本体工事費
ほんたいこうじひ
本体工事費とは、建物そのものにかかる工事費用です。
本体工事費とは、建物そのものの建設工事費で、建築コストの中心を占めます。一般的に「
坪単価」といわれるものは、本体工事費を指します。
本体工事費には、大別して「躯体工事費」「仕上げ工事費」「設備工事費」があります。「躯体工事費」は、仮設工事、
基礎工事、木工事などで、本体工事費の4割程度を占めます。「仕上げ工事費」は、
外装工事、
内装工事などで、
屋根、外壁、内壁、天井などの仕上げ材や工法によって費用の違いはあるものの、本体工事費全体からすると、大きなコストの違いは出にくいところです。「設備工事費」は、キッチン、
浴室、洗面などの水回りや
床暖房など、設備関連の工事費です。設備機器は高機能化や省エネ対応が進み、高品質なものを選ぶほど、コストアップとなります。
なお、どこまで本体工事費に含めるかは、メーカーによって異なります。
オプションの設備などは本体工事費に含めない場合もあります。
建築にかかるコストは、本体工事費以外にも
附帯工事費や諸費用があります。建築費全体に占める本体工事費の割合は、7~8割が目安となります。
オプション
オプションとは、新築の一戸建てやマンションあるいは住宅の建築などで、標準仕様には含まれない設備や建材のことをいいます。標準仕様には、構造、建材、設備など何を用いるかが決められています。これ以外に、設備をグレードアップしたり、内外装の仕上げ材を変更する場合や、標準仕様にはない設備を追加するなどのケースです。オプションには、有償の場合と無償の場合があります。例えばシステムキッチンのカラーセレクトなど、無償で選べるケースもあります。また、間取りなども、いくつかのパターンから選択できるものもあり、通常は申し込み期限がありますが、有償・無償は対象物件によって異なります。
モデルルームやモデルハウス、パンフレットの写真などでは、オプションのものを用いていることもよくあります。ただし、オプションである旨や、有償であればその旨を表示しているのが一般的です。気に入った内装や設備があれば、標準仕様なのかオプションなのか、しっかり確かめることが大切です。
床暖房
床暖房とは、床を暖めて部屋を暖房するものです。床を暖めることで、暖まった床面から放射される輻射熱が部屋を暖めます。
床暖房は足元から暖めるため、上部に熱がこもりにくく、自然な暖かさが室内に広がります。また、火を使わないため空気を汚さず、音や風、においなども発生しません。輻射熱で部屋を暖めるので、空気の乾燥も少なくなります。
床暖房には、電気式と温水式があります。電気式は部分暖房や短時間の暖房に、温水式は広い部屋や長時間の暖房に適しています。初期費用は温水式の方が高くなりますが、ランニングコストは低めで、耐久年数も30年以上など長期になります。電気式も深夜電力を利用する蓄熱式を採用すると、初期コストは上がりますが、ランニングコストは抑制できます。
浴室
浴室とは風呂場のことです。日本では、浴槽と洗い場があるのが一般的です。
浴室には在来工法とユニットバスがあります。在来工法では広さや素材などを自由に選べる利点がありますが、費用は高めです。最近は工場生産されたユニットバスが主流で、広さやデザイン、品質も豊富です。間取図には数値が表示されていることがありますが、「1618」であれば浴室の内側のサイズが1,600mm×1,800mmとりなります。
浴室を考えるときには、浴槽の広さと体を洗うスペースのバランスが大切です。子どもと一緒に入ったり、介護が必要であれば、洗い場を広めにとるのがいいでしょう。
また、浴室は湿気のこもりやすい場所なので、換気や掃除のしやすさも重要です。一戸建ての場合に、従来は浴室を1階に設けるのが一般的でしたが、最近では2階に設けるケースも増えています。
外装
外装とは、建物の屋外部分の装飾や仕上げのことで、外壁や屋根を指します。地域によっては地区協定などで、外装に規制を設けている場合もあります。また、防火地域・準防火地域における規制もあります。
外装は、外から見える建物の姿であり、好みの意匠を表現します。マンションも一戸建て住宅も、多種多彩なデザインやカラーで個性を表現することが可能です。
一方で外装には、建物を守る重要な機能があります。主には、風雨を防ぐ、外部からの火災による延焼を防ぐ、外気温の影響を和らげる、建物の躯体構造を保護して地震でも脱落しない、といった機能が求められます。
外装材の選択には、デザインと機能の両面を考慮することが大切です。また、長期間にわたって建物を保護するには、メンテナンスも重要です。
基礎
基礎とは、建物の最下部にあり、上物の荷重を地盤に伝える構造です。建物を安全に支えるために、極めて重要なものです。
基礎の種類には、布基礎(連続フーチング基礎)、ベタ基礎、杭基礎などがあります。布基礎は壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の基礎です。「布」とは、水平の意味があり、「フーチング」とは断面が逆T字型の底が広がった基礎底盤で、布基礎では床下の地面は土のままとなります。これに対してベタ基礎は、建物の底全体を鉄筋入りのコンクリートで固める構造です。かつては、木造在来工法では布基礎が、2X4工法やプレハブ工法ではベタ基礎が一般的でしたが、最近では在来工法でもベタ基礎を採用する例が多いようです。
寺社や古民家など、日本の伝統的な建築物は、1本ずつの柱単独に設けられる独立基礎(独立フーチング基礎)が用いられてきました。固い支持基盤まで杭を打ち込む杭基礎などの方法も取られます。
坪単価
坪とは、日本の伝統的な単位で、畳2枚分の広さをいいます。182cm×182cmで、約3.3m2となります。
坪単価とは、土地の価格や建物の価格を坪数で換算したもので、他と比較するときの目安としてよく使われます。不動産広告では、土地面積や建物面積は必ずm2数を表記することになっていますが、分かりやすいために坪単価を表記しているものもあります。
住宅を建てるときの建築工事費を指す場合は、建物の本体価格をいいます。外構工事費用や地盤改良費など付帯工事費は基本的に含まれません。ただし、ハウスメーカーなどが標準仕様の建物について坪単価を表示しているものは、コスト比較する際の目安になります。
内装
内装とは、建物における内部の仕上げや室内の装飾、付随する設備などをいいます。床や天井、壁などの仕上げや装飾、室内の扉、家具、キッチンなどの下地や仕上げ材、造作建具、照明などを指します。
内装に用いる建材や仕上げ材などは、製品によって価格の幅も大きく、特性も異なります。新築時やリフォームに際しては、ライフスタイルや用途、こだわりに応じた建材などの選択が可能です。
例えば床では、地元産の檜や杉などを用いた無垢材のフローリングで、木の香りや肌触り、耐久性、高級感、自然との調和といったものを手に入れることもできます。一方、子どもが汚したり傷つけることを前提に、掃除のしやすいクッションフロアにすることも選択肢の一つです。
内装の設えは、美観と機能の両面があり、耐火性や防音性など機能面の配慮も大切です。
屋根
屋根とは、風雨や日射から建物を守るために、建築物を覆うように設けられた構造物です。気候や風土によって特徴があり、形状や屋根材の種類もさまざまです。
屋根の形状および屋根材を決めるうえで、基本として求められるのが、耐震性、防水性、防火性、耐久性、断熱性などです。特に木造住宅の場合には、屋根材の重量によって、耐震性を確保するために構造上、壁の量を増やす必要などもあります。また、素材によって雨漏りを起こさないための屋根の勾配も規定されます。
屋根の形状には、切妻(きりづま)、寄棟(よせむね)、陸屋根(りくやね)、片流れ(かたながれ)、入母屋(いりもや)、方形(ほうぎょう)、鋸屋根(のこぎりやね)、バタフライなどがあります。
屋根材には、瓦などの粘土系、セメントなどを加工した化粧スレート、石を板状にした天然スレート、金属系のガルバリウム鋼板、銅板などがあります。
附帯工事費
附帯工事費とは、建物以外にかかる工事費のことです。別途工事費とも呼ばれます。建物の建築費用は、本体工事費と附帯工事費の合計額となります。
附帯工事費には、古家解体費(古い家屋がある場合)、地盤調査費・地盤改良費(地盤が弱い場合)、配管工事費(ガス・水道の配管を敷地内に引き込む)、空調工事費(エアコンの設置や床暖房の工事費)、外構工事費(塀、門扉、車庫、造園など)、造作棚などオプション工事費、などがあります。
附帯工事費は、何を必要とするかによって、費用が異なります。見積書になかったもので、着工後に追加されるものもあり、コストアップの原因となります。見積書に記載される附帯工事費には何が含まれているのか、丁寧な確認が必要です。