空中権
くうちゅうけん
空中権とは、土地の上空の空間を利用する権利または、未利用の容積率を移転する権利です。
空中権とは、2つの意味があります。
1つは、土地の上空の空間を利用する権利です。これは地上または地下の一部を使用する
地上権または
地役権で、電線の設置や地下鉄のトンネルなどに設定されるものです。
もう1つは、未利用の
容積率を移転する権利です。都市空間の有効活用を目的とした制度で、一定の条件のもとで、
都市計画で定められた
容積率のうち、未利用分を譲渡することができます。
空中権の取引が行われた事例は、東京駅の丸の内駅舎の復元工事で、戦前の姿同様に3階建てに復元する際、駅舎
敷地で未利用分の
容積率を周辺の新築ビルに移転されました。この空中権の売却によって工事費が捻出され、周辺の新築ビルは
容積率以上の高層化が実現しました。
地上権
地上権は、借地権の一つで、他人の土地において、建物などの工作物を所有するために土地を使用する権利のことです。工作物が建物の場合には、借地借家法による保護の対象となります。
地上権は、土地所有者との借地契約に基づいて設定され、登記簿に登記されます。地上権を有する人は、所有権と同じようにその土地を自由に使用できます。また、地主の承諾がなくても自由に譲渡・転貸できます。地代を払うかどうかは、契約によって異なります。
地上権は、賃借権と異なり、民法上「物権」の扱いです。金融機関などから融資を受けるときに、担保物件として設定することも可能です。
都市計画
都市計画とは、都市の健全な発展と自然環境の調和などにより、健康で文化的な都市空間を整備するための総合的な街づくりの計画です。都市計画法の規定による法的な規制力があり、秩序ある整備を図るための土地利用や都市施設の整備、市街地開発事業などが定められます。
都市計画を定める場所を都市計画区域と呼び、一定の開発行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要となるなど、規制がかかります。
都市計画には、市街化区域と市街化調整区域の区分、地域地区、促進区域、遊休土地転換利用促進地区、被災市街地復興促進地域、都市施設、市街地開発事業、都市計画区域のマスタープラン、都市再開発方針等、市街地開発事業等予定区域、地区計画等があります。
容積率
容積率とは、敷地に対する延べ床面積の割合で、その上限が都市計画における用途地域によって制限されています。また、敷地の前面道路の幅員によっても、容積率は制限されます。このどちらか厳しいほうによって、建物の容積率は制限され、建てられる高さが規制されます。
容積率の制限とは、例えば、容積率が200%で敷地面積が100m2の場合、延べ床面積200m2までの建物が建てられます。延べ床面積は各階の床面積の合計ですが、一定条件の地下室や車庫は算入されません。
角地などで前面道路が2つある場合は、広い方の道路の幅員を適用します。また、敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合は、それぞれの地域ごとの延べ床面積を合計したものとなります。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
地役権
地役権とは、契約に定めた目的において、他人の土地を、自分の土地の便益のために使用する権利です。
例えば、他人の土地を通らなければ公道に出られないような場合に、「通行地役権」が設定されます。ほかには、他人の土地に導管を通して水を引く「引水地役権」や、他人の土地に工作物を建てないことで眺望を確保する「眺望地役権」などがあります。
地役権は、原則として当事者間の契約によって成り立ちます。地役権を設定した他の土地を「承役地」(しょうえきち)、便宜を受ける自分の土地を「要役地」(ようえきち)といいます。いったん地役権が成立すると、所有権が移転するときには、地役権は所有権に従属する形で移転します。