手付金
てつけきん
手付金とは、売買契約や賃貸借契約時に支払われるお金です。
手付金とは、売買契約や賃貸借契約時に支払われるお金です。
手付金には3つの性格があります。1つは、契約成立の証拠となる「証約手付」。もう1つは、債務不履行の際の損害賠償額の予定を兼ねるまたは違約罰とする「違約手付」です。そしてもう1つが「
解約手付」という性格で、不動産取引では特に重要です。「
解約手付」とは、手付を支払った方は手付放棄で、相手方は手付倍返しで、契約を解除できるというものです。
手付金の性格については、当事者間で取り決めることができますが、特に定めない場合は「
解約手付」とされます。不動産会社(宅地建物取引業者)が
売主の場合には、手付金は「
解約手付」とみなされます。また、宅建業者は売買代金の2割を超える手付金は受け取ることはできません。加えて、手付金が1000万円を超えるとき、あるいは未完成物件の場合に売買代金の5%を超えるとき、完成済み物件では売買代金の10%を超えるとき、手付金の保全措置が義務付けられています。
解約手付
本来、契約解除には債務の不履行や売主による担保責任などの法律的な要因があるか、契約成立後に当事者が解除に対して合意している必要があります。つまり、解除の際に明確な理由が必要です。しかし、解約手付を事前に設定することで、当事者である売主・買主の両者が契約解除の権利を持ち続けることができます。どういうことかというと、買主は解約手付を放棄することで売買契約を無効にできます。また、売主側も手付の倍額を買主に支払うことで損害賠償などを支払わずに契約を解除できるのが解約手付の目的です。
一般的に、不動産売買においては特別な契約の定めがない限りは手付とは解約手付のことを指します。昭和24年10月4日の最高裁判例でも手付に対してはこのように推定するとしており、契約上、手付とは原則解約手付とするのが裁判でも確定しているのです。
なお、契約している相手が契約の履行に着手した時点から契約解除ができなくなるものとしています。したがって、解約手付の効力は売主が契約履行の着手時点、買主は代金の一部の内金を支払った時点で売主が契約解除になるとされています。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。