アンボンド工法
あんぼんどこうほう
アンボンド工法とは、コンクリートスラブ内にPC鋼材を通して強度を高める工法です。
アンボンド工法とは、RC造や
SRC造の建築物で用いられる工法で、コンクリート
スラブ内にPC鋼材を通して強度を高める工法です。
PC鋼材とは、プレストレストコンクリート鋼材の略で、高強度鋼の線と棒をより合わせたもので、緊張材として使用されます。
スラブ内にPC鋼材を放射線状に配置し、専用のジャッキでPC鋼材を緊張させる(引っ張る)ことでコンクリートに圧力が加わり、上向きの吊り上げ力が生じることで荷重を打ち消す働きが生じます。その結果、床
スラブのたわみやひび割れを防止する効果を発揮します。
アンボンド工法により、小
梁がない広い空間が可能となり、設計の自由度も高まります。また、長期的にたわみやひび割れを防ぐ効果があります。
なお、アンボンド工法は工期が短縮でき、小
梁がないぶんだけ
階高を減らせるなどの経済性がありますが、施工技術を要し、水回りなどの配置によってはPC鋼材の配置に不向きな場合もあります。また、
スラブ厚が十分でない場合には、遮音性は落ちる傾向があります。
SRC造
SRC造は、柱や梁などの骨組みに、鉄骨を軸としてその周りに鉄筋を組み込み、そこにコンクリートを流し込んだ構造です。SRCは、SteelReinforcedConcreteの略で、一般的には、コンクリート造よりも強度や粘り強さに優れ、高層建築物に採用されてきました。かつては、高層ビルではSRC造で建設することが一般的でした。しかし、技術力の向上によって、現在では超高層ビルもRC造でできるようになり、最近はRC造が一般的です。
スラブ
スラブとは、本来は「石板」を意味します。鉄筋コンクリートのマンションでは、床の加重を支えるコンクリートの床板を床スラブといいます。屋根を構成する板は、屋根スラブといいます。
スラブは大梁や小梁と一体化して成型されます。一般的にスラブが厚いほど遮音性が高いといわれています。最近のマンションでは200mm以上が大半で、250~300mmの厚さを持たせているものもあります。また、梁で囲まれたスラブの広さをスラブ面積といい、スラブ面積が小さいほど床がたわんだりすることに対抗できる力(剛性)が強くなり、重量衝撃音(床を走る音など)が響きにくくなります。
梁
梁とは、建築物の骨組みのなかで、建物に対して水平方向に渡し、屋根や床など建物の上からの荷重を柱に伝えて建物を支える部材をいいます。柱と連結して支える梁を「大梁」、柱に直接つながっていない梁を「小梁」といいます。元来は、屋根の棟木(むなぎ)に対して直角に渡したものを梁と呼び、水平に渡したものは桁(けた)と呼んでいました。そのため、棟木と水平方向の建物の奥行きを梁方向、直角に交わる方向を桁方向といいます。また、屋根を支える梁を小屋梁(こやばり)、床を支える梁を床梁(ゆかばり)と呼びます。
木造建築では、梁には松や米松、杉などが使われます。また、「現し」といって、梁を露出させて意匠を施すものもあります。
階高
階高とは、建物の下の階の床面から上の階の床面までの高さのことで、建物の1階分の高さを指します。
マンションなどでは、階高が高いと、床スラブの厚さを厚くしたり、二重床や二重天井に一定の高さをもたせ、天井高も高くすることが可能です。例えば、天井高2m50cm、床スラブ厚さ20cm、二重床の高さ15cm、二重天井の高さ8cmのマンションでは、階高は2m93cmとなります。ただし、高層になるほど床スラブも厚くなるので、階高も高さが必要となります。また、開放的なリビングなどで室内空間が広い場合には、天井高も高い方がバランスがよく、逆に小ぢんまりした空間では低めの天井のほうが落ち着きが出ます。
なお、階高を低くして階数を増やすことで、1戸当たりのコストを削減するマンションもあるので、パンフレットなどを見るときには、天井高だけでなく階高にも注意することが大切です。