コストが一般的な賃貸住宅よりも高い傾向があるので、利回りは高くても収支が期待しているよりよくない物件もあります。物件の購入にあたっては、実質的な収支をよく検討することが大切です。