RC造、SRC造、鉄筋、鉄骨の意味と違いは?建物構造の種類を知ろう

RC造、SRC造、鉄筋、鉄骨の意味と違いは?建物構造の種類を知ろう
賃貸物件を探すとき、間取りや家賃ばかり見ていませんか?住み心地を大きく左右する、物件の構造にも目を向けてみましょう。

建物構造の種類

まずは建物構造にどんな種類があるのでしょうか。代表例をいくつかピックアップしてみました。

●W造(Wood)……木造
●S造(Steel)…… 鉄骨造
●RC造(Reinforced Concrete)…… 鉄筋コンクリート造
●SRC造(Steel Reinforced Concrete)…… 鉄筋鉄骨コンクリート造

RC造やSRC造などのアルファベットは、建物を構造する材料・材質を表しています。

W造/木造
W造(以下、木造)は主な構造部分に木材を用いてつくられた物件です。日本の気候や風土にマッチし、これまで多くの建物が木造でつくられてきました。現在も小規模アパートなどで採用されています。

S造/鉄骨造
S造・鉄骨造(以下、S造)とは、柱や梁など骨組に鉄骨を使用した構造のこと。Sはスチールの略です。木造の柱がそのまま鉄になったものをイメージするとわかりやすいと思います。一口に鉄とは言え、人工的に強度を高めたものを使用しているのが特徴です。

ここで注意したいのが、S造の中に重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類があること。賃貸物件の建物構造にもこの表記がなされていることは多いと思います。

鋼材の厚みが6mm以上のものを「重量鉄骨構造」、6mm未満のものを「軽量鉄骨造」と呼び、前者は主にビルや高層マンションなど大規模建築物をつくる際に、後者は「軽量鉄骨造」は一般住宅や小規模店舗などで用いられるケースが多いです。

RC造/鉄筋コンクリート造
Reinforced Concrete は直訳すると「補強されたコンクリート」。主に柱や梁、床・壁が鉄筋とコンクリートで構成されていて、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを指します。

特徴的なのは、2つの材料を組み合わせることでマンション建設に必要な強度を出している点。

●鉄筋……引張力(引っ張る力)には強いが、熱に弱く錆びやすい
●コンクリート……熱に強いが、引張力(引っ張る力)に弱い

熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆い、熱から鉄筋を守って酸化を防ぎます。一方コンクリートは上から押さえつける「圧縮」に対する抵抗力はあるものの、「引張力の弱さ」が課題。これを引張力に長けた鉄筋で補強しています。鉄筋とコンクリート両者の短所をうまく補いあうことで、さまざまなメリットを生み出しています。

SRC造/鉄筋鉄骨コンクリート造
SRC造は鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、コンクリートを打ち込んで施工した物件のこと。大型マンションやビルなど大規模な物件の場合、SRC造の工法が多く使われています。鉄骨を使わないRC造よりも耐久性が高い構造といえるでしょう。

その他の構造
その他の構造も存在しますので触れておきます。

<RS造>
Reinforced Steelの略。建物の下位部分にある柱や壁、床、天井などをRC造でつくり、上部をS造など下位部分とは異なる構造で構成する建物構造です。主に低中層マンションの建設の際に採用されています。

壁・床・天井など、賃貸で気になる部分がRC造ですので、上層階と下層階で遮音性に違いが出るのが特徴。「遮音性が高い物件だと思って入居したのに、隣の騒音が気になる」なんてことにならないように注意が必要です。

<WRC造>
柱と梁を使わず、床や天井の面だけで建物を支える「壁式構造」を指します。比較的低コスト、かつ耐久性が高いといわれており、主に中低層マンションなど集合住宅でよく見かけます。

壁や床だけで構成される特性上、大きな開口部をとりづらいため設計の自由度は低め。その一方で柱や梁が室内に出ないので、結果的に室内を広々使えるメリットがあります。壁の強度が高く遮音性もバッチリです。

建物構造の特徴・メリット&デメリット

各構造の特徴とメリット・デメリットをそれぞれ挙げてみます。

W造(Wood)/木造のメリット
木造物件のもっとも顕著なメリットは、賃料が安いということ。木造物件は建設コストがおさえられ、短工期で建てられます。そのため上物(うわもの)が低コストで建設できるのです。他の構造の物件に比べて、家賃が比較的お得なことが多いのは大きなメリットです。

日本の気候風土に適しているのも木造のメリット。木は、室内の空気が乾燥する冬、蓄えられていた水分を空気中に放出し湿度を保つ効果があります。梅雨のように湿気が高い季節には空気中の水分を吸収。さらに通気性にも優れているため、四季があり湿潤な日本の気候風土にマッチしています。

W造(Wood)/木造のデメリット
木造物件は通気性にすぐれている反面、遮音性は全構造中もっとも低いのが残念なところ。部屋同士の仕切りの壁が薄いケースも多く生活音が響きやすいのがデメリットです。

冷暖房が効きにくいのも木造物件に住む際、不満を持ちやすいポイント。木造物件は鉄骨物件にくらべ気密性が低いため、鉄骨に比べ冷暖房の効きが悪いのです。冷暖房が効きにくければ光熱費が高くなってしまうおそれがあります。

また、木造は耐火性が低いです。木造建築という特性上、建物火災の際にいちはやく火が回ってしまいます。しかし「表面は焼け焦げても、中身まで燃えるには時間がかかる」という側面もあり、火事が起こればただちにアパート全体が崩壊しまう、というわけではありません。

木造賃貸物件まとめ:日本の気候に適した高コスパ構造。一人暮らしに最適
以上をおさらいすると、木造物件は音を気にしない方の一人暮らしに最適ということが言えます。「部屋の中で音楽をある程度の音量で楽しみたい方」「友達を部屋に呼びたい方」は人一倍気を遣う必要がありそうですが、それさえ我慢すれば日本の気候にも適した、これ以上ない高コスパ物件と言えます。
RC造(Reinforced Concrete)/鉄筋コンクリート造のメリット
主材料のコンクリートは不燃材料のため、非常に高い耐火性を備えます。賃貸を借りるうえでも耐火性に優れた部屋に住むのは安心につながります。また圧縮力と引張力を兼ね備えているため、耐久性が高いのも特徴のひとつ。地震に耐える物件が多いです。

基本的に重い材料を使用するほど遮音能力が高いため、圧倒的重量のコンクリートが高い遮音性を持つことは想像に難くありません。特に低音をしっかり遮断してくれるため、お部屋に5.1chサラウンドスピーカーを置きたい方は迷わずRC造に住みましょう。

コンクリートを流し込んでつくる特性上、形状の自由度が高く、デザインのバリエーションにも富むこともメリット。デザインの自由度が高く、モダンな物件に住めるからです。

RC造(Reinforced Concrete)/鉄筋コンクリート造のデメリット
建築コストだけでなく解体費用も高めなのがネック。賃料が高いことはRC造のデメリットです。木造やS造にくらべ家賃も高めに設定されていることが多いです。

後述するSRC造に比べ、鉄骨が入っていない分揺れにやや弱いです。しかし木造やS造ほど神経質に地震を気にする必要はありません。

RC造賃貸物件まとめ:こだわりの一人暮らしやファミリーにもオススメ
RC造は高い遮音性のため、一人暮らしの部屋でルームシアターを構築しても大丈夫。サブウーファーの低音が階下に伝わるのを防いでくれます。また、しっかりしたRC造であれば子供が部屋を走る足音もそこまでシビアに気にする必要がありません。コストはかさみますが、小さい子供を抱えるファミリーも安心して借りることができるでしょう。
SRC造(Steel Reinforced Concrete)/鉄筋鉄骨コンクリート造のメリット
あらゆる構造の中で最も耐震性、耐火性に優れるのはSRC造。トップクラスの耐火性、耐久性をほこります。S造の「熱に弱い」や「錆びやすい」という短所をコンクリートで包むことで克服し、揺れに対する弱さを鉄筋・鉄骨でカバーしています。

強度や耐震性の面でもRC造と比べて優れています。そのため、10階建以上の高層または超高層マンションなどの建築にも多く採用されています。柱や梁などのサイズが小さくても高い耐震性を確保できます

SRC造(Steel Reinforced Concrete)/鉄筋鉄骨コンクリート造のデメリット
物件構造の中でもっとも家賃が高くなります。火事や地震に対しての安心感がありますが、ほかの建築構造と比べると家賃は割高です。

SRC造賃貸物件まとめ:余裕のある生活を。安心をお金で買いたい人にオススメ
大震災はいつおそってくるか分かりません。構造的には震災でもっとも倒壊しにくいのがSRC造。安心をお金で買いたい人にオススメです。

まとめ: オススメの物件構造は何を重視するかによって変わる

構造コスパ物件数遮音性耐震性耐火性
木造×××
S造×
RC造
SRC造

物件数が最も多いのはRC造・SRC造(東京23区)
物件供給数はRC造やSRC造などの鉄筋系の件数が圧倒的に多いです。東京23区内で老朽化などの理由で木造・S造物件の建て替えや取り壊しがはじまっているのかもしれません。

地方はまだまだ木造、鉄骨系物件が多いですが、首都圏(東京23区や大阪など)はこのような傾向があります。

とにかく家賃を抑えたい人は木造・S造
次は家賃に注目してみましょう。同じ広さ、同じ設備でも、かなり価格が違います。とにかく家賃を抑えたい人は木造・S造(軽量鉄骨・重量鉄骨)物件を選びましょう。

耐震性、耐火性を重視するならRC造・SRC造
住居の機能も見逃せないところ。耐震性、耐火性だけでなく強度面・耐久性の面においては、RC造やSRC構造に軍配が上がります。以前は耐震性について「SRC造>RC造」という認識が一般的でしたが、技術進歩が目覚ましい昨今では、築年数の浅い物件に関してはほとんど大差ありません。

遮音性もRC造・SRC造が有利。ただし戸境壁に注目
コンクリートが打ち込まれているため、RC造とSRC造は音や振動が響きにくく遮音性があります。しかし上記の耐震性同様、両者の機能的な差は大きくありません。

では、防音にこだわりたい場合は物件概要のどこを見ればよいのか?

それは壁の材質や厚さです。建物自体はRC造やSRC造でも、隣の住居との壁が薄ければやはり相応の防音効果しか期待できません。

住居間の壁は「戸境壁(こざかいへき)」と呼ばれ、この厚さと材質が大きく防音に影響します。分譲マンションの戸境壁は180mm~250mm。200mm前後の厚さがあれば分譲マンション並みの防音効果が期待できます。

また壁の材質がコンクリートブロックだけなのか否かでも大きく変わりますので、気になる方は不動産会社を通して一度確認してみてはいかがでしょうか。

簡単にチェックする方法もあります。内見などで物件を確認する際には是非壁をノックしてみてください。一概にはいえませんが、コンクリートでできている場合は一般的にはペチペチと中身が詰まった感じがします。逆に中が空洞で石膏ボードのみで隔てられている場合は高く響いた音がします。これでおおよそ見分けられるでしょう。

後悔のない物件選びを
一長一短の物件構造。大事なのは、あなたがどこに優先順位を置いているか。新しい住まいだからこそ、妥協はしたくないもの。これから新しく物件を見られる際には、内観や外観だけでなく、目に見えない構造についても目を向けてみましょう。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。