更新できないって本当?定期借家物件の特徴やメリット・デメリット

  • 公開日:
  • 2016年12月7日
更新できないって本当?定期借家物件の特徴やメリット・デメリット
部屋を借りて契約期間を決める際には、一般的な賃貸借契約である「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。みなさんは、この「定期借家契約」をご存知でしょうか?
ここでは、普通借家契約との違いや、定期借家契約の制度やメリット、デメリット、注意点などをご紹介していきます。

定期借家契約とは

はじめに、定期借家制度とはどんな制度か、なぜ制定されたかをおさらいしていきます。

定期借家制度と定期借家契約:契約期間の更新がない賃借制度
定期借家契約とは定期借家制度を利用した契約のことをさしします 。

平成12年3月1日に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が施行されてから、それまで一般的だった普通借家制度と定期借家制度のどちらかを貸し主が選択できるようになりました。

普通借家契約の場合、契約更新時に希望さえすれば、借り主は原則契約を更新できます。つまり、貸し主にとっては正当な理由がない限り、契約を更新しなければならないというわけです。

しかし、定期借家制度では契約期間が終了した段階で賃貸物件の借り主と貸し主の契約を終えられます。契約の更新を拒否するのに、貸し主側に理由を必要としません。そのため、借り主は契約期間の終了とともに部屋を出ることとなります。もし継続して同じ物件に住みたい場合は再契約が必要となります。ただし、再契約は貸し主の了承がなければ結べません。

定期借家制度がつくられた背景
平成12年に定期借家制度が施行されるまで、賃貸は普通借家契約のみでした。

普通借家契約では、貸し主は正当な理由なしで借り主からの契約更新を拒めないため、マンションの一世帯だけを貸したい人や、転勤などで自宅を一定期間だけ貸したい人などのニーズに対応できません。

その問題を解決するために誕生したのが定期借家制度です。前述のように、契約期間の終了とともに借り主は退去するため、期間限定で住む人のいない部屋や家をこれまでよりも気軽に貸し出せるようになりました。

定期借家の認知度と割合

平成27年度住宅市場動向調査によると、定期借家制度について「知っている」「名前だけは知っている」と回答している人は41.4%、「知らない」と回答している人は58.2%となります。約6割の人が、定期借家制度を認知していないという状況です。

しかし、4年前(平成23年度)の同調査では、定期借家制度について「知っている」「名前だけは知っている」と回答していた人の割合が34.1%。それを踏まえると定期借家制度についての認知度は少しずつではありますが、広まっていると言えそうです。
同調査によると、民間賃貸住宅に住み替えた世帯の賃貸契約の98.3%が普通借家。対して定期借家制度を利用している人は1.5%と、実際に定期借家制度を利用している人はごくわずかなことがわかります。定期借家の物件数はまだまだ少ない状態です。

定期借家契約と普通借家契約との違い

では一般的な賃貸契約である普通借家契約と定期借家契約には、どんな違いがあるのでしょうか?

契約方法
普通借家契約の場合、契約方法は書面が基本。しかし、 民法上では 契約方法に定めは ありません。極端に言えば、口約束でも成立します。ただし、トラブルのもととなるので書面で契約を結んでいることがほとんどです。
一方、定期借家契約をする場合は書面で契約を結ぶことが法律によって定められています。

公正証書(※注訳2)による等書面によってしなければならない(借地借家法第二十二条)

なお、“公正証書等”としているため、定期借家契約だと分かるように書いてあれば公正証書でなくても契約できます。

更新の有無
普通借家契約の場合、貸し主側に正当な事由がない限り契約は更新されます。借り主が住み続けることを希望していれば、貸し主側が契約を解約したくとも更新を拒否できません。
このときの正当な事由とは、主に下記のような事情を指します。

・貸し主や借り主が建物の使用を必要とする場合
・建物の利用状況や現状
・借り主側に対して立ち退き料を 支払う旨を申し出た場合

定期借家契約では、契約期間満了と同時に契約が終了し更新されません。契約期間以降も継続して住み続けたい場合は、貸し主と再契約する必要があります。
再契約には貸し主側と借り主側の両方の合意が必要です。契約期間中に家賃の滞納や住民とのトラブルを起こすなどの問題がある場合には再契約が難しくなります。

契約期間
普通借家契約の場合、契約期間は1~2年間以上が一般的。もし契約期間が1年未満である場合は期間の定めのない賃貸借家とされます。

一方で、定期借家契約の場合は契約期間が満了した時点で契約が終了します。さらに、契約期間が1年未満でも、契約の効力が認められます。

賃料の値上げ・値下げ
普通借家契約は、特約に関係なく家賃の値下げや値上げを請求できます(ただし、特約に一定期間増額しないことが書かれている場合にはそれに従います)。
定期借家契約では、賃借料の増減は特約どおりに行わなければなりません。もちろん、増減させないことも可能です。

期間満了の通知
普通借家契約の場合は双方の合意により行われるのが一般的です。更新手続きがない場合はこれまでの契約と同じ条件で更新に同意したとされ、契約が更新されます。このパターンの更新が「法定更新」です。さらに「自動更新」といって、契約時に更新の約束をする更新方法もあります。

対して定期借家契約では、期間の満了により契約は終わります。契約期間が1年以上の場合、貸し主は期間満了の6か月~1年前までに「契約満了により、契約が終了する」と借り主に伝えておかなければなりません。
通知しなかった場合は、契約期間が満了しても契約が終了したと借り主に主張することはできません。ただし、通知期間経過後に通知した場合は、その6か月後に借り主側に契約が終了したことを主張できます。

また、契約期間が1年未満である場合は、貸し主側が借り主側に通知する必要はありません。

借り主からの中途解約
普通借家契約の場合、中途解約の特約があればその定めに従う必要があります。
定期借家契約の場合は、床面積が200m2未満であり、やむを得ない事情があれば、特約がなくても中途解約が可能です。やむを得ない事情とは、主に下記をさします 。

・借り主が転勤する場合
・病気や怪我の療養、親族の介護などにより物件に暮らすのが困難となる場合

中途解約を申し入れた場合は、申し入れた日から1か月後に契約が終了し、解約できます。
しかし床面積が200m2以上あって正当な事情がない場合は、原則として特約に従わなければなりません。

定期借家契約の流れ

定期借家契約の流れは以下のとおりです。

①契約を結ぶ
契約を結ぶ際は、貸し主は借り主に対して書面で交わします。書面には「更新がなく、期間満了にともない終了する」といった内容の記載がマストです。また取引業者が仲介する場合は、「宅地建物取引業法」に基づいて説明しなければなりません。

②契約期間
定期借家契約の期間が1年以上の場合は、貸し主は期間満了の6か月~1年前までに期間満了により契約終了の旨を通知しなければなりません。

ただし床面積が200m2未満の建物では借り主にやむを得ない事由がある場合、借り主から中途解約の申し入れをすることができます(ただし、賃貸借契約が終了するのは申し入れた日から1か月後です)。

③契約終了

④再契約の希望

④_1退去

④_2再契約→①
再契約をするには、貸し主側と借り主側の双方の合意が必要です。

定期借家物件のメリット・デメリットは?

契約の流れをお話したところで定期借家契約でのメリット・デメリットをみていきます。

借り主にとってのメリット
定期借家契約の物件には、以下のようなメリットがあります。

1年以下の短い期間での契約が可能
契約期間が5~10年と長期にわたる場合でも、更新手続きの必要がない
生活保護受給者や母子家庭、高齢者なども借りやすい
賃貸契約で定めたルールが守れない入居者は、再び契約を結べない可能性が高いため迷惑行為をする入居者が長く居住するリスクが低い
分譲マンションや戸建ての賃借でも借りることができる場合があるため、物件の選択肢が広がる
賃料を一括前払いでき、賃料減額などの交渉もしやすい

借り主にとってのデメリット
定期借家は、貸し主の都合で契約期間を定められる制度です。普通借家契約では、正当な理由がない限り、借り主が賃貸の更新を希望した場合には更新を認めなければなりません。そのため、貸し主の都合で居住者を強制的に退去させられませんでした。

しかし、定期借家制度を使用すれば原則契約期間で借り主を物件から退去させられます。トラブルなどなく生活していた場合でも、貸し主の都合により再契約ができないことがあります。

また、契約期間が短い定期借家契約の場合、普通借家契約の物件に比べて条件の良い物件が多く、おとり物件として使われることがあります。おとり物件とは、集客のために架空(もしくは契約済み)の物件情報をネット上に掲載し、集客する手口のこと。気に入った物件に出会えないばかりではなく、望まない賃貸物件を営業されることもあります。

なお、おとり物件に関しては自主規制団体「首都圏不動産公正取引協議会」が対策を検討しており、平成29年1月からペナルティがしかれるようになります。

定期借家制度はこんな人が向いている
次の項目に当てはまる人は、定期借家制度を活用するのに向いているといえます。

予算がないけどいい物件に住みたい人
ひとつの街に長く住むより色々な街に住みたい人
持ち家の建て直しをする際の仮住まいとして利用したい人
在学期間中や単身赴任中のみの契約をしたい人
地方物件を別荘として利用したい人

定期借家契約の物件を借りるときの注意点

自身のライフスタイルに合わせ、定期借家契約の物件をうまく使うことも可能です。しかし注意点もいくつかあります。確認していきましょう。

契約期間が定まっており再契約は貸し主の了承が必要
契約解除が難しい普通借家契約に比べて、いずれは退去してもらうことが前提とされた定期借家契約は、貸し主にとってのメリットが多いです。借り主側は、契約期間終了後は再契約できない可能性があることを、事前に覚えておく必要があります。

契約期間の満了後に居座った場合損害賠償を請求されてしまう可能性がある
定期借家契約で契約期間を満了した場合、借り主側にとって有利な法的根拠はなくなります。居座った場合は、貸し主から損害賠償を請求されてしまう可能性も。借り主側には居座りをする権利や立ち退き料などを請求する権利もないため、居座りのデメリットのほうが多いでしょう。

家賃を滞納した場合には退去させられる可能性がある
普通借家契約では、家賃を滞納してもなかなか入居者を追い出せないという貸し主側のデメリットがありました。しかし定期借家契約の場合は、再契約する際に家賃の滞納や問題行動がなかったかを確認し、貸し主側が借り主側を退去させられます。

今後は家賃滞納やトラブルを起こさない借り主か入居期間中に貸し主が確認したうえで再契約する定期借家契約が主流となるともいわれています。再契約できるかどうかは、契約期間内のふるまい次第だと意識しましょう。

中途解約した場合に家賃請求される場合がある
床面積が200m2未満の建物の場合、借り主に正当な事由(転勤や親族の介護など)によって契約を継続するのが困難なとき、中途解約を申し入れることができます。

しかし、中途解約の特約などがない場合は、残りの期間分の家賃を請求されることがあります。契約時に中途解約の特約はつけてもらうようにしましょう。

まとめ

定期借家契約の物件は、借り主にとって制限も多く、一見不便な物件と思いがちなもの。しかし、短期間で住みたい人にとっては、賃料を抑えられたり、入居審査などが通りやすかったりなど、メリットを実感することも多いでしょう。

ただ、家賃の安さを利用しておとり物件として使われるケースもあるようです。おとり物件に引っかかってしまうと、また新たに物件を探す手間がかかってしまうことも。このようなトラブルを防ぐためにも、制度を正しく理解して、自身のライフスタイルにマッチした物件を上手に探してみてくださいね。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。

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