インターネット「完備」と「対応」は違う!賃貸物件のネット環境の確認ポイント

  • 公開日:
  • 2016年12月19日
インターネット「完備」と「対応」は違う!賃貸物件のネット環境の確認ポイント
今や生活に欠かせない存在となった、インターネット。この記事では、賃貸とインターネットの関係について考えます。
最近では、Huluなど定額制動画サービスが普及され、インターネットの需要はさらに増えています。それらをモバイルデータ通信(パケット)で楽しむ時、使い過ぎで通信制限がかかってしまわないか気になりますよね。

しかし、自宅にインターネットを引けば通信制限を気にせず楽しむことができます。ただ、インターネットを引くには回線工事が必要な場合もあり、複雑な手続きが必要なイメージもあります。

近年、部屋探しの際に「インターネット対応」と書かれた物件に出くわすことも珍しくありません。不動産情報サイトなどで物件のこだわり条件を絞り込みをするときに「エアコン付き」や「バストイレ別」などと並んで「インターネット」関連の項目が表示されています。なかには「光ファイバー対応」と書かれているものや「インターネット完備」となっているものもあり、その違いがわからない人も多いのではないでしょうか。

「インターネット対応」「光ファイバー対応」「インターネット完備」の違いとは

そもそもマンションなどの集合住宅の場合、それぞれの部屋でインターネットを利用するまでに、“電話線などからマンションの共用スペースまで”回線が引かれ、その後“マンションの共用スペースから部屋まで”回線が引かれていることが一般的です。

さて、このことを踏まえて「インターネット対応」「光ファイバー対応」「インターネット完備」の違いを見ていきましょう。一見同じように思える3つの表記ですが、それぞれ異なっています。

まず「インターネット対応」とは、マンション(建物)の共用スペースまでの回線工事が完了している状態。言い換えると、インターネットの専用回線を備えたマンションのことです。入居すればすぐにインターネットが使えそうですが、実際に利用するまでにはいくつかのステップが必要です。自分の部屋まで回線を引き込まなければインターネットを使うことができませんし、この工事の申し込みや工事費の負担は入居者が行う必要があります。

また、自分でプロバイダに連絡し契約しなければなりません。新たに配線工事を行う場合には、申込みから工事までに時間がかかってしまいます。このように、手間と時間がかかりますから、入居後すぐにインターネットを使いたい人は、入居前からあらかじめプロバイダの申込みを完了しておくと良いでしょう。

「光ファイバー対応」は、マンションの共用スペースまで光回線の回線工事が済んでいる状態。「インターネット対応」と似ていますが、特に光回線への対応を示した表記になります。こちらも部屋へ回線を引き込む工事やプロバイダとの契約は自分で行う必要があります。また、「インターネット対応」の部屋でも光回線の回線工事が済んでいる場合もあります。

 光ファイバーに対応する地域も増え、自宅に引くインターネット回線のなかでも主流になっています。光ファイバーは通信速度が早く、安定しているので、思う存分インターネットを楽しむことができるからです。

そして、3つめの「インターネット完備」ですが、これは「インターネット対応」の状態に加えて、すでにプロバイダとの契約が済んでいることを指します。つまり、LANケーブルとパソコンを繋げば、入居後すぐにインターネットが利用可能です。面倒な回線工事やプロバイダとの契約も不要ですから、手間や工事費などはかかりません。インターネット無料の賃貸を探してる場合は「インターネット完備」なのかを確認しましょう。

入居後すぐにインターネットを使うために必要なこと

インターネット対応や光ファイバー対応となっている物件でインターネットを使うには、自分の部屋へ回線を引く必要があることはお伝えしました。では、申し込みから工事完了までには一体どのような流れがあるのでしょうか。

真っ先にやるべきことは、プロバイダへ申し込むこと※。その後、NTTから回線工事の案内が来ます。回線工事には住民の立会いが必要ですから、この案内で回線工事を行う日程を決めます。その後、NTTの作業員に開通工事をしてもらい細かな設定が完了すると、晴れてインターネットが利用できるようになります。

この一連の流れは早くて1週間で終わりますが、シーズンによっては時間がかかることも珍しくありません。特に引越しシーズンの1月~3月などには工事の申し込みがなかなかできなくなりますから、1か月前など早めに申し込んでおいた方がいいでしょう。特に入居後すぐにインターネットが使いたい人は、かなり余裕を持って行動しましょう。

※プロバイダはそれぞれ特徴やサービス内容、キャンペーン内容が異なります。 価格.comのプロバイダ で詳しく調べてみましょう。

もし入居先のマンションやアパートが「インターネット対応」や「光ファイバー対応」でなければ、上記の流れの前に建物へ回線ケーブルを引き込む工事が必要になる場合もあります。こちらはNTT東日本などの業者が行います。

ちなみに、スマートフォンやタブレットなどを使う際に便利なWi-Fi。これは自宅に回線が引かれてもすぐに使えるわけではありません。Wi-Fiを利用するには、無線LANルーターなどの機器を用意し、別途Wi-Fi環境を整える必要があります。

「インターネット完備」の物件を契約する前に知っておきたいこと

先述したとおり「インターネット完備」と謳っている物件は、インターネットを無料で使うことができます。一見お得なように思えますが、実は違う形でインターネット料金を負担していることもあるようです。

たとえば、マンションの管理組合でプロバイダと一括契約している場合には、インターネット料金が家賃や管理費に上乗せされていることもあるのです。

もちろん、集合住宅で一括契約することによって割引が適用され、かなり割安な料金で利用できることもあります。とはいえ、これは家賃や管理費に上乗せされている場合があるので周辺の家賃相場より高くなっているケースもあるでしょう。

なかには、通信速度が非常に遅い場合もありますから、サクサク動画を視聴したい人などにとっては大きなストレスになってしまうことも考えられます。マンションに完備されているインターネットが自分のライフスタイルに合わない場合にはお得とは言えません。インターネット完備の物件のデメリットは、自分でプロバイダを選べないことでもあります。

「インターネット/光ファイバー対応」と「インターネット完備」どちらを選べばいいか

「インターネット完備」の場合、入居後にインターネットの速度が遅い理由で、動画視聴が存分に楽しめなかったり、仕事で使うファイルのダウンロードができないとなると、別途回線を引き直す人もいると思います。その場合、家賃や管理費に上乗せされた状態で、なおかつ別途引き直した固定回線の料金として追加で5000円前後の費用がかかってしまいます。これでは「インターネット完備の物件ではなく、自由に契約できる物件の方が安く済んだ……」と後悔することにもなりかねません。

そして、当たり前の話ですが、自宅でインターネットを利用しない人にとっては不要のサービスです。もしインターネット料金が家賃や管理費に上乗せされていたら、その分周辺よりも割高な家賃を支払うことになってしまいます。

一方で、インターネットや光ファイバー対応物件はどうでしょうか。工事や契約の手続きを自分で行う必要はありますが、プロバイダを自分で選ぶことができます。

たとえば、自宅がフレッツ光の提供エリアだった場合には、プロバイダによって異なるものの月々3500~5000円程度でインターネットが利用できます。工事費などの初期費用として1万5000円かかることもありますが、キャンペーン特典によって相殺される場合が大半です。月々の料金がお得になる2年キャンペーンなどのお得なキャンペーンもあります。

インターネットの通信環境やライフスタイルによって状況が大きく異なりますから、どちらが得とは断言できませんが、必ずしも「インターネット完備」物件がお得とは断言できなそうです。

各プロバイダのキャンペーンを利用するには注意が必要です。2年以上利用すればお得になるプランが一般的ですが、2年以内で解約した場合には基本的に解約金が発生してしまうものが多いからです。賃貸は2年契約が基本ですから、割引の条件として「2年以上のプロバイダ契約」などがあるものは、特に注意が必要です。場合によっては、違約金がキャンペーンによる割引分を上回ることもありますから、その部屋に住む予定の期間と相談しながら選びましょう。

「インターネット完備」物件の通信速度について知っておこう

メールやブログの閲覧、YouTubeの動画を快適に楽しむためには5Mbps程度あれば問題ないでしょう。「インターネット完備」の物件を選ぶ際には、この通信速度にも目を向けましょう。

大家や管理会社、プロバイダから伝えられた通信速度を鵜呑みにするのは危険です。なぜなら、通信速度には理想値と実測値が存在するからです。理想値とは、完全に整った環境において期待される計算上の数値のこと。パンフレットやホームページには大抵この理想値が記載されていますが、完全に環境が整うことはまず考えにくいでしょう。特に、集合住宅であればなおさらです。つまり、この理想値の速度が出ることはないと思って問題ないでしょう。

より重要なのは実測値ですから、この値をもとに判断しましょう。ネットサーフィンなどならまだしも、自宅で仕事をする可能性がある人は要注意です。あまりに回線速度が遅いと、大きな容量のファイルをダウンロードするに時間がかかりすぎてしまう可能性もあります。通信速度によっては、ダウンロード中にエラーとなってしまうことも考えられます。実測値は無料の通信速度測定サイトで測ることができます。難しいかもしれませんが、部屋の内見の際に測らせてもらえれば入居後に後悔する可能性を減らすことができるはずです。

インターネット完備の物件は、建物全体でプロバイダと一括契約を行っています。そしてネット回線は住民全員で共用しますから、多くの住民が同時にアクセスするとネットに繋がりにくくなってしまいます。特に20時から24時にかけてはインターネットのアクセスが集中することが多く速度が低下しがちです。この間にネット動画の視聴や容量の大きなファイルのやり取りを行う可能性がある人は十分に注意しておく必要があるでしょう。

本当にあったセキュリティの怖い話

共通のWi-Fiが使える物件は特に注意が必要です。これはある集合住宅で実際にあった話ですが、その集合住宅にはパスワードの必要ないWi-Fiが自由に使えたそうです。すると、悪意のある住民がWi-Fiを経由し他人のパソコンへ侵入。インターネットの検索履歴などを見られてしまいました。Amazonや楽天などのネットショッピングも盛んになった今、クレジットカード番号や各サービスのパスワードなどを入力することは多いため、このような個人情報が盗み見されることは非常に危険。セキュリティソフトやファイアーウォールなど対策をきちんと立てておくことが重要です。

一見お得そうなインターネット無料の完備物件。もちろん、入居時直ぐに使え、手間なプロバイダ契約を回避などメリットもあります。ただ、インターネットを存分に楽しみたい人にとってはストレスが溜まってしまうことも十分に考えられます。

その物件の通信速度や自分のインターネットの使い方を考えてインターネット完備の物件を選ぶか検討しましょう。インターネット完備の物件がお得なのは、“条件付き”。入居後に後悔することのないように事前にしっかりと確認しておきましょう。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。