ベタ基礎
べたきそ
ベタ基礎とは、建物の底一面をコンクリートで覆う基礎です。
ベタ
基礎とは、建物を支える
基礎構造の一つで、建物の底全体をコンクリートで固める構造です。やや軟弱な地盤や
敷地全体で
地耐力が安定した地盤に適した
基礎とされています。
ベタ
基礎は、地面全面に防湿シートを敷き、その上に
鉄筋を縦横に配筋します。間取りや地盤の状況によっては、
鉄筋の太さや間隔を調整します。ベタ
基礎も
布基礎と同様に、建物の外周部と
耐力壁が通っている部分は立ち上がり部分とします。配筋の上からコンクリートを打ち込んで底板とし、立ち上がり部分と一体化させて強固に接続します。
ベタ
基礎は
布基礎に比べて
不同沈下が起きにくいと考えられていますが、地盤によって適切な
基礎は異なってきます。
地盤調査に基づいて、
地耐力や地質に合った
基礎を選ぶことが重要です。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
地盤調査
地盤調査とは、建物などを建てる際に、地盤の性質や強度などを調べることです。地盤調査によって、建物が安全に支えられるかどうかを把握し、必要に応じて地盤改良工事や構造の設計を行います。
地盤調査の方法には、スウェーデン式サウンディング試験(SWS)、ボーリング調査(標準貫入試験)、表面波探査法、サンプリングなどがあります。宅地ではSWSが一般的で、先端がキリ状の器具に荷重をかけて地盤の強さを測定します。SWSは敷地の5ケ所以上の測定が基本で、コストは1ケ所につき2~3万円が相場です。マンションやビルなどを建設する際には、ボーリング調査を実施します。最も基本的な地盤調査で、地耐力を測定すると同時に、土を採取して地質も調べます。表面波探査法は、地表から地中に振動波を発信して地盤の固さを調べるもので、SWSとボーリングの中間ぐらいの精度です。
耐力壁
耐力壁とは、建物自身の重さや積雪などによる上からの荷重(鉛直力)と、地震や台風などによる横からの力(水平力)に対抗して、建物を支えるための壁のことです。このような外力に対して建物が安全な構造となるように、筋交いを入れたり、構造用合板を張った壁を耐力壁といいます。
必要な耐力壁の量(必要壁量)は、建物が重くなるほど、床面積が広くなるほど大きくなります。また、形状によっても必要壁量は異なり、細長い建物などでは必要壁量も多くなります。耐力壁の強度を壁倍率といい、壁倍率を増やすことで耐震性を高めることができます。加えて、ねじれなどの力に対抗するには、耐力壁の全体バランスも重要です。
なお、構造上の役割がなく、空間を仕切るだけの壁を間仕切り壁といい、リフォームなどで取り外すことが可能ですが、耐力壁は撤去できません。
地耐力
地耐力とは、地盤が建築物などの重みにどの程度耐えられるか、また、地盤沈下に対してどの程度抵抗力があるかを示す指標です。単位面積あたりの荷重で表現し、t/m2や、kN/m2の単位で表わします。
地耐力は、地質調査の結果から得られた支持力(何t/m2の荷重まで地盤が破壊しないか)と、地盤沈下が予想される地盤に対しては、何t/m2までなら許容沈下量に収まるかの2つの要素を測定し、低い方の数値を地耐力として採用します。これを長期許容地耐力と呼びます。
長期許容地耐力は、地質や建築物の重さや基礎のつくりかた、地下水位などによって変わってきます。そのため、地耐力に応じた地質改良や基礎構造が必要です。
鉄筋
鉄筋とは、鉄筋コンクリート造の建築物に使用される構造材です。鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートが一体となったもので、直系1~3cm程度の鉄筋を針金で縛るなどの方法で格子状に組み合わせ、コンクリートの中に埋め込み、引張力に弱いコンクリートを補強します。
鉄筋は圧縮には弱く、引張に強い性質があり、コンクリートは圧縮に強く、引張に弱い性質があり、両者の弱点を補い合うことで高い強度を獲得します。また、鉄とコンクリートは付着性がよく、コンクリート中の鉄筋はサビにくく耐久性にも優れます。
鉄筋にはその形状から、断面が丸い丸鋼と、コンクリートとの付着をよくするために表面に突起などの付いた異形棒鋼の2種類があります。また、鉄筋同士をつなぎ合わせる方法は、針金を巻いて縛る重ね継手と呼ばれる方法のほか、金物やネジでジョイントする機械式継手などがあります。
布基礎
布基礎とは、木造住宅の基礎として一般的に採用されてきた基礎です。外壁や間仕切り壁に沿って、あるいはトイレや浴室の周りなどに、連続して帯状の基礎が設けられます。連続フーチング基礎とも呼ばれます。
布基礎の「布」とは、水平を意味し、断面が逆T字型になった鉄筋コンクリートが水平に連続しているものです。フーチングとは、逆T字型の底の部分で、建物の荷重を分散して地面に伝えます。軟弱地盤では、フーチングの幅を広げ、フーチング底辺の深さを深くすることで対応します。
最近では、布基礎よりベタ基礎のほうが耐震性に優れているといわれてベタ基礎の採用が増えていますが、安定した地盤であれば布基礎で十分強度を確保できます。
不同沈下
不同沈下とは、地盤や建物の基礎が、場所によって不均一な沈下が生じることで、これによって建物に亀裂が入ったり、基礎の破損や建物が傾くなど、大きな被害が発生することがあります。
不同沈下では地盤の沈下が水平でないため、建物が傾くと部分的に荷重が加わり、ねじれによって損傷を受けたり、柱や梁など構造にも影響を及ぼすことがあります。
不同沈下の原因には、軟弱地盤に荷重の偏った建物が立っている場合、造成地における切り土と盛り土の境界などで十分に締め固めできていない場合、建物の下の軟弱地盤の厚さが一様でない場合、雨水や地下水の浸透や汲み上げで地盤が動く場合などがあります。
不同沈下は建物倒壊の危険もあるため、地盤補強工事などの対応が必要です。