クーリング・オフ
くーりんぐおふ
クーリング・オフとは、訪問販売などで行った契約を、一定期間内であればキャンセルできる制度です。
クーリング・オフとは、訪問販売などで商品の契約をした場合に、一定期間内であれば解約できる制度です。
クーリング・オフには期間の制限があり、契約書面を受け取った日から8日以内(マルチ商法は20日以内)であれば、内容証明郵便など書面で通知して解約ができます。
不動産の売買でこの制度が適用できるのは、
売主が宅地建物取引業者で、契約や申し込みが宅建業者の事務所以外で行われた場合です。買主が業者の場合や、
売主が個人の場合には適用されません。適用期限は、取引業者がクーリング・オフ制度の概要を書面で告知した日から8日以内です。契約締結日から8日以内ではないので、注意が必要です。契約場所は、業者の事務所や
代理業者の事務所、モデルルーム、案内所などで
宅地建物取引主任者を置くべきところ以外が対象となります。ただし、買主の自宅や勤務先であっても、買主が自ら申し出た場合には適用されません。
クーリング・オフの申し出があった場合、取引業者は、
手付金や申込金を受け取っていれば、速やかに返還する必要があります。
宅地建物取引主任者
宅地建物取引主任者とは、宅地建物の取引に精通した専門家です。都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験に合格し、その都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引主任者証の交付を受けた人をいいます。
宅建業法では、不動産会社は事務所や案内所に一定人数以上の宅地建物取引主任者を置くことが義務付けられています。事務所には従業員5人に1人以上、案内所には1人以上必要です。宅地建物取引主任者の登録には2年以上の実務経験が必要で、取引主任者証の有効期限は5年となっています。
不動産の取引では、賃貸契約、売買契約の際に必ず重要事項の説明がありますが、この説明は宅地建物取引主任者が行わなければなりません。また、その際には取引主任者証の提示が義務付けられています。
手付金
手付金とは、売買契約や賃貸借契約時に支払われるお金です。
手付金には3つの性格があります。1つは、契約成立の証拠となる「証約手付」。もう1つは、債務不履行の際の損害賠償額の予定を兼ねるまたは違約罰とする「違約手付」です。そしてもう1つが「解約手付」という性格で、不動産取引では特に重要です。「解約手付」とは、手付を支払った方は手付放棄で、相手方は手付倍返しで、契約を解除できるというものです。
手付金の性格については、当事者間で取り決めることができますが、特に定めない場合は「解約手付」とされます。不動産会社(宅地建物取引業者)が売主の場合には、手付金は「解約手付」とみなされます。また、宅建業者は売買代金の2割を超える手付金は受け取ることはできません。加えて、手付金が1000万円を超えるとき、あるいは未完成物件の場合に売買代金の5%を超えるとき、完成済み物件では売買代金の10%を超えるとき、手付金の保全措置が義務付けられています。
代理
代理とは、取引態様の一つで、不動産取引において、売主や貸主に代わって販売活動や募集活動を行い、買主や借主と契約を行うものです。代理人または代理会社は売主や貸主との代理契約に基づいて営業活動を行います。新築マンションの販売などでは、売主の関連会社などが「販売代理」となって、広告、販売、契約までの一連の販売活動を行うことが少なくありません。買主や借主は売主や貸主に代わって代理と契約を結びます。また、代理との間で結んだ契約内容は、売主または貸主と結ぶ場合と法的には同等に扱われます。なお、取引態様が代理である場合には、仲介手数料がかからないのが一般的です。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。