所有権保存登記
しょゆうけんほぞんとうき
所有権保存登記とは、不動産について初めて行う所有権の登記です。
所有権保存登記とは、建物を新築した場合などに初めて行う不動産の登記です。建物が新築されると、建物の所有者は1ヶ月以内に「建物表題登記」(建物表示登記)を行わなければなりません。表題登記とは、建物の位置、形状、構造、床面積など、建物の物理的状況を示すもので、この建物表題登記をすることで登記記録が作成されます。
所有権保存登記によって、権利部の甲区が作成され、第三者に対して
所有権を主張できるようになります。
所有権保存登記がなければ、
抵当権や
借地権など
所有権以外の権利(乙区)を設定できません。
住宅ローンを借りて
抵当権を設定するには、
所有権保存登記が不可欠です。
なお、
所有権保存登記には、不動産の価額に応じて
登録免許税がかかります。
借地権
借地権とは、土地の所有者から、建物を所有することを目的として土地を借りて使用する権利のことです。賃借権と地上権のことをさします。借地権には、普通借地権、定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権、一時使用目的の借地権があります。また、借地権は賃借権か地上権かによって、売買に地主の承諾が必要かどうかなど、権利の質が異なります。
1992年施行の新借地借家法によって、借地権を持つ人が地上の建物について登記を行っていれば、土地の所有者が交替した場合などにも借地権を主張できるようになりました。また、譲渡・転貸の際の地主の承諾の代わる裁判所の許可なども認められています。
なお、普通借地権では、基本的に契約更新が可能です。
住宅ローン
住宅ローンとは、個人が住宅を購入・建築する資金として利用できる融資のことです。住宅ローンには、「銀行ローン」「フラット35」「財形住宅融資」などがあります。
民間金融機関による融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ノンバンク、モーゲージバンクなどが取り扱っており、多彩な商品があるので選択肢は豊富です。金利も「変動型」「一定期間固定型」「全期間固定型」から選ぶことができます。「フラット35」は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携している長期固定金利型住宅ローンです。また、職場で財形貯蓄を行っている人が受けられる「財形住宅融資」もあります。そのほか、共済組合や生保ローン、JAの組合員向けローンなど、様々なものがあります。売主が提携ローンを用意している場合もあります。
これらのローンの中から、自分が受けられるローンを把握し、無理のない返済計画を立てることが大切でしょう。住宅ローンは必ずしも一つにする必要はなく、変動型の銀行ローンとフラット35を組み合わせたり、夫婦で返済期間の異なるローンを組むことも可能です。たくさんの選択肢があるので、ファィナンシャルプランナーなどに相談しながら、自分たちに合うプランを選択するのが賢明です。
抵当権
抵当権とは、住宅ローンなどを借りる際に、借金の担保として不動産に設定される担保権のことです。
抵当権は、万一、債務者(借り手)が債務の返済ができなくなった場合に、債権者(貸し手)がその不動産を競売するなどして、その代金から優先して債権を弁済できるというものです。抵当権の設定は、土地や建物など不動産のほか、地上権や永小作権にも設定できます。抵当権は質権と違って、担保になった不動産を債権者に引き渡すことなく自由に使用できるものです。
住宅ローンを組むときには、金融機関と抵当権設定契約を結び、抵当権設定登記を行います。登記簿に、抵当権設定の日付、原因、債権額、利息、損害金、債務者、債権者(金融機関)などが記載されます。なお、添付書類として、抵当権設定契約書、登記識別情報または登記済証、印鑑証明、司法書士への委任状などが必要です。また、抵当権設定登記には、登録免許税がかかります。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記や住宅ローンの抵当権設定登記にかかる税金です。
不動産に関連するおもな登録免許税は、所有権の保存登記(建物を建てたときに行う)、所有権の移転登記(土地・建物の売買、相続、贈与による所有権の移転)、抵当権設定登記(住宅ローンを借りるときに、抵当権を設定する)があります。税額は、「課税標準額」に対して所有権の保存登記は0.4%、所有権の移転登記は売買によるものが2%、相続によるものが0.4%、贈与によるものが2%となっています。抵当権の設定登記では、債権額(借入額)の0.4%となります。ただし、住宅用家屋は一定の条件を満たす場合に税率の軽減措置を受けられます。
なお、不動産購入に際して、不動産登記手続きは司法書士に代行してもらうのが一般的です。
所有権
所有権とは、特定の物を自由に使用、収益および処分できる権利です。所有権を持つ人は、その所有物に対して独占的に支配できます。所有権は時効によって消滅することはありません。
ただし、自由にできる権利は、法令上の制限の範囲内です。また、公共の福祉に反する権利は認められていないため、一定の制限を受けます。
また、所有権を有する物件について、所有者以外の人が抵当権や借地権を設定している場合には、その制限を受けます。