既存住宅性能表示制度
きぞんじゅうたくせいのうひょうじせいど
既存住宅性能表示制度とは、中古住宅の品質を一定基準に即して評価する制度です。
既存
住宅性能表示制度とは、
中古住宅を対象とした
住宅性能表示制度です。
品確法に基づき、住宅性能評価機関が現況と性能の評価を実施します。現況検査では、外壁の「ひび割れ」や床の「傾き」、壁や天井の「漏水などのあと」などについて検査します。個々の検査結果を踏まえて、建物全体の総合的な判断も行われます。
評価項目は、耐震性、火災に対する安全性、維持管理・更新のしやすさ、空気環境、
窓の面積、
バリアフリー性、防犯性となっています。検査・評価結果は「現況検査・評価書」に示され、万一トラブルになった場合には、
指定住宅紛争処理機関が迅速かつ適切に対応してくれます。
中古住宅の性能や劣化状況が判断できるので、購入や
リフォームの判断に役立ちます。
指定住宅紛争処理機関
指定住宅紛争処理機関とは、住宅性能評価書を取得した住宅に対して、トラブルを解決するための機関です。
品確法に基づく住宅性能評価制度で、「建築住宅性能評価書」が交付された住宅については、指定住宅紛争処理機関に紛争解決を申請できます。指定住宅紛争処理機関は各都道府県の弁護士会に設置され、裁判によらずに住宅の紛争を速やかに解消するために設けられました。紛争処理の手数料は、1件当たり1万円です。建築専門家団体からの委員派遣協力もあり、評価書に記載された内容だけでなく、請負契約や売買契約に関する当事者間の全ての紛争を処理してくれます。
住宅性能表示制度
住宅性能表示制度とは、住宅の性能を適切に評価するための制度です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて、2000年に制定されました。
住宅の性能を分かりやすく表示するために、構造耐力、省エネルギー性、遮音性などに関して共通の表示ルールと評価基準を設け、専門の第三者機関が性能評価を行い、「住宅性能評価書」を交付します。「住宅性能評価書」は、国土交通大臣によって指定を受けた「指定住宅性能評価機関」に申請し、設計段階で審査を受ける「設計住宅性能評価書」と工事完了後に審査を受ける「建設住宅性能評価書」があります。
新築住宅では、構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理への配慮、省エネ対策、シックハウス対策、窓の面積、遮音対策、高齢者への配慮、防犯対策の10分野について、等級や数値で評価されます。また、新築住宅で契約書に住宅性能評価書を添付した場合には、評価書に表示された性能が契約とみなされます。また、建設住宅性能評価書が交付された住宅に万一トラブルが発生した場合には、指定住宅紛争処理機関が紛争処理に当たってくれます。
中古住宅では、現況検査と性能評価が行われます。
中古住宅
中古住宅とは、過去に人が住んだことのある既存住宅のことです。流通物件と呼ばれ、仲介会社を通じて取引されるのが一般的です。また、未入居であっても、完成から1年以上(「フラット35」では築後2年以上)経過したものは、中古に分類されます。
日本では、住宅供給量に占める中古注宅の比率は少なく、欧米の数分の1程度です。しかし住宅ストック数の増加や高齢化を背景に、中古住宅への関心は高くなっています。
中古住宅の価格は、仲介会社などが経験を基に近隣で売買された事例と比較して提案し、それをもとに売主の意向を反映して売出価格が提示されます。しかし、中古住宅は新築に比べて物件ごとの安全性や品質、性能の差が大きく、また、売却を急いでいるかどうかでも成約価格に違いがでるなど、物件と価格の妥当性を客観的に比較検討するには、情報が不十分だといわれてきました。これに対して、住宅性能表示制度を利用した評価など、客観的な情報を積極的に開示するケースも出ています。
中古住宅は新築に比べて価格が手ごろなため、近年は、立地や構造に納得できる中古物件を購入して、自分好みにリフォームする人も増えています。売り手と買い手の双方が納得できる客観的基準の提示によって中古住宅の流通を活性化させるため、既存住宅性能表示制度などが活用され始めています。
バリアフリー
バリアフリーとは、障壁をとりのぞくことです。障害のある人や高齢者が普通の社会生活をするうえで、支障となる物理的・精神的障壁を取り除こうという考え方です。
建物におけるバリアフリーとは、段差の解消や出入口や廊下の幅を広げるなど、高齢者や車イスでの生活がしやすくなるため配慮がなされます。
具体的には、玄関のスロープの設置、玄関・廊下などの段差の解消、手すりの設置、車イスで使用できるトイレ、介護しやすい浴室、照明やコンセント位置の工夫、車イスで作業できるキッチン、トイレや洗面室・浴室の暖房によるヒートショックの防止、非常連絡装置の設置などがあります。
なお、公共性の高い建築物については、2013年に施行されたバリアフリー法の対象となります。バリアフリー化の義務や努力義務が定められ、認定を受けると補助や税制の優遇が受けられます。
品確法
住宅の品質や性能の確保を目的に、2000年に施行された法律です。正式には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」といいます。
品確法は、「瑕疵(かし)保証」「性能表示」「紛争処理」の3本柱からなります。住宅の品質を高め、住宅購入者の利益を保護し、トラブルを迅速かつ適正に解決するために制定されました。「瑕疵保証」は、新築住宅の基本構造部分等の瑕疵担保責任期間を10年間と義務付け、瑕疵担保責任の充実化を図りました。「性能表示」は、評価基準を定めて、登録評価機関が検査と評価を行うので、客観的に比較検討できます。「紛争処理」は指定住宅紛争処理機関の活用により、裁判に至らずに迅速な解決が可能になりました。
リフォーム
リフォームとは、住宅を改築や増築することです。壁紙の張り替えなど室内の雰囲気を変える小規模なものから、トイレ、浴室、キッチンなどの設備を丸ごと取り換えたり、壁を取り払って間取り変更をするなど、大がかりなものまで幅広くあります。また、リフォームの目的も、耐震補強や高齢化に対応したバリアフリー化から、ライフスタイルに合わせた快適さを追求するものまで、さまざまです。
リフォーム費用は、既存建物の状態、リフォームの範囲や規模、採用する設備のグレードなどで大きく違ってきます。築年数が古いほどリフォーム目的も多様になり、高額化する傾向にあります。リフォームの市場が拡大するにつれ、消費者の不安を解消するために「リフォーム瑕疵(かし)保険」を利用したり、アフターサービスや保証期間を設けるなど、サービスの充実も見られます。
窓
窓は、採光、通風、換気、眺望などのために設けられる開口部です。風通しや断熱性など、窓の機能は四季を通じた室内の快適性に大きく影響します。また、外観デザインや室内空間、窓からの眺望など、ビジュアル面でも窓の役割は重要な要素となっています。
窓の種類は、取り付けられる位置により、次のような分類があります。
・掃き出し窓・・・・・窓枠の底辺が床面近くまである窓。リビングなどに設けられる大型の窓をいいます。
・腰高窓・・・・・窓枠の底辺が腰ほどの高さにある窓。
・出窓・・・・・建物の外に張り出す形で設置する窓。
・天窓・・・・・天井に設置する窓。トップライトともいいます。
また、開閉方法による分類では、次のようなものがあります。
・引き違い窓・・・・・横に引いて開け閉めする窓で、日本では最も一般的な窓です。
・はめ殺し窓・・・・・開閉できない窓です。フィックス窓ともいわれ、採光のために設けます。
・外開き窓・・・・・外に向かって開く窓で、片開きと両開きがあります。
・内倒し窓・・・・・室内に向けて倒れるように開く窓です。
そのほか、「回転窓」「滑り出し窓」「上げ下げ窓」「ルーバー窓」など、多彩な種類があります。
また、サッシやガラスの素材も豊富で、それぞれに性能や特徴があります。