消火設備
しょうかせつび
消火設備とは、火災の消火、延焼防止のための設備で、消防法によって設置基準が定められています。
消火設備とは、建物の火災の消火および延焼防止のための設備です。消防法により、建物の種別や構造、用途や大きさ、耐火性などによって設置すべき基準が定められています。
特に共同住宅であるマンションは防火対象物として、技術基準に適合した設備を設置し、定期点検なども義務付けられています。
消火設備とは、具体的には、消火器、
屋内消火栓設備などをいいます。消火器はABC粉末消火器が一般的で、これはA(普通)、B(油)、C(電気)火災を意味し、あらゆる原因の出火に対応できるものです。耐用年数は10年で、設置しなければいけない本数は
延べ床面積によって決まります。
屋内消火栓は消火器では消火不可能な階段の消火などを目的として、共用廊下などに設置され、消防隊員が到着する前に住民が使用するケースも想定されている消火設備です。
このほか、マンションの11階以上には
スプリンクラー設備の設置が義務付けられています。また、一定以上の広さの
駐車場については、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン・粉末のいずれかの消火設備の設置が規定されています。
スプリンクラー
スプリンクラーとは散水機のことで、芝生などに水をまく植栽用スプリンクラーと、消火設備としてのスプリンクラーがあります。
建物の火災を防ぐためのスプリンクラーは、自動散水消火器といわれるもので、一定規模以上の建築物や人が大勢集まる施設など、消防法によって設置が義務付けられています。
家庭用スプリンクラーは、天井面に配管し、パイプをトイレや風呂などの給水管とつなげる仕組みなどがあります。火災を感知すると、スプリンクラーヘッドの感熱体が落ちて、配管を通じてポンプで加圧された水が流れ、散水を開始します。スプリンクラーが有効に作用するには、スプリンクラーヘッドの配置や設置場所が重要なポイントとなります。
駐車場
駐車場とは、自動車の駐車のための施設です。
車の所有には駐車場があることが義務付けられており、自宅から2km以内に駐車場がなければ書庫証明が取れません。
一戸建ての場合には、駐車場は設備の種類により、車庫、カーポート、カースペースなどがあります。マンションなどの場合には、設備によって平置き駐車場、自走式駐車場、機械式駐車場などがあります。都心部のマンションには総戸数に対する駐車可能台数が少ないものがあり、管理組合との間で期間を決めて賃貸するのが一般的です。
なお、最近ではカーシェアリングなどによって駐車場確保の問題や車の維持管理コストの削減、省エネなどに対応する動きもあります。
延べ床面積
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことです。延べ床面積は容積率を超えて建てることはできません。
床面積の算定は、柱または外壁の中心線を基準とします。ただし、ピロティ、ポーチなどで壁や扉、柱などがなく、屋内的な用途で使用されない場合は、床面積に算入されません。吹きさらしの廊下、バルコニーは先端から2mまでの部分、一定条件の出窓なども算入されません。また、ロフトや小屋裏は、設置される階の床面積の2分の1未満で天井高が1.4m以下、地下室は全床面積の3分の1未満、ビルトインガレージは全床面積の5分の1未満であれば、床面積に算入されません。このような空間は、限られた敷地内で容積率の範囲の中で、収納や作業スペースとして有効活用することもできます。
屋内消火栓
屋内消火栓とは、建物の内部に設置され、消防隊員が来るまでの初期消火を目的とした消火設備です。
屋内消火栓の設置は、消防法によって、建物の高さ(4階以上と3階以下)および耐火構造と準耐火構造(内装制限)によって基準が設けられています。
一定規模のマンションでは屋内消火栓の設置が義務付けられています。ただし、開放廊下型マンションで各住戸に自動火災警報装置がある場合は、スプリンクラーが設置されている階などは、設置が免除されます。
屋内消火栓は、共用廊下などに消火栓ボックスとして設置されています。火災の初期に、住民自身で消火活動が行える設備です。ボックス内には、開閉弁、ホース、筒先などが入っています。消火栓には、2人で操作する放水能力の高い「1号型消火栓」と、やや放水能力は落ちるものの1人で操作可能な「2号型消火栓」があります。消火栓ボックスには使用方法が書かれており、落ち着いて操作すれば簡単に扱えるものになっています。
大規模な災害時では消防車がすぐに到着できるとは限りません。日頃から消火設備の設置場所や使用方法を確認しておくことが重要です。また、火災報知機が鳴っても、設備によっては自動的に消防所に通報されるわけではないので、自分のマンションがどうなっているのか確認しておきましょう。