サ高住の安定経営を目指すなら、
リスクを把握し、対策することが大切です!
目次
サ高住経営は利回りが高く安定した経営が望める…?

また、そうした入居者の問題の他にも広大な土地と大きな建物が必要なことによる投資額の大きさや、事業者が撤退してしまった時の転用性の低さなどもリスクとなります。
さまざまなメリットがあるサ高住ですが、リスクは多いことをよく理解しておくことが大切です。サ高住経営の特徴やメリット・デメリットは以下の記事でまとめていますので是非ご覧ください。
サ高住経営は甘くない…
一方、国土交通省の公表資料を見てみると2011年から2015年の間に125の事業者が廃業届けを出していることが分かっています。割合としてはそう多くないですが、事業がうまくいかないケースも一定数あることが確認できます。
サ高住経営に潜むリスクとは

人的リスク
一般的に、人は年を重ねると認知症になるリスクが高まり、場合によっては対人トラブルに発展するケースもあります。
事故リスク
賠償責任リスク
たとえば、「入居者同士のケンカが起こり、スタッフが止めに入った際にスタッフの肘が入居者にあたりケガをさせてしまった場合」や、「施設の廊下が滑りやすくなっていたために入居者が転倒してケガをした場合」などが該当します。
これらはもちろん通常の賃貸経営においても気を付けるべき点ですが、サ高住などの高齢者向け施設ではよりリスクが高いと言えるでしょう。
事業リスク
このことから空室リスクは通常の賃貸経営より大きくなります。また、サ高住はオーナーが設備の建設費用を支払い、事業者が変わりに事業を行う形が多いですが、経営状況が悪化すると賃料が減らされることがあります。
さらに、サ高住は建設費用が高いものの手厚い補助金があることが人気の理由の1つとなっていますが、今後制度の改正により補助金が増減するおそれがあります。サ高住を始める際には家賃減も想定した収支計画を立てたり、補助金情報など業界の情報をしっかり把握したりすることが大切です。
最悪のシナリオはサ高住の廃業
サ高住のための施設は、業者が撤退してしまうと他の業態に転用しにくいという問題があります。高額な費用をかけたのにも関わらず、何らかの理由で事業を委任した事業者の経営がうまくいかず、撤退してしまえば、最悪の場合、賃料を受け取れないまま高額なローンだけが残ってしまうことになります。
サ高住経営に潜むリスクはさまざま。
専門家の力を借りながら事前準備を行いましょう!
リスクを減らすための対策

設備とサービスを整える
賃貸業務をしっかり行う
事業者とコミュニケーションをとる
事業を委任してしまえば、事業者に任せるだけで賃料を受け取れると言えばそうなのですが、オーナーとしても事業者とコミュニケーションを取りながら現場の問題や業界の問題に対する対策を考えていくことで、それぞれのリスクを減らすことができるでしょう。
賠償責任保険に加入する
こうした保険は、いざ事故が起きた時の損失を防ぐという面と、入居者が安心して施設に住めるという面の2つの面でメリットがあります。サ高住のリスクを低減させるための一つの方法として保険の利用を検討してみるとよいでしょう。
サ高住経営の準備段階で検討しておきたいこと

サ高住ではオーナーが土地や建物を用意し、施設を事業者に貸し出す形で運営するのが一般的ですが、同じ事業を委任するのでも、いくつかの経営方式があります。
たとえば、全てを委任する「一括借り上げ方式」と基本的なサービスは業者に委任するものの、入居者募集やメンテナンスはオーナーが行う「テナント方式」とでは、前者であれば経営の手間は一切かかりませんが、受け取れる賃料は少なくなってしまいます。
施設の準備にかかったお金と、毎月のローン返済額を想定したキャッシュフローを計算し、明確な事業計画を作成するのと含めて、どの経営方式がよいかをしっかり比較検討するとよいでしょう。なお、サ高住は全てを自分で運営することもできますが、サ高住を運営するには介護人材の確保という非常に難度の高い問題があるため、おすすめできません。
まとめ

一方で、高齢者向け施設の運営にはただの賃貸経営にはないリスクがたくさんあり、これからサ高住を始める方はそれらのリスクを適切に把握し、しっかりと対策していくことが求められるでしょう。
サ高住の安定経営を目指すなら、
リスクを把握し、対策することが大切です!

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。