建物面積
たてものめんせき
建物面積とは、建物の延べ床面積のことです。
建物面積とは、建物の
延べ床面積をいいます。
建築面積が建物の建っている面積であるのに対し、建物面積は各階の床面積の合計となります。建物面積には、
バルコニーやベランダ、
吹抜け、
出窓などは含みません。
地下室やビルトインガレージなどは含まれます。また、
ロフトは高さが1.5m以上であれば含まれます。
マンションの場合には、
建築基準法上の建物面積は、壁の中心線で囲まれた
壁心(へきしん)計算ですが、登記簿上は壁で囲まれた部分の
内法(うちのり)計算によります。
なお、
固定資産税は建物面積に基づいて算出されます。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
固定資産税
固定資産税とは、固定資産に課税される税金です。土地・家屋などの固定資産を所有する人に対して、市区町村(東京23区の場合は都)が課税します。
固定資産税は、毎年1月1日時点に登記簿に登録されている土地・家屋の所有者に納付通知書が送付されてくるので、一括納付または年4回に分けて納付します。1月1日時点の所有者に納税義務があるので、1年以内に売却したり家屋を取り壊した場合にも、1年分が課税されます。
固定資産税は、固定資産税課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)に税率をかけて計算されます。標準税率は大半が1.4%ですが、一定要件を満たす土地・家屋には軽減措置があります。また、評価額が30万円に満たない土地・20万円に満たない家屋には、固定資産税はかかりません。
なお、土地が借地権の場合には固定資産税の負担義務はありません。その代わりに地主に地代を支払うことになります。
また、中古住宅を購入したときには、1月1日時点で所有権の移転登記が完了していなければ、その年の固定資産税は全額売主が支払います。そのため、引き渡し時に按分した額を買主が支払う場合もあります。
延べ床面積
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことです。延べ床面積は容積率を超えて建てることはできません。
床面積の算定は、柱または外壁の中心線を基準とします。ただし、ピロティ、ポーチなどで壁や扉、柱などがなく、屋内的な用途で使用されない場合は、床面積に算入されません。吹きさらしの廊下、バルコニーは先端から2mまでの部分、一定条件の出窓なども算入されません。また、ロフトや小屋裏は、設置される階の床面積の2分の1未満で天井高が1.4m以下、地下室は全床面積の3分の1未満、ビルトインガレージは全床面積の5分の1未満であれば、床面積に算入されません。このような空間は、限られた敷地内で容積率の範囲の中で、収納や作業スペースとして有効活用することもできます。
バルコニー
バルコニーとは、マンションなどの屋外に張り出した床のことです。
室内空間の延長として、掃き出し窓などの先に設けられ、屋根や天井はなく、手すりが付いています。上階のバルコニーが屋根の代わりになります。バルコニーは広さや用途によって、アウトドアリビングとして活用できる「リビングバルコニー」や、コンパクトで室外機置場やゴミ置場などに利用される「サービスバルコニー」などがあります。また、階下の屋根を利用した広い「ルーフバルコニー」もあります。
分譲マンションの場合、バルコニーは共用部分に属します。居住者だけが使用できる専用使用権はありますが、改造したり、物置などの固定物を設置することはできません。バルコニーは消防法で、緊急時の避難通路とされています。そのため、避難時の障害にならないように管理規約等にはバルコニーの使用制限が定められています。
ロフト
ロフトとは、小屋裏部屋のことです。屋根の下にあり、物置や倉庫として利用されます。住宅では、天井を高くして、その一部を二層式にした上部スペースをいいます。
ロフトは物置としての活用のほかに、書斎や寝室として利用することもあります。また、ロフトに上がるためには、専用のはしごが設置されます。天井高や採光などが不十分なため、建築基準法では居室と認められません。しかし、換気や採光、断熱などに工夫すると、快適な居住空間を作ることも可能です。アトリエや子ども部屋として利用するケースもあります。
建築面積
建築面積とは、建物が立っている面積で、外壁または柱の中心線で囲まれた水平投影面積(建物の真上から光を当てたときに影となって映る面積)をいいます。1階部分の床面積と、ほぼ、同じになるケースが多いようです。
建築面積には、地盤面から1m以下にある地階(地下室)は算入されません。軒や庇、バルコニーなどで、外壁の中心線から1m以上突出している部分については、先端から1m後退させた部分までを建築面積に算入します。
なお、オーバーハングなどで1階部分の外壁より2階部分の外壁が突き出している場合には、2階の外壁の中心線で測定します。
地下室
地下室とは、地階に設けた居室をいいます。建築基準法では、床面から天井までの高さの3分の1以上が地盤面より下にあるものを地下室と呼んでいます。また、地下室の天井が地盤面から1m以下にある場合には、容積率の緩和措置があります。地下室の面積が建物全体の延べ床面積の3分の1以下の場合には、地下室の面積は延べ床面積に算入されません。
ただし、地下室は採光や防湿に十分な対策をとる必要があります。地下は年間の温度変化が少なく、断熱性や遮音性に優れますが、一方で、採光や換気、防湿、排水などが課題です。建築基準法では、採光のために一定基準以上のドライエリア(空堀)を設けることのほか、換気設備や温度調整設備の設置、耐水対策などを定めています。
地下室は限られた敷地を有効に利用できることで注目されていますが、高度な建築技術が必要で、建築費用も高くなります。
出窓
出窓とは、外壁の壁面より外に張り出した窓のことです。洋風建築では、出窓を取り入れて室内空間をデザインすることが多いようです。
出窓は、部屋を広く見せる、おしゃれな雰囲気になるといった効果があります。出窓の種類には、台形出窓、角型出窓、弓型をしたボウウインドウなどがあります。また、窓の開き方によって、引き違い窓、両脇滑り出し窓、はめ殺し窓などがあり、設置される場所によって、キッチン出窓、浴室出窓、和室用出窓などがあります。
なお、建築基準法では、外壁から張り出した部分が50cm以内、床面から窓の下までの高さが30cm以上、窓の幅(見付け面積)が出窓全体の1/2以上、の条件を満たしていれば、床面積には算入されません。
出窓を設置する場合の注意点としては、結露や防犯上の対策です。出窓は結露しやすいため、断熱性の高い製品を選ぶことも大切です。また、シャッターや格子をつけるなど、防犯面の考慮も必要です。
吹抜け
吹抜けとは、2階建て以上の建物で、上階部分に床を設けずに、上下連続した高さのある空間をいいます。玄関ホールやリビングなどに吹抜け部分を設けると、天井の高さが2層以上になり、開放的な空間ができあがります。
日本の伝統的家屋では、土間や囲炉裏の上部を吹抜けとしているものがあります。洋風建築では、高い天井が好まれ、玄関ホールや建物の中心部に吹抜けを設ける例がよく見られます。
最近では、建築技術の進歩によって、ホテルやショッピングモール、大型ビルなどで、巨大な吹抜けのある建築物も登場し、開放感と同時に近未来的な雰囲気も醸し出しています。
住宅においても吹抜けを採用するケースは増えており、上部からの採光の確保や上下階で連続性を持たせるなどの効果があります。一般的には、吹抜けによって冷暖房効果が落ちますが、建物自体の断熱性を上げることでかなりカバーされるようです。
内法
内法とは、柱や建具など厚みのあるものに囲まれた長さや面積を測定するときに、内側で測るものです。これに対して、柱などの部材の中心線と中心線の間を測定するものを、「心々(しんしん)」といいます。
建物の床面積には、内法面積と壁心面積があります。内法面積は、壁の内側の部分の面積です。実際の生活空間は内法面積となります。壁心面積は、柱や壁の「心々」で測定したもので、壁の中心線で囲まれた面積となります。不動産広告やパンフレットに記載されている建物面積や専有面積は、この壁心面積が表示されています。一方、登記簿に登記される面積は内法面積で、税金の控除などもこの内法面積が対象となる住宅かどうかの基準となります。
壁心
壁心とは、建物の床面積を算出するときに、壁の中心線で測定するものです。壁心で計算した面積を「壁心面積」といいます。「壁心」は「壁芯」と書くこともあります。
建築基準法では、建物の床面積は、「壁その他の区間の中心線で囲まれた部分の面積」とされているので、広告やパンフレットなどに記載されている専有面積や建物面積は、壁心面積で表記されます。
これに対して、壁の内側で測定する面積を「内法(うちのり)面積」といいます。登記簿に登記されるのは、内法面積です。
壁心面積は内法面積に比べて、少し大きな面積となります。