売建住宅
うりたてじゅうたく
売建住宅とは、宅地分譲後に建築請負契約を結ぶことを条件として建てる住宅です。
売建住宅とは、開発した宅地を分譲するときに、
売主が指定した特定の会社と建築
請負契約を結ぶことを条件に販売し、そこに建物を建てるものです。
建売住宅とは異なり、宅地の分譲後に、購入者が建築主となって住宅を建築します。この方式で分譲される土地を、
建築条件付土地といいます。
建売住宅の建築主が
デベロッパーや不動産会社であるのに対して、売建住宅は購入者が建築主となるので、設計などの自由度が高いといわれています。しかし、建築を請け負う会社はあらかじめ決められており、実際には用意されたプランの中から選ぶケースも少なくありません。また、宅地の売買契約時に簡単な図面と建築費用の総額が提示されるだけで、建築
請負契約を結ぶこともあり、十分納得できる建物を建てる上でリスクも伴います。
また、土地売買契約と建築
請負契約の2つの契約について、不動産広告などで「土地建物総額○○万円」と総額表記することは、広告規定で違反とされています。2つの契約を結んだ後に、建築許可が下りた段階で「
建売住宅」の売買契約に差し替えるものもあります。仲介業者が入っている場合にかかる
仲介手数料は、宅地の売買であれば土地価格に対してかかりますが、「
建売住宅」の契約にすると建物価格に対してもかかることになります。この行為は、自治体によって
宅地建物取引業法違反として厳しく指導しているところもあります。
売建住宅の契約に際しては、建物プランや費用、契約内容、
仲介手数料など、十分確認することが大事です。
請負契約
請負契約とは、依頼者(施主)と請負人(ハウスメーカーなど)の間で仕事の内容と報酬などについて建設工事請負契約を締結します。
建設工事請負契約には、発注者(依頼主)、請負者、工事内容(建物のプラン・仕様・品質・性能などが記載された図面や見積書)、見積内訳明細、請負代金の額、支払方法、工事の開始時期、工事の完成時期、建物の完成及び検査、瑕疵(かし)担保、完成が遅れた場合や違約金の対応、発注者と請負人の間にトラブルが生じた場合の対応などが記されています。
建設工事請負契約には、設計図書などの図面や見積書が添付されます。その内容は、後々のトラブルを回避するうえで大変重要なものです。契約に先だって丁寧に内容を確認し、不明点は問い合わせるなど、十分に理解して納得した上で取り結ぶことが大切です。
宅地建物取引業法
宅地建物取引業法とは、宅地や建物の取引に関して基本となる法律です。この法律は、宅地建物取引業者の免許制度を実施し、公正な取引と円滑な流通を促進するために、1952年に制定されました。略して「宅建業法」とも呼ばれます。
この法律により、宅地・建物の売買や交換、賃貸の代理・媒介を業務として行うものを「宅地建物取引業者」と定められ、宅建業免許がなければ宅地建物取引業は営むことができません。宅建業者の免許や宅地建物取引主任者の資格、営業保証金、業務などについて定められています。
宅地建物取引業者は、信義誠実に業務を行うことが原則とされ、誇大広告の禁止など各種の広告規制、重要事項の説明義務などが課されています。
建売住宅
建売住宅とは、不動産会社やハウスメーカーが建物付きで販売する新規分譲住宅です。大規模な宅地開発によるものもあれば、街の一画を開発分譲する小規模なものもあります。
建物は完成済みのものもあれば、着工前や建設中の段階で販売するものもあります。注文住宅と異なり、設計や設備・仕様などはあらかじめ決まっており、価格も明示されています。
建売住宅は間取りや仕様が決まっているのでイメージしやすく、完成済み物件や同仕様のモデルハウスがあれば、実物を目で確認することができます。また、土地と建物がセットなので、土地探しから始めて建物のデザインも決めていく注文住宅に比べて手間がかからず、住宅ローンの融資も土地・建物一括で受けることができます。また、一般的には注文住宅よりローコストとなります。ただし、設計や仕様が決まっているため、自由度は限定されます。
最近は建売住宅も間取りや設備に幅を持たせて、工事の初期段階までであれば一定のセレクトができるものも増えています。また、高級志向のブランド商品なども少なくありません。建売住宅と注文住宅の垣根が低くなってきているのが近年の傾向です。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社を通じて不動産を売買したり、貸し借りしたときに支払う報酬のことです。取引契約が成立した場合に支払う成功報酬で、媒介手数料ともいいます。不動産会社は宅地建物取引業の免許を持つもので、宅建業者以外が仲介手数料を取ることはできません。
仲介手数料は、上限が宅建業法で定められています。売買の場合、取引価格が200万円以下は売買代金の5%+消費税、200万円超400万円未満は売買代金の4%+消費税、400万円超は売買代金の3%+消費税となっています。また、この額は売主と買主の、それぞれの依頼者から受け取ることができます。
賃貸の場合は、依頼主(貸主・借主)双方から受け取れる合計金額が家賃の1ヶ月以内(+消費税)となっています。本来は賃貸の場合、貸主と借主が折半で仲介手数料を負担することとなっていますが、実際には借主が全額払う契約が多いようです。これは「依頼主の承諾を得ている場合」という形式をとっているためです。
なお、仲介手数料は上限が定められていますが、それ以下で設定することは仲介会社の自由です。最近では価格競争に対応して、仲介手数料半月分あるいは無料といった物件も登場しています。ただし、単に仲介手数料が安ければいいというのではなく、信頼できる会社であることが肝心です。
デベロッパー
デベロッパーとは、開発事業者(Developer)のことです。大規模な都市開発や土地の造成、住宅地の造成、リゾート開発、市街地や商業地の再開発、オフィスビルや分譲マンションの建設、交通網の整備など、その事業は多岐に渡ります。
不動産開発において、デベロッパーは企画・開発の事業主体となります。土地特性や市場調査に基づいてコンセプトを練り上げ、プロジェクトを立ち上げます。そのプロジェクトを成功に導くために、設計・施工・デザインなどをトータルにマネジメントします。また、周辺環境との調和や街づくりへのコンセンサス形成なども必要となります。
不動産デベロッパーには、規模の大きな不動産会社、電力会社系、商社系、ゼネコン系、独立系などがあります。デベロッパーはプロジェクトの事業主体となるため、高度な総合プロデュース力が要求されます。
建築条件付土地
建築条件付土地とは、宅地の分譲において、一定期間内に特定の建設会社と建築請負契約を結ぶことを条件として売却するものです。
宅地分譲は、本来は購入者が自由に建物を建てられるものです。しかし、建築条件付土地については、土地の売主または売主が指定する建設会社と建築請負契約を結ぶことが条件となっています。実際には、土地の売主が建築会社であるケースや、子会社や関連会社が建築会社となっているものが多いようです。
建築請負契約を結ぶ期間は、任意で決められますが、一般的には3ヶ月ぐらいが多いようです。この間に、建物について打ち合わせを進め、建築請負契約を結ぶことになります。もちろん、建物の設計や仕様については、土地の購入者が建築主となって自由に決めることができますが、建設会社の施工技術などが十分対応できるとは限りません。自由設計とはいえ、いくつかの参考プランから選択するケースも多いようです。ただ、その場合も好みに合えば、注文住宅よりも手間をかけずに済むという利点があります。
もし、期間内に建築請負契約が成立しなかった場合には、土地の売買契約は白紙となり、手付金や預かり金などは全額返還されます。この場合には、仲介手数料も支払う必要はありません。ただし、宅地の購入者は建物について打ち合わせをする義務があります。
売主
売主とは、不動産取引においては、土地や建物などの不動産を売る個人または法人をいいます。購入者にとっては、売買契約を結ぶ相手です。
新築マンションや開発分譲地、建売住宅などでは、デベロッパーや不動産会社などの法人が売主となっているのが一般的です。その場合には、売主または代理会社は宅地建物取引業者であり、取引に際しては、手付金の保全義務やクーリングオフの制度などで消費者が守られています。また、仲介手数料も発生しません。
一方、中古物件では、売主は個人のケースが多くなります。その場合は、一般的に不動産会社が「媒介」することになり、仲介手数料が発生します。
まれに、登記上の所有者と売主が異なる場合、所有者の代理人が売主になっている場合、売買契約に売主ではなく代理の人が立ち会う場合などがあります。そのような例外的なケースでは、契約の前に本人確認や委任状の確認が重要となります。