通行地役権
つうこうちえきけん
通行地役権とは、他人の土地を通行できる権利です。
通行
地役権とは、通行という目的に限って、他人の土地を利用できる権利です。自宅の
敷地から他の土地を通って
公道に出たい場合など、通行したい人と、その土地を所有する人と、当事者間の契約によって設定できる
地役権の一つです。
通行
地役権は当事者間の契約によるもので、
袋地のようにそこを通らないと
公道に出られない場合とは異なり、近道になるなど、利便性を図るために、道路幅や位置など自由に設定できます。通行
地役権の設定に伴う通行料についても設定契約で定めるもので、当事者間の合意があれば、無償とすることも可能です。
なお、通行
地役権を取得した土地(通路を使う側)を要益地といい、通行
地役権を設定した土地(通路を使わせる側)を承役地と呼び、通行
地役権を設定登記すると、承役地が第三者に売却された場合にも通行権を主張することができます。
公道
公道とは、国や地方自治体など公的主体が管理している道路のことです。道路法で定める高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道などです。また、農道や林道も公的な保護や助成が受けられる半面、所有者による自由な処分はできず、公道としての性格が強いものです。公道の交通に対しては、道路交通法が適用されます。
建築基準法で道路という場合には、「幅員4m以上のもの」と規定されており、公道か私道かにかかわらず、接道義務がクリアされていれば問題はありません。
なお、公道であれば道路の補修など維持管理を公的に行ってくれるので、私道を寄付して公道に移管しようとするケースがありますが、実際には予算の関係などから、なかなか寄付を受けつけないようです。小規模な開発地などで、袋上の前面道路が私道になって、何軒かで私道負担している場合があります。私道であっても公衆用の道路として維持管理されていれば問題ありませんが、凸凹のままなど維持管理状態が悪いものもあります。現地見学では、維持管理の方法や費用負担について、確認しておきましょう。
敷地
敷地とは、建物が立っているか、これから建物を建てる土地のことです。敷地面積は、その土地の面積のことで、水平投影面積をいいます。水平投影面積とは、土地や建物を真上から見たときの面積で、傾斜や凹凸があっても、水平として測定した面積になります。
敷地面積には、登記簿に記載された登記簿面積(地積)と実測面積が異なっている場合があります。そのため、土地の売買契約などにおいては、土地家屋調査士などの専門家による実測をしてからというのが鉄則です。
なお、住宅を建てるために土地を購入するときには、接道条件などによっては、土地面積の一部が敷地面積に算入できないので、注意が必要です。また、敷地面積だけでなく、建物の配置や駐車場のスペースなども考慮しましょう。
地役権
地役権とは、契約に定めた目的において、他人の土地を、自分の土地の便益のために使用する権利です。
例えば、他人の土地を通らなければ公道に出られないような場合に、「通行地役権」が設定されます。ほかには、他人の土地に導管を通して水を引く「引水地役権」や、他人の土地に工作物を建てないことで眺望を確保する「眺望地役権」などがあります。
地役権は、原則として当事者間の契約によって成り立ちます。地役権を設定した他の土地を「承役地」(しょうえきち)、便宜を受ける自分の土地を「要役地」(ようえきち)といいます。いったん地役権が成立すると、所有権が移転するときには、地役権は所有権に従属する形で移転します。
袋地
袋地とは、他の土地に囲まれて、公道に出られない土地をいいます。準袋地とは、池や沼、河川、水路、海などを通らなければ公道に出られないか、崖があって土地と公道との間に著しい高低差がある土地をいいます。このような土地の周囲の土地を囲繞地(いにょうち)といい、袋地または準袋地の所有者は、囲繞地通行できる権利を有します。これを囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)といい、通常は公道への最短距離を通行する権利となります。この通行権は、賃借人にも認められます。
なお、袋地や準袋地は原則として新築や建て替えができません。建て替えなどを希望する場合には、囲繞地の所有者と交渉して敷地の一部を買い取るなどで、接道義務を満たす必要があります。