賃貸で家賃のクレジットカード払いは可能?対応状況と注意点

  • 公開日:
  • 2016年12月14日
賃貸で家賃のクレジットカード払いは可能?対応状況と注意点
買い物時にはなかなか侮れない、クレジットカードのポイント。この記事では、家賃のクレジットカード払いについてご説明します。
ライター:風呂内亜矢

クレジットカード支払が可能な不動産会社とは

クレジットカードでの家賃支払いに関しては、いい部屋ネットの大東建託や、アパマンショップは対応しており、カード決済ができる物件は増加傾向にあるようです(※)。しかし、家賃支払のルールについては賃貸管理会社、または大家が決めることが多いため、すべての物件が対象ではありません。

なお、お部屋を紹介してくれた賃貸仲介会社が別の会社の場合、仲介手数料や敷金、礼金、といった初期費用はクレジットカード支払いができない場合もあるので注意が必要です。

※クレジットカード支払サービス開始前から入居している部屋などだと、対応していない場合もあります。なお2024年1月現在の情報となります。

一方で、家賃のクレジットカード払いには対応していない不動産会社がまだ多いものの、初期費用だけはクレジットカード払いができる不動産会社もあります。家賃がクレジットカード払いできなくても、諦めず、初期費用については対応可能なのか、確認してみると良いですね。

更にお得!Pontaや楽天などの共通ポイントが貯まる

クレジットカード以外に共通ポイントカードと提携している不動産会社も増えています。共通ポイントが貯まるのは家賃の支払いに対する物でなく、賃貸契約成約や仲介手数料に応じたパーセンテージのポイントを付与するケースが多いです。

2024年1月現在、アパマンショップでは、ローソンなどで利用できるPontaポイントが貯まります。Century21の株式会社不動産流通センターなどでは楽天ポイントが、レオパレス21ではdポイントが貯まります。楽天ポイントについてはCentury21の他にも賃貸住宅サービス、楽天不動産、地域密着型の不動産会社など複数の店舗が提携をしています。

お部屋探しに出かける時は、共通ポイントカードも持参しておいた方が良いかも知れませんね。

賃貸契約や仲介手数料で貯まる共通ポイント
Pontaアパマンショップなど
楽天ポイントCentury21、賃貸住宅サービス、楽天不動産、他、地場不動産会社など
dポイントレオパレス21など

家賃をクレジットカード払いできる部屋が少ない理由

家賃に限らず、クレジットカード会社が利用者に対して付与するポイントは、商品を販売している会社(今回のケースだと部屋を貸している不動産会社や大家)が支払う手数料が原資となっています。

例えば、入居者が7万円の家賃をクレジットカードで支払った場合、カード会社は手数料(ここでは仮に5%)3,500円などを差し引いた66,500円を不動産会社に支払います。利用者に対しては例えば利用金額の1%分(700円相当)などのポイントを付与します。差額の4%(2,800円)がカード会社の利益となります。カード会社の決済システムや料金の回収を代行する手数料ともいえますね。
不動産会社(大家)からすると同じ部屋を貸しているにも関わらず、クレジットカード払いに応じることで、受け取ることができる家賃の手取りが3,500円減ってしまうことになります。できれば口座引落しなどの現金で満額受け取りたいという判断になることもうなずけます。

利用者側の視点から見てみると、日頃のお買い物であれば、カード払い可能な飲食店と不可能な飲食店であれば、クレジットカード払い可能なお店に行こうと判断が変わることもあるかもしれません。各店舗は、こうした来客の機会を損失しない意味も含めて、カード会社に手数料を支払い、クレジットカード対応することも多いです。

一方、お部屋探しの場合は、間取りやエリア、家賃などの条件に関する優先順位の方が普通は高く、クレジットカード払いできるかどうかが賃貸契約の決定打になることは少ない、と考えられているのかもしれません。

クレジットカード払いは「後払い」ということを忘れずに

クレジットカードで物を買うという行為は、先に現金を準備せず、支払能力の信用度を使って後からお金を払う買物といえます。家賃となると1回あたりの金額も大きいため、カード会社の審査も厳しくなるでしょう。審査が厳しくなると不動産会社が支払う手数料も高くなりがちです。手数料の高さも、家賃のクレジットカード払いに対応していない不動産会社が多い1つの理由かもしれません。

後払いという特徴は、利用者としても支払いのタイミングが意識していなかった時に到来することもあるため、注意が必要です。

カード会社によって締め日のルールが異なり、部屋に住み始めてから翌月や翌々月など、意識していなかったタイミングで引落しがスタートすることもあります。初期費もまとめてクレジットカード払いにした場合、忘れた頃にまとまった金額の引き落としがくることもあります。クレジットカード払い可能なお部屋での新生活をスタートした場合、貯金残高も計画的に確保するよう注意しましょう。

今後、家賃のクレジットカード払い対応は増えていく?

手数料の高さや、賃貸契約の決め手として優先度の低さ、後払いである特徴などがあり、不動産会社側として導入に二の足を踏みがちだった家賃のクレジットカード払い対応。冒頭にお伝えした大東建託やアパマンショップなどがクレジットカード利用に対応したことを受けて今後、増えていくことも期待されています。

お金をテクノロジーの力で便利にするFinTech(フィンテック)というトレンドがあります。販売会社(今回のケースだと不動産会社など)がクレジットカード会社に支払う手数料も、テクノロジーの力で安価に抑えられるようになりつつあります。不動産会社が支払う手数料がより安価になれば、クレジットカード払い可能な不動産会社も、もっと増えるかもしれません。

クレジットカード払いでこんなメリットも
家賃支払いの履歴が残り、家賃の回収もカード会社が一端をになうようになるなど、クレジットカード対応の導入は不動産会社にとってもメリットはあります。

利用者としてもポイントがもらえることももちろんですが、支払履歴などが管理しやすくなるでしょう。クレジットカードを使うと、支払い履歴を意味する”クレジットヒストリー”が積み重ねられます。内容の良いクレジットヒストリーを積み重ねることは、より有利なカードを作れるようになるなど、個人の信用力を高めることにもつながります。

よい”クレジットヒストリー”とはクレジットカードをまったく使わないことではなく、定期的に大きな金額を遅延することなく支払っていることで積み重ねられるとされています。家賃をクレジットカード払いできると、きちんと支払いを行うことで、クレジットヒストリーを育てることにもつながりますね。

クレジットカード払い可能な部屋の注意点

クレジットカード対応をするためには不動産会社が手数料を払っていることがわかりました。裏を返すと「手数料を支払っても損をしない家賃の金額設定になっている可能性もある」といえます。

クレジットカード対応のお部屋を見つけた場合には、周辺の相場より高くないか、チェックしてみることも大切です。

また、クレジットカードの設定には当初からリボ払いが設定されているものもあります。これは、家賃を払うための注意点というよりは、カード選びの注意点に近いですが、そうしたカードを選択しないよう気をつける必要もあります。支払い方法を分割払いなどにしてしまうと、手数料を多く払わなければならないこともあるため、注意が必要です。

専用のクレジットカードであれば家賃支払いができるというお部屋の場合、そのクレジットカードを作ることが本当に自分に有利なのかを考えることも大切です。カードでポイントが貯まっても使いづらいポイントだとメリットが薄いですし、カードの枚数だけ増え、管理がしにくくなることにもなりかねません。

クレジットカード払い以外なら銀行選びで手数料を軽減させよう

クレジットカード払い以外の家賃の支払い方法としては「1.口座振り込み」「2.自動引き落とし」「3.直接支払」などの方法があります。

不動産会社や大家が近くにいて、直接支払うことができる「3.直接支払」の場合、手数料が発生することは、ほとんどないでしょう。しかし、受付してもらえる時間帯にあわせて毎月出向く必要があり、面倒に感じるかも知れません。

自分の銀行口座から不動産会社や大家の銀行口座に対して振り込んだり、自動引き落とししてもらう「1.口座振り込み」と「2.自動引き落とし」の場合、通常金融機関の手数料がかかります。手数料は入居者が負担することになる場合が多いため、節約できると嬉しいですね。

例えば、ネット銀行や、銀行との残高など取引内容によっては、他行に対する振込手数料が一定回数無料という金融機関もあります。他行に対する振り込み手数料が抑えられる銀行口座を開設し、まとまったお金を預けておいて、そこから家賃を支払うようにすると有利でしょう。

家賃用のお金を、予めまとめて預けることが厳しいケースもありますね。ネット銀行の中には「定額自動入金」というサービスをしているところもあります。給与振込口座などから、当該のネット銀行(自行)に対して毎月一定額を入金する場合、手数料を無料にするというサービスです。こちらのサービスを使えば、家賃相当額を毎月手数料をかけず移動させ、他行への振込手数料が安い銀行口座から振り込むこともできます(定額自動入金と他行振り込みの手数料安価、両方を備えている金融機関の口座を開く)。
不動産会社や大家が指定した振込先金融機関と同じ金融機関の口座を持っているようであれば、そちらの口座から振り込むようにするのも良いですね。同一金融機関間であれば、手数料は無料であったり、安価になることが多いです。

一般的に毎月自動引き落としにする手数料よりも、毎月月末に自分で振り込み操作を行う等する方が、手数料は安いことが多いです。この場合、振込忘れをしてしまうと不動産会社や大家から督促を受けてしまう事態になることもありますし、場合によっては遅延金がかかる場合もあります。手数料はもちろん抑えたいですが、滞納になってしまう事態にならないよう気をつけましょう。毎月手動で振り込む場合はスケジュール帳などに書き込んで入金期日をしっかりと管理するのが安全でしょう。

まとめ払いで割引が受けられることも

UR都市機構の物件などでは1年分や2年分など、家賃を前払いすることで割引が受けられるサービスがあります。また子育て世帯、新婚世帯、親世代の近くに住む場合に受けられる割引や、自治体によっては助成金が出ることもあります。類似のサービスで家賃の軽減が受けられないか、相談してみると、有利な支払い条件を模索できるかも知れません。

クレジットカードで家賃を支払うことができる部屋はまだ少ないですが、引落しに使う口座を研究したり、支払い方法のまとめばらいなどを検討する、親世代の近くに住む割引特典などを利用するなど、工夫次第で負担を軽くできる方法があります。

有利な方法を見つけて、少しでも家賃の負担を軽減できると嬉しいですね。

クレジットカード払い以外で家賃負担を軽くする方法
不動産会社(または大家)指定の口座と同一の金融機関から振込を行う
他行振込手数料が一定額かからないネット銀行などを利用する
定額自動入金サービスなどを利用して手数料の有利な金融機関から振込を行う
まとめ払いなどで割引をうける
親世代との近居割、新婚割引、子育て世帯割引などのキャンペーンを利用する
自治体の補助、助成もチェックする

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。