地下室
ちかしつ
地下室とは、床面が地下にある居室です。
地下室とは、地階に設けた居室をいいます。
建築基準法では、床面から天井までの高さの3分の1以上が地盤面より下にあるものを地下室と呼んでいます。また、地下室の天井が地盤面から1m以下にある場合には、
容積率の緩和措置があります。地下室の面積が建物全体の
延べ床面積の3分の1以下の場合には、地下室の面積は
延べ床面積に算入されません。
ただし、地下室は
採光や防湿に十分な対策をとる必要があります。地下は年間の温度変化が少なく、断熱性や遮音性に優れますが、一方で、
採光や換気、防湿、排水などが課題です。
建築基準法では、
採光のために一定基準以上の
ドライエリア(空堀)を設けることのほか、換気設備や温度調整設備の設置、耐水対策などを定めています。
地下室は限られた
敷地を有効に利用できることで注目されていますが、高度な建築技術が必要で、建築費用も高くなります。
建築基準法
建築基準法とは、建物を建てるときの基本的な法律です。建築物の敷地・構造・設備・用途の最低基準を示し、用途地域や日影規制などエリアによって守るべき事項などが定められています。建物の利用者や近隣住民の生命・健康・財産を守ることを目的に、1950年に施行されました。基準の具体的な技術水準などは、建築基準施行令や施行規則などで詳細が規定されています。また、基準が実効性をもつように、着工前の建築確認や工事中の中間検査、完了検査、違法建築物の是正措置なども定められています。
建築基準法はこれまでに何度も改定を重ねています。1981年には現在の耐震基準が導入、2003年にはシックハウス対策の規定導入、2007年には耐震偽装事件を受けて建築確認審査の厳格化が図られました。中古マンションを選ぶ際には、いつ建てられたかによって基準が異なるため、築年は大まかな安全性を見るときの一つの目安にもなります。
延べ床面積
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計のことです。延べ床面積は容積率を超えて建てることはできません。
床面積の算定は、柱または外壁の中心線を基準とします。ただし、ピロティ、ポーチなどで壁や扉、柱などがなく、屋内的な用途で使用されない場合は、床面積に算入されません。吹きさらしの廊下、バルコニーは先端から2mまでの部分、一定条件の出窓なども算入されません。また、ロフトや小屋裏は、設置される階の床面積の2分の1未満で天井高が1.4m以下、地下室は全床面積の3分の1未満、ビルトインガレージは全床面積の5分の1未満であれば、床面積に算入されません。このような空間は、限られた敷地内で容積率の範囲の中で、収納や作業スペースとして有効活用することもできます。
容積率
容積率とは、敷地に対する延べ床面積の割合で、その上限が都市計画における用途地域によって制限されています。また、敷地の前面道路の幅員によっても、容積率は制限されます。このどちらか厳しいほうによって、建物の容積率は制限され、建てられる高さが規制されます。
容積率の制限とは、例えば、容積率が200%で敷地面積が100m2の場合、延べ床面積200m2までの建物が建てられます。延べ床面積は各階の床面積の合計ですが、一定条件の地下室や車庫は算入されません。
角地などで前面道路が2つある場合は、広い方の道路の幅員を適用します。また、敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合は、それぞれの地域ごとの延べ床面積を合計したものとなります。
採光
採光とは、自然の光を窓などから室内に取り入れることをいいます。建築基準法では、住宅の居室について、居室の床面積の1/7以上の採光に有効な開口部の面積が必要と規定されています。ただし、「採光」とは直射日光のことではないので、北側の窓が「採光に有効な窓」となる場合もあります。有効な採光面積は、用途地域や部屋の大きさ、窓の大きさによって決定されます。ただし、納戸やトイレ、浴室、洗面室などは対象となりません。
隣家が迫っている住宅密集地などでは、採光を確保するために、天窓やライトコートを設けるなど、さまざまな工夫が見られます。また、日当たりを調節するには、カーテンやブラインド、反射ガラスなどを利用します。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
ドライエリア
ドライエリアとは、地下室を設ける場合に、地下室の外側に地面を掘り下げてつくる、屋根や天井のない空間です。「空堀」とも呼ばれます。
ドライエリアの目的は、地下室に通風や採光を確保することです。地下室を居室として用いる場合には、ドライエリアを設ける代わりに換気設備や除湿設備で対応することも可能ですが、敷地に余裕があれば、ドライエリアは効果的で、良好な居住環境に役立ちます。
ドライエリアには天井などがないため、床面積に算入されません。また、外壁の突き出た高さが地盤面から1m以下であれば、建築面積にも算入されません。
ドライエリアは、階段を設けて本格的にガーデニングを楽しむこともできます。また、地下に浴室を設け、ドライエリアを坪庭風にアレンジして、露天風呂気分を味わうこともできます。
ただし、排水などは十分な対策が必要です。