定期借家
ていきしゃくや
定期借家とは、更新のない借家です。
定期借家とは、契約期間の満了によって、更新のない借家のことです。通常の賃貸では、賃貸借契約によって契約期間を2年などと定めていますが、借地借家法によって借家人が保護されているので、
貸主は正当事由がなければ更新を拒否できません。これに対して、2000年に改正された借地借家法38条によって「定期借家契約」が結べるようになりました。「定期借家契約」は
公正証書などの書面を作成し、契約時に「期間の満了をもって賃貸借が終了すること」を明記して説明することで、期間満了時に契約を終了させることができるようになりました。
定期借家は、転勤期間中だけ自宅を賃貸に出す
リロケーション物件などでよく見られます。基本的には更新ができないため(双方の合意があれば更新は可能)、通常の賃貸物件より割安になることもあり、また、契約期間内には更新の手続きも費用もかかりません。
公正証書
公正証書は、公務員である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。通常は公証役場で作成され、高い証明力があります。
公正証書には、金銭の賃借に関する契約、土地・建物の賃借に関する契約、遺言公正証書、任意後見契約公正証書などがあります。金銭の債権については、公正証書で支払い義務について強制執行を受けても異議がない旨の条項を定めておくと、裁判所の判決などを待つことなく、直ちに強制執行の手続きに移ることも可能です。
なお、公証役場は全国に約300ヶ所あり、公証人は自分の所属する法務局・地方法務局の管轄外で職務を行うことができません。しかし、管轄外の住人がそこに赴いて作成してもらうことはできます。また、定期借家契約では公正証書を作成することがあります。公正証書の作成には、当事者の印鑑証明書などが必要となります。
リロケーション
リロケーションとは、転勤などで一定期間留守になる自宅を賃貸住宅として貸し出すものです。
リロケーション物件は転勤期間中のみの賃貸が前提なので、通常は定期借家契約を結び、契約期間の終了によって更新することなく明け渡すという条件で貸し出します。ただし、定期借家で貸し出す場合には、通常の賃貸よりも賃料は安くなるのが一般的です。また、契約期間を5年と設定した場合、予定より赴任期間が短縮して戻ってきても、明け渡しに応じてもらえないリスクはあります。
リロケーションで賃貸する方法としては、所有者が直接借主と賃貸借契約を結ぶケース、リロケーション会社が代理人となって賃貸借契約を結ぶケース、リロケーション会社が借り上げた上で転貸するケースがあります。
なお、自分が住まなくなると住宅ローン控除の対象にはなりません。
貸主
貸主とは、土地やマンション、住宅などの不動産物件を貸す人または法人のことです。
不動産の賃貸借契約では、取引態様に「貸主」「代理」「仲介」のケースがあり、このうち「貸主」とは、契約の当事者が「貸主」になっている物件のことです。「貸主」物件では、仲介手数料はかかりません。
不動産の所有者(オーナー)が「貸主」になっていることが一般的ですが、中にはオーナーがサブリース会社などに一括賃貸して、サブリース会社が転貸する「転貸」物件もあります。
貸主は個人の場合もあれば、比較的大規模に賃貸業を運営している法人の場合もあります。