屋内消火栓
おくないしょうかせん
屋内消火栓とは、マンションなどに設置されている消火のための設備です。
屋内消火栓とは、建物の内部に設置され、消防隊員が来るまでの初期消火を目的とした
消火設備です。
屋内消火栓の設置は、消防法によって、建物の高さ(4階以上と3階以下)および
耐火構造と
準耐火構造(
内装制限)によって基準が設けられています。
一定規模のマンションでは屋内消火栓の設置が義務付けられています。ただし、開放廊下型マンションで各住戸に自動火災警報装置がある場合は、
スプリンクラーが設置されている階などは、設置が免除されます。
屋内消火栓は、共用廊下などに消火栓ボックスとして設置されています。火災の初期に、住民自身で消火活動が行える設備です。ボックス内には、開閉弁、ホース、筒先などが入っています。消火栓には、2人で操作する放水能力の高い「1号型消火栓」と、やや放水能力は落ちるものの1人で操作可能な「2号型消火栓」があります。消火栓ボックスには使用方法が書かれており、落ち着いて操作すれば簡単に扱えるものになっています。
大規模な災害時では消防車がすぐに到着できるとは限りません。日頃から
消火設備の設置場所や使用方法を確認しておくことが重要です。また、
火災報知機が鳴っても、設備によっては自動的に消防所に通報されるわけではないので、自分のマンションがどうなっているのか確認しておきましょう。
火災報知機
火災報知機とは、建物で火災が発生した場合に、警報を発したり、防火管理者に通報する機器をいいます。火災を感知する火災警報器と、火災を感知したことを防火管理者や消防署などに知らせる受信機があります。
火災による犠牲者の多くは逃げ遅れが原因といわれています。火災による犠牲をなくすことを目的に、2006年以降の新築マンションや新築一戸建てでは、住宅用火災警報器の設置が義務付けられています。
火災警報設備の種類には、熱を感知するものと煙を感知するものがあります。基本は煙を感知するものですが、火災以外の煙が生じる台所などには熱式を設置します。設置場所は市区町村条例によって定められています。
受信機は火災警報機が火災を感知したことを防火管理者に通報するシステムで、マンションや一戸建てのセキュリティシステムとして採用されています。
準耐火構造
準耐火構造とは、建物内外の通常の火災に対して、構造体が時間をかけて燃焼することで、想定時間(45~60分)中に建物が倒壊しない構造です。防耐火性能は、その基準の厳しさの順に、耐火建築物、準耐火建築物、防火構造として規定されています。耐力壁・柱・床・梁などの主要な構造部分および軒裏は45分間、屋根や階段などは30分間が想定されています。屋外に火を出さないために、燃焼のおそれのある部分などには厳しい規制があります。
木造住宅では、石膏ボードなどで被覆する方法や、木材の表面が燃えても構造耐力上支障のない「燃えしろ設計」にする方法もあります。
木造3階建てや準防火地域で要求される構造です。
スプリンクラー
スプリンクラーとは散水機のことで、芝生などに水をまく植栽用スプリンクラーと、消火設備としてのスプリンクラーがあります。
建物の火災を防ぐためのスプリンクラーは、自動散水消火器といわれるもので、一定規模以上の建築物や人が大勢集まる施設など、消防法によって設置が義務付けられています。
家庭用スプリンクラーは、天井面に配管し、パイプをトイレや風呂などの給水管とつなげる仕組みなどがあります。火災を感知すると、スプリンクラーヘッドの感熱体が落ちて、配管を通じてポンプで加圧された水が流れ、散水を開始します。スプリンクラーが有効に作用するには、スプリンクラーヘッドの配置や設置場所が重要なポイントとなります。
耐火構造
耐火構造とは、通常の火災が終了するまでの間、火災による建物の倒壊や延焼を防止するため、一定の技術水準に適合する建築物です。防耐火性能は、その基準の厳しさの順に、耐火建築物、準耐火建築物、防火構造として規定されています。耐火構造は、外壁、間仕切り壁、柱、梁、床、屋根、階段などの主要な構造部分について、各部位ごとに耐火時間が指定されています。例えば、耐力壁では階数により1~2時間、柱や梁は1~3時間、屋根・階段が30分などです。延べ床面積が3,000m2を超える建築物などは耐火構造が義務付けられています。
なお、分譲マンションなどは、耐火構造を当然ながら有する耐火建築物です。
内装
内装とは、建物における内部の仕上げや室内の装飾、付随する設備などをいいます。床や天井、壁などの仕上げや装飾、室内の扉、家具、キッチンなどの下地や仕上げ材、造作建具、照明などを指します。
内装に用いる建材や仕上げ材などは、製品によって価格の幅も大きく、特性も異なります。新築時やリフォームに際しては、ライフスタイルや用途、こだわりに応じた建材などの選択が可能です。
例えば床では、地元産の檜や杉などを用いた無垢材のフローリングで、木の香りや肌触り、耐久性、高級感、自然との調和といったものを手に入れることもできます。一方、子どもが汚したり傷つけることを前提に、掃除のしやすいクッションフロアにすることも選択肢の一つです。
内装の設えは、美観と機能の両面があり、耐火性や防音性など機能面の配慮も大切です。
消火設備
消火設備とは、建物の火災の消火および延焼防止のための設備です。消防法により、建物の種別や構造、用途や大きさ、耐火性などによって設置すべき基準が定められています。
特に共同住宅であるマンションは防火対象物として、技術基準に適合した設備を設置し、定期点検なども義務付けられています。
消火設備とは、具体的には、消火器、屋内消火栓設備などをいいます。消火器はABC粉末消火器が一般的で、これはA(普通)、B(油)、C(電気)火災を意味し、あらゆる原因の出火に対応できるものです。耐用年数は10年で、設置しなければいけない本数は延べ床面積によって決まります。
屋内消火栓は消火器では消火不可能な階段の消火などを目的として、共用廊下などに設置され、消防隊員が到着する前に住民が使用するケースも想定されている消火設備です。
このほか、マンションの11階以上にはスプリンクラー設備の設置が義務付けられています。また、一定以上の広さの駐車場については、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン・粉末のいずれかの消火設備の設置が規定されています。