騒音トラブルを防ぐ! 防音性の高いアパートやマンションを選ぶポイント

  • 公開日:
  • 2016年12月16日
騒音トラブルを防ぐ! 防音性の高いアパートやマンションを選ぶポイント
音に対して敏感な人は、できるだけ防音性の高い物件に住みたいと思うもの。また多くの人が、アパートやマンションにおける近隣住人とのトラブルはなるべく避けたいと思っているのではないでしょうか。
そこで、不動産コンサルタントの三橋 秀行さんに防音性の高い物件の選び方や騒音トラブルの防ぎ方について話を伺いました。
三橋 秀行......不動産コンサルタント。大学卒業後、不動産業界に就職。戸建て住宅販売の営業や不動産投資コンサルティングなどに携わる。現在は店舗物件の開発や仲介をメインに活動中。

防音性の違いは建築構造の違い

音は空気の振動によって伝わります。アパートやマンションで周囲の部屋の音が聞こえるのは、音の振動が物や空気、壁伝いに他の部屋まで伝わってしまうからなんです。

そもそもなぜ音が伝わるか

音は物体を伝わって伝播しますが、固体音と空気音という2つの音があります。

固体音
物件の構造内部を通る音。空気に触れた瞬間空気音となり響く。床や壁に直置きしたスピーカーの音・空調音・トイレの排水音・エレベーターなどの機械振動が該当し、どこから聞えてくるのか分からない音となる
空気音
空気を伝わる音。隣の部屋からの音楽・話し声などが該当。比較的防ぎやすい。高音よりも低音のほうが防ぎにくいという特徴がある

壁の材質や構造によって振動の伝わりやすさは大きく異なります。つまり「防音性の違い=建築構造の違い」と言えるでしょう。

最も防音性の高い建築構造は「鉄筋コンクリート」

一般的なアパートやマンションの建築構造は以下の3つに分類されます。

●木造
●鉄骨
●鉄筋コンクリート(RC造・SRC造)

このなかでもっとも防音性に優れているのが鉄筋コンクリート。何本もの鉄の棒で骨組みを作って、そこにコンクリートを流し込んでいます。壁の密度が高いので遮音性はかなり高いです。鉄筋コンクリート構造の物件なら、普段の生活音が周囲の部屋まで響くことはあまりありません。

逆に一番防音性が低いのは木造建築。木材は通気性が良い反面、音も通しやすいと言えます。壁そのものが薄く、隣人の咳の音や携帯電話のバイブレーションまで聞こえてくるという物件もあります。防音性の高い賃貸物件を求めるなら、木造物件はなるべく避けましょう。

軽量鉄骨に注意しよう
この2つの中間にあたるのが鉄骨構造。建材に鉄材や鋼材を使っているぶん、木造建築よりもやや音を遮りやすいです。鉄骨には「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」の2種類があり、素材の厚みによって防音性も変わってきます。より防音性を高めたい場合は重量鉄骨の物件を選ぶといいでしょう。

なかでも壁に手を抜いた軽量鉄骨には注意しましょう。
壁厚が10~12センチ、両側に石膏ボードを貼ってクロス仕上げのみの物件が軽量鉄骨の建物には多いです。防音が考慮された賃貸住宅なら、石膏ボード間の中にグラスウールを詰め、石膏ボードは二重に張られています。壁を叩いてみて高い音がしたら危険信号。空洞である可能性が高く、防音性は期待できません。

鉄筋コンクリートの物件でも騒音トラブルが起きる理由
鉄筋コンクリートの物件では騒音トラブルが起きないかというと、そんなことはありません。同じ鉄筋コンクリートの物件でも、防音性の高さは物件によってさまざまです。
構造面で意外と見落としがちなのが窓。建物の中というより外の騒音が原因ですが、窓の構造や取り付け位置によって、防音性が著しく低くなってしまうことがあります。
静かに暮らせるかどうかは、同じ建物にどんな住人がいるかによっても変わってきます。足音は上の階の住人が直接床を振動させているため、鉄筋コンクリートの物件でも響きやすいです。子供の泣き声や楽器の音などの大きな音も、完全にシャットアウトするのは難しいでしょう。

防音性が高いアパートやマンションを選ぶメリットは?

音に対してそこまで過敏ではないという人でも、防音性の高い物件を選ぶことによって得られるメリットがあります。

1. 保温性がある
防音性が高いということは、壁の密度が高く窓の構造がしっかりしているということ。そのため外気が室内に入りづらく、室内の熱が外に逃げにくいので、おのずと保温性が高まるんです。

2. 気楽に生活できる
防音とはなにも、外から入ってくる音を遮断するだけではありません。自分自身が発する音も遮断してくれるのです。
アパートやマンションには多くの人が暮らしているので、他人の生活音が気になってしまう人もいます。自分の生活音が、隣人にとっては騒音になってしまうかもしれません。
また、子供がいたりペットを飼っていたりする人は、どんなに気をつけても大きな音を出さないようにすることは難しいですよね。近隣トラブルに巻き込まれることを未然に防ぐためには、防音性の高い物件を選んでおいた方が得策です。

静かな環境で暮らしたいならチェックしておくべき7つのポイント

「音に対して敏感だから周囲の住人の生活音が聞こえない物件に住みたい」「近隣住民とトラブルが起こらないよう防音性の高さを重視したい」という方は、図面を見たとき、内見したときにチェックした方がいいポイントがあります。

1. 周辺に幹線道路、駅、学校など人が集まりやすい施設がないか
大前提として、音に敏感な人は幹線道路沿いに住むのはやめましょう。幹線道路は時間帯を問わず自動車が行き来するので、静かな時間帯はほとんどありません。
高速道路やバイパスなどの近くに住む場合は内見時、騒音を軽減してくれる遮音壁があるかどうかを確認しましょう。
線路が近くにある場合も同様で、終電の時間まではずっと電車の音が響きます。

幹線道路や線路に面していても、建物が密集していると遮音壁の代わりになります。たとえば自分の住居から1区画でも離れていれば、気にならない程度の音に低減されます。道路と住居の間にまったく建物がないと、少々距離があっても車や電車の音が聞こえてしまいます。
駅に近い物件にも注意。朝晩はたくさんの人が集まるのでどうしてもうるさくなることを覚悟しておいた方がいいでしょう。ほかにも大学や幼稚園が近くにあると、日中は周辺が賑やかになると予想できます。
こういった周辺の騒音は窓から入ってくるので、あわせて窓の構造もチェックしておくといいでしょう。ガラスが厚かったり、二重窓になっていたりすれば、外の騒音はほとんどカットできます。

2. 過去に騒音トラブルが起きていないか
過去に騒音トラブルが起きていないかを不動産屋に聞いてしまうのも手です。騒音トラブルが頻繁に起こっている物件は、なにかしらの要因で防音性が下がっているか、建物内あるいは周辺施設に騒音の原因となるものがあるということ。不動産屋には重要事項説明責任があるので、しっかり答えてくれるはずです。

幹線道路、飛行場、鉄道、航空基地、ダンプカーが出入りする物流施設といった施設は嫌悪施設と呼ばれ、重要事項説明書かもしくは直接説明を行うのが義務です。
内見のときにそれらの施設が自分の生活に与える影響はどの程度なのか確認しておきたいもの。重要事項説明の定義では「●●●m以内に嫌悪施設があれば必ず内見者(賃貸の契約者本人)に伝えなければならない」のような定義はありません。そのため防音が気になる方は不動産会社から自分で聞き出す力が必要となるのです。

3. 同居人の構成はどうか(ペットを飼っていないか、子供がいるか)
同じマンションに、子供がいたりペットを飼っていたりする住人がいないかも確認しましょう。
個人情報なので詳細は教えてもらえませんが、どうしても音が気になってしまうことを伝えれば「子供がいるか」「ペットがいるか」程度の情報は答えてくれるはずです。子供とペットが原因の音は改善することがなかなか難しいので、最低限このふたつのポイントは確認しておくといいでしょう。

4. 角部屋かどうか
隣り合う部屋の数、隣り合う面積が少ない分、角部屋の方が隣人の生活音は気になりません。角部屋はほかの部屋より家賃が高いことが多いですが、音に敏感でどうしても気になってしまう人ははじめから角部屋に住むようにした方が賢明です。
階段・エレベーターがある方の部屋の場合は、角部屋であっても人の行き来が気になる場合もあります。なるべくなら会談から遠いほうの角部屋を選ぶと良いでしょう。

5. ゴミ捨て場と駐輪場、郵便受けはキレイになっているか
直接、防音性の高さや騒音トラブルの防止につながるわけではありませんが、内見に行ったときはゴミ捨て場と駐輪場、郵便受けを必ずチェックするようにしましょう。

「だらしなさ」は生活水準に直結します。
ゴミ捨て場と駐輪場、郵便受けがキレイになっているということは、住人たちにきちんとしている人が多いか、管理会社がしっかり機能しているかのどちらかです。そうしたアパートやマンションなら住人同士のトラブルが起こる可能性は低いことが予想できますし、たとえトラブルが起こったとしても管理会社がきちんと対応してくれるはずです。

一方、それらが汚い物件は、住人が周囲への配慮に事欠いていたり、管理会社があまり機能していなかったりと、トラブルが起こりやすい環境である可能性があります。
6. 自分が家にいる時間帯が静かかどうか
昼の時間帯はそもそも多くの住人が出払っているので静かなのは当たり前です。寝ている時間帯に内見することは難しいですが、夜を静かに過ごしたいなら日中だけではなく、なるべく遅めの時間帯にも内見を入れて防音性を確認した方がいいと思います。
時間帯や曜日によってまわりの状況が変わることもあります。たとえば周囲に飲食店が多い街は、昼間は静かでも夜になるととたんに騒がしくなることがあります。逆に、幼稚園や小学校が近くにあって昼間は騒がしいものの、夜になると閑静な雰囲気になる街もあります。

7. 建築構造は鉄筋コンクリートか
最後に、防音性の高さを重視するなら、建築構造が鉄筋コンクリートの物件を選ぶのが確実。すべての音を遮断できるわけではありませんが、木造や鉄骨造より外からの音が伝わりにくいです。

騒音トラブル事例を知って回避しよう

防音性が低い物件に住むと、自分が音を発してしまう側としても、騒音に悩まされる側としても、住人同士のトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。騒音問題は集合住宅で起こりやすいトラブルのひとつ。実際に多くの事例があります。

トラブル1:ペット可の物件で……
ペット可物件は、トラブルが起きないよう防音性が極めて高い場合がほとんどです。しかしペット可の物件とうたっていても、防音性が高くない部屋がないとは言い切れません。
ペット不可の物件であれば、明らかにペットを飼っている住人に非がありますが、ペット可物件の場合、責任の所在が難しく、対策がなかなか打てないのです。自分がペットを飼うにせよ飼わないにせよ、ペット可物件に住むときは騒音トラブルが起こる可能性が高いことを覚悟しておいた方がいいかもしれません。

トラブル2:生活時間の違いが原因で……
ファミリーも単身者も学生も住んでいるというような、住人の属性がバラバラな物件は騒音トラブルが起こりやすいでしょう。それぞれの生活時間帯が違うため、たとえば子供が寝ている時間に帰宅してテレビを見はじめる住人がいたり、夜勤の仕事をしていて深夜にバタバタと音を立てる住人がいたりと、やむを得ない生活音が騒音になってしまうことがあります。
内見時のチェックポイントでもお話しましたが、できるだけ自分と生活時間帯が似ている人が多く住んでいるアパートやマンションを選ぶようにするのがよいでしょう。

トラブル3:仕方のない生活音のつもりでも……
音に対する過敏さは人それぞれです。洗濯機や掃除機の音といった自分ではどうしようもない生活音さえ我慢できないという人も実際にいます。
自分がどんなに気をつけていても、そういった人が隣や上下の部屋に住んでいたらトラブルの避けようがありません。
ただ、神経質な人が住んでいる物件は以前に近隣トラブルが起きている可能性があります。不動産屋か管理会社にトラブルの有無を確認するようにしましょう。
近隣トラブルに関する告知は、入居前に知らせるべき重要事項。実際に、騒音トラブルはないと事実とは違う説明を受けて入居を決めてしまい、あとから裁判を起こしたという例もあるようです。

今すぐできるアパートで静かに暮らすための工夫

家賃の予算が足りないことや防音性が高い空き物件がないなどの理由で、静かな環境で暮らしたいと思いつつ、防音性が必ずしも高いとはいえないアパートに住んでいる方もいるでしょう。
そんな時、自分でできる工夫は「家具の配置を変える」こと。
隣の部屋と生活空間がぴったり隣接している場合、壁際にいるとどうしても音が聞こえてしまいます。たとえば、生活空間が隣接している壁に本棚を置けば、それだけで効果的でしょう。一方ベッドは生活空間と隣接していない部分に置くことで、隣人の生活音のせいで安眠を阻害されることは少なくなるでしょう。

防音性の高い物件は周囲の環境と建物構造で選ぼう

防音性の高い物件を選ぶと、静かな暮らしができる以外にも、室内の保温性が高まったり、近隣の騒音トラブルを未然に防ぐことができたりというメリットがあります。
私自身、防音性の低い物件に住んでいたときは、あまり気にしていなかったものの、一度防音性の高い物件に住むと、騒音のない生活がどんなに快適なものか気付きました。物件選びのポイントのひとつとして、防音性の高さを意識してみることをおすすめします。

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