繰り上げ返済をするかどうか、
必要性をしっかり検討することが大切です。
目次
繰り上げ返済とは|するべきではない?
また、「不動産投資では繰り上げ返済するべき?」という疑問に対する結論は、ケースバイケースになります。具体的には、以下の基準を参考にしてみてください。
【繰り上げ返済をしても良いケース】
繰り上げ返済の種類【期間短縮型・返済額軽減型】
期間短縮型 | 毎月の返済額を変えずに、返済期間を短くする方法 |
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返済額軽減型 | 返済期間を変えずに、毎月の返済額を少なくする方法 |
期間短縮型は返済期間が短くなるため、早く完済したい人に向いています。返済額軽減型は毎月の返済額が減るため、キャッシュフローを増やしたい人向きです。
繰り上げ返済のメリット
借金を早く返済できる
支払う利息が少なくて済む
次の借り入れに向けて動きやすくなる
「年収○万円の人に対する融資は○万円まで」のように限度額が決まっているケースもあるため、年収に対して借金の残高が多いと審査に通らないおそれがあるでしょう。繰り上げ返済をして借金の残高を減らしておけば、次の融資を受けやすくなる可能性があります。
ただし、融資審査では資産背景や職業、担保となる不動産の価値などさまざまな観点から総合的に判断します。審査基準は金融機関によって異なるため、借金の残高が少ない=審査に通りやすいと一概には言えません。
繰り上げ返済のデメリット
次の融資を引くのが難しくなる
しかし、金融機関との関係性を考えると良い面ばかりではありません。なぜなら、投資家が支払う利息が減ると、金融機関の利益が減るためです。投資家が支払うローン利息は、金融機関にとっての利益。繰り上げ返済をすると、金融機関が得られるはずだった利益が減ってしまいます。
そのため、繰り上げ返済をすると金融機関からの印象が悪くなるおそれがあり、次の融資を受けにくくなるかもしれません。現在の借り入れ先と長く付き合いたい場合、繰り上げ返済するべきかどうかは慎重に検討しましょう。
手数料が必要になる
【手数料の具体例】
自己資金が減る
不動産投資ローンの審査では、契約者の資産背景や自己資金の有無が審査対象になるケースが多く、無理に自己資金を使うと、融資審査に通りにくくなるおそれがあります。
また、不動産投資では「突発的な支出に備える」という意味でも自己資金が必要です。とくに、水回り設備の故障など入居者の生活に直結するケースもあるため、すぐに使える現金を用意しておくべきでしょう。
自己資金を有効活用したいと考えている場合、次の物件の購入資金や現在保有中の物件への設備投資、あるいはほかの金融商品への投資など複数の選択肢があります。本当に繰り上げ返済するべきかどうか、慎重に検討しましょう。
繰り上げ返済のシミュレーション
少々極端な例ですが、繰り上げ返済のタイミングによって効果がどれだけ変わるのかを確認してみてください。
【条件】
【ケース1】借り入れから1年、100万円を繰り上げ返済
【ケース2】借り入れから30年、100万円を繰り上げ返済
借り入れから1年後に繰り上げ返済した場合は、期間短縮型で約130万円の負担軽減だったため、ケース1とケース2では負担軽減の効果に100万円以上の差があります。このように、繰り上げ返済は借り入れ開始から早い段階で行うほど、効果が高くなる仕組みです。
繰り上げ返済の注意点
返済額や期間の縮小だけにとらわれないこと
たとえば、デメリットでも解説したとおり、繰り上げ返済は手元の自己資金を使うため、次の融資を受けにくくなります。融資を受けられなければ、不動産投資の大きなメリットである「レバレッジ効果」を活用できません。
不動産投資におけるレバレッジ効果とは、融資を利用して少ない自己資金で大きな利益を得られることです。レバレッジ効果は、できる限り少ない自己資金で利回りが高い物件に投資した時ほど効果が高くなります。
繰り上げ返済をすると購入する物件に対する自己資金の比率が高くなるため、レバレッジ効果が小さくなってしまいます。効率良く不動産投資を行ううえで、繰り上げ返済がベストな選択肢なのかどうか、再度検討してみてください。
繰り上げ返済の必要性をよく考えること
アメリカをはじめとした先進国で金利が上がる中、日本は今の所低金利を続けています。繰り上げ返済をするということは安く買ったものを結局安い時に手放してしまったことと同義です。
繰り上げ返済以外の方法を検討する
たとえば、変動金利から固定金利への借り換えも選択肢の1つです。固定金利は借り入れ当初から完済まで金利が変わらないため、金利相場が低いうちに切り替えておけば将来的な金利上昇に備えられます。ただし、固定金利は変動金利よりも金利相場が高くなっています。借り入れ後は多少、金利が上がる点にご注意ください。
まとめ
ただし、自己資金に余裕がない場合や次の物件を購入したい場合など、無理に繰り上げ返済しない方が良いこともあります。デメリットや注意点をしっかりと確認しておきましょう。
不動産投資をどこまで続けていきたいのか今一度確認しましょう。
繰り上げ返済をするかどうか、
必要性をしっかり検討することが大切です。
この記事の監修者
八木エミリー
【資格】証券外務員一種/2級FP技能士
新卒時に野村證券に入社。新人時に営業成績東海地方1位を獲得。2016年より不動産を購入。現在7棟を所有。2019年より独立系ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。オンラインサロン「em会」にて金融知識の啓蒙に務める傍ら、地域活性事業など活動も行う。東京駅に近いバイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナー。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」など執筆。
不動産投資の一番のメリットと言っても過言でないのがレバレッジを効かせられることです。繰り上げ返済をすることはそのメリットをまったく享受しないことになります。